ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

IT政策パッケージ2005

2005年02月28日 | ITS
26日に政府からIT政策パッケージ2005が発表された。

このうち、ITSに関係する事項は4-(2)-1)にまとめられている。

まず、第一に運転支援システムの推進を掲げている。
これはその通りだと思う。しかし最も実現性の高いスタンドアローン車載器(レーダー、カメラの応用)よりも、車間及び路車間通信等の通信技術を活用した運転支援システムに言及している点は、どうかと思う。
産学官が連携して2005年中に実証実験をするそうだが、全てのクルマが通信を装備するという前提をもう一度見直して欲しい。

次に、これは驚いてしまったのだが、DSRCサービスをまだ諦めていないことだ。
「狭域通信(DSRC)システムを利用した駐車場やガソリンスタンド等における料金決済など多様なITSサービスの早期実現に向け、2005年度中に、官民連携の下、基本的なサービスメニューの策定等の検討を行うとともに、共同研究を推進し規格・仕様を策定する。」
とあるが、今までこのブログで繰り返し批判しているようにこれらは極めて実現性が低いし、いくら考えてもさほどITS政策のなかで重要なサービスだとは思えない。
ここまでこだわるのは、何か裏があるのではないのか。

そして、プローブカー構想である。しかし、
「VICS車載機を活用した自動車からの情報(プローブ情報)の収集等」
とあるが、VICS車載器に発信機能を付与するという計画でもあるのだろうか?

LIVEDOOR騒動で思うこと

2005年02月27日 | ITS
まあ、いまさらこんな語り尽くされた話題を取り上げるのもどうかと思うが、感じることを書いてみる。

元々、LIVEDOOR自体、たいしたこと無いポータルサイトだ。買収前の会社が無料プロバイダーをやっていたことから会員数が確保できていたことと、ブログに関して先行したことで現在のポジションを得ているが、ポータルサイトとしての評価という意味でははとてもこの先YAHOOやGOOGLEと戦って生き残れるものでは無い。

堀江さん自身、そんなことは百も承知なのだろう。
その上での生き残り策として、メディア買収を進めているのだ。
しかし、メディアを買収してどういったビジネスモデルを構築するのかが見えてこない。
もしかしたら堀江さん自身、それは走りながら考えようとしているのではないか?
でも、やっぱり全然無理だと思う。

今の騒動は、フジテレビとライブドアの戦いのように見られているが、ライブドアはどっちにしても勝てないとおもう。
放送とインターネットを融合させ、利益を出していくためには相当の知恵と経営力が必要だ。
肝心のポータルサイトすら、どこかの物まね程度の物しか提供できないライブドアには悪いがとてもそんな経営資源は無いだろう。買収に勝っても、その後フジテレビと共倒れになる。

そもそも私は放送と通信、テレビとインターネットは融和しないと思っている。
その理由はいろいろあるが、一番大きな理由はメディアとしての性質である。
テレビという物は結局お茶の間メディアで、インターネットは個室メディアなのだ。
消費者は無意識にでも、この二つを別物だと考えているし、融合の必要性なんて全く考えていない。パソコンでTVを見る、というのはありだけど茶の間にインターネットを持ち込むという考え方は受け入れられない。
その証拠にTVパソコンは離陸したけど、インターネットTVは未だかつて売れたためしがない。

TVメディアとインターネットという2大市場の融合には大きなビジネスチャンスがあると考えるのは、自動車とインターネットの融合に大きなビジネスチャンスがあると考えるのと似ている。
ユビキタスという言葉に幻惑されてしまっている人たちは、どこでもネットにつながる社会を提唱するが、「つながる理由があるとき以外つながる必要はない」という当たり前のことが消費者のニーズだ。
必要十分なモビリティが携帯で提供されている以上、茶の間でTVを見ているときとか、運転をしているときに、どうしてもネットにつながりたいなんて思わない。

