ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

遠隔故障診断って本当に必要?

2004年10月29日 | ITS
車をネットワークにつなぐ事による消費者ベネフィットの一つに、車両の自己故障診断情報をカーメーカーやディーラーに送信して遠隔で対処するという物がある。

でも、本当に必要なのか?
まず、路上で動かなくなった場合、その場でユーザーがその原因を知ったところでまるで意味がない。所詮はプロを呼ぶしかない。バッテリ上がりのような簡単なもの以外は路上修理はほとんどなく、工場へレッカー移動だから、仮に事前に故障内容が分かってもあまり意味はない。
一方で問題が発生しても自力で動ける限りは、修理工場に持ち込むだろう。
遠隔故障診断で助かるシチュエーションなんてどのくらいあるのか?

メンテナンス時期が近づいたり、問題が発生したときに販売会社への入庫を促す事が出来るのがメリットだという人もいるが、その情報をなぜわざわざメーカーのサーバーに送り、車に送り返す必要があるのか?車のインパネに表示すれはいいだけのことだ。
販売会社への入庫をプッシュできるということなのだろうが、それは典型的な売り手発想だろう。

そもそも最近の日本車オーナーの場合、路上で立ち往生はせいぜい10年に一回あるかないかの希な出来事である。
遠隔故障診断がユーザーにとってそれほど魅力ある機能だとは思えない。

ネット家電の轍を踏むな

2004年10月28日 | ITS
インターネット家電って言葉がある。

最初は、レシピをダウンロードできる電子レンジや冷蔵庫とかいわれていたが、消費者ニーズがなく(市場調査するまでもなくわかりそうなものだけど)、いまではビデオ録画や空調・風呂・照明などの外出先からの遠隔操作に焦点が移っているらしい。これらの製品は機能追加の一部として、ある程度消費者に受け入れられている。

車も同じ事なんじゃ無いかと思う。インターネットに接続されれば、いろいろな事が出来ると最初は色めき立ったが、結局あまり消費者ニーズが無く、通信ナビゲーションという名前でナビの機能追加としてある程度受け入れられているというのが現実なんじゃないの?
未だに車がインターネットに接続されるのは既定路線だ等の論調があるが、どうかと思う。

ITSによる個人情報管理の危惧

2004年10月27日 | ITS
今週の週アスの受け売りだが、ヨーロッパではベネトンが商品にICタグを付けると発表したとたんに不買運動が起き、ベネトンは「個人情報に対する配慮無しには導入しない」とアナウンスせざる得ない状況に陥ったそうだ。

服にICタグがついていたとしても、直ちにその服を着ている個人の行動が誰かに監視される訳ではない。過剰反応とも思えてしまうが、ICタグがさらに普及し、個人情報管理に結びついてしまう事への危惧であろう。悲惨な全体主義の恐怖を体験したヨーロッパならではの反応なのかもしれない。

しかしその一方で我が国のITS構想は個人情報に対してあまりに楽観的だ。
ETC(DSRC)は車の情報を常に発信し、路側機がその情報を読みとれる。使いようによっては、その車(=持ち主)がいつどこにいたか、どの店に入ったかという情報を集めることだって出来る。さらに、これを民間に開放し、そうした個人情報を活用してその人の好みや過去の消費行動に応じたプッシュ型の広告を車載機に送りつけるという構想すらある。

もう少し神経質になってもいいんじゃないか。

「ETCでガソリンスタンド決済」の幻想

2004年10月26日 | ITS
改めて電技審答申を読んで、また文句をつけたくなってしまった。
本当にビジネスになるかどうかは、事業を行っているプロが考えるべきで、役所の仕事を信じると痛い目にあうという良い例だ。
いろいろ問題点はあるが、一番はETC技術(DSRC)を活用した商業アプリケーションの可能性を過大に評価していることだ。
特にガソリンスタンド(SS)におけるキャッシュレス決済が牽引車となり、2015年単年度で1兆円になるとしている。
試しに「DSRC ガソリンスタンド」でググってみると、バラ色の未来が山ほど出てくる。
しかしこれは実現しないだろう。

