ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

電子マネー

2007年11月30日 | 雑記
電子マネーについても疑いの目を向けてきたが、さすがにここまでSUICA,PASMOが普及すると利用率が上がってくるようだ。(首都圏ローカルな話で恐縮です)
最近はキオスクで利用する人を割りと多く見かけるようになってきた。

私は定期券付きPASMOを使っているが、オートチャージではないので買い物には使っていなかった。残高不足で肝心の改札通過が出来なくなると困るからだ。
買い物はしなくても当然運賃清算には使っており、結局オートチャージが楽なので申込んだのだが、これが結構やっかいなのだ。

使えるクレジットカードは限られる。
それに申込んで、銀行引き落としの書類に届出印を押し、受け取り確認郵便で受け取り、それで手に入るのがクレジットカード(通常利用をする気はまるでない)と専用PASMO。これは別々に送られてくる。

そして、そのPASMOと今使っている定期券付きPASMOを駅の定期売り場で合体しなければならない。
合体すると前のはあまるけど、それは払い戻すしかない。

いや~、これは結構ハードル高いね。便利なのは判っているけど、わざわざそこまでするのは面倒だ、ということでオートチャージにしない人は多いだろう。

一方でEDYだが。

通勤の通り道にあるサークルKがEDY対応になった。
また、私のVAIOにはフェリカリーダーが付いていて、ちょっとした手続きでパソコンからクレジットカード経由でチャージが出来る。
私は日常的にEDYも使うようになったのだが、もし店先でのチャージとか、レジでのチャージしか出来ないとしたら多分使っていない。

ということで、懐疑的な意見を述べていた私がすっかり電子マネーを使うようになったわけだが、これはキチンと条件が揃ったからに他ならない。

小売店における電子マネーでの支払いってのは、高速料金所とかキップの自動販売機とは違って現金と比較して「圧倒的な」利便性があるわけではないのだ。

この辺の仕掛けが不十分であるうちは、爆発的な普及は望めないと思う。

JARI ITS産業動向調査 ETCの動向

2007年11月27日 | ITS
ETCの今後の動向に関して、JARIの調査いわく:

・ETC車載器の販売は今年から減少に転じると思われる。
(2007年500万台、2008年450万台、2009年400万台)
・その理由は装着率の飽和。調査では50%程度で装着率は頭打ちとなると予想。
 地方の複数所有車両など、そもそも高速をほとんど利用しない車の存在
 がネック。
・また現状ETC車載器の機能は「高速道路料金決済器」であり、既に保有して
 いるユーザーの新製品への買換え動機はまったく存在しない。
・価格は1万円以下が定着。
・DSRCサービスがスタートすればITS車載器への買い替え需要が発生するという
 楽観的な見方もあるが、DSRCサービス自体不透明。

ということで、まずまず妥当な判断だと思う。
そもそも必要がないユーザーにETCを装着させるのは無意味であり、そろそろ国交省による普及策も頭打ちだろう。
ある程度高速を使うにもかかわらず現在装着をしていないユーザーは、車両入れ替えなどのきっかけがないだけで、もうお金の問題じゃない。
なんらかのきっかけがあれは装着する。

一方、この調査でも回答者のなかにも依然として

「ETC装着率を上げるには、高速を使わないユーザーにメリットがあるDSRCサービスの充実が求められる」

というような見解を持つ人がいるようだが、それはないだろう。
前にもかいたが、イヌイットに冷蔵庫を売るという話に似ている。

特定の駐車場やSSでノンストップ決済が出来るという程度のベネフィットに対して、機器やセットアップの対価を払いさらに専用クレジットカードを作る消費者がいるとは到底思えない。

JARI ITS産業動向調査 2007

2007年11月22日 | ITS
JARI(日本自動車研究所)のITS産業動向調査2007年版を入手した。

400ページ近い資料なので内容はおいおいチェックしていくが、私が一番関心があったITS車載器については、2011年に80万台、とかなり控えめな予想となっている。少なくとも私が見たことがある公式な数字としては、今迄で一番悲観的だ。