ITSでもそうだが、「クルマがネットにつながるのは既定路線。問題は魅力あるサービスが提供できるか否かだ」という論調がある。そして、魅力あるサービスは10年探してもまだ見つからない。
何でもっと素直に、「そんな市場はないのだ」、と考えることができないのだろう。

「ユビキタス化による未来の車社会」フォーラム

2005年02月25日 | ITS
知らなかったが、22日に日経新聞の後援で「ユビキタス化による未来の車社会」なるフォーラムがあったようだ。

講演をしたのはソフィアバンク代表田坂広志氏、モバイルキャスト 赤池社長。それにインターネットITS協議会・トヨタ・NTTドコモ・経済省によるプレゼンテーション。

田坂氏
究極のサービスはコンシェルジュサービスで、車も「コンシェルジュ・カー」へ進化する
ナビは「カー・ナビ」から「ライフスタイル・ナビ」へ進化する。とのこと。
  ・うーん、クルマにそこまでするニーズってあるのかなぁ。

モバイルキャスト 赤池社長
モバイルキャストは、カーメーカーに属さないサードパーティーテレマティクスを目指している会社だが、アウディジャパン以外にはビジネス拡大が見込めないようで、最近は車載ブルートゥースハンズフリー機器の販売会社になったようだ。そんな内容の講演。

主催者側プレゼン

2010年頃には7000万台の車がネットワーク対応可能となり、プローブ情報サービスのような新しいビジネスが始まる、とのこと。
  ・2010年に7000万台がネットワークにつながるなんて、絶対あり得ない。
  ・プローブ情報サービスがビジネスモデルに乗るかどうかは極めて不透明。

多分この講演と21日の日経新聞の記事は関係があるのだろう。

後席エンターテイメント

2005年02月25日 | ITS
スマートフォンが何故日本ではあまり普及しないか、ということで思い出したが、この他にも何故か日本では普及しない物は多い。

後席エンターテイメント(リヤシートエンターテイメント:RSE)というジャンルの自動車用コンポーネントがある。後席乗員に対して映像を提供するシステムで、最も一般的なタイプは天井の中央付近にフリップダウン式の液晶画面を設置し、別体もしくは組み込みでDVDプレーヤーを持つタイプだ。
パイオニアの例

音声は通常FMで飛ばし、車両のスピーカーへFMで割り込むか、スタンドアロンでワイヤレスヘッドフォンを使う。

こうしたシステムは、アメリカではとても一般的で、欧州でも最近装着率が高くなっている。面白いのは中国やタイ、フィリピンなどで、海賊版のDVDやVCDが格安で手にはいるため需要が高く、SUV,ミニバンユーザーの装着率は非常に高い。

ところが、何故か日本ではブレイクしないのだ。
大概のSUV,ミニバンには工場装着のRSEがある。スバルがレガシー(フォレスター?)の特別仕様車ではこれを売り物に宣伝中である。しかし、他の国の状況とは全く異なるのだ。

例えば、アフターマーケットのフリップダウン式商品は海外サイトではインターネット通販で大量に発見出来る。しかも安い。ところが日本ではどこで売っているか探すのに苦労するような状況である。

これは何故なのだろう。一時期ほどのブームではないが、依然としてミニバンはファミリーユーザーの定番であり、渋滞の多い我が国では車内娯楽に対するニーズも高い筈だろう。

私が考えるに、ナビの早すぎた普及がその答えなのかもしれない。ナビにTV入力を設け、本来はいけないのだがそれを走行中も視聴可能にしているケースはとても多い。
当然、このモニターは後席からも見ることが出来るため、あえて更に後席モニターを設置するところまで行かないのではないか。

他の国でも、走行中にTVを映してはいけない。欧州では、ナビゲーションの導入期には地図の表示すら禁止し、矢印誘導だけにするべきだという議論もあった。北米では州によっては運転席から見えるモニターの設置自体が禁止である。
そして、日本と違うところは、こうした法規はきっちり取り締まる、ということである。

