ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

スライスの本当の理由

2017年08月28日 | ゴルフ
個人メモ的なエントリーです。

スライスの原因は2つ、アウトサイドインとインパクトのフェースの開き。
特に初心者のときに言われるのはアウトサイドイン。ゴルフ雑誌などでしきりと言われることだが、しかしこの思い込みが10年たってもスライスが治らない原因なのではないか?

アウトサイドインに振ってもインパクトでスクエアにあたっていればフェードにはなるがスライスにはならない。

問題はインパクトでフェースが開くこと。
これを軽視してアウトサイドインを一生懸命治そうとし、インサイドアウトに振ってフェースが開いたらとんでもないドスライスがでる。隣のホールの更に右ラフ、とかね。

では、フェースを開かずスクエアに当てるためにはどうするか?

よく言われる方法が
・フェースを開いて上げるとインパクトでフェースが戻らないからテークバックでシャットに上げる
・フォローで左に振っていくとインパクトではスクエアになる
・肩の開きを抑える
・ストロンググリップにする
等あるが、私が今までで一番納得し、かつ雑誌やレッスン書にはあまり書いてないことは
「インパクトでの肘の位置」特に右肘。

自分では全くナイスショットの感覚が大きく右に曲がるケースは、右肘がアドレスの形よりも曲がる(体に近い)ためにフェースが開いている事が多い。

これの確認方法は
・インパクトを再現した状態を作る。(いつものグリップ、自分が思うインパクト時の腕の伸ばし方、腰は45度くらい切れている)
・その時、左肘を脇から離すとフェース開く
・右肘を脇に付けても、フェースが開く
そう、インパクト時の肘の位置を管理すればフェースは安定するのだ。

ではどう管理するのか?
私は左肘を脇に付けるのが一番安定する様に思う。それは結果として左に振っていくことになる。グリップエンドを常にへそに向ける、という言い方もあるが同じこと。インパクトで左肘が脇についていれば、その後自然に肘はたたまれながら左に伸びていく。インパクトで左肘が引けるという最悪のスイングも防止できる。
逆に左に振っていくという意識は持ちすぎるとフック・チーピンにつながる。

では右肘はどうする?やや曲げた状態でのインパクトが普通なのだが、この、「やや曲げた」を管理するのは難しい。
自然に力を入れずに伸ばしてしまうのが管理が楽。左手主導のスイングにして右手は悪さをしないようにする。
自然に、がポイント。意識的に伸ばすと力が入ってダフる。

以上のことは逆も言える。右肘を曲げた状態でアドレスしてる人が伸ばしてインパクトをむかえると、チーピンフックが出る。
これはアイアンに多い。ナイスショットの感覚が大きく左に曲がったら、このケースを疑うべし。



JR西、東海新幹線の交通系ICカード対応と海外観光客

2017年08月26日 | 雑記
東海道、山陽新幹線は9月末から主要交通系ICカードでの新幹線予約、チケットレス乗車サービスを始める。
乗り物ニュース 交通系ICカードとクレカで乗車OKに 東海道・山陽新幹線で9月30日、新サービス開始

クレカとの紐付けをする手間があるが、通常交通系ICカードに何万円も入っている人は少ないだろうからこれはまあ当然のやり方だと思う。クレカは通常のものであれば全部対応しているようだ。
何れにせよ、エクスプレスカードだか専用クレカだかでしかできず、またスマホからの予約がサードパーティーのソフト経由でしかできなかった以前の状況から考えると、やっとまともになったなと感じる。(日本を離れて5年経つので最近の状況はあまりわかってません)

しかし、なぜ東北新幹線は同じシステムを導入できないのか?分割民営化ってそんなことだったのか?

さらにNHKの報道によれはJR東海の柘植康英社長は25日の記者会見で「外国人観光客など多くの方に、さまざまな場面で気軽に利用してもらえると期待している」と述べているが、本当にできるのだろうか?

