ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

カップヌードルのフタに意味があるのか検証してみた

2023年10月03日 | インチキ・疑似科学

カップヌードルに限らず、人はカップ麺に湯を注ぐと蓋が開かないようにとても神経質になる。
カップヌードルは従来蓋が浮かないようにフタ止めシールを付けていたが、それが地球環境に悪いということで2年前からフタ止めをWにした。

カップ麺を作る時に蓋が浮かないように何かを乗せる人はとても多いし、実際カップ麺ふた止めで検索するとシリコン等の専用商品がたくさん売られている。
日清食品もオフィシャルでフタ止めを作っている。
これは日本人に限ったことではなく、中国人はカップ麺に必ず入っているプラスチックのフォークを使って器用に蓋をとめる。

どうしても検索できなかったが、日清公式の発言で「フタをすることで温度の低下を防ぎ美味しく作れる」的なコメントを見たことがある。

しかし、私は思った。果たしてこの蓋にそんな大事な意味があるのだろうか?温度低下するのは表面だけじゃないのか?フタが開いたら不味くなる、というのは都市伝説なのではないか?
というか、所詮はカップ麺、味にそこまでのことを求める必要があるのか?

ということで検証してみた。

検証対象はこれ。「あっさりおいしい」にしたのは単に麺がすくないから。2個食べないといけない。
シーフードヌードルにしたのは単なる好み。

一つは説明通りの作り方。もう一つはフタなし。正確を期すため、湯沸かしポットで沸かしたての湯をメモリまで3回にわけ交互に注ぎ
正確に3分を図った。

出来上がり。目視での差は見当たらない。
通常食べるときのように双方とも箸でかき混ぜてから温度を測定した。

フタをしたカップヌードルは83度。

フタなしのカップヌードルは79.3度。

おお!なんと4度近い差がついた。(こちらを後から測定したから1度くらいは低く出てるかもしれない)
まあフタをするかしないかで温度が変わるのは当然の結果。
それにしても想定以上の温度差。なるほどこれだけ温度が違うのであれば、実際に味も違う可能性は高い。

フタ付きとフタ無しに記号をつけ、裏返してどちらがどちらかわからなくなるようにした。

そして、実食。どちらが美味しいか、フタ無しは実際美味しくないのか、完全なブラインドテストになっている。

その結果は・・・

「どちらが美味しい」という以前に、両者の違いは全く判らなかった。いかなる食通、神の舌を持つ人でも違いを見分けることは難しいだろう。
というか、そもそも所詮カップ麺なんだから、神の舌の人に登場してもらってごくごく微細な味の判定をすることに意味なんかない。

温度が4度違うはずだが、80度近くあると熱くて食べられないのですこし冷ましてから口に入れるわけで、結局その差もわからない。

 

結論

「カップヌードルはフタなしで作っても味は同じ。フタが少し開いてしまうことを気にする必要など全くない」


陰謀論の仕組み

2023年06月19日 | インチキ・疑似科学

世の中には陰謀論というのがあります。
一番メジャー?なのは、Qアノン。
トランプ前大統領とプーチン大統領が正義の味方、アメリカ民主党やEU、世界的大企業が悪の帝国(これを彼らはDS=ディープステートと呼んでます)。
DSは世界経済を牛耳るだけでなく、児童誘拐等の極悪な組織犯罪を行っている。
そして正義の味方が近い将来DSを一斉に逮捕し悪を一掃する。

荒唐無稽な話ですが、じっさいに2021年に彼らによるアメリカで議会議事堂襲撃事件がありました。

日本にも少なからずこの信者がいます。

彼らの主張によれば近いうちに正義の味方トランプ前大統領が「世界同時緊急放送」を流しDS一味を一斉に逮捕する、その後はDSに支配されていた金融がリセットされ全国民に6億円を配る、というようなものです。(細かいところが間違ってるかもしれませんが、どっちにしても与太話なので勘弁してください)

前置きが長かったですが、ここからが本題。

99.9%の人は全国民に6億円配る、なんて話は信じません。これを信じちゃう時点でその人がどういう人かというのはまあ、わかりますよね。
さらに、もし全国民に6億円くばったら紙幣は紙切れになっちゃう、というのも普通はわかるはずです。だってみんな6億円持ってるんだもん。インフレの仕組みとかいう難しい経済学以前の問題です。
そこが理解できないということは、かなりやばい。

つまり、彼らは極端に「簡単に騙され、しかも頭を使わない」人たちなんですね。
これって、詐欺師の絶好のターゲットですよね?