クリエの中止と702NK

2005年02月24日 | ITS
ソニーのクリエ、ついに新規開発・生産を中止。
(もうご存じとはおもうが、念のためリンクを貼っておきましょう。)

やはりPDAは携帯にその存在理由を奪われつつあるようだ。
私も携帯をボーダフォンのノキア製スマートフォン702NKに買い換えてクリエはお蔵入りとするつもりだが、そうはいっても携帯の2インチ程度の画面にはまだまだ不満がある。

世界的には、ビジネスユースではスマートフォンが勢力を伸ばしている。日本では何故か、携帯がそのままの形で進化している。機能という面だけでは、日本の携帯はすでにスマートフォンなんだろう。予測変換の進歩でキー入力にも不満が無くなっている。

しかし、それでもやはり画面が小さい。京ぽんなどで結構話題になっているようだか、あの画面でウェブブラウズって現実的なのか? 702NKもブラウザ搭載なので、来たら試してみたい。
けど、パケット代を考えたら、わざわざ出先で見る必要があるのか、これは疑問。

しかし、よく考えたら702NKはお得だ。カメラ、通信機能、ブルートゥースが搭載されたPDAで、しかも音声通話が可能。液晶は小さいが、もしPDAだったら5万円はくだらないだろう。それが店舗で買っても新規1万円以下、インターネットショップなら0円もある。
これではPDA専用機の出番はない。

しかし、702NKは通常のユーザーは絶対買わないと思う。操作が特殊だし、いかんせんスマートフォン自体の認知がまるでされていない。ボーダフォンもこの端末に対してスマートフォンという言葉は使っていない。
あくまで 「個性派モデル」 である。

経産省のプローブカー構想(つづき)

2005年02月22日 | ITS
さて、経産省のプローブカー構想についてもう少しフォローを。

うがった見方だが、国交省道路局(旧建設省)は、プローブ等、ITSにからむクルマの通信を基本的には「路車間通信」でやりたい。その理由は、道路へのインフラ投資だからである。
そこで、車載器と路側受発信器のセットで通信をするDSRC(ETCの技術)を推進するわけだ。

それに対し、経産省は傘下の財団法人「自動車走行電子技術協会」でプローブカーの実験を行っていた。これには、トヨタや慶応大学村井教授などが関係し、次世代インターネットプロトコルIPv6の実証としても位置づけられていた。そして、これが発展し、現在のインターネットITS協議会となっている。

既にホンダが確立しているように、プローブによる渋滞予測は今あるインフラである携帯通信を利用して可能だ。そして当然、この方が現実的だ。DSRCでやろうとすると、厖大な数の高価な路側機を全国に設置しなければならない。

従って、(IPv6はともかく)国が援助をして、携帯通信プローブによる渋滞予測精度を向上させる、という構想は結構な話だと思う。
逆に言えば、インターネットITS協議会から生み出すことが出来る現実的な施策はこれくらいしかないのだ。

懸念としては、既に実質無料(機器に使用料を上乗せ)のVICSに対して、有料サービスとして受け入れられるかどうかというところだ。VICSの使用料値上げなど、ユーザーにストレスのない方法でのビジネスモデル構築が必要だろう。

いずれにしても今後、この動きが省庁の壁を乗り越えて、VICSやETCと上手く連携することを祈るばかりだ。

経産省がプローブ推進?