その理由を、キラーコンテンツ/ビジネスモデルの欠如、ITS車載器の価格(ETCの数倍といわれている)、路側機のコスト、インフラ整備計画が不明瞭、としている。まあ、これはその通りだろう。

キラーコンテンツがない以上、ビジネスがスタートするはずがない。スタートしなければ、機器のコストは下がらない。80万台だって楽観過ぎる。

で、こうした予測記事はたいていの場合
「キラーコンテンツの発掘が鍵となる」みたいなコメントで締めくくられるのだが、そんなコンテンツがあるならとっくに離陸している。

余談だが

キラーコンテンツの可能性に関するインタビューとして、ITS推進関連団体の方の
「(DSRC決済は)車に乗ったままで利用できるシーンを前提としたビジネスモデル、たとえばドライブスルーやドライブインシアターなどが有望だ」
という回答が掲載されていた。

ドライブインシアターがいま日本にいくつあるかご存知なのだろうか...。
少なくとも、まっとうな市場分析に基づく見解とは思えない。

答え:1箇所(大磯)

ETCでもいらいらするということ

2007年11月21日 | ITS
ある調査によれば、パソコンでインターネットをしていて目的のページが表示されるまでに10秒以上たつと人はいらいらを感じるらしい。
ダイアルアップの頃なら写真一枚に30秒くらいかかったから、それから考えると大進歩なのだが。

高速道路のETCゲートは多少車が並んでいても数秒で通過できるはずだが、それが我慢できない人がいる。
ゲートの手前で突然すいているレーンへ車線変更する。これによる接触事故も発生しているらしい。
そもそも首都高速でもっとも事故が多いのは料金所、それも通過後の合流によるものなのだが、ETCができてからゲート通過速度が速くなり、事故はさらに増加しているらしい。

すいているETCゲートと混んでいるそれの通過時間差はせいぜい数秒。
冷静に考えれば車線変更はまったく意味を持たない。
なぜそれが我慢できない、という心理に陥るのだろう。

なんらかの特権を持っている人がその特権が十分に発揮できないといらつく、という心理がある。
たとえばビジネスクラスに乗るのにチェックインの列が長いとかいうと必要以上に不愉快になる。
そんな心理かもしれない。

給油所でのオイル交換

2007年11月20日 | 雑記
ここ数年、給油所(以下SS)でのオイル交換が激減しているらしい。

モータリゼーションの勃興期にはSSがオイル交換市場をほぼ席巻していた。
今、SSのオイル交換マーケットに占めるシェアは10%を割った、というデータもある。その分がカーショップ、ディーラー、ホームセンターへと流れている。

その最大の理由はSSのセルフ化だ。
セルフSSは自動販売機のようなもので、対面販売ではない。付加価値商品の売り込みは期待出来ない。
というか、人件費を抑えていかに燃料を低コストで効率よく販売するかにSSの経営はフォーカスしつつあるのだ。

SS自身、付加価値販売を否定しているわけではないが、人件費を抑制するためには人手のかからないものが良い。だから、最近のSSはセルフ洗車に積極的になっている。人手がかかるオイル交換にはむしろ消極的になる。

厳しい価格競争のなかで生き残りをかけているSSにとって、これは自然の流れだろう。

そうした中、DSRC(ETC)をSSの決済に使うというアイデアがあるが、それはこんな状況のSSにとっては机上論でしかない。

そもそもセルフ化が進んでおり、代金授受に関する人件費抑制にはならない。

ユーザーにとっても、DSRC決済はわざわざ来店するようなセールスポイントではない。既にクレジットカードでキャッシュレスが普通だろう。給油機の前でなんらか操作をしなければいけない以上、DSRC決済なんてたいしたメリットではない。

車両情報を受け取って点検整備などの提案販売ができるというメリットを言う人もいるが、もはやSSに対面販売の余裕はない。

純正ナビの進化?