個人手配の海外観光旅行は数ヶ月まえから計画する。まずは飛行機の手配、安いチケットに合わせた日程の設定、ホテルの予約、そして滞在国での交通手段確保。ここで肝心なのは、最後の国内移動手段の予約が確実にできていないと計画が立てられない、ということ。
実際、日本の新幹線はほとんどの場合自由席でもなんとかなるのだが、予約無しで慣れない海外での移動計画を組むことは不安だろう。

最近イタリア、スペインで高速鉄道を使ったが、どちらも海外からネットで予約・支払いができる。(スペインの公式サイトは激遅。結構エラーが多くて苦労したが)
さらに、発券はなく2次元バーコードのみ。これもスマホ画面での表示が推奨されていた(無駄に紙を使う必要ない、とわざわざ書かれていた)
JRもこんな対応で良いのではないか?バーコードリーダーなんて安いものだ。勿論その新しいシステム開発は大変だろうが。

今回のJRの仕組みでは、交通カードとクレカの紐付けができて初めて予約ができる。海外観光客はどうやって旅行計画の時点で日本の交通系ICカードを手に入れるのだろうか?さらにいえば、現在自動発券機で使えない海外発行のクレカ(これは非常に不評)には対応するのだろうか?
社長が明言している以上はなんらかの方法を考えるのだろうが、本当に気軽に利用できる仕組みが作れるか甚だ疑問だ。

ここからは蛇足かもしれないが。
この話はキャッシュレス決済と似ている。現在中国ではスマホとバーコード読み取りによるキャッシュレスが急拡大している。中国では偽札が多いからという意見があるが、在住者の感覚ではそれが主たる理由ではない。
日本はFeliCaによるキャッシュレスが始まり相当な月日が経つが、まだ一般的ではない。私はその理由は店舗側の設備投資のハードルが高いことと、チャージやクレカの紐付けが面倒(特定のカードしかできない)なことにあるのではないかと思う。
どうも日本ではこれに限らずセキュリティを厳重にするあまりコストや手間等がかかり普及しないという事例が多いように思う。

EV化で自動車メーカーは消滅するのか?

2017年08月25日 | ITS
今更ながらEVについて。(一部過去記事と内容重複します)

ドイツのメルケル首相は、英国、フランスに続き将来のガソリン、ディーゼルエンジン自動車の廃止を示唆した。
ご承知の通りドイツは日本と並ぶ自動車生産国。内燃機関のパワーで他メーカーを凌駕してきたプレミアムブランドをもつドイツのトップのこの発言はかなりのインパクトがある。モーターの効率についてはもはやこれ以上の改善は望めないが、電池コスト・性能や充電等の技術革新の余地はまだありいずれ航続距離・コスト面から実用に十分耐えうるEVが出てくることは間違いない。もう舵はきられた、と見るべきだろう。

すべての車両のEV化には化石燃料燃焼量抑制と十分な電力供給の観点から原子力発電が必須であるという議論がある。これには色々な分析が有るが、再生可能エネルギーに限界がありまた原発の新設や再稼働が非常に難しい我が国では今後課題となるだろう。直感的には日本の全自動車がEVに置き換わるためには発電に関する考え方を変える必要があると思う。

一方で、EV化によりカーメーカーは消滅するという類の記事が未だに散見される。
その根拠は難しい設計生産及び制御技術が必要な内燃機関やトランスミッションから単純なモーターに置き換わるからモジュールを購入できれば後は組み立て工場があればいい、したがってカーメーカー以外でも車を作ることができる、という内容だ。
しかし、それは車という製品のほんの一部しか見ていない。操縦安定製、静粛性、走行フィーリング、乗り心地、ブレーキ制御、衝突安全性といった部分に自動車メーカーは相当な年月を費やして改善してきた。そしてそれらはモノコックボディ設計の時点から綿密に考慮されている。これはモジュール組み立て工場には真似ができない。長い経験の蓄積が必要だからだ。これは家電とはレベルが違う。
実際Googleは自社生産を諦めた。新興のテスラは自動車エンジニアの引き抜きで時間を買った自動車メーカーであり、単なる組み立て工場ではない。
したがっていくらEVになったところで、自動車メーカーが消滅するという考え方には同意できない。本当にそうなるのであればドイツは猛反対するはずで、ドイツの自動車産業はEV化にも自信があるということだろう。

