ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

ETCの登録型利用照会サービス

2012年02月17日 | ITS
NEXCO系3社と首都・阪神高速が共同で提供する高速道路のETC利用照会サービスに1月24日から「登録型サービス」が追加され、過去15ヶ月の履歴が参照できるようになった。
早速登録をしたのだが、なぜ登録時にETC車載器の車載器番号を入力する必要があるのか?
会社のクルマで使っていて使用履歴を出したい人なんか、車載器番号を調べるのは大変だろう。

ETCカードの番号だけで照会登録ができない理由がわからない。車載器番号なんて絶対に家の中に控えはない。

結局寒い中、駐車場まで調べに行く事になった。
これは役所的な過剰セキュリティに感じる。

それはそうと、私が登録をした理由はマイレージ。

マイレージサービスは、2月末までの利用分が3月に計上される。また、過去のポイントは2年後の3月末に失効する。1000ポイントたまると8000円還元されるので、2月末までの利用が鍵となる。
しかし、マイレージサービスのホームページでは、2ヶ月前の実績までしか表示されない。

12月末までに884ポイント溜まっていて、さらに正月に山梨まで行った私は、はたして今月末までに何ポイントを使うと1000ポイントになるかをきちんと知りたかったのだ。

結果としては、1月に使用した高速道路金額は分かった。しかし獲得マイレージは表示されない。
50円1ポイントが原則なのでおおよそ想像はつくが、対象外の首都高速も含まれるので正確なところはわからない。
100円1ポイントだったりする道路もある。多分、あと数百円つかうと1000ポイントになるんだと思うが。

なぜこの履歴照会サービスとマイレージのサービスを統合しないのだろう。
利用者の利便を真剣に考えているようにはあまり思えない。



ITSスポット対応カーナビ&車載器モニターキャンペーンの実情

2012年02月12日 | ITS
以前、概要について書いたVICSの道路交通情報通信システムセンターによるITSスポット対応カーナビ&車載器のモニターキャンペーンと称した普及インセンティブが、かなり寒い状況らしい。

2万円の助成が受けられるということで12月から2月末まで、1万5千台を上限として実施されているが、12月、1月の実績はわずか1500台。上限に達する可能性はまったくなさそうだ。

道路交通情報通信システムセンターの見解では、あまりキャンペーンが認知されていないことと、運用が複雑だったことが反省点だという。
このキャンペーン、WEBサイトにもあるが「モニター調査実施店舗」で購入し、セットアップしないと適用されないという。ITS車載器はセットアップ店に登録していないお店ではセットアップできず、(それはETCセットアップとはまた別物)その他店舗で購入し、セットアップ店に持ち込んでも、モニター助成の対象外になってしまうのだ。

まあ、それ以上に認知されていないのも当然で、ほとんど広報活動といえるものは行われていない。

2万円x1万5千台=3億円(+運営費用)という、結構な予算を組んだ割にはお粗末なのではないか。申し込みがなければ助成金はセーブできるけどね。

広報が不十分でも、それが本当にお得で魅力的であれば口コミで広まる。
お金をつけても目標にはるかに達しない、ということが何を意味するか、自明だろう。

スマホがカーナビを駆逐する日は来るか

2012年02月11日 | ITS
この話は前にも書いているが、現在の状況をまとめてみよう。

すでに、スマホ自体がアプリ導入で通信機能付きカーナビになってる。
小さい画面を運転中も操作できることから、公式には「助手席ナビ」のような言い方や各種ディスクレーマーで、運転中操作による事故は自己責任というになっている。
しかし、そうは言っても一人で使う人は多いが、実際に運転中の使い勝手は専用カーナビには全くかなわない。
さらに、機能や正確性などもまだまだカーナビが要らなくなる、というレベルにはない。

その中で、ソースを忘れてしまったが、あるIT系の記事が面白い事を書いていた。
1995年にデジタルカメラが出現したが、35万画素のそのクオリティは銀塩フィルムとは比べ物にならず、業界の多くがこれは写真に取って代わるものではない、と判断した。その後15年で何が起きたかは御存知の通り。
フィルムの巨人イーストマンコダックは、それなりにデジタルへのシフト(そもそも発明者でもある)をするが、結果、今年に入り破産申請をしている。

あんなものは敵ではない、とたかをくくっていると、相手の技術革新のスピードが早いため、気がついたときには完全に逆転される可能性がある、ということなのだ。

そうした危機感の中、カーナビ、カーメーカー各社は、車載モニターとスマホの連動を模索し始めた。

スマホの小さい画面をそのまま運転中に操作・凝視することは問題であり、使い勝手も悪い。(これは本当に危険なので、おそらく行政側からも規制がかかる。)