2007年11月19日 | ITS
今朝の日経新聞に「純正ナビの進化」という記事が載っていた。
要はG-BOOKなど、トヨタ、日産、ホンダ各社のテレマティクスのことだ。
ナビが先行して普及したわが国ではテレマティクスという概念は判りにくく、単に「ナビが進化した」という捕らえ方になるのは当然だと思う。

この記事でちょっと意外だったのは、各社の会員数。トヨタG-BOOK、日産CARWINGS、ホンダインターナビとも、大体60万人くらい。全部あわせて200万人弱ということになる。私の予想以上に少なかった。

さらに、記事中の記載では「実際に通信接続しているのはこのうち半数」で、「使用頻度にも差がある」とあり、結局のところはテレマティクスを活用しているユーザーはまだ100万人弱、日本には6000万台の車があるので、ほんの一握りであることは間違いない。

「いずれは当たり前の装備になる」というe-Toyotaの友山氏の談話を引用し、課題は携帯通信料である、ということで記事は締めくくられているが、果たしてそうなのだろうか?

第一、第二、第三世代と、カーメーカーはかれこれ7-8年テレマティクス普及に苦労している。
日本を代表する大企業が相当の力をかけて商品開発・宣伝して、プロモーションもかけ、年会費などを無料にしても結局のところこの程度ということは、そもそも言うほどユーザーニーズはない、と考えるのが自然だろう。

私もかつてはプローブによる渋滞予測と経路誘導はキラーコンテンツになるのではないか、と見ていたが、さほどマーケットは反応していないようだ。
使い勝手や精度に改善の余地があるのかもしれないが、そもそもそれほどのニーズがないんじゃないかと思い始めている。
渋滞を回避して「数分」早く到着する(インターナビの実例では平均1時間あたり5分)ことに対価を払う人が思ったほど多くない、ということではないか?

かねてから主張している通り、渋滞予測以外のコンテンツは初めからキラーにはなり得ない。

最初からナビの付加価値アップであると割り切っていたホンダは別にして、トヨタと日産は「テレマティクスをやらなければ負けるかもしれない」という強迫観念でスタートし、結局は中途半端な数の会員を抱えてやめるにやめられない、という状況に陥ってしまっているように見える。

11/26 誤字訂正 脅迫→強迫

日本専用モデル

2007年11月17日 | ITS
トヨタの国内新車シェアが50%を超えた。
しかし、そのトヨタでさえ国内市場は苦戦している。

国内市場がシュリンクする中で、もはやトヨタ以外のカーメーカーは日本専用モデルなんてのを作る余力がない。

そのトヨタでも国内専用モデルは相当迷走していて、マークXジオなんかかなりまずいようだ。
新しい市場を開拓しようという意気込みはいいのだが、車つくりが迷路に入り込んでいるような気がする。

荷物がつめるセダン、スタイリッシュなミニバン、高級感あるステーションワゴン、立体駐車場に入るSUVなど、この車の定義はいろいろあるけど、結局なんだかわからない車になっちゃってる。

これからはトヨタでも国内専用モデルについては相当慎重になるだろう。


ITS Japan からの報告

2007年11月15日 | ITS
先日参加した第2回 日本ITS推進フォーラムについてITS Japanから報告があった。赤羽教授のパネルディスカッションについては、当たり障りのない事しか書かれておらず、実際に何があったのかはまるでわからない。これはまあ想定内。

驚いたのは以下の下り。

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内容構成と参加者数は、以下の通りです。
・第1部 ITS総合シンポジウム 11/8(木)9:40~17:00 参加者 530名
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まあ、私がざっとみて200人しかいなかった。

経団連ホールのホームページをみれば、1階420席って書いてある。
今回は2階は閉鎖だったから、満席で420人。ほとんどの人は隣の席を空けて座っていたから、私の見積もった200人は良い線でしょう。

出入りもあったのかもしれないけど、530人ってのはどうなのかな。
もうこの時点でこのレポートを読む気がしなくなった。

何故見直しができないのか DSRC

2007年11月14日 | ITS

何故DSRC活用の路車間通信は計画を見直すことができないのか?

