ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

中国の自動車IQS調査結果

2014年11月04日 | 上海生活
中国で販売されている車に関するJDパワー社のIQS(初期品質調査)調査結果が発表された。詳細はレポート購入が必要だが,同社が無料で公開している情報によれば,海外ブランド(現地生産)と中国ブランドの差は年々縮まっているとのこと。グラフはJDパワー社公表のもの。(IQSは点数が少ないほど好成績)

この状況から,中国ブランドの品質が海外ブランドと同等になる日は近い,と見るべきだ。
そしてそれは日韓ブランドに対して大きな脅威となる。

日本では欧州フォード,オペルといった他国で結構一般的な車が全くうれていない。買う理由がないからだ。
性能や品質では世界一の日本車があるなかで,ブランド価値があまりない外車を買う理由はない。

同様に中国においても日本車にはたいしたブランド価値はない。持っていても威張れない。この見栄っ張りという中国人のメンタリティーは日本人をはるかに凌ぐ。

でも,プレミアムブランドには手が届かないがやはり性能や品質で選べば日本車や韓国車,という,どちらかと言うと理性的な客筋を相手に我々は商売をしてきた。

だから中国産ブランドの品質が向上してくれば,日本車や韓国車の出る幕はなくなってしまう。スマートフォンが小米とiPhoneしか売れないのと同じになる可能性があるのだ。

多分,いくら国産ブランドの品質が向上してもユーザー認知の拡大には時間がかかる。何らかのブレイクスルーとなる新型車もしくは新ブランドが出てこなければ状況がドラスティックに変わるということはないだろう。
しかし,国産ブランドのヒット商品はいずれ必ず出てくる。

繰り返し書いているが,日本では中国製のトンデモコピー商品や劣悪品質管理の話題でもちきりだが,品質向上の努力をしている企業は日増しに力をつけてるという事実を見逃してはいけない。

SONY モバイル事業の不振

2014年11月02日 | モバイル・ウエアラブル
確か、日銀の副総裁だかだれだったかが、「日本の家電業界を苦しめているのは円高だ」といっていたような記憶がある。
で、めでたく円安になったが、何故かSONYは浮上しない。

まあ、そんなのは当然の話で、すでに殆ど海外生産なんだから、円安はむしろ収益悪化につながる。この先安定的に1ドル120円を越える円安が続くのであれば、製造業は日本に戻ってくるだろうが、それは何年も先の話だし、それ以前にそんなリスクをとって日本での生産を再開するという企業も多くないと思うのだが。

それはそれとして、SONYはモバイル事業が足を大きく足を引っ張り赤字化した、と発表した。
その理由は中国での失敗。中国専用品等、大きな投資をしたが、苦戦したという。で、その理由は中国製品の台頭、という説明だ。
ここでいう中国製品は、シャオミーとファーウェイだろう。特にシャオミー(小米)は創業4年程度で世界ナンバー4の台数を販売した。

結果、SONYは中国市場は諦め、かつローエンド製品はやめてハイエンドに絞った商品展開をするという。

このニュースをみて、多くの日本人は「中国の安物に負けた」「安物中心マーケットで価格競争に巻き込まれで利益が出なかった」ということが失敗の理由だと思うだろう。
しかし実際中国で市場を見ているとちょっと違うという気がする。

確かに小米は安いが、SONYも十分安い。5インチ、クアッドコア、1200万画素カメラ付きスマホで比べても、価格は大差ない。
しかし、販売量は10倍以上の差が付いている。つまり、中国の消費者は価格が同じくらいであってもSONYでなく小米を選んでいるのだ。

これは何故なのか。
まず、中国ではXperiaのブランドイメージは高くない。持っていて優越感を感じる商品ではない。これは、1000元程度の中国専用商品を出してしまったことが逆に災いしたのかもしれない。一方、小米はユニクロ的なブランド位置を獲得している。
次に、小米にしてもファーウェイにしても、アンドロイドベースのカスタマイズOSで使い勝手を向上させている。また、中国市場独特のネットサービスを行っている。こうしたことも影響しているのかもしれない。

勿論、XperiaZ3のようなフラッグシップは価格も小米より高く、そこそこの台数は出ているが、こちらはiPhoneとの比較という見方では惨敗だ。

中国では、極端な言い方をすれば「小米とiPhoneしか売れてない」。中国はSIMフリーなので、端末価格は高い。iPhoneは8-9万円する。しかし、めちゃくちゃ売れている。
ここに手が届かない人たちは今まで中国製の安いけどそれなりのスマホで我慢していたが、小米のようなユニクロ的商品が出てきて爆発的に売れた、と見るべきだろう。
SONYはそのどちらもになれなかった、ということ。

で、問題はこれからだろう。
中国を捨てるのは良い。世界最大の市場だが、もうこれから巻き返しはできないだろう。
でも、その他の市場でハイエンドで勝負するって、これはどうなの?
誰もが、(多分SONYの中の人も)、ハイエンドではiPhoneには勝てないと思っているんじゃないの?