ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

ROGUEもM4も偽物が登場しました。

2018年08月30日 | ゴルフ

今まで中国通販サイトでも見つかっていなかった人気ドライバーキャロウェイROGUE、テーラーメイドM4の偽物ですが、ついに登場しました。
写真からおわかりのように、800元(13000円程度)で、絶対にありえない価格。
中国通販では「本物の試作品流出」という訳ありの本物もありますが、その場合はヘッドだけで2万円程度。シャフト付きで800元は正真正銘の偽物です。
おそらく、カーボンクラウンも怪しいしキャロウェイROGUEのピラー構造やテーラーメイドM4のツイストフェースも搭載されていないいい加減なものだと思われます。

カーボンクラウンの見分け方ですが、偽物はカーボンがプリントです。3Dプリントなのでよく見ないとわかりません。爪で弾くと本物は「カチカチ」、偽物は「キンキン」です。

これらの商品は日本の大手通販サイトにも出回りますので十分ご注意ください。認証マークや説明書なども精巧にコピーされています。
日本語が怪しいサイトからは絶対に買わない方が良いですね。


ETC2.0の正体 一般道に密かに設置されている経路情報収集装置

2018年08月21日 | ITS
ETC2.0。ETCより価格が1万円以上高く、ユーザーメリットもほとんどないため圏央道の割引などのインセンティブをつけてまで国交省がしきりに普及を進めているETCの次世代機だが、なぜ国はそこまでして普及を進めているのだろうか?
その理由は交通経路情報の入手だ。ETC2.0はポストを通過したときにその車の過去50~100km程度の通行経路、速度、急ブレーキなどの情報を国のサーバーに送信する。この交通データはプロープデータと呼ばれ、携帯通信を利用した民間のデータがいくつも存在するが国として自前のデータがほしいのだろう。

それが交通行政に役立つなら何も否定するものではない。また、経路情報を読み取ること自体は(各種割引に活用する、というベールに包んだ上で)公表されている。

では、このポストはどこにあるのか?
まず、高速道路の料金所。ここでETC2.0は支払い関係情報だけでなく、経路情報も国のサーバーに吸い上げられる。

次に高速道路に1700箇所あるITSスポット。ここでは各種情報が車載器に提供される一方、同様に経路情報も吸い上げられる。

後は一般道路。本日の論点はここにある。

一般道路のITSスポットは実験的なものが数箇所にあるだけとされている。しかしそれは車載器に情報提供をするITSスポット、ということだ。
実際には車両の情報を吸い上げるだけで車載器には全く情報提供をしない、つまりユーザーには何のメリットもない通信ポストがすでに一般道に2000基近く(推定)あるのだ。
 
これは「経路情報収集装置」と呼はれていた。現在は違う名前がついているのかもしれないが全く公表されていないのでわからない。

図は総務省が公表している無線基地局に関するもの。ITSスポット関連の3GHz~6GHz基地局(ポスト)の設置状況が記されている。2010年(平23)に増加したのはITSスポット(高速道路上)だと書かれているが、2013年からの1800箇所近い増加についてはなぜか何も書かれていない。


この正体は前述の一般国道などに設置された「経路情報収集装置」なのだ。内訳が公開されていないからそのすべてがそうであるかはわからないが、国交省関連機関の資料に2013年以降1500基の設置が計画されているという記載があったので、おそらく1500~2000の間の数が設置されているのだろう。注)大手通信機器メーカーの資料に1900基設置されている、との情報があった。

ここで不思議なことは、「経路情報収集装置」に関する情報はネット上でほとんど見つける事ができない、ということ。単に「公表していない」というよりは意図的に隠されているように感じる。

ETC2.0の経路情報収集の目的は国家公安に関するものではなく、個人情報は含まれていない。そもそも装着率100%ではなく、また電源を切ってしまえば通信ができなくなるETC2.0は公安目的には使えない。
だが個人情報は保護されるといっても不透明であり、そうしたことへの世論の批判を怯れているのだろうことは容易に想像できる。

繰り返すがそれが交通行政に役立つなら私は否定しない。(ETC2.0のデータは使い勝手が良くない、また民間ですでにある情報より非常にコストが高くついた、というのはここでは置いておく)
問題は、なぜそこまで国民に秘密にする必要があるのか、また目的は国のデータ収集であるにもかかわらず、あたかも良いものであるかのように宣伝し高い車載器を買わせるという姿勢にも疑問を感じる。
正しい方法は、ETC2.0の走行情報収集機能をオープンにし、それに同意するユーザーに対してむしろ通常ETCより安く提供するということだと思う。

ETC2.0のデータ、民間提供へ 国交省

2018年08月16日 | ITS
ETC2.0は走行履歴を国のサーバーにアップリンクする仕組みになっている。その目的は車両の実際の走行データを様々な政策に活用しようというものだ。もちろんこれは個人情報なので個人は特定されない。これだけ聞けばなるほどと思うだろうが、実際はそうしたデータ収集・分析はすでに民間が先んじている。国として官製データがほしかった、ということだろうか。

ETC2.0についてはこのブログで散々かいているが、ざっくり言えば消費者にメリットなく、データ通信ポスト設置にカネがかかり、しかも消費者にとって高い買い物となるので補助金までつけてるというはっきり言って厄介ものでしかない交通行政施策なのだが、唯一の官にとってのメリットはこの交通情報データなのだ。

ではそのデータは一体何に活用されているのか?これについては具体的にあまり聞かない。唯一、最近鎌倉でETC2.0を活用した交通状況の調査が実施されたが、その成果として「観光地周辺は休日には渋滞する」という大発見がもたらされた模様だ。(笑

ということからか、国交省はこのデータを民間に開放することにした。2018.8.16産経ビズ
おそらくこれは巨額の費用をかけて進めてきた施策なのにそのデータが使われていないのではないか、という批判をかわすためのものだろう。

国交省はETC2.0データを活用した新たなサービス提案の募集を行い、有識者委員会において評価を実施し、実用化にあたっての制度的・技術的課題を検討した上で、実験・実装を進める、としている。
国交省報道発表資料リンク

まあ、巨額の費用(高速道路のポスト設置だけでも250億円)をかけて集めたデータを活用しないのは勿体ないのでこれ自体は批判しないが、問題はETC2.0のデータってあんまり使い勝手が良くないということ。路車間通信だから通信ポストを通過しない限りデータは収集できない。その通信ポストは今の所全国高速道路だけ。高速道路を使わない車のデータはあつまらないし、あまり高速道路に縁がない地域のデータはまるごと抜け落ちる。この弱点を補うためには一般道にもポストを設置する必要があり、一部ではされているが完全に整備するにはかなりの費用がかかる。
訂正。公開されていないが、2015年頃から一般道路に結構な数の読み取り専用路側機が設置されているという情報もある。これについては詳しく調査し別エントリー予定。
走り回る車の移動データを取得するために一番便利なものは誰がどう考えても移動体通信であり、路側ポストではない。

ということで、すでに民間のデータ、それも全国をカバーするデータが存在する中で、限定的にしかデータが収集できないETC2.0の走行データにどれほどの活用余地があるのか、が最大の疑問。
いまから予想しておくと、国交省との出来レース以外には残念ながらろくな公募はないだろう。

ETC2.0は典型的な「やり始めてしまったからやめられない」施策だ。特に250億円かけて整備したポストや、高くて売れないETC2.0車載器の処置等、やめられない事情はよく分かる。
だからといってこのまま進めてもたいした成果はでない。もう潔くドライバーにとって意味なく高価なETC2.0は中止したほうが良いのではないか。