車載器側で唯一残された勝機は、大画面とクルマとのインターフェースなのだ。

パイオニアはすでにタッチパネルを備え、appleのアプリに対応するAppRadioという商品をアメリカで投入し、今後アンドロイド対応や他地域展開を視野に入れいている。おそらく、他のメーカーも含め国内市場にも今年同様の商品が投入されるだろう。

そんなものは、世界一高性能な日本のカーナビに慣れ親しんだ消費者には受け入れらない、という事をいう人もいるが、同じ話をiPhoneの発売の時にさんざん聞いた。

とはいえ、日本の特殊性はある。
まず、大抵の場合1台保有で家族共有ということ。つまり、全員スマホユーザーでないと成立しない。
あとは、道が狭く街路が込み入っているということ。ワンブロックが小さく、ビル・家屋でGSPが受かりにくい都市部では車速センサーがないと正確なナビゲーションはできない。

まあ、こうしたことも含めて今年様々な商品が出てくるだろう。まだ今年の逆転はないだろうが、5年後には様変わりしていると思ったほうがいい。

日本の家電はもの作りで負けたのか?

2012年02月04日 | 雑記
産経新聞はソニーの凋落に関し、「原点であるモノ作りの力を取り戻すことが不可欠だ」と言っている。
記事「あせたSONYもの作りの原点を取り戻せ

本当かな?

この記事で参照されているiPhoneだって、もの作りの力で負けているとは思えない。アップルは生産をEMCに出しているし、デザイン、妥協をしないレイアウトと言った面ではアップルはもの作りにこだわっているが、産経新聞がいうトリニトロンのような傑出した技術で市場を席巻したわけではない。
むしろ、iTunesと直営ストアによる顧客囲い込みや、優れたオーナーシップ経験の提供がヒットの要因だと思う。

SONYだって、ウォークマンやPSをキーにこうしたビジネスモデルの構築にはトライしている。しかし、そのビジネス全体、というか最近の言い方で言えばエコシステム全体を見渡して、こだわりを持ってマネージメントする体制がなかった。簡単にいえば、ジョブスがいなかった。

シャープやパナもそれぞれの問題があるのだろうが、絶対にいえるのは「もの作りをないがしろにしたから」ではなく、デザインの一貫性やカスタマーエクスペリエンスなどを含めた「こと作り」を徹底的にしなかったことが敗因だと思う。

トヨタはKDDIと、Wi-Fiを活用した次世代テレマティクス向けアクセスネットワーク構築

2012年02月04日 | ITS
トヨタはKDDIと、Wi-Fiを活用した次世代テレマティクス向けアクセスネットワーク構築に向けた協業について合意した。ディーラーに配備するEV/PHV向けの充電ステーションにKDDIがWiFiアクセスポイントを設置する。
今年度末までに1500台を展開するという。
トヨタ報道発表1月30日

今のところは、WiFiを搭載したナビはない(多分)だろうから、対象はスマホ、タブレットやモバイルPCという事になる。充電の時間つぶしに車内で使うという選択肢はあり、ユーザーサービスとしては優れている。

しかし、それより気になることは、「トヨタは将来、トヨタ車に順次Wi-Fi機器を搭載する方針であり」というところ。
これにはいろいろな意味がある。WiMAXのような広域を想定して、車載器に走行中も使える通信環境を整備するのか、あるいはこうしたWiFiスポットでの利用を想定しているのか?
(自宅の車庫なら、自宅の無線LANが使えるし、これはありだと思っている)
それともスマホなどとの接続を考えているのか?

WiFiスポットでの使用ということであれば、ガソリンスタンドやコンビニの駐車場にWiFiスポットを設置することで集客などに使える可能性もあり、路側事業者との協業もありうる。
なぜなら、WiFiスポットの設置にかかる費用は極めて小さいからだ。

そうなると、高速道路のSAや道の駅に設置が進むDSRCスポットはどうなるのだろうか?
他社や市販がトヨタに追従し、車載器にWiFiが搭載が進めば、路面施設で使えるWiFiスポットが増える。そうなったらDSRCがスタンダードになる可能性はほとんど無くなる。
むしろ、SAや道の駅にもWiFiスポットをつくれ、という事になり、今設置しているDSRCスポットは朽ち果てることになりそうな予感がする。