一方で、陰謀論を広めている人たち、今流でいえばインフルエンサーたちはSNSやYOUTUBEなどを使うそれなりに企画力・行動力がある人たちです。
とてもこんなおバカな話を信じる人ではありません。

つまり、彼らは詐欺師の側にいる、ということです。その証拠にインフルエンサーたちは皆再生回数による収入、サロン、本の出版、物品販売等でこれをマネタライズしています。

ひっかける話は荒唐無稽なほうが良い。彼らが集めたいのは騙しやすい人達なんです。
これは、SNS詐欺にもいえます。国際ロマンスやら巨額資金の移転など、普通の人なら絶対信じない話で釣ってそれに引っかかる「とても騙しやすい」人をターゲットにするんです。

まあ、6億円貰えるという話を信じるだけなら世の中に害はあまりないかもしれません。
問題なのは、この構図が医療関係にも存在するということです。ご存じ反ワクチンを筆頭に、反近代医療、反抗がん剤などなど。
この分野で教祖になっているは例外なく大量の本を出版しています。メールマガジンとかサロン、講演会も盛んに行い金儲けをしています。

そしてその間違った、あるいは根拠のない医療知識により実際に人命にかかわる害をもたらしています。

彼らは何かにつけて「大手製薬会社は金儲けのために人命を犠牲にしている」といううたい文句を吐きますが、それは実は当の本人なんです。

(製薬会社は膨大な開発・試験費用が掛かるので金儲けしないとやっていけません。もし製薬会社がもうからない業種になってしまったら医療は崩壊します)

とここまで書いたけど、だまされてる人はこんな長い文章読まないし、多分読んでも理解できないんだろうな。


燃費グッズ「アドパワー」他1社に措置命令

2023年02月11日 | インチキ・疑似科学

怪しい燃費グッズについては過去に何回か書いている。
2021年8月のエントリー「また出てきた燃費グッズ」

この記事では直接商品名を表示せず”直訳すれば「広告の力」”と表現したが、このたび消費者庁から措置命令がでたのでもう隠す必要はないだろう。
AdPowerだ。
『同庁が表示の根拠となる資料の提出を求めたところ、両社からデータの提出はあったが、車の状態など試験環境が同一ではなかったとして、「合理的根拠が認められない」と判断した。』
要するに提出された試験結果は製品の効果か測定誤差かが不明である、ということ。

これに対し同社は
「深くおわびし、再発防止に努めたい」とコメントした。

現在同社のHPにおける表現は「静電気抑制放電効果により、エンジンへ吸入される空気の流れを変化させます。」と変更されており、燃費や馬力が改善するという表現が削除された。
実際に効果がある商品を開発するとか、販売を中止するということではなく、表現を変えることが再発防止策らしい。

この商品、21年8月のエントリーにある通り疑似科学でおなじみのゲルマニウムを含むテープをエアクリーナーボックス内に貼ることで静電気抑制し、空気の流れを良くすることでエンジンの燃焼効率を上げる、という仕組みになっている。
東海大学で試験を行い、静電気除去による空気の流れの改善が確認された、としている。

この試験結果が製品の効果なのか測定誤差なのかは筆者は判断できない。
しかし、それ以前の問題がこの製品にはあるのだ。

それは「エアクリーナーボックス内の空気の流れを良くすることで燃焼効率が上がる」という部分。
エンジンが回るとエンジンはエアクリーナーを経由して掃除機のように勢いよく空気を吸い込む。
エアクリーナーはエンジン内に入る空気のごみをとるフィルターで、当然ながらそれ自身が空気の流れを阻害している。その阻害量(圧力損失)は静電気による空気流量阻害とはけた違いに大きい。

カーメーカーのエンジン設計はそれを計算してエンジン内に必要十分な空気が送り込まれるように吸気システムを設計する。ある程度エアクリーナーが詰まったところで性能には影響しない程度のマージンを取っていることは言うまでもない。もし空気の流れをさらに良くすれば燃費が向上するなら、カーメーカーはもっと大きな吸気ダクトやエアクリーナーをつけるだろう。

そうしないのはすでに十分な空気流入が確保されているということに他ならない。
カーメーカーが燃費改善に費やすリソース(時間、人、金)は厖大なものがあり、かつてカーメーカーにいた身としては「そんなに間抜けじゃないぜ」といいたい。