しかし、EV化だけではなく自動運転、ひいてはシェアリングとなると話はまったく変わってくる。
自動運転車には操縦安定性、走行フィーリング、衝突安全性等の先に述べた自動車メーカーが蓄積してきたノウハウが不要になる。
なぜかと言えば、自動運転車は最高速度をまもり、カーブでは十分減速し、安全余地をもってブレーキをかける。また人間が運転しないから走行フィーリングとか乗り味も無縁だ。自動車メーカーは速度超過時の急なレーンチェンジとか、オーバースピードでカーブに侵入したときの挙動なども研究し最善のセッティングをしているが、こうしたノウハウは全く不要となる。
さらにアクセルを踏んだときの加速のリニア感とか、ハンドルを切ったときの運転者の意思と車の挙動とかを運転者が評価しなくなる、ということだ。また、自動運転車は原則として衝突しない。衝突安全への研究も無意味になる。

さらにシェアリングが進めば、ユーザーの車に対する愛着はなくなる。停めたタクシーの車種なんかだれも気にしない、ということだ。

以上の状況から、異業種の参入は容易となりかつユーザーはブランドに無頓着になるわけで、生産メーカーはコスト競争力が有る中国の大手になるかもしれないし、あるいは日立やシーメンスという運送機器メーカーになるかもしれない。勿論上位数社のカーメーカーは生き残るだろうが、強烈なコスト競争に巻き込まれるため大手は相当な危機感をもっている。
シェアリング中心となると、そのオペレーターが車種選定権を持つようになる。端的な例で言えば、中国で何百万台も投入されたシェアリング自転車のメーカーはオペレーターであるMobikeやofoによって決められている。

カーメーカーが有利に試合を進める唯一の方法は自らがオペレーターになることであり、最近ドイツメーカーやトヨタがシェアリングに乗り出している理由はそこにあるのだ。

国際免許に関するあれこれ

2017年08月21日 | 雑記
国際免許に関して最近思うことを2つ。

一つは中国人が日本でレンタカーを借りる際の免許の話。
中国はジュネーブ、ウィーンの運転免許に関する条約に参加していないので、海外で使える国際免許証を発行できない。
これら条約が締結されたころは人民が自家用車をもち、海外旅行をしてレンタカーを運転するなんて中国としても想像もできなかっただろう。

中国人も最近は団体旅行から個人旅行に変わってきており、特に沖縄や北海道は個人旅行にはレンタカーが不可欠になる。
しかし、上記の通り中国人は日本でレンタカーを借りすることができない。しかし実際にはかなりの訪日客がレンタカーで旅行をしている。

どういうことかというと、香港もしくはフィリピンを経由して国際免許を取得するのだ。
例えば香港は大陸住民に対して試験免除で免許証を発行している。中国にはこの仲介をする業者がおり、本人は出向かなくとも1-2週間で香港もしくはフィリピンの免許証と国際免許が手に入る。通販大手の淘宝網でもちょっと検索すると業者が沢山見つかる。これらは合法であるという。

このことに対してネットではそんな免許でレンタカーを運転させたら危険ではないか、事故が起きたらどうする、という意見がだされてる。
しかし、これはおかしい。条約を結んでいる国の国民と中国人でその運転に安全、危険の差は無いはずだ。一般論として中国の運転マナーは良くないが、それは個人にもよるし条約国でも運転マナーが中国と大差ない国は沢山ある。
免許の取得の適法性と運転が危険であるか否かの間には全く関連がないのだ。