まず、一消費者として考えてもさほど便利な事ではない。セルフのスタンドならいまでもクレジットカードを機械に通すだけでキャッシュレスであるし、フルサービスでも料金の受け渡しがそんなに面倒なことだとは思わない。
つまり、消費者ニーズが薄い。

SS業者にとっては、投資が必要である。しかし、このシステムはコスト低減にも売上増にも結びつかない。料金収受の手間が無くなる事によるコスト低減効果が無いわけではないが、今でもクレジットカード決済ならほとんど手間がかかっていないし、ましてセルフ化が進む中であまり意味もないだろう。

お客さんの車の情報を取得できることから、SS業者にとってのCRM的な側面もいわれているが、現実問題として今のSSにはCRMをやる余裕はないだろう。
フルサービスでお客さんの顔を見ながら商売をするSSは、会員制度などの地元密着型伝統的CRMですでに車検などの付帯ビジネスを獲得している。しかし大部分のSSはセルフ化など、低コストで効率よく燃料を販売する方向に行こうとしている。
車検月はステッカーでもわかる。それをみても車検の勧誘をしないSSが、はたしてDSRCを導入したら勧誘するようになるのか?

もともと薄利商売に苦しむSSがこれに投資するとはとても考えられない。

電技審答申「108兆円」の問題点

2004年10月25日 | ITS
先週書いた朝日新聞の記事、経済波及効果108兆円っていうのか何だったのかと、気になったので再び電技審答申をチェックしてみた。

これは1999年2月に出された物で、もう5年以上前の資料だが、不思議な事にITSの市場規模というと未だに引き合いに出されている。

結論から言うと、2015年までの累計ITS関連市場規模は60兆円、経済波及効果を含めて108兆円ということである。

経済波及効果というのは、ある事業が行われる事でそれに関連する業界が活性化し、雇用を創造することでさらに需要が生まれることをいい、産業連関分析手法で算出する。
通常は使わないが、その効果に世論が疑問を抱く可能性がある公共事業(博覧会や箱物)の企画書には何故か必ず登場する指標だ。

とりあえず経済波及効果の妥当性は無視するとしても、純粋に市場規模といっている60兆円自体あやしい。
実は60兆円のうちの約半分は高速料金、ガソリン購入代金など、単純に従来の現金などによる決済からETC等での支払いに移行する金額であり、全く市場を創造しない金額なのだ。

ETCがあるから一つ先の出口まで高速にのろうとか、キャッシュレス決済ができるから沢山ガソリンを入れようなんて事が起きるはずはない。市場規模は支払い方法にかかわらず不変である。

60兆円のうち30兆円の市場は創造されないし、経済波及効果も生まない金額なのである。
これは市場規模という観点からはあきらかに含めてはいけない数字であり、これを含めて算出する事に恣意的な物すら感じる。残りの30兆円についても、かなり楽観的に数字が作られていると思う。

この化け物のような数字に沢山の企業が踊らされているのだ。

参考:同諮問より
「ITS情報通信システムの社会・経済波及効果を明確化することにより、ITSの早期実現・普及に向けた投資・起業の呼び水効果が期待される」

日産フーガのテレマティクスナビ

2004年10月22日 | ITS
フーガのナビは日産テレマティクスであるCARWINGS対応となっている。
第三世代と呼ばれる、ブルートゥース対応のDVDナビだ。これを機に、日産は有人オペレータ利用を含む利用料を3年間据え置きとした。

この第3世代の売りはなんなのか?
ブルートゥース対応により携帯電話接続の手間がなくなったことが一番大きな違いであることは間違いない。ユーザーは携帯電話をポケットや鞄の中に持っているだけで、完全にシームレスにテレマティクスとの接続やハンズフリー会話が可能となる。
但し、現状では対応携帯電話はFOMA(F900iT)に限られる。