しかしこの商品、アマゾンなどの評価は結構高い。その仕組みは上記のブログエントリーに詳しく書いた。
「パワーが上がるので軽くアクセル踏んだだけで加速する」というおまじないが実際に燃費を向上させているだけなのだが、この効果があるからオカルト燃費グッズが後を絶たずに現れることになる。

最近の車にはACC=アダプティブクルーズコントロールが付いている。これはドライバーがアクセル操作をしない。
アドパワーさんが製品に自信をもっているなら是非ACC使用下での燃費比較試験を実施してほしい。


SNSと陰謀論

2021年09月05日 | インチキ・疑似科学

陰謀論ってのははしかみたいなもんで、大体中学生のころにかかり大人になると治る。
この図式が過去から連綿と続いていることはムーという雑誌が時代を超えて生き残っていることからもよくわかる。

でも、SNSの登場でちょっと様相が変わってきているように思う。

一つには、はしかが治りにくくなっているということ。
ムーを欠かさず購入していた人でも、愛好者の集会に参加するまではなかなかいかなかっただろう。
でもSNSでは簡単に仲間と繋がることができる。極端論を展開するとフォロアーが千単位で集まる。
いったんそのレベルのフォロアーがついてしまうと、仮に目が覚めても「はしかだったね」と表明することはとても難しい。
フォロワーが減ってしまう、フォロワーを裏切る、ということもあるし、仲間から罵詈雑言を浴びる可能性も高い。

最近よく見るのは、反ワクチン、反自粛勢力の人がコロナ感染してしまったケースに対する反応。
ワクチンを打たなかった千葉真一氏や、反自粛反ワクチンを明言されていた落語家の三遊亭多歌介氏のコロナ死に対する反ワクチン勢力の発言がきわめて微妙であることからも見て取れる。
何も言わずにそっと去っていったひとも多いとは思うが(そうであってほしい)。

ある方は感染して味覚障害が残ったが、本垢では「辛い物が食べられるようになった」「やっぱりただの風邪」と書いているが、わざわざ裏垢を作って正直な気持ちを書いている。

コロナは自分や近親者が感染することで目覚めることができるが、厄介なのは極右、極左的陰謀論にはまってしまった場合だ。
自分や近親者の感染という絶対的に揺るがない事実がなく、都合が悪い事柄に対しては「隠ぺい」「マスコミ操作」的な反証がいくらでもできる。
絶対的な事実である三遊亭多歌介氏に関してすら、死因に関する陰謀論がでている。

 

もう一つは、中年になってはしかにかかってしまうケースが増えていること。
とくにネットに触れていなかった人が急に始めると、リンクをたどると「真実」が次々に出てきて「目が覚めて」しまう。
いうまでもなくそうしたサイトやSNS投稿のリンクはそうした陰謀論にしかつながっていないから当たり前のことなのだが。
SNSのなかった時代にも口コミでの伝播はあったが、その情報量やスピードはけた違いだ。

およそ陰謀論は「大企業や特権階級が自らの利益のためマスコミや政治家を囲い込み、庶民(特に子供)の命を犠牲にして儲けている」というストーリーが骨子になっている。
そして、その「教祖」的な人は間違いなくたくさん本を書いていて、有料メルマガとか有料セミナーとか会員制サロンを主催している。

彼らこそ、自らの利益のためにやっているということが「真実」に「目覚めてしまった」人たちにはみえないようだ。


また出てきた燃費グッズ

2021年08月19日 | インチキ・疑似科学

燃費グッズというのは周期的に現れては消えするもののようです。
科学的に効果がない、という話が一段落するとまた忘れたころに出てくるでしょうね。

大昔の話ではAPOジャパン。これはマルチ商法で多くの被害者を出しました。
最近では平成20年に公取委が19社の商品について排除命令を出しています。

この平成20年の大規模な排除命令、あの有名な貼るだけグッズ「SEV」が入っていませんが、SEVさんの広告にはすべて「体感アップ」という言葉が使われており、馬力や燃費がアップする
とは決しておっしゃってません。

さて、もう10年以上経過してほとぼりが冷めたからなのか、最近またいろいろでてきました。
具体名あげて面倒なことになると嫌なので言いませんが、燃費グッズで検索してみてください。
特にいま評判となっているのが、英語から日本語にすると「広告の力」になる商品。
自ら「広告で売ってるよ」、と宣言してるのでしょうか?
この商品は銅板とおもわれる金属板の上におなじみゲルマニウム系の被膜がついてて、それをエアクリーナーボックス内にはりつけると静電気がきえて空気がスムーズに入る、という事のようです。
相当具体的な燃費改善効果を記載してるので、かなり自信があるのでしょう。