世の中にはこりゃ無理だろう、ってプロジェクトでも止めることができずに進んでいくケースって結構多い。そこにはいろいろと事情がある。

このケースは多分こんなことなんだろう。
あくまで想像なので間違っていたらどなたかコメントしてほしい。

安全運転支援はDSRC活用構想の中で唯一説得力のあるアイテム。
路車間通信による運転支援はデモなどでわかりやすく、IT基本戦略で約束している「世界一安全な道路」の実現だ、とぶち上げてもマスコミや世論が納得しやすい。

単なる実験ではなく、国際的な評価を獲得できる大規模実証実験レベルでやる。
でも実用化は先送りでもかまわない。
最悪、普及に結びつかなくても良い。

その辺が落しどころと踏んでいるんじゃないだろうか。
ここまで進めてきた政策を実現性がないなんて理由で白紙に戻したらキャリアに傷がつく

もう一つの側面はこれに関係している複数民間企業との関係。ETC料金所システムは競争入札が行われたが、その背後にある(といわれていた)路側機の市場をあてこんで、ほとんど利益のないビジネスとなっているらしい。
企業側は周辺ビジネスでこのプロジェクトを黒字化させたいし、言い出した官としても借りは返したい。結果返せなくても、少なくとも後で梯子をはずしたといわれるようなことはしたくない。

だけど民間企業の本音としては、見込みのないITS車載器の商品化は勘弁して欲しい、といったところで、民間側には幕引きを望んでいる向きも多いと思う。


金正日のファッションに自戒する

2007年11月13日 | 雑記
息抜きに全然違う話。

金正日はなぜあんなにおかしな髪形をして、妙なジャケットを着ているのか。
答えは簡単。誰も「変だ」といえないからだ。

こうした状態を裸の王様というのは誰でも知っている。しかし自分が裸の王様になっている事に気がつかない人は驚くほど多い。

私も年を経て、会社ではそれなりの役職になってきた。明らかに人から意見されることが少なくなってきたし、自分の意見が会議などで通りやすくなってきた。

これは単に自分の肩書がそうさせているだけだ、と気づく人は意外に少ない。むしろ多くのオヤジたちは自分の力量だと勘違いする。

よっぽどの自戒がないと、人はこの勘違いに陥る。
そして組織は活性を失い、悪い方向へと向かってしまう。

上下の風通しを良くして、活発なコミュニケーションをとるように、というが、これはいうほど簡単なことではない。
上司は友達にはなれないのだ。

結局は厳しい自戒しかない。

第2回日本ITS推進フォーラム その4

2007年11月12日 | ITS
赤羽教授がコーディネイトしたパネルディスカッションであるが、私なりにその趣旨をサマリーしてみたい。

1.交通事故死者は漸減しているが、事故発生件数は高止まり。何故か?
 事故の原因・発生要因の分析が出来ているか?対策は立てられているか?
 その対策は正しいか?
2.効果のある正しい対策を立案するためには、事故発生要因・過程に迫る必要がある。
3.事故は人間が起こすものなので、防止のためには人間の行動に割ってはいる必要がある。
 どういう介入が最も効果をもたらすかをきちんと分析するべき。
4.ITSは目的ではない。発生要因・過程がわからなければいくらハイテクを使っても事故は防げない。
 逆に事故発生要因・過程の分析にハイテクを駆使するならば、それもITSだろう。

ということで、パネリストはGOOGLEマップとDBソフトの組み合わせで事故地点をプロットし、分析した南部氏、ドライブレコーダのデータを活用して事故発生原因に迫ろうとしているJARIの荒井氏、事故防止について現場で健闘されている首都高速の伊東氏など、事故の発生要因・過程に迫ろうとしている方々を招いている。

一方でスマートウェイだが。
参宮橋実験で効果を否定されたVICSビーコンによる渋滞情報のナビ画面表示にしても、首都高実験で「お金を払う価値がない」と評価され、両角氏も「今の状態は無駄な情報が多すぎ、運転支援になっていない」と評価しているDSRC車載器によるナビ画面表示にしても、効果測定結果はネガティブだったとしか思えない。

この状況を知りつつITS Japanが2008年の大規模実験まで突き進むとしたら、まさに赤羽教授が危惧する「ITSを目的としている」状態だ。

しかし、いまだにどうやらやる気満々のようだ。

パネリストに名を連ねたITS Japanの緑川常務理事は、「JAFに頼んだアンケート調査では、8割の人が安全情報を欲しいといっている」と発言され、ITS-SAFETY 2010は推進するのだ、という意思を表明された。

