ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

省エネ機器とマルチ商法

2007年09月29日 | 雑記
もう随分まえから雑誌やTVでは報道されてきた怪しいマルチ商法のL&Gが、いよいよ配当の未払いが表面化したようで大手マスコミも記事にし始めた。当局の介入も時間の問題だろう。

この会社の会長である波和二氏は、日本最大のマルチ商法事件といわれたAPOジャパンの代表者でもあり、この会社が販売していたのがマークIIペーパーインジェクターという怪しい燃費機器だった。APOジャパンはもう30年近く前に倒産し、波氏は逮捕されている。
その後も環状8号の第三京浜入口付近の壁に「APOは詐欺だ、気をつけろ」というようなでっかい落書きが10年近く残っていたように思う。

当時はインターネットという手段もなく、一般人がこうした情報を広く伝えようとおもえばこんな落書きしか手段がなかったのかもしれない。

そういう意味ではインターネットは社会を劇的に変えたのかもしれない。
でも、そんな現代に何で逮捕歴のある波氏が簡単に蘇り、5万人・一千億円もの被害が出てしまうのだろうか。

そもそも「投資する前にバイアスの掛かっていない情報を収集する」という気持ちがなければ、いくらインターネットがあったって意味がない。
これはデジタルデバイド以前の問題だ。

次に洗脳。L&Gの事業説明会は新宿の高級ホテルでブッフェディナー付きで行われたそうだ。

省燃費機器も同じで、驚くほど多くの消費者が洗脳されている。

「科学的にはうまく説明できないのかもしれませんが、中速トルクの増大は驚くほどで、アクセルを踏むのが怖いくらいです。私のクルマには確実に効果がありました。」なんてことになっちゃう。
(そもそもいまどきのクルマなら、町のりでアクセルをガツンと踏んだら危ないに決まっている)

科学を否定した時点で、もうだれにも説得は出来なくなっている、てのが怖いね。



首都高距離別料金 なぜ無理して導入するのか?

2007年09月25日 | 高速道路
首都高の距離別料金制度は、ETC未装着車の扱いや長距離利用者をどう納得させるか等、極めてハードルが高い-見方によっては無理筋ともいえるような内容だ。

なぜこんなに困難な施策を首都高速道路は強行する必要があるかがわからない。

広報資料にある「一部のお客様から利用料金の長短にかかわらず同じ料金であるのは不公平だ」という声が寄せられたから、という主張を真に受ける者はいないだろう。

実は民営化の時点で、首都高は資産を保有する(独)日本高速道路保有・債務返済機構との間で距離別料金制への移行を約束しているのだ。

では、何故そんな約束をしたのだろう?

首都高速は2050年までに償還するために15.9兆円の通行料を集めなければならない。で、どうやら現在の定額料金ではそれが実現できないらしいのだ。

ところが、首都高は距離別に移行しても平均料金は700円とかわらず、値上げではないとしている。

ここからは私の想定だが、以下の事情があると思う。

・距離別料金の導入で、低額区間の利用は増大するが高額区間の利用はさほど減少しない、と見ている。

・中央環状線の整備は首都高速の使い勝手を向上させる事になるだろうが、この路線開通は長距離利用を促進する。来年以降、700円以上の区間利用は現状よりも増えることになる。

・今回の料金改定はある程度の強制力をもってETCを普及させることになる。現金利用者をゼロには出来ないだろうが、料金収受員の絶対数は確実に削減できる。

はっきりいって、実質値上げでなければわざわざこんなに苦労をしてまで導入するわけがない。

そもそも高速道路の利用区間距離、特にゾーン内料金の場合は、通常の財とは異なり長短が効用の大小にリニアに関係するものではない。「利用者の不公平感」なんて言い訳はちょっとなんだかなぁ、と思う。