こうした燃費グッズはオカルト商品と呼ばれていますが、いやいや実際燃費がよくなるんです。

その仕組みを説明しましょう。
まず、この商品もそうですが、装着時にはタイヤの空気圧を調整するよう指示があります。これは必ず燃費がよくなります。
次に、たいていの燃費グッズは装着によってトルクが増大するのでアクセルの踏みすぎに注意、的なことを言います。
そういわれると、ほんのちょっとアクセルを踏んだ状態での加速が今まで以上の加速に感じるものです。皆さんもぜひ試してください。僅かなアクセル操作でも車は加速するものなのです。

で結果としてアクセル開度が小さくなるので燃費が向上する。

つまり、エンジン出力が上がったという暗示によってエコランをしてしまうのです。
エコラン=余計なアクセルを踏まない運転 の燃費向上効果は極めて高い。

世界中のカーメーカーが燃費向上でしのぎを削っています。多くのエンジン技術者と設備、莫大な予算を投入して燃費向上を日夜研究しています。
世にある燃費グッズの仕掛けはとうに研究済みか、あるいは科学的に実証する意味のない物だから研究すらされていないだけで、もし実際にそれで燃費がよくなるならとっくに車に採用されているということですね。


経皮毒の闇

2019年05月30日 | インチキ・疑似科学

もうずいぶん前のことだが、前職時代の一つ先輩が突然退職した。どちらかと言うと将来嘱望されてた人なので驚いたが、しばらくして呼び出された。
結局話しは米国系のMLM(アムウェイのような奴)の勧誘。実名出すのも何なので「新皮」としておこう。(これで分かる人はわかるでしょう)。どうやら奥様が結構成功したので夫婦で法人化して本格的にやろうということのようだった。

そこで色々説明を受けたんだけど、なぜあんなに優秀だった人がこんな事言うのか?と驚かされた。曰く、「今後電力、ガス等が自由化される。新皮もこのビジネスに参入する。上流メンバーになっておけばものすごい利益が手に入る」「これからはインターネット時代。新皮もネット販売を始める。下部会員がネット注文したものも上部会員にマージンが落ちるようになる」

私は、インターネット販売が主流になるということBtoCの方向なんだから中間マージンなんか取れなくなる方向なんじゃない?と言ったが、うやむやな答えしか返ってこなかった。

ちなみに現在の彼の動向は昔の同僚たちに聞いてもさっぱりわからない。

さて、その時の話ででてきたのは例の「羊水から石鹸の匂いがする」というやつ。これはMLM系の洗剤化粧品等を扱う人たちの常套句であり、それも知っていたので聞き流した。
この話は典型的な都市伝説で、実際の産婦人科医の証言は存在しない。(知り合いの親戚の産婦人科医が言ってた、という例のパターン)
要するに、洗髪したり体を洗ったりすると皮膚から化学成分が体内に浸透し、内臓などに貯まるいわゆる「経皮毒」という話。

経皮毒で検索するとたくさん闇が見つかる。実際Googleで「経皮毒」を検索すると真っ先に「日用洗剤に含まれる有害物質でがんなどの原因になる」と断言するコマーシャルサイトがでてくる。このような不安をあおって商売するサイトがメインだが、無邪気に信じてしまっている人たちは驚くほど多い。

皮膚を通過して体内に化学物質が浸透するということはほどんどない。化学物質を扱う時に手袋をするのは皮膚が荒れることを防ぐため。
また市販されている化粧品やトイレタリー製品にそんな危険があるわけがない。国の安全基準は相当に厳しい。

しかし、不安を煽る(商売にしてる)人たちの言うことはとても上手だ。

・成分を見てください。聞いたことがないような化学物質がたくさん書いてあります。(当然検証済みでむしろ体に良いものが入っている)
・人間が化学物質が入った石鹸を使い始めてからまだ数十年。いつ重大な病気が発症するかわかりません。(そんなこと言ったらなんでも危険)

一番狙われるのは小さいお子さんがいる女性。確かにそういう事を言われれば不安になるからこれはとても簡単な商売なのだ。
その販売促進は自然と不安を過激に煽ることになり、非常に闇が深いビジネス。「XXはがんに効く」というと薬事法違反だが「XXはがんになる」といっても違法ではない。