でも、前に指摘した通りこのアンケートは設計がお粗末なので忘れたほうが良い。
こんなものを手がかりに政策を決定されたらかなわない。
そもそも、一般論で「事故回避の情報が事前に提供されたら良いと思うか」と聞かれれば、普通はYESだろう。NOという理由がない。

ITS Japanとしては、IT新改革戦略を受けてここまでやってきたプロジェクトをとめるわけには行かないのだろう。

専用ロゴも出来ちゃったし。

しかし、こんな薄弱な根拠を手がかりにすすめても、後から手痛いツケが来る。
特にこの話はITS車載器という民生用ハードウェアが絡んでいるので、外すと痛い。

一度見直すタイミングだと思うけどね。

第二東名の天文学的予算について少し考える

2007年11月11日 | 高速道路
第二東名の是非のついては、あまり世論が盛り上がらないままずるずると建設が進行しており、もう引き返せないところにいるのかもしれない。

しかし、本当に10兆円という金額を消費するべきプロジェクトなのか、ということを国民はもう少し時間をかけて考えた方がいいんじゃないかと思う。
10兆といわれると、もはや金銭感覚を超越する。

そこで、ちょっと別の言い方で10兆円を表現してみるとこうなる。

・日本の国家予算(年)の1/10
・日本の自動車産業の年間売り上げの1/4
・トヨタ自動車の利益10年分
・カンボジア人の総年収15年分
・発展途上国の子供4億人の食費・教育費10年分
・世界中の地雷を撤去しても、まだあまると思われる。
 (一個除去に10万円かかっても、1億個除去できる)

注)あんまりシビアに計算した数字じゃないので突っ込まないでね。まあ、こんなもん、と思ってください。
第二東名は7兆円に仕様ダウンした、という話もありますがその場合は3割引。どっちにしたってすごい数字です。

いかに厖大な金額であるか、また金の使い道という意味では「もう一本静岡県内に東名高速を作る」よりもプライオリティが高いことが沢山ありそうだね、ということは理解いただけると思う。

ところが、インターネットをみても冷静・論理的に不要だと反論を繰りひろげているサイトはあまり多くない。
そして、推進派のサイトには必ず「東名は老朽化しているから第二東名建設は正しい」という論調での反論が提示される。

本当かよ。東名より古いアメリカのフリーウェイやドイツのアウトバーンはどうしている?
これらも老朽化はかなり深刻な問題らしいけど、古くなったからもう一本作るなんて話は聞いたことがない。
老朽化しているから新しいのを作るって事は、第二東名が出来たら東名は供用をやめるのか?
もう一個作るんじゃなくて、保守、改良を万全に行うのが普通の考え方だろう。

一方で、もう後戻りしにくいところまで来ているというのは事実だと思うが、まだやめるという選択肢はあると思う。
橋やらトンネルやらの建設中の設備に、NEXCO中日本や建設会社、自治体が見学会をやっているが、これは「もうこんなに出来ちゃってるんだから、いまさら中止なんてありえませんよ」ということを言いたいのだろう。

それだけ、やっている人間にとっても必要性について後ろめたいことがあるんじゃないの?

第2回日本ITS推進フォーラム その3

2007年11月10日 | ITS
フォーラムの基調講演ということで、ITSアメリカのS.Belcher氏と、ITS 欧州であるERTICOのA.van Zyl氏の講演。v.Zyl氏は欠席で、ビデオレターとなった。

S.Belcher氏は、ITSに関してはアメリカは日本、欧州に遅れているということをしきりにおっしゃっており、実際われわれがアメリカに学ぶものは多くない。
むしろ、日本人としてはビジネスチャンスと捕らえるべきで、ナビ装着の立ち上がり、画面装着にともなうバックアップカム市場の出現など、今後が興味深い。

講演のなかで、自国の自動車メーカーをビッグスリーではなく、デトロイトスリーと称していた。すでにアメリカ市場では北米3社が上位3社ではない(トヨタがいる)のでビッグスリーは正しくない、ということなのだが、実際に聞いたのは初めて。