少なくとも偽造や違法手段での取得でない以上、問題ない、としか言いようがない。彼らは悪事を働くために香港やフィリピンの免許を買っているわけではないのだ。
本来であれば、日本も中国からのインバウンド観光需要を重視するのなら条約とは別に地域限定で中国免許での運転を許可すればいい。
韓国は中国免許での運転を済州島で開放しているし、さらに欧州の多くの国やカリフォルニア州も認めている。

しかし、これに対しては相当な反対があるだろう。特に中国人ということでバイアスがかかった反対論がでる。
で、必ず事故は起きる。何人だろうが、いきなり左側通行の世界に放り込まれれば危険な場面には出くわす。私も昔アメリカでセンターラインのない道のすれちがいでとっさに左に避けてしまい非常に危険な思いをしたことがある。

中国人が事故を起こせばメディアは鬼の首を取ったような報道をし、その責任はどこにあるのかというようなことを言い始める。
したがって誰もこんな法改正はしたがらないので、将来にわたり今の不明瞭な状況が続くんだろう。

次に、日本の国際免許について。
国際免許ってのは、実は免許証ではなく役所が発行する日本の免許証の翻訳書である、ということを知る人は少ないと思う。
日本の免許にはアルファベット表示はなく、年号も西暦が使われていない。したがって翻訳書がないと海外では理解してもらえない。

一方、アルファベットを使う国の間では翻訳書がなくとも理解できるからその国の免許をそのままで使える、という協定を結んでいる事が多い。
(日本の免許もハワイやグアムでは国際免許が不要で、レンタカー会社は西暦と和暦の変換表を持っている)

国際免許は有効期間が一年しかない。次に海外にいくときには期限が切れている事が多く非常に煩雑だ。
免許証の表記をアルファベット併記にし、年号は西暦にするだけで国際免許なんていう面倒なものは多くの対象国で廃止できる筈だと思う。
こうした行政改革はなかなか進まないものだが、これは早急に改善してもらいたいものだ。

偽装とうふで垣間見た食の安全信仰

2017年08月16日 | インチキ・疑似科学
最近ツイッターで偽装豆腐という言葉がちょっとバズった。
栄養管理士をされている方のブログ(アメブロ)で、イオンのオーガニック豆腐を偽装として批判し、それがYahooニュースに掲載されたから結構話が広まった。(Yahooからは現在は削除済み)
それに対して科学ジャーナリストの方がBuzzFeedでこの記事は科学的に間違いだらけでこの豆腐の添加物は全く危険はない、という指摘をされた。

偽装豆腐で検索すると、双方の主張に沿った関連記事、ブログが見つかるが、どうも「危険食品に注意しろ」的な反応が多い様に思う。

私自身は、このアメブロを書かれている内容はタイトルに偽装という言葉を使っている点でかなり問題だと思う。
オーガニック豆腐が中国産であることを問題にしているようだが、原料にはきちんと中国産と書いてある。中国産だからオーガニックなんて怪しい、というのであれば証拠を出さない限り偽装と決めつけるのは誹謗中傷だ。
そしてこの栄養管理士の女史のおっしゃることを呼んでいくと、典型的トンデモだということがわかる。
引用すると、
-------------------------
人の手間暇を極限まで省くための工程。ここに愛情は感じない。
わたしは、その食べ物の工程に愛情を感じないものは避けるようにしています。
人は愛情が必要な生き物です。その愛情という手間暇を省いている食材を口にするから、愛情の希薄な人間が出来上がるように思います。
これはフラクタル理論で、
「愛情がこめられていないものを食べるから愛情をこめられない人間になる」
「偽物を食べるから偽物になる」
「不自然なものを食べるから不自然なカラダになる(病気になる)」
逆を返せば、
「自然なものをたべれば自然なカラダになる(病気がなおる)」
「愛情のこもった食べ物をたべれば愛情のこもった人間になる」
--------------------------
まあ、フラクタル理論じゃ全然ないんだけどそれは置いといて、
要は「ありがとう」と話しかけた水を飲むと健康に良い、というような話と紙一重のことをおっしゃっている。