いずれにしても「経皮毒」は医学用語として存在しない。この言葉がでてきたら100%商売と思って間違いない。


食と健康、あまり神経質にならないほうが良い

2019年01月18日 | インチキ・疑似科学
私は基本的にあまり魚が好きではない。家内は肉食ばかりでは体に悪いといって週に2回程度は青魚を出してくるが、まあ我慢して食べている。
「スイス人は殆ど青魚なんて食べないが長寿国だ」というと、日本人は本来肉食ではない、魚食は日本人の伝統で日本人の健康には欠かせない、欧米人と比べるのはおかしいという。

一方で最近糖質制限ダイエットというのが流行していて、カミさんも米飯を控えている。
日本人が伝統的に食べてきた米を否定する健康法というのは最初の話とおおいに矛盾するのだが。
日本人が魚からタンパク質をとっていた時代の日本人はおそらく今の倍以上の量の米を食べていたはずだ。
なんと、これの理屈として「本来人間は狩猟をしていた、米食は後から入ってきた文化。炭水化物を取らないことでその原始のDNAが目を覚ます」ということを言っているサイトがあった。

狩猟生活のころはいつも食物があるわけではないので一日3食を決まった時間に食べるなんてことはできなかっただろう。DNAを目覚めさせるなら食事も不定期にしたほうが良い。もちろん青魚なんてない。というか、食生活をさかのぼることが健康につながるのであればドングリを食べればいい。

問題は、たとえば縄文人が健康で長生きだったのか、ということに尽きる。
勿論そんなことはない。さらに言えば、肉食文化が入ってきて以降日本人の体格や平均寿命は一貫して改善している。これは典型的な「昔はよかった」バイアスだろう。

食物なんて、炭水化物、タンパク質、糖質、脂質の組み合わせであり、さらにビタミン等の補助的要素が入ったり、繊維質などの形態の違いがあるだけでその素材がなんであろうと違いはない。ファーストフードの過剰摂取で肥満が進むアメリカの状況は決して良いとは言わないが、バランスが概ね取れるように考えていれば基本的に好きなものを食べればいい。

食に神経質になるのはとても危険だと思う。行きつく先に極端な食生活や有機食品・怪しい健康食品への執着になる。

偽装とうふで垣間見た食の安全信仰

2017年08月16日 | インチキ・疑似科学
最近ツイッターで偽装豆腐という言葉がちょっとバズった。
栄養管理士をされている方のブログ(アメブロ)で、イオンのオーガニック豆腐を偽装として批判し、それがYahooニュースに掲載されたから結構話が広まった。(Yahooからは現在は削除済み)
それに対して科学ジャーナリストの方がBuzzFeedでこの記事は科学的に間違いだらけでこの豆腐の添加物は全く危険はない、という指摘をされた。

偽装豆腐で検索すると、双方の主張に沿った関連記事、ブログが見つかるが、どうも「危険食品に注意しろ」的な反応が多い様に思う。

私自身は、このアメブロを書かれている内容はタイトルに偽装という言葉を使っている点でかなり問題だと思う。
オーガニック豆腐が中国産であることを問題にしているようだが、原料にはきちんと中国産と書いてある。中国産だからオーガニックなんて怪しい、というのであれば証拠を出さない限り偽装と決めつけるのは誹謗中傷だ。
そしてこの栄養管理士の女史のおっしゃることを呼んでいくと、典型的トンデモだということがわかる。
引用すると、
-------------------------
人の手間暇を極限まで省くための工程。ここに愛情は感じない。
わたしは、その食べ物の工程に愛情を感じないものは避けるようにしています。
人は愛情が必要な生き物です。その愛情という手間暇を省いている食材を口にするから、愛情の希薄な人間が出来上がるように思います。
これはフラクタル理論で、
「愛情がこめられていないものを食べるから愛情をこめられない人間になる」
「偽物を食べるから偽物になる」
「不自然なものを食べるから不自然なカラダになる(病気になる)」
逆を返せば、
「自然なものをたべれば自然なカラダになる(病気がなおる)」
「愛情のこもった食べ物をたべれば愛情のこもった人間になる」
--------------------------
まあ、フラクタル理論じゃ全然ないんだけどそれは置いといて、
要は「ありがとう」と話しかけた水を飲むと健康に良い、というような話と紙一重のことをおっしゃっている。

そして、案の定この方のブログの下の方にはお決まりの講座、教室の案内が出ている。
その記事を拝見するとどうもこの方は「牛乳は牛の飲むものだから人間が飲んだら健康に悪い」でおなじみの内海医師の影響を受けているらしい。