2005年02月21日 | ITS
久しぶりに日経トップにITSがらみの記事が出た。
2月21日朝刊トップ

ITSに詳しくなければ、記事に書かれていることを100%理解できる人は少ないだろう。
要するに、車両の通信機能を利用してその車の運行状況をセンターに送信し、リアルタイムの渋滞情報を把握することでより精度の高い渋滞予測をするというもの。これをプローブカー構想と呼んでいるが、あまり一般的な名称ではないため、この記事には使われていない。

この仕組みを、経済産業省が音頭を取ってトヨタ、デンソー、NTTデータ、NEC等と共同で進めていこうというものである。

じつは、この仕組みはホンダのインターナビプレミアムクラブで既に実現されているものだ。だから、トヨタ陣営が他の動きを模索すること自体不思議ではない。
しかし、この記事を読んで首を傾げたくなったのは、国交省のVICSとの関連である。

普通に考えれば、ITSとしての渋滞情報は既に国交省のVICSシステムによって提供されており、こうしたプローブによる精度向上は当然VICSの進化のロードマップ上に位置すると思っていた。
それを、別の省庁が音頭を取って別のスキームで進めるというのか?

ITSはまた、混迷に陥りそうだ。

702NK

2005年02月18日 | ITS
ちょっと前の記事でボーダフォンの3G端末に欲しい物がないと書いたが、もう少し調べたら、実は702NKというノキアの端末はスマートフォンだった。
NOKIAでは6630。

携帯はいずれスマートフォンになり車載通信器は駆逐される、というのが持論なので、一度はスマートフォンを経験してみても良さそうだ。
未だにこの前方後円墳のようなデザインは気に入らないが、LOTUS NOTESとの連携が出来るという点もあり、結局これを購入することにした。

勤務先がNOTESを使っている関係上、シンクロの手段がとても限定させる。PALMでいろいろ工夫して連携をしていたが、これでPDAと電話機両方を持つ必要が無くなる。

NOTESだからということもあるのだろうが、私の勤務先では何故かPDAにPCのスケジュールをシンクロするという考え方が全く普及していない。
まめな人は手帳に転記しているが、スケジュールを確認すると殆どの場合、「席に戻って返事します」状態である。
うちの会社が普通じゃないのか、日本ではそんな物なのかはよく判らないが、スマートフォンが普及しないのもその辺に原因の一つがあるのだろう。

まあ、それはさておき、シンビアンOS搭載ということで、カスタマイズの自由度が公式・非公式にあるようなのだ。ブルートゥース内蔵ということもあり、車でのハンズフリーの使い勝手なども試してみたい。

しばらくはいじって楽しめそうだ。

スイカ専用改札

2005年02月17日 | ITS
JRがスイカ専用の改札を設置したらしい。まだ実験段階なのかもしれないが、何となくETC専用ゲートに似ている。
勿論、だからといって切符や磁気カード定期に比べ通過が早いわけではない。

おそらく、これはスイカの利用促進策というよりは、スイカ専用にすればメカニカルトラブルが少なくなることを狙っているのだろう。切符や磁気カード定期は機械内部を通すわけだから、当然物理的なトラブルがある。

しかし、利用者にとっては何となく割り切れない。特に私のように私鉄との連絡定期券で、スイカにしたくても出来ない利用者にとっては、仮にこれで不便を被るのなら問題である。

スイカといえば、お財布ケータイやEDYカードを含め、フェリカの普及がまだ見えてこない。
調査では、大部分の消費者はお財布ケータイ利用意向をもつ一方、実際の利用率は全く低迷している。小売店側の読みとり器設置が進んでいないことが理由だろうが、逆に言えば小売店側が積極的にそれに投資したいという所までは至っていないということでもある。
現状では直接的な収益増大効果が見えないからだ。

これだけ普及のバックグラウンドが充実してるフェリカですら、こうした状況である。
ETCサービス利用の実現は夢のまた夢だと思う。

「使えるハイウェイ」推進会議

2005年02月16日 | ITS
面白い物を発見した。
使えるハイウェイ推進会議
形の上では識者で構成する推進会議が国交省に提言している事になっているけどね。

いわく、我が国の高速道路利用率は13%で、米31%、独30%に比べ大きな開きがあると。

その理由は高いから。それ以外にないでしょ。
私も短期間だが欧州で生活した経験があるけど、もし日本並にに課金されるなら通勤は地道を使ったと思う。
中央ヨーロッパは無料だし、南ヨーロッパでは有料だけど日本とは桁が違う。
むしろ我が国民はあの料金でよく13%も利用しているな、と思う。