A.van Zyl氏はビデオレターということで、あまり内容は多くなかったが、欧州は2010年までにeCall(テレマティクスの一種、エアバッグ展開感知による自動通報を含む緊急通報システム)をすべての新型車に装備するという。
通信装置まで含めての標準装備ではなく、それに対応できるようにするということだろうが、それにしてもあと3年で可能なのだろうか。

あと、氏は欧州のITSを3段階で表現していた。第一段階は、車両ローカル。ナビゲーションなどだ。第二段階は路車間など、一対一の通信のフェーズ。そして第三段階が(これはちょいわかりにくかったが)人・物が車内でも車外でもシームレスにどこでもつながっており、モビリティや物流が常時最適化されるような状態。これが究極のITSということらしい。

私はこうした仕組みにはどうにもマイノリティーリポートのような監視社会を感じてしまう。

第2回日本ITS推進フォーラム 続き

2007年11月09日 | ITS
ちょっと参宮橋についてぐだぐだ書いてしまったので、ここからはその他、私が注目した講演について書いていこう。

まず、株式会社トラフィックプラスの南部氏のプレゼンテーション。

氏は千葉県鎌ヶ谷市における交通事故削減の仕事をされ、そこでわかった事故と道路の関係について今回講演された。

googleマップの地図情報に鎌ヶ谷警察から提供された事故情報を重ねていき、事故多発地点とその事故の傾向を割り出す。これは事故だけでなく、市民からのヒヤリ体験も同様にデータベース化する。

そして、危険地域と具体的にどう危険なのか、そしてその対策はなにかを分析し、実行する。

実際、国道の裏道として使われる区域での事故発生件数と分析から、生活道路における速度超過や徐行義務違反などが原因ということで、交差点にハンプ設置、一時停止規制箇所増加、交差点カラー化などの対策をしたところ人身事故が半減している。特に、人車分離の出来ていない生活道路における通過車両の速度低下に目覚しい効果を出している。

ということで、地図データとそのDB化という意味ではハイテク活用であるが、実施した施策自体、決して特別なことではない。
しかし、やるかやらないかが大きな違いなのだ。そして、その成果には目覚しいものがある。

南部氏は、成功のポイントとして、「鎌ヶ谷警察がデータを公表したこと」「自治体が事故防止に積極的だったこと」をあげている。
私は自治体や地区警察署は、当然の活動としてこうしたことを行っているとばかり思っていたが、こうしたことがネックになって事故低減活動が阻害されているとしたら、これは大問題だと思う。

そもそも、なぜ日本ではハンプが普及しない?
二輪車が危険とか、壊れ物を運ぶ人が困るとか色々あるだろうけど、回避する方法はあるはずだ。実際欧州では運用できている。

国交省も警察庁も、しばらくITSとか通信とかは置いといて、こうした地道な交通安全のための道路改善に着手した方がいいんじゃないの?
事故死者ゼロを本当に目指すのなら。


注記
ハンプ:通過する自動車のスピードを抑えるために、街路の車道部分を盛り上げて舗装した部分。
私はずっとバンプだとおもってた。そういえばこの前のエントリーで渋滞原因のサグをザグと記載してしまった。さすがにザクとは間違えないけどね。(ガンダム世代よりも上ですが)
ダブルベットとかハンドバックとか、カタカナ英語の濁音がわかんなくなるのは老化の始まりでしょうか?

見比べると面白い参宮橋カーブの資料

2007年11月09日 | ITS
昨日の第二回日本ITS推進フォーラム ITS総合シンポジウムで配布された資料には、参宮橋カーブの実証実験に関する資料が結構あった。

画像は、上が国交省ITS推進室、下が首都高速㈱。

上は、誰が読んでも「カーナビへの注意喚起で事故が減った」としか思わない。
明らかに事実を隠蔽した資料。
「※高機能舗装打替等も同時に実施」という形ばかりの注記があるが、こんなのは免罪符にはならない。

(但し、塚田室長はこのページについての詳細説明はスキップなさった。なにか感じるところがあったからなのかは不明)

下は極めて誠実な資料。⑦で表示されている期間にVICSサービスが停止されていたことを明記している。
「但し、交通安全対策の総合効果」と、控えめ(誰かに遠慮した言い方なのだろう)だが、事実を示している。