この手の話にころりと騙される方、主に主婦層だと思うけど、結構いらっしゃる。自然、天然=善 人工=悪。
でも、すべてが自然で手作りだった昔に比べて食中毒は減っているし国民の栄養状態も良くなっているのは厳然とした事実。
また、イオンのような大企業の衛生管理や添加物に関する安全管理は、はっきり言って個人商店や家庭の手作りとは比較にならない。
某大手食品メーカーの工場見学をしたことが有るがそれは厳重なものだし、その従業員の方は自社製品に愛情をこめている。

特に食に関することは小さいお子さんがいるお母さんの不安を煽ると非常に「よく効く」ので商売としてはおいしい。
添加物は厳しい安全基準を設けて使用されている、というような指摘は、「大企業や政府は信用できない」の一言で片付ける事ができるし、一旦不安を煽ってしまえば信者は疑うことをしない。

まさに宗教なのだ。

バイキン怖いのなんだかなぁ

2017年08月06日 | インチキ・疑似科学
最近ハフポストで、台所のスポンジは何をしてもカビや細菌が繁殖する、唯一の方法は一週間に一回交換することだ、というような内容の記事が掲載されていた。
ハフポスト記事

研究者が調べたことだから本当のことなんだろう。インチキや疑似科学ではない。

実際我々の周りは雑菌やカビで溢れている。小学校の頃、シャーレに寒天をいれて数秒間蓋を開け、閉めてから放置しておくと一週間でカビだらけになった。カビなんて常に空気中を漂っているのだ。細菌にしても同様。今打っているPCのキーボードも結構細菌がいるんだと思う。

スポンジに戻る。私が物心ついた頃から母はスポンジと洗剤で食器やまな板を洗っていた。どの程度の頻度で交換したかはしらないが、煮沸消毒なんかしているのは見たことがない。もう40年以上そうして台所仕事は行われてきた。
で、なにが問題だったのか。家庭料理による伝染病とか、深刻な食中毒とかが起こっていたのか。
決して皆無ではないと思うが、少なくとも社会問題となるほどのことはなかったはずだ。

最近テレビCMでバイキンきれいきれい系の石鹸やら洗剤の宣伝をよく目にする。特に小さいお子さんがいるお母さんには響く内容なんだと思う。でも我々世代が子供の頃にはそんなのあまり気にしなかった。
泥の中にはものすごい数の細菌がいる。細菌と言うのはそういうものだし、だからといって危険なものではない。O157や破傷風のような命に関わるものもあるが、本当に稀だ。O157の死亡例は焼肉屋や給食等での発生以外ほとんど報告されてない。そもそも日本では食中毒による死者は毎年10名以下なのだ。そのうち最も起こりやすいサルモネラ菌は大量に摂取しないと発病しないから家庭での常識的な衛生管理で十分防げている。

こういうことを言うと軽率である、と批判する人もいるかもしれないが、そのリスクは極めて低い。細菌にそれほど問題となるリスクが有るなら外で遊ぶときは保護服とゴム手袋が必要だろう。
台所のスポンジも同様。どんなに洗浄しても細菌はいるし、すぐに増える。でもその細菌を若干量摂取することに何の問題があるのか、ということ。

似た話にペットボトルを直飲みすると半日で細菌が繁殖する、といのがあるけど、これも以前はそれで多くの人がお腹を壊したり病気になったりしてたという話は聞かない。子供の頃遠足に水筒を持っていったが、一日中使ってたはずだ。

一旦バイキンが怖いと思い出すと徹底的にそれを排除するようになってしまう。最近とくに小さいお子さんをもつお母さんを中心にこうしたゼロリスクを追求する姿勢が強まってきてるように思えて仕方がない。豊洲の問題にしても、ゼロリスク追求のいい例だと思うが、これにしても食の安全という言葉がキーになっている。
特に小さいお子さんのいる主婦をメインユーザーにしてるワイドショー関係は、そんなの大丈夫じゃない、とは口が裂けても言えないのではないか。

まあ、関連業界にとっては嬉しい話なのだろうが。

プラスチック米

2017年03月12日 | インチキ・疑似科学
中国ではプラスチック米というものが作られ、それが販売/輸出され大問題になった、という話は概ね事実のように語られている。しかしこの話を最初に聞いたとき、私には疑問しかなかった。