さらに、i-modeとの連携が発表されたが、ナビの位置情報や目的地情報からその周辺案内を携帯にダウンロードするという程度の内容で、これはさほどインパクトが無いように感じる。

このテレマティクスの本当のキラーコンテンツは、有人オペレータなのではないかと思う。
有人オペレータにボタンワンプッシュでつながり、目的地をいうだけでルート設定をして貰える。

これは、実は手間の問題ではないのだ。自分でやってもたいして難しいことじゃない。

このやり方なら、走行中でも目的地設定ができるのである。
純正のカーナビは怪しいケーブルで改造しない限り、走行中に操作ができない。信号停止であわてて設定するか、いったん停車して設定なければならない。
しかし、有人オペレータ方式は「ハンズフリー」ということなので、走行中も可能なのだ。

ハイテクが進む中で、有人オペレーションがキラーコンテンツになるというのも皮肉な話だ。

ITS世界会議 朝日新聞の記事に関して

2004年10月21日 | ITS
昨日のITS世界会議は台風による影響で中止となり、大変だったようだ。
さて、朝日の記事にまたまた天文学的な経済効果が記載されている。
その辺に水をさしたくてこのブログをやっている訳だけど、一度公表された物ってのは勝手に一人歩きをしていくものだ。

朝日新聞東海版から

「18日から名古屋市で開催されるITS(高度道路交通システム)世界会議を舞台に、自動車、電機、通信各社が先端技術を競い、新たなビジネス需要を掘り起こす。安全装備や双方向の情報提供サービスなどITSの経済波及効果は累計108兆円にのぼる、との試算もある。」

日本の車の台数は7500万台程度。(軽、トラックバスを含む)108兆円っていえば一台あたり140万円を超す金額だ。車自体の市場規模にも近い数値である。ちょっと常識で考えればそんな事はあり得ない事くらい、すぐ分かると思うのだが。

『「高齢化が進み、車の購入時に『安全』を重視する客が増える」と大手自動車幹部。自動車各社は、ITS世界会議で安全運転の支援技術を競い合う。』

一般紙らしい見方だが、これはたしかに事実だろう。安全装備のハイテク化はこれからの自動車業界の勝ち負けすら左右する課題だ。
しかしそれと通信とは別の話であり、通信によって広がるビジネスチャンスがとんでもなく誇張されているのが問題だ。

「電機業界もネット家電を売り込むチャンスと意気込む。
松下電器産業グループは、家庭にあるインターネットと接続されたネット家電と車をつなぎ、車の中からエアコンで室温の調整や家の門灯の点灯などを遠隔操作するシステムなどを展示。08年の実用化を想定している。」

海外にはホームリンクというこれに似たサービスがあるが、主目的は電動ガレージの開閉やセキュリティーである。そのおまけでその他の家電が制御できる。日本ではさほど必要なサービスではない。

「だが、課題も少なくない。ITSで車が外部と情報をやりとりする通信手段は、携帯電話やFM多重放送のほか、ETCで使われる専用狭域通信、無線LANなど様々な方式が乱立する。元々の事業目的や所管省庁が異なり、アンテナ設置などの基盤整備や各企業の利用研究がバラバラに進んでいる。-略- 官民が足並みをそろえてどれだけ基盤づくりを効率的に進められるかがITS普及拡大のカギを握る。」

それもそうだけど、インターネットや通信ありきという考え方で無理やりビジネスチャンスをでっち上げている事の方がはるかに大きな問題だと思う。
すべての車をネットでつなぐ事の消費者にとってのベネフィットをきちんと整理するのが先だろう。

ドコモのブルートゥースハンズフリー

2004年10月20日 | ITS
ITS世界会議は本日台風で中止とか。災難ですね。

さて、同会議でDOCOMOブースではモバイルキャスト製のFOMA携帯電話用ブルートゥース接続アダプターが参考出品されている。

現在FOMAでは唯一F900iTがルートゥースを内蔵しているが、今回出展されているアダプターを接続すれば、その他のFOMA端末でもブルートゥース機能が追加される。
近く発売される901iシリーズならすべての端末でこのアダプターを使う事でハンズフリーフォン、データ通信が可能になるとのこと。