そして、案の定この方のブログの下の方にはお決まりの講座、教室の案内が出ている。
その記事を拝見するとどうもこの方は「牛乳は牛の飲むものだから人間が飲んだら健康に悪い」でおなじみの内海医師の影響を受けているらしい。

この手の話にころりと騙される方、主に主婦層だと思うけど、結構いらっしゃる。自然、天然=善 人工=悪。
でも、すべてが自然で手作りだった昔に比べて食中毒は減っているし国民の栄養状態も良くなっているのは厳然とした事実。
また、イオンのような大企業の衛生管理や添加物に関する安全管理は、はっきり言って個人商店や家庭の手作りとは比較にならない。
某大手食品メーカーの工場見学をしたことが有るがそれは厳重なものだし、その従業員の方は自社製品に愛情をこめている。

特に食に関することは小さいお子さんがいるお母さんの不安を煽ると非常に「よく効く」ので商売としてはおいしい。
添加物は厳しい安全基準を設けて使用されている、というような指摘は、「大企業や政府は信用できない」の一言で片付ける事ができるし、一旦不安を煽ってしまえば信者は疑うことをしない。

まさに宗教なのだ。

i-dioについて

2017年08月15日 | モバイル・ウエアラブル
2016年に地上アナログテレビ放送のVHF-Low帯を利用して始まった新放送サービスi-dio。本ブログ記事
一年以上経過した現在、どうもパッとした話をきかない。

ネットでの評判は、専用チューナーは室内では受信しない、またスマホとはWiFi接続なので自宅等のWiFiインターネット接続ができない、しかし屋外で使うとスマホの電池がすぐなくなる、というような致命的な欠点があるようだ。また音楽コンテンツも当たり障りない内容なので、どうしてもこれを聞きたいというニーズは顕在化していない。
そのせいか、専用チューナー(ポータブル、車載)ともにその品番で検索しても販売情報がさっぱり出てこない。市場に出回っていない、ということだ。

昨年の6月にはそうした障害を排除するためにネット配信(サイマル)も始まったが、これは前提がアナログ停波利用だったのでは?この事業のそもそものところを否定しているように感じる。ラジコのように位置情報を判定し、その地域への限定でネット配信されるようだが、まあそれなら普通にネットラジオを聞いたほうがコンテンツの選択肢は広い。
i-dioのサイトには、地域限定で情報提供ができるのでお得情報も配信されます、と書かれていたが、このお得情報と言う名の広告にみんなうんざりしていることに気が付かないのだろうか?

NOTTVが事業停止した後という絶妙のタイミングで出てきて、どうも主たる事業主であるFM東京も最初から勝算なんてなかった様に感じる。
そもそもアナログ空き地はデジタル化の大義名分なので国としては有効利用しなくてはならず、NOTTVはドコモが、i-dioはFM東京が国策に協力したというようにしか見えない。

この期に及んで電波資源を放送に使うという考え方が間違っている。
まあ、これもNOTTVのようにある程度時期がたったらしめやかになくなるのだろう。

コネクテッドカーの現状と将来

2017年08月11日 | ITS
コネクテッド・カー、以前はテレマティクスと呼ばれていたものだが、要は車+通信のこと。テレマティクスとコネクテッドカーの間に何らか定義上の違いがあるのかは私もよくわからない。

テレマティクスに関してはかなり以前に「車業界最大のバブルになる」と書いた。実際は弾けるほどビジネスは膨らまなかったからバブルとは言えないが、当時の期待感まで含めて言えばそれは正しかったと思う。多くの業界関係者が誰しも車と通信が結びつけば今までに想像もできなかったビジネスが生まれるといっていたし、それは規定路線だと言っていた。ビジネスとしての期待の大きさもITSの「11兆円」のなかの重要な位置を占めていた。

しかし、結局トヨタ(G-Book)、日産(Carwings)が力を入れたテレマティクスは結局プロフィットモデルを描くことはできなかった。
その理由としては、当時のテレマティクスができることが車内でのインフォテイメント中心であり、それは言うほど需要がなく、さらに時代と共に同乗者の携帯端末が簡単にそれに取って代わってしまったことなどから、会費を払う価値をユーザーが見いだせなかったということだ。
テレマティクスが登場してからもう10年以上が経過し、多くの叡智がその普及に取り組んできたが未だに誰もが想像もできなかった新ビジネスが現れないということは、そもそもそんなものはなかったのだ、と考えるべきだろう。

しかしそのバブルは弾けず、コネクテッド・カーと名前が変わった。ではなにが変わったのか?