まず、中国において米は相当に安い。高級米として知られる五常香米でも10キロで1500円程度。
ブランド米でなければ1000円買ったら重くて持って帰れない。スーパー等に出荷できないものならさらに安いだろう。
そんな商品に偽物を作るメリットがあるのか。
次に、米の形にプラスチックを成型する方法がすぐには思いつかなかった。インジェクション成型であれば手間のかかる射出口の後処理が必要だし、またバリが出ないようにするためには金型がかなり高価になる。
熱プレスで作れるとも思えない。棒状に押し出したものをカットすることでそれらしいものは簡単にできるが、見た瞬間米でないことはわかる。
また、白いものをつくるためには高いバージン材を使わなければならない。
いずれにしても生産の手間と本物の価格とのバランスから、また消費者に確実に偽物だとわかってしまうという点(商売は一発で終わってしまう)から、常識的にあり得ない話だと思っていた。

ということで、この話は相当疑っていたのだが、やはりどうやら本当にプラスチック米が存在したという裏は取れてないらしい。最近ナイジェリアでプラスチック米だと騒がれた米もその後の分析で化学成分は出なかったという。またYOUTUBEで出回っているプラスチック米工場の動画はたんなるプラスチックペレット工場。

中国であるのは前出の五常香米の偽物で、これに香りを似せるために化学物質を添加するというようなことはあった(いまでもある?)が、どうやらその話からでてきた都市伝説、ということのようだ。

着物買取ってビジネスになるのか?

2017年02月20日 | インチキ・疑似科学
最近、坂上忍をつかった着物もしくは切手の買取業者のTVCMをよく見かける。
しかし、中古着物や切手にそんなに需要があるとは思えない。買取の宣伝はよく見るが、中古着物は一体どこで売っているのか?誰が買うのか?
人気タレントを使ってかなりの量のTVCMを打つ程のビジネスとはとても思えない。

そう思って検索してみると、この業者をすすめるWEBサイトが大量に見つかる。しかし、何故か「着物買取」だけをテーマにしたHPで、1ページしかない、というような不自然なものが多い。随分と用意周到なことだ。

着物と切手に共通することは、年寄りが持て余しているということだろう。

この業者は着物には二束三文の値段を付け他に貴金属はないか?というながれから金の廉価買取を強要するということで2015年に消費者庁から是正指示が出ているが、ここにきてTVCMを打っているということは何らか商売の方法を変えたのだろうか?

塗るグルコサミン??

2017年02月18日 | インチキ・疑似科学
飲むグルコサミンには全く意味がないという話は前から聞いている。
からだの中で栄養として吸収されて終わり。薄毛対策で髪の毛を飲むようなものだと言っている人がいた。
確かにそうだろう。

その話が浸透してきたからか、最近は塗るグルコサミンというのが出てきている。

それを宣伝するサイトには「飲むグルコサミンは実は効き目がない」と書かれている。
これはいいんだけど、「だから塗るほうが効くのだ」と主張している。
でも常識的に考えてグルコサミンが肌を通して患部に浸透するわけがないよね。

よく読むとどこの商品も成分の中に「ショウガエキス」というものが含まれている。
これは明らかに温熱効果がある。そして膝の痛みは温泉に入ると緩和することでも分かる通り、温熱効果があるものを塗布することで多少なりとも緩和するのは道理だ。飲むグルコサミンよりも効果が実感できる訳で、これは年寄り騙しにはもってこい。

結論 塗るグルコサミンというのは、要するにショウガエキス等による温熱効果がある塗り薬であり、コンドロイチンだかグルコサミンだかは気持ちの問題として含有しているだけ。
これに高いお金を払うなら、温熱湿布の方が遥かに良い。

チリ産のサーモンが危険というハフィントンポスト記事

2016年06月01日 | インチキ・疑似科学
Googleで「中国 養殖ウナギ」と検索すると「死体を餌にしている」というページがぞろぞろ出てくる。
これについては以前中国養殖ウナギにまつわるデマという内容で当ブログでも紹介した。
安定供給が望めない「人間の死体」なんて、いくら安く手に入ってもそれを餌にするわけがないし、そもそもウナギに食わせることを了解する遺族がいるかということを考えれば、これは昔流行った「KFCはカラスの肉」レベルの都市伝説の類であることは明白なんだけど、本気にしている人が多いのには驚いた。

似たような話で、先日ハフィントンポストが「日本のスーパーで売られているチリ産の鮭を地元の人が食べない理由」という記事を紹介したことから、「チリ サーモン」で検索してもネガティブな記事しか出てこない状態になっている。