首都高の距離別料金制 続き

2007年09月23日 | 高速道路
今日はなんだかぼんやりしており、品物を入れたままスーパーのかごを家まで持って帰ってしまいました。

さて、先日の首都高料金に関するエントリー、特にETCの代替となる簡易無線機にかんしていくつかコメントをいただいている。

一方、首都高速道路㈱は距離別料金についてのプレスリリースを発表した。
距離別料金に関する懇談会からの提言及び意見募集の開始について
この中に「距離別料金の意見募集案」というPDFファイルがあり、その中、36ページにETCに変わる補完システムについての言及がある。

デポジット方式のETCパーソナルカード、というのは信用状況の関係でクレジットカードを作れないユーザーの救済措置であり、これはわかる。

次の、無線装置というのが問題だ。
・料金所で停止をして、電子マネーで上限額を前払いする。
・無線装置で入口・出口を把握する。
・前払い額と距離別料金の差額を電子マネーで返金する。
無線装置はETC車載器類似の装置で、簡便に自動車に装着できるものを想定している。

J氏からも指摘があり、私も2004年11月頃のエントリーで指摘しているが、これはシンガポールのEPRと同じような仕組みになるのではないか。

多分、技術的には入口でいったん停止をする必要はなく、単にETCと利便性に関して政治的に差別化を図る必要があるだけだと思う。
でも、結局のところ「ETCはこの程度のものでよかったのだ」というのが答えじゃないのか?

どうせDSRC商業利用などの発展もあまり期待できないんだから、今からでもいいから仕様を落として高速料金支払い専用の廉価バージョンをつくり、無償配布をするという選択肢だってあるのかもしれない。

省エネグッズ さらに続き

2007年09月22日 | 雑記
私が自信をもってお勧めできる省エネグッズがある。
それはこれです。

燃費マネージャー

別にこの会社のものでなくても良いし、車に標準で装備されている瞬間燃費表示モードを見ながら走行するだけでも良い。
無駄なアクセルを踏むか踏まないかで燃費なんて10%近く変わる。

で、世の中の不思議な燃費グッズはみんなこの原理なのだ。
装着したら、誰しも好燃費を期待する。
「低速トルクがアップし、アクセルを軽く踏むだけでぐいぐい加速する」なんていわれると、誰しもそんな運転になる。
で、結果として燃費が良くなるという訳だ。

だから価格が高いほど心理的効果が高い。
結果的に省燃費になりガソリン消費とCO2の排出が減るんだったら、まあそれはそれでいいのかもしれないけどね。

首都高速の距離別料金制

2007年09月21日 | 高速道路
今朝の日経新聞に、首都高速の距離別料金制の計画詳細が載っていた
最低400円(3キロ未満)、最高1200円(32.5キロ以上)で、10キロ~19キロの間は一律700円とするというような内容。

5月22日付けエントリーで予言したように、ETC未装着車には一律最高料金を課すらしい。本当にこれが受け入れられるのだろうか。

たとえば東名高速から都内にやってくる車でETC未装着車の場合、渋谷や六本木に行くだけで1200円取られるとしたら普通は国道246へ迂回するだろう。
こうした渋滞はどの程度予測されているのだろうか。

また、距離別料金というが、首都高は道路の都合で長距離を走らざる得ない区間が結構ある。
たとえば都心環状線外回りから上野線に入れない。呉服橋から上野まで、直線距離で4km程度が首都高では19キロになる。

また、中央道から東名に乗り継ぐ場合、高井戸インターから用賀インターの直線距離は6キロ程度だが、首都高では28キロになる。誰も28キロ走りたくて走っているわけではない。距離別料金になれば、誰も首都高を使わなくなり環状8号線の渋滞はますます酷くなるだろう。

短い距離でも700円というのはおかしい、と誰もが思っているし、だから使われない。それに対して利用者を増加させるために値下げをするのは、普通の企業活動だろう。
しかし、「不公平感の是正」のため「一定距離以上を値上げ」するという論法に理解を得られるのだろうか?
そもそも、長距離を700円で通行しているユーザーがいることに対して、一体だれが不公平感をもっているのだろうか?