楽観的な人は未だに車内インフォテイメントをいうが、実際にはもっとビジネス寄りにしかその需要はない。
確実にニーズが有るのはカーシェアリング。これは車の地位情報を常時アップロードしないと成立しないし、施錠解錠管理も通信が必要。
将来的には民泊のように個人の車を他人に貸すというエンドユーザー向けアプリケーションも考えられるが(実際に海外では存在する)、当面はBtoBの話だろう。

エンドユーザー向けに最も現実味のある話は、走行状況を保険会社に提示し、使用状況と運転の安全性評価から割引を得るということ。
これはありうる話で、テレマティクスのころからずっと言われているが今のところまだ顕在化していない。
その他、車両の状態をモニターすることによるアフターセールスビジネスチャンスとか、盗難セキュリティ関連とか細かいことは色々あるが結局キラーとなるような大きなものは今まで出現しなかったし、その状況に変化はない。

コネクテッドカーと自動運転を結びつける考え方もある。というか、おそらく自動運転車両はいずれにしてもコネクテッドでないとならない。
自動運転車は無人でも移動しないと意味がない。自分で車庫に入る、車庫から出て来る。そのためには絶対に通信機器が搭載されていないとならない。
また、自動運転車には高精度地図情報が必要だが、それは常に最新状態でなければならないことからアップデートに通信は必要となる。

しかし、それ以上にエンドユーザーにとって車+通信の意味はない。運転から開放されるのだからビジネスチャンスが拡大するという見方はあまりに楽観的だ。簡単に言えば、運転から開放されれば人は皆スマホをいじるだろう。

車がコネクテッドになるのは自動運転をみすえれば規定路線だけど、コネクテッドでエンドユーザー向けビジネスが拡大するとは思えない。これはテレマティクスの頃から基本的に変わっていないと思う。

日本は中国に負けているのか

2017年08月09日 | 中国生活
先日に引き続き。
報道やSNSで中国のトンデモな話が飛び交っている。それをもって、中国はトンデモな国だという印象を持つひとは多い。
前職の職場で単身赴任してた同僚の奥さんがまさにこれで、不潔、危険、中国人は嫌いといって3年間一回も中国に来なかった。

しかし、日本の報道が流すネタは中国のLINEやツイッター相当のSNSで拡散しているものから拾ったもので、中国でもトンデモだから拡散している。
例えていえば「日本のコンビニ店員はみな暑くなるとアイスクリームのケースで昼寝をする」と思われてしまうようなものだ。

こちらで暮らしているとわかるが、たしかに人の迷惑をしてもされても気にしない性格とか、衛生観念とか日本に比べればかなり問題があることは事実だが、日常で不快になるような場面はいうほど多くない。
前にも書いたとおり、こうしたネガティブな固定概念を持っていることで敵を過小評価し実力を見失うおそれがある。

ITやスマホをベースにした新ビジネスがどんどん現れ、消えていき、生き残るものはとんでもない成長をする。
この変化のスピードは恐ろしく早い。一年たったら別世界のようになっている。シェア自転車、外食宅配など、本当にあっという間に広まった。

以前のエントリーでは、これに対する事実認識が甘いことに危機感を表明したが、もう一つ日本の問題が有る。

この新事業へのチェレンジ精神という面ではアメリカに似ているように感じていた。
当然、新事業にチャレンジするのは若いエリート層。彼らもしくは彼らの周りの友人達は少なからずアメリカ留学をしている。
この辺にも最近の中国のスピード感ある変化の理由があるのではないか。