来他にも、11月1日からの道交法改正を睨んで続々とブルートゥースによるハンズフリーが登場している。
例えば、アイオーデータに続いて、コレガもブルートゥースハンズフリーに参入する。
(道交法改正の内容については、コレガさんのリリースに記載あるので見てください。)

しかし、意外にマーケットが盛り上がっているような感じはない。
まだ統計データなどがなく販売状況は分からないが、試しにヤフオフで「ハンズフリー」を見てみても、さほど活発に取り引きされているようには感じられない。
携帯利用規制の強化によるハンズフリー需要の増大や携帯のブルートゥース化がテレマティクスの普及に追い風になると見ている向きには、やや期待はずれな状況だろう。
前回の規制が有名無実だったことから、今回は市場がさめているということがあるのかもしれない。
実際に厳しい取り締まりが行われない限り、市場は活性化しないと思う。

インターネットITSの続き

2004年10月19日 | ITS
いよいよ世界ITS会議が名古屋で開幕した。
山本寛斎氏がプロデュースした大きなイベントにもかかわらず、メディアへの露出は予想以上に少ない感じ。
一般的に、メディアの受け止め方は「将来交通事故死ゼロを目指す」という安全の部分に関心が向けられているようだ。

さて、昨日のインターネットITSの続き。

インターネットITS協議会の事務局長時津直樹氏談
「カーナビは、カーナビしかできない。それなのにノートPCが買える20万円も払ってる。PCなら画面も大きいし、通信機器もついている。従っていずれはナビもPCの様になっていくだろう」

いや、もっと単純に考えた方が良い。車の中で必要な情報の95%はナビで充足されているのだ。ワープロ専用機がPCに駆逐されたのとは訳が違う。

さらに、将来自動運転になったら運転業務から開放され、インターネット接続をしたくなるだろうと述べている。それはその通りだろう。しかし、それは単なる暇つぶしのネットサーフィンであり、ITSじゃない。
さらに自動運転が実現する未来にはおそらく携帯機器も相当進歩しているだろうし、車載TVも地上波デジタルでの安定した受信が実現しているだろう。
車載機器からのインターネット接続はあり得る話だが、車内エンタメの主流になる保証はない。

車車間通信による自動運転にも言及されている。すべての車に搭載されなければ意味がないという点を認めているが、10年、20年先にはどの車にも(インターネット接続機器が)積まれていると断言されている。

しかし、本当だろうか?メリットが無ければ、搭載される事はない。10年先を見越してカーメーカーが標準装備するとは考えられない。

インターネットITS

2004年10月18日 | ITS
インターネットITS協議会の事務局長である時津直樹氏のインタビューがインプレスのIPv6情報サイト「IPv6スタイル」に掲載されている。

この中で、時津氏は「車と何かがコミュニケーションして初めてITSである」と述べている。

私が疑問に思っている事をそのまま表現してくれている。やはりITSはまず通信コミュニケーションありきなのである。

そして、ITSとインターネットITSの違いについては
「ETCは単に通行料金を引き落とすだけ。VICSは交通情報を表示するだけ。インターネットITSというのは、そういう「だけ」ではなく、ITSをインターネットに接続することで、これをフルに活用したITSを目指す。」

とおっしゃっている。インターネットは確かにほとんど無限の情報源である。
しかし、その具体例といえば「音楽をダウンロードして聴いたり、クルマのさまざまな情報をアップロードして診断したりする」という、いつもの例えになる。