もうひとつ、本当にびっくりしたのは以下の記載。
「ETCを搭載していないユーザーには、簡易無線機をコンビニなどで販売することも検討する」

こんな話が通用するんなら、ETCなんて最初から全部そうすりゃよかったんじゃないか。

省エネグッズ 続き

2007年09月20日 | 雑記
省燃費グッズということで。

知名度や人気からいえば次はSEVでしょう。

なお、SEVは一般に燃費向上商品として認識されているが、公式サイトでは「トルクアップ」などの表現はあるが、何故か燃費向上は殆ど謳われていない。

さて、公式サイトには、「なぜ効くの?どんな効果?SEVの性能について分かりやすく解説します」というコーナーがあるが、そこでの記載(抜粋)は以下の通り。

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SEVはひとことで説明すると「物質を活性化させる装置」です。SEVによる活性化とは、その物質が本来持っている性能を引き出すこと。つまりSEVが発生するエネルギーが、対象となる物質そのものに働きかけ、その物質が持っている本来の性能を引き出させるというのがSEVの基本原理なのです。SEVではこの一連の現象を「SEV化」と呼んでいます。

たとえば、自動車にSEVを装着するとさまざまなロスを軽減させ、パワーやトルクアップにつながり、静かで安定性のある走りを可能にします。

SEV最大の特長は、「貼るだけ」でしかも「すぐに」効果が得られるということです。自動車やスポーツ、日常生活に至るさまざまなシーン、そして人の身体にまで、SEVは対象物に一切の加工をすることなく、ただ貼る・巻く・置く・身につけるだけでいいのです。
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あまり分かりやすい説明とも思えない。ってか、どちらかといえば神秘の力、っていう感じだが。

この商品の特徴は、ヒューエルライン用、ラジエータ用、サスペンション用、シリンダヘッド用、ホイール用、フロアー用と色々な製品が存在し、パワーアップ、サスペンションの性能アップ、静粛性アップなどまるで万能薬のようになんにでも効いてしまうということと、値段がかなり高いということ。

値段の高さが効き目のキーポイントかな?

省エネグッズ

2007年09月19日 | 雑記
フランクフルトモーターショー(IAA)に行ってきた人の話によれば、ことしのIAAは環境一色だったとのこと。フランクフルト空港にはレクサスがハイブリッドモデルを10台ほど並べ、会場では各社が自慢の省エネモデルや燃料電池試作車を披露していたようだ。

国内でも省燃費に関する意識が高まっている。これは必ずしも環境問題ということではなく、むしろガソリン代の高騰という現実的な要因も大きいと思われるが、高速道路での巡航速度が省エネ上最適な90キロ程度に落ちてきている、という話もある。

そんな中、およそ科学的とはいえないような省エネ用品が色々と話題になっている。

何回かに分けてそれらの商品とそのメーカーが公表している原理、効能について紹介してみたい。あえて批評はしないのであしからず。

ということで第一回は「カーアップEX
(山ほどこの商品を紹介するサイトが表示されるが、一個につき1000円という高額のアフィリエイトプログラムがあるらしい)

バイオグラスというビー玉のような石がケースの中に入っており、ケースごと冷却水に浸水させることで燃費が向上する。なお、分解して取り出すと一切の保証が効かなくなるそうです。

以下はその原理。(同社WEBサイトより)

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バイオグラスに水滴を落とすと、水は丸く盛り上がらず、横にサーと広がります。表面張力が小さくなっている証拠です。
ではなぜ冷却水の表面張力が小さくなると燃焼効率が良くなるのでしょうか?
その理由を説明します。

・表面張力のある水は水の分子が大きなスクラムを組んでいる状態です。

・表面張力の小さい水は、水の分子のスクラムが小さい状態です。

・熱が水の中を移動していくスピードは、水分子のスクラムの小さい方がお互いの接触面は多いので、熱はそれだけ早く伝わります(熱伝導率の向上)。

・つまり、冷却水の表面張力が小さくなると、エンジンは早く冷えるのです。

・エンジンの燃焼効率をよくするには、シリンダーの中に新しい空気をより多く取り入れることが重要です。(充填効率の向上)

・シリンダーとピストンを早く冷やすことができれば、シリンダーの中にある熱せられた空気の膨張圧力は下がり、外からの空気はより多く入ります。

・つまり、冷却水の表面張力が小さければ、それだけ早くエンジンを冷やしシリンダーに新しい空気がより多く入るので、燃焼効率は良くなるのです。
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要約すると
バイオグラスというものを冷却水に入れると、冷却水の表面張力が低下する。
冷却水の表面張力が低下すると冷却水の熱伝導が向上する
冷却水の熱伝導が向上するとエンジンが早く冷える
エンジンが早く冷えると吸気温度が下がり、燃焼効率が向上する。

ということらしいです......