一方、日本の若者からはどんどん海外志向がなくなっていることは最近の種々の調査でも明らか。
その理由が、言葉が通じないし海外は危険、というのも悲しいんだけど、これには大きな危機感を持っている。
※アメリカの海外留学生数 日本人1.9万人 中国人32.9万人。人口差以上の差。しかも中国は14億人いるとはいえ日本と生活レベルが同じ(かそれ以上)人の数で言えば数億人。

もう、本当にこのまま内向きな風潮が続けば日本という島国だけのクローズな市場で生きていくしかなくなる。
お金が有るうちは良いが、いずれ人口が減り、年金や医療保険負担が重くのしかかることは間違いないのだ。

バイキン怖いのなんだかなぁ

2017年08月06日 | インチキ・疑似科学
最近ハフポストで、台所のスポンジは何をしてもカビや細菌が繁殖する、唯一の方法は一週間に一回交換することだ、というような内容の記事が掲載されていた。
ハフポスト記事

研究者が調べたことだから本当のことなんだろう。インチキや疑似科学ではない。

実際我々の周りは雑菌やカビで溢れている。小学校の頃、シャーレに寒天をいれて数秒間蓋を開け、閉めてから放置しておくと一週間でカビだらけになった。カビなんて常に空気中を漂っているのだ。細菌にしても同様。今打っているPCのキーボードも結構細菌がいるんだと思う。

スポンジに戻る。私が物心ついた頃から母はスポンジと洗剤で食器やまな板を洗っていた。どの程度の頻度で交換したかはしらないが、煮沸消毒なんかしているのは見たことがない。もう40年以上そうして台所仕事は行われてきた。
で、なにが問題だったのか。家庭料理による伝染病とか、深刻な食中毒とかが起こっていたのか。
決して皆無ではないと思うが、少なくとも社会問題となるほどのことはなかったはずだ。

最近テレビCMでバイキンきれいきれい系の石鹸やら洗剤の宣伝をよく目にする。特に小さいお子さんがいるお母さんには響く内容なんだと思う。でも我々世代が子供の頃にはそんなのあまり気にしなかった。
泥の中にはものすごい数の細菌がいる。細菌と言うのはそういうものだし、だからといって危険なものではない。O157や破傷風のような命に関わるものもあるが、本当に稀だ。O157の死亡例は焼肉屋や給食等での発生以外ほとんど報告されてない。そもそも日本では食中毒による死者は毎年10名以下なのだ。そのうち最も起こりやすいサルモネラ菌は大量に摂取しないと発病しないから家庭での常識的な衛生管理で十分防げている。

こういうことを言うと軽率である、と批判する人もいるかもしれないが、そのリスクは極めて低い。細菌にそれほど問題となるリスクが有るなら外で遊ぶときは保護服とゴム手袋が必要だろう。
台所のスポンジも同様。どんなに洗浄しても細菌はいるし、すぐに増える。でもその細菌を若干量摂取することに何の問題があるのか、ということ。

似た話にペットボトルを直飲みすると半日で細菌が繁殖する、といのがあるけど、これも以前はそれで多くの人がお腹を壊したり病気になったりしてたという話は聞かない。子供の頃遠足に水筒を持っていったが、一日中使ってたはずだ。

一旦バイキンが怖いと思い出すと徹底的にそれを排除するようになってしまう。最近とくに小さいお子さんをもつお母さんを中心にこうしたゼロリスクを追求する姿勢が強まってきてるように思えて仕方がない。豊洲の問題にしても、ゼロリスク追求のいい例だと思うが、これにしても食の安全という言葉がキーになっている。
特に小さいお子さんのいる主婦をメインユーザーにしてるワイドショー関係は、そんなの大丈夫じゃない、とは口が裂けても言えないのではないか。

まあ、関連業界にとっては嬉しい話なのだろうが。