しかし、チリ人が養殖サーモンを食べないという事実はないようだ。チリのサーモン養殖は以前バクテリアで壊滅的な打撃を受けて以来、抗生物質を多く使っていることは事実のようだが、養殖魚には多かれ少なかれ薬品は使用されている。
昔「養殖ハマチは薬漬け」という噂が広まった時には、寿司ネタは名前だけがハマチからブリに変わった。

チリ産養殖サーモンはノルウェイに続く世界第二位の30%以上のシェアを持っており、これがいうほど危険であればすでに大変な問題が世界中で起きている。

そもそも「XXは危険」「XXを食べてはいけない」という類の話を私は基本的に信用していない。ためしにXXに牛乳、チーズ、豆腐、小麦粉等何をいれて検索しても怪しい話がいくらでも出てくる。結局何も食べることができない、ということになる。

ここで面白いのは、米を入れて検索すると「アメリカでは米が危険だといってるやつがいる」みたいなのは出てくるが、日本の米が危険だという話はあまり見つからない。なぜか国産のものは安全で、危険といわれるのは(原料含め)輸入食品がやり玉に挙げられる。これは単なるバイアスだ。

こうした記事を見て、「養殖物は食べないようにしよう」「輸入物は食べないようにしよう」と思うのは勝手だが、皆がそうしたら天然資源は枯渇する。

ハフィントンポストは朝日系でそれなりに影響力があるメディアだから、この記事でチリ産サーモンの売上げはそれなりの打撃を受ける。それを生業としている人もいる。食の安全関係の話題はあっという間に拡散するものだ。

そこまでの覚悟をもって掲載しているのだろうか?

水素水

2016年05月30日 | インチキ・疑似科学
インチキ・疑似科学といえば今はなんといっても水素水。いまさら書くこともないけど、結局はアルカリイオン水が名前を変えて再デビューのようなものだと判断した。
とはいえいい加減なことは書けないなと思って水素水もしくはアルカリイオン水とは何なのか色々検索したけど、まあ難しくてよく理解できない。
私が理解できないものを高齢のご婦人が理解出来るわけがないので、要はこの手のものの理屈なんて何でも良い、って事。むしろ難しいこといってケムに巻くほうがいいのかもしれない。
多分「錆びることを酸化っていいます、人間の体も同じで酸が貯まると錆びます、それを中和するのです」位の説明で納得させているんだろう。

知られざる醤油の危険性

2015年10月17日 | インチキ・疑似科学
日本人が大好きなラーメンやそばには醤油という調味料が使われているのをご存知だろうか?
寿司を食べるときにつけたりもするのでご存じの方もあると思うが、殆どの日本人が知らず知らずのうちの毎日摂取している。
ところが、この醤油という調味料はわずかコップ一杯で大人が死亡することもある非常に危険な物質なのだ。大人でコップ一杯ということは幼児などはよほど気をつけなければならない。

しかし、厚生労働省などは「少量であれば人体への影響はない」などと言ってこの有害物質を一向に規制しない。コップ一杯で死亡する劇薬にちかい調味料がラーメン一人前に大さじ2-3杯程度は含まれている。少量だから良いという理屈が通用するわけがない。

そもそもこの醤油という調味料は自然界に存在せず、人工的に作られたものだ。大豆等に人為的に菌を付着させカビを発生させてから微生物を介在させるという複雑な製法により大企業で大量生産されている。そもそもこうした大量生産が始まったのは明治以降で、決して長い歴史を持っているわけではなく現時点で深刻な健康被害が出てないからといって将来何が起こるかは誰にもわからない。

キッコーマンという会社はまるで化学工場のような大工場で醤油を生産する大手であるが、驚くべきことにこの会社は2013年、安倍総理が海外視察にでかけた際に同行し更には430万円もの寄付をしているのだ。現安倍政権下にある厚生労働省が醤油を規制しない理由もこの辺にある可能性が高い。

さらに、このキッコーマンという会社は新聞・テレビに相当量の宣伝を出しているためか、マスコミも醤油の危険性をまったく報道しない。

政府もマスコミも、自身の利益のためにコップ一杯で死に至る危険な調味料が日常使われていることを見て見ぬふりをしているのだ。政府もマスコミも信用出来ないのであれば、自分の命は自分で守るしかない。

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・・・食の安全なんて、大抵はこんなはなしです。