この商品、テレビ東京のワールドビジネスサテライト「トレンドたまご」でとりあげられたそうですが、どういう基準で選定しているのでしょうか。

Bconnect

2007年09月18日 | ITS
かなりサボってしまった。どうも世間からITSに関するネタが枯渇しつつあるようで、それなりにアンテナは張っているのだが記事になるような話がなかなかでてこない。

そんな中で10月16日のITSシンポジウムに参加することにしました。
本当は首都高速の体験走行もしたいのですが、生憎予約が一杯のようでこれは断念。

さて、FIATグループのテレマティクスであるBconnectは昨年のフランス、スペインに引き続きドイツでもそのサービスを休止することを決めた、とTRGがレポートしている。
その他にこれを裏付けるソースが見出せなかったが、BconnectのWEBSITE英語ページではWhat’s Newの欄が空白となってしまっている。

ということで、これは事実という前提で話をしよう。

BconnectはG-BOOK、CARWINGSと同様のカーメーカー運営型テレマティクス。欧州ではこのほか、ダイムラークライスラーのTELEAIDなど、大手メーカーが提供している。
Bconnect の内容は他社のテレマティクスと大きな差はなく、FIATグループ各社共通の専用ナビ「connect」装備車両に対して各種ドライブ情報をオペレータ経由で提供するというもの。
「connect」を装備しているクルマは一年間無料でこのサービスを受けることが出来るが、FIATがサービスを停止するとしている理由は、「有償での継続利用者が少ない」からとのこと。

わが国でもG-BOOKは無料プランを追加、CARWINGSも3年無料であり、テレマティクスがプロフィットモデルとしては成立しないということがグローバルに証明されつつあるように思う。

「目的地も決めずにクルマにのり、レストラン情報やホテル情報をオペレータに聞く」というような(どちらかといえばロマンチックな?)状況が人生でどれだけあるかを考えれば、有料サービスが成立するか否かなんて誰でも判ると思うのだが。

セカンドライフなど

2007年09月02日 | 雑記
しばらくぶりのエントリーになってしまった。
休暇のボルネオ(コタキナバル)はとても満足できるものであったが、マレーシアにはITS的に見るべきものはなく、とくにこのブログで報告することはない。
(じつは別の場で旅BLOGをあげていて、こちらがおろそかになってました)

帰国後も名古屋や岡山への出張がかさなり、なかなかいぞがしかった

先週は金曜に岡山から帰京。JALの最終1866便(B737-400)はJTA(日本トランスオーシャン航空)の機体で、那覇から岡山にJTA016便として飛んできて、そのままJALに乗務員付きでウェットリースされる。
客室乗務員はリゾートのように派手なブラウス、前のポケットには石垣、宮古の宣伝満載の機内誌「Coralway」が入っていて、機内に南国の香りが漂っているような感じがする。

日曜の日経に、「セカンドライフ」の可能性について未だに楽観的な記事が載っていた。
私も今年の2月にアカウントを取得して経験してみたが、二週間ほどで飽きてしまった。結局のところメインのコンテンツはアダルトとギャンブルだ。
今はギャンブルは制限されているようだが、いずれにしてもあまり面白いものだとは思わなかった。たしかにこの世界でコミュニティを作ったり友人が出来るようになればそれなりに面白いのかもしれないが、そんなのは極めてクローズドな世界で、企業が大衆を相手に経済活動をする場には到底ならないと思う。

どうもセカンドライフってのは大手広告代理店が過剰に宣伝をし、大手企業はまんまとそれに躍らせれている、というようなものなのではないか。