実際、ここが問題なのだ。無限の可能性といいながら、実際に何があるのかといえば、ほとんど無いのである。

故障診断に関してはすでに何回も指摘しているが、車の故障診断はダッシュボードに表示されればいい話で、何故それがどこかにアップロードされなくてはいけないか、私は理解できない。
例えば、自宅で健康診断が出来る機械があれば便利だと思う。でも、それが特定の病院に接続させており、体調に問題があるとその病院から勧誘が入る仕組みだとしたら、どう思う?
致命的な病状だと、葬儀社や墓石販売会社にも情報がいくようになってたりね。

車の事は良く分からないから全部ディーラーに任せますって人はそれでもいいと思う。実際、3割くらいのユーザーはそういう人たちだろう。その人たちにとってはサービスの向上だ。しかし自分の意志でメンテナンス先を選ぶ人にとってはあまりありがたい物ではない。

世界ITS会議 ドコモの展示

2004年10月16日 | ITS
いよいよ来週、世界ITS会議が始まる。残念ながら名古屋には行けないが、各種メディアによる報道フォローしていきたいと思う。

だけど、あんまり盛り上がってるって感じはしないね。

さて、ドコモの展示内容だけど、これもなんだかなあ。

「携帯電話をカバンやポケットの中に入れたまま車に乗り込むと、自動的に特定の個人を認証し、車内の室温や座席の位置が自動調整される。」

椅子や室温の自動調整ってそんなに必要なことかなあ?面倒くさいと思ったことないけど。

「カーナビゲーションと携帯をつなぐことでガソリンスタンドなど様々な店舗の検索やドライブ中に家の様子を知ることができる装置なども紹介」

すでにナビの地図情報にスタンドやコンビニの店舗情報は入ってる。家の様子を知るサービスは携帯だけでできるし、それ以上に、本当に必要?

インターネットITSのデモンストレーション

2004年10月15日 | ITS
10月19日から24日まで開催される「第11回世界ITS会議 愛知名古屋 2004」を前にして、各社・団体のメディアへの事前公開が始まっている。
13日、トヨタ自動車、デンソー、NTTドコモなど100社・8大学で構成されるインターネットITS協議会は報道陣に試作車両によるデモンストレーションを公開した。 

主な内容は
1)車車間通信により、先を走る車からの道路映像を受信し、走行情報を先取りする
2)見通しの悪い交差点にウェブカメラを設置し、死角の映像を車両に提供する
3)車車間通信による仲間の車とのIPテレビ電話
4)ガソリンスタンドに対する車両情報発信とメニューのお勧め
などである。

正直、どれ一つをとってもピンと来ない。
1)が一番おもしろそうだが、本当に必要な機能なのだろうか?
2)は、カーブミラーに対してどれほどの優位性があるのか?
3)は、携帯電話じゃなぜだめなの?
4)は、よけいなお世話。「エンジン点検しましょうか?」攻撃に何故協力する必要があるのか?

実際に車車間通信が安全に寄与できそうなもっと現実的なことは、渋滞警報や急ブレーキ警報だろう。高速道路で渋滞が発生するとハザードを付ける。例えばその代わりに車車間通信で後続車両に伝える。あるいは、急ブレーキをかけた車両がいた場合、その情報を後続車両に伝えるといったことだ。

まあ、それにしてもすべての車が通信機能を持たなければ意味が無い。そういう意味では、インフラ整備と需要の顕在化のチキンエッグだ。
スタンドアローンですぐ実現するレーダー車間保持装置などが先行して市場に浸透することは明らかで、結局実現は難しいだろう。

ケータイがカーナビに

2004年10月14日 | ITS
8月から静岡でテスト販売をしていた株式会社カー・イズの携帯電話ナビゲーションキット「ドライブステーション」(カーナビスタンド)が10月1日から全国のオートバックスで発売された。
「ドライブステーション」がサービスの名前で、「カーナビスタンド」が車載用アタッチメントキットの名前。

これは携帯をカーナビにしてしまうという商品。AUのEGナビウォークと違い、これは専用のGPSアンテナをクルマに設置する。クルマでの使用なので、AUに比べて表示は早くなっているのだろう。音声でも案内し、VICS情報に対応している。また、交差点拡大機能などをそなえており、画面は小さいものの使い勝手は良さそうだ。
地図データーを都度ダウンロードして表示する。

