ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

ITS世界会議 朝日新聞の記事に関して

2004年10月21日 | ITS
昨日のITS世界会議は台風による影響で中止となり、大変だったようだ。
さて、朝日の記事にまたまた天文学的な経済効果が記載されている。
その辺に水をさしたくてこのブログをやっている訳だけど、一度公表された物ってのは勝手に一人歩きをしていくものだ。

朝日新聞東海版から

「18日から名古屋市で開催されるITS(高度道路交通システム)世界会議を舞台に、自動車、電機、通信各社が先端技術を競い、新たなビジネス需要を掘り起こす。安全装備や双方向の情報提供サービスなどITSの経済波及効果は累計108兆円にのぼる、との試算もある。」

日本の車の台数は7500万台程度。(軽、トラックバスを含む)108兆円っていえば一台あたり140万円を超す金額だ。車自体の市場規模にも近い数値である。ちょっと常識で考えればそんな事はあり得ない事くらい、すぐ分かると思うのだが。

『「高齢化が進み、車の購入時に『安全』を重視する客が増える」と大手自動車幹部。自動車各社は、ITS世界会議で安全運転の支援技術を競い合う。』

一般紙らしい見方だが、これはたしかに事実だろう。安全装備のハイテク化はこれからの自動車業界の勝ち負けすら左右する課題だ。
しかしそれと通信とは別の話であり、通信によって広がるビジネスチャンスがとんでもなく誇張されているのが問題だ。

「電機業界もネット家電を売り込むチャンスと意気込む。
松下電器産業グループは、家庭にあるインターネットと接続されたネット家電と車をつなぎ、車の中からエアコンで室温の調整や家の門灯の点灯などを遠隔操作するシステムなどを展示。08年の実用化を想定している。」

海外にはホームリンクというこれに似たサービスがあるが、主目的は電動ガレージの開閉やセキュリティーである。そのおまけでその他の家電が制御できる。日本ではさほど必要なサービスではない。

「だが、課題も少なくない。ITSで車が外部と情報をやりとりする通信手段は、携帯電話やFM多重放送のほか、ETCで使われる専用狭域通信、無線LANなど様々な方式が乱立する。元々の事業目的や所管省庁が異なり、アンテナ設置などの基盤整備や各企業の利用研究がバラバラに進んでいる。-略- 官民が足並みをそろえてどれだけ基盤づくりを効率的に進められるかがITS普及拡大のカギを握る。」

それもそうだけど、インターネットや通信ありきという考え方で無理やりビジネスチャンスをでっち上げている事の方がはるかに大きな問題だと思う。
すべての車をネットでつなぐ事の消費者にとってのベネフィットをきちんと整理するのが先だろう。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