ところが、提言はこの肝心な(というか当たり前な)「高いから」という話がぼやけている。
ネットワークが不備だからとか利用率が上がらないとか、弾力的な課金が必要だとか。
弾力的な課金なんて、今すぐすれば良いと思う。時間帯による課金差なんで高級なことを考える前に、まずは路線区間毎に考えればいいんじゃないのか?
価格は需要によって決まるんだから、一定レベルの交通量に達しない高速道路は、達するまで安くすればいい。
それで採算がとれなくても公共インフラ投資として受け入れるべきだろう。受け入れられないのなら、作ったのが間違い。

いずれにしてもITSを活用した弾力ある料金収受システムの完成を待つ必要はないと思うし、このことがITS推進と結びつかなくてはいけない話だとは思えない。
ついでに言えばスマートICだって、ETCが無くては絶対に作れない物じゃないと思う。

G-BOOKも無料なんだ

2005年02月14日 | ITS
これもちょっと古い記事だが、2月5日付けの日刊自でトヨタのG-BOOKの入会無料キャンペーンのことが出ていた。

昨年10月から今年の3月末まで、入会事務手数料(2100円)、半年分の利用料金(8340円)、専用の通信端末DCM(30450円)も無料で提供するという内容。

G-BOOKウェブサイト

日産のCARWINGSも昨年10月から3年間の利用料無料化を打ち出しており、どちらも入会者が伸び悩んでいる実情を浮き彫りにしている。
使って、便利さを体験してもらい、その後有料会員になってもらうという戦略だが、どうなのだろう。
確かにGMのオンスターは同様の戦略で黒字化したようだが、北米と日本では車の使い方が違う。
簡単にいってしまえば、ナビがあるからテレマはいらない。

この辺は私の記事(昨年の8月末から9月半ばくらい)で詳しいので、ご興味あれば参照して下さい。

いずれにしても、一時期はやし立てられた「テレマティクスは21世紀の自動車事業を変革させる」というような状況からはほど遠い。

スマートプレート(再)

2005年02月14日 | ITS
ちょっと古新聞だけど、2月7日の日刊自動車にスマートプレート関連の記事が出ていた。

「スマートプレート 一般への啓発活動展開 国交省 サービス有用性訴え」

だそうだ。

啓発とはおこがましいが、記事内容を見る限り啓発なんて出来ないだろう。いわく
「車検証のデータや車両データを基にした車両識別方式を生かし、スマートプレートで環境や交通安全、渋滞緩和や盗難防止などに関する様々な付加価値サービスが提供可能」

具体的に何があるのか?
具体的なサービス内容を提示せず(出来ず)、「様々なサービスの可能性がある」と主張するのがITSがらみの話の最大の特徴だ。

多分、特定エリアへの入場規制やプライシングを行うことで環境、安全、渋滞を解消し、また路上読みとり機で盗難車のトラッキングもできる、という事なのだろうが、これって私は不気味な管理社会への第一歩のような気がする。
発信装置付きのIDカード携行を国民に義務づけるのと、本質的には変わらない。

そういった議論よりも、「便利だね」という世論を先行させようという作戦だろうが、どこまでうまくいくのか怪しいものだ。

それと、いつも言うことだが道路局の発表にはスマートプレートという記載は一切無く、今回もそうだが交通局の発表にはETCに対する言及は一切無い。

スマートプレート 本気?

2005年02月10日 | ITS
ちょっとアクセスが多くなったと思ったら、読売新聞でスマートプレートの記事が出たことから、検索で来訪される方が多いようだ。
しかしこの記事(06年度に試験導入・大規模な実験)が本当だとしたら、まったく国交省はなにを考えているのだろう。
ご参考 1月20日の私の記事

ETCが普及の途上にあるのに、いまさらロードプライシングを車の別の場所に装着したICチップでやるなんて、どう考えてもあり得ないと思うが、この交通局の発表(スマートプレートセミナーの案内PDF)にはETCという文字は全く出てこない。

未だに旧建設省派と旧運輸省派で反目しているのか?