カーナビスタンドには、専用スタンド、充電器、GPSアンテナ、イヤフォン、マイクなどが含まれ、27800円。(ネット販売価格)
さらに、情報提供料として月額350円と、接続の都度のパケット料がかかる。
カーナビがどんなに安くても装着費用を含めれば10万円を越えることを考えれば、あまりクルマを使わない人には良いかもしれない。

対応する端末は今のところボーダフォンのV602SH、V601SH、V601T、J-SH53のみ。今後拡大するとのこと。

問題は気になるパケット料だが、東京駅から箱根湯本駅(約112km・約300,064byte・約2,344パケット)まででハッピーパケットスーパーご利用の場合約155円、通常だと約775円だそうだ。パケットヘビーユーザーにはどうということのない金額だが、通常契約だとやはり高いな、と思う。AUのパケット使い放題などに対応しないと厳しいかもしれない。

さて、この商品は売れるか?
まず、販路は確保されている。カー・イズがオートバックスの関連会社であり、カー用品としては我が国最大の販路を活用できる。
商品力はあるか?画面は小さいものの、カーナビとしての使い勝手は問題なさそうだ。
顧客は存在するか?一番のネックは対応する端末が限定される事だ。
また、どんな顧客が買うのかを考えると、案外難しいのかもしれない。
携帯をこのようにハイテクに活用する若いユーザーはクルマにもナビを装備している可能性が高い。一方、高価なナビをつけるまでもないと考えている顧客は一般にこうしたハイテク系に弱い。まあそうはいってもクルマにナビがなく、また敢えて今からナビをつけるに値しない古い車に乗っている顧客には結構インパクトがありそうだ。2002年の調査では、ナビが5万円を切ったら装着する回答したユーザーがかなりいた。

全ては今後の携帯キャリアと端末の対応にかかっていると思う。

オートPCカディアスって知ってる?

2004年10月13日 | ITS
クラリオンはITS世界会議でオートPCカディアスを展示する。

これはどう控えめにいっても失敗商品だろう。どのくらい売れているかは判らないが、目安としてグーグルで「クラリオン カディアス」で検索してもヒットは88件しかない。既に発売後2年が経過して、この状況だ。ウェブサイトのwhat's Newも一年近く更新されていない。

Win CEと通信機能を搭載し、ウェブブラウズ、ハンズフリー、メール受信、MP3再生、outlookとの連携等が出来る車載PCだが、結局PDAと同じような機能がクルマに組み込まれるというだけで小売価格35万円は無理がある。

良く考えてみると、根本的にはITSやテレマティクスが可能にするといっている世界はこのオートPCの発想じゃないのか?PDAや携帯電話が実現している機能ばかりじゃないのか。

そこにさらに付加価値をつけるためには「車両との連動」が必要だが、車両と連動することでユーザーにお金を払っても良いと思わせる機能なんて、ないんじゃないか?

世界ITS会議が近づいてきた

2004年10月12日 | ITS
ITS、テレマティクスの世界はここへ来てホットニュースが目白押しだ。

まず、世界ITS会議の名古屋開催まで間近に迫った。今ひとつ盛り上がりは感じられないが、この先一ヶ月ほどの間はテレビなどでの露出は増えると思う。

そして、日産カーウイングス、トヨタG-BOOK、ホンダインターナビプレミアムクラブともに新サービスを発表する。
特にカーウイングスは満を持した第3世代である。

こうした発表を見る限りにおいては、ITSもテレマティクスもバラ色の未来に向けて邁進しているかに思えるが、内情は違う。
ITSは、商業利用の活性化が見えてこない。
テレマティクスはトヨタ、日産ともに有人オペレーターサービスを無料化した。無料化は会員獲得が良い状況ではないことの証明だと見た方が良い。