ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

「ITS市場は60兆円」について

2004年10月01日 | ITS
どうも、天文学的ITS市場予測金額に対する懐疑論は結構前からITS事業者の間では出ていたようである。2002年4月の日経BP調査で、この予測に対して「やや厳しい」「非常に厳しい」と回答したITS関連事業者の割合は75%に達している。(私が答えるとすれば「殆ど夢物語」だけど)

もっとも、この60兆円という数字は2000年~2015年の累計で、かつETC利用による高速料金やDSRC利用によるガソリン代金決済といった、ITSによって需要が創造される訳ではないものも含まれている。含まれているというよりも、それがすごく大きい。

この有名な60兆円は電気通信審議会1999年2月の答申である。国交省のITSホームページでも、未だに50兆円という数字がでている。こちらはVERTIS試算となっているが、詳細は不明。
いずれにしても何故そんなに古いデータがまだ生きているのか不思議だ。

この日経BP調査はいろいろ面白い内容を含んでいる。これをベースにしばらく書いていきたい。

フェリカとDSRC

2004年10月01日 | ITS
JRのスイカやソニーのEdyで使われている非接触型ICチップ「Felica」によるキャッシュレス決済が携帯電話にも内蔵され、「おさいふ携帯」と宣伝されている。
Edyの状況などを考えてもキャッシュレス決済というのはそんなに普及する物じゃないかな、と思っていたが、携帯に内蔵されると状況が変わってくるかもしれない。
ドコモの宣伝攻勢の威力はすごい。あれだけ大量に宣伝すれば、マーケットを説き伏せるように市場浸透する可能性がある。

実は私もEdyを持っている。
しかし、殆ど使っていない。なぜなら、チャージが面倒。加えていつ使うか判らないことに多額のチャージをしたくない。それ以上に、享受されるベネフィットであるキャッシュレス決済にさほどのメリットを感じない。キャッシュレス決済による利便性よりもチャージするという行為の面倒くささが勝ってしまう。
携帯の場合は、I-mode経由でチャージできること、利用明細が画面で確認出来ることといったアドバンテージがある。ベネフィットは小さくとも、この機能が付いた携帯が普及すれば、じんわりと広がっていくのだろう。

そうなると、コンビニやファーストフードのキャッシュレス決済はフェリカという事になる。それに加えてETCで使われているDSRC利用によるキャッシュレス決済が入り込む余地があるのか、大いに疑問だ。
DSRCのアドバンテージはノンストップ決済である。たとえばドライブスルーでのノンストップ商品授受が実現されれば可能性もあるが、それはあり得ない。仮に予約して作っておいてもらったとしても、受け取った商品の確認が必要だからである。

もともとDSRCの商業利用なんてあり得ないと主張してきたが、フェリカが台頭するというシナリオ下ではさらに絶望的だ。