スマートプレートはそれ自体、実現に山ほど問題(コスト負担、電池消耗、個人情報問題)を抱えているが、これはそれ以前の問題だよ。

国交省発表平成17年度ITS施策

2005年02月09日 | ITS
国土交通省は7日、平成17年度ITS施策の概要を発表した。
国交省ITSホームページ

2007年には、以下の新たなITSサービスを開始をする。そのために2005年2月より官民共同研究の実施、規格・仕様の策定を推進するとのこと。
基本的には、ETC車載器の機能を多様化させて、統一規格の車載器でDSRCサービスを始めるという、例の話だ。
その内容は

a)あらゆるゲートのスムーズな通過
b)場所やニーズに応じた地域ガイド
c)タイムリーな安全走行支援情報

いつもの反論であるが、高速道路の料金所以外でのゲートのスムースな通過にはさほどの消費者ニーズはないし、事業者側も売上拡大につながらないからa)はマーケットにドライブがかからず、無理。

b)もたいしたニーズはないし、公共事業としての無料情報提供ならともかく、ビジネスモデルは成立しないと思う。
走行中の表示はおそらく運転妨害で認められないだろう。
その内容に対しても、広告情報なら受信拒否だし、有料情報が成立するほどのメディアではない。

c)についてはカーブ先の事故、渋滞を手前で知らせるという奴だが、本当に危険な箇所なら点滅信号や電光掲示が先だろう。
それもしていないのに一足飛びに「通信で車載器に情報表示」というやり方が成立するのか?

なお、これについては参宮橋実験と私の過去の記事(2件目)を参照下さい。

ということで、私は2007年に「本格」サービス開始は無い、と断言する。


H"からEDGEへ

2005年02月08日 | ITS
ちょっとITSから外れるが、携帯電話関連で思うことがあった。
あくまで一人のユーザーとして感じたことで、事実は違うのかもしれない。

私はモバイル通信もするのでH”を使っているのだが、会社のシステムの変遷にともなってあまり使う機会が無くなってきている。そこで携帯への買い換えを考えているのだが、その場合は必然的に家族割引が使えるボーダフォンになる。
たまたま私に関連するこの通信キャリア2社で、いま何かが起きているように感じるのだ。

まずDDIポケット改めWillcomであるが、TVコマーシャルや交通広告で仕切りと社名をアピールしている。しかし、あの広告をみてDDIポケットの新社名だと判る人が何人いるのだろうか?
なんだか判らない広告で話題を喚起するという手法で、第2、第3弾でもう少し違った展開となるのだろうが、広告代理店に踊らせられていると感じてしまう。
そして、こっちがポイントであるが、それなりに日本では浸透していると思うH”をやめてEDGEにした。確かにEDGEも良いネーミングだとは思うが。

この話が微妙にボーダフォンにつながってくる訳で、H”から買い換えを検討すべくボーダフォンの3G新機種を調べて見たところ、驚いた。
まず日本では絶対に売れそうにもない奇妙な形のノキアやモトローラがラインナップされている。ソニエリはデザインは割と良いけど、POBOXを搭載していないらしい。
要するに、欲しい物が無い。

実際、この冬の新製品戦略の失敗もあり不振が続いていることから、社長交代が発表されたばかりである。

日本人の商品企画であれば、あのラインナップはないと思う。おそらくグローバル共通化によるコストダウンのシナジー効果云々という、本社意向が反映された商品戦略が失敗につながったんじゃないか、と想像される。

まあ、言いたいことは、外資が入って失敗する典型的な例だということ。
そして、Willcomも「正しい英語じゃないからH”をやめちゃう」というあたりに、外資が入って失敗する「兆候」を感じてしまう、といったら言い過ぎだろうか?