ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

JR西日本 オーバーランの件数(怒り)

2005年04月30日 | ITS
JR西日本は事故以来8件のオーバーランが発生し、その理由は「事故後乗務員が過度に緊張しているからではないか」と発言した。(30日日経)

冗談じゃない。
オーバーランは毎日のように発生していたが、事故までは隠蔽が日常的に行われてきた。事故後は隠す事が出来なくなり、きちんと報告されている。だから件数が急増した。
それ以外に理由はない。
こんなことは村上常務執行役員も承知しているはずだ。
こうしたことを正直に発表できない体質が、今回の事故を引き起こしているのではないのか。

大体、乗客はだれでも年に一回くらいは「停車位置を直します」を経験していると思う。特定の個人が乗車している電車は、行きと帰りに乗車するとしても、JR地域会社全運行の500分の一以下だろう。
ということは、「停車位置を直します」の発生頻度がJR地域会社全体で日に一回以上あっても全く不思議ではない。

私はオーバーランを批判しているのではない。電車では、ブレーキタイミングを間違えるとオーバーランは発生する。人間がオペレーションしている以上、過失は避けられない。
電車でGOをやったことがある人なら判るだろう。

それを過度に処罰する、だから乗務員は隠すという体質に問題があるのだ。

この一番肝心な問題をこの期に及んで隠蔽するJR西日本に怒りを感じる。

DSRC駐車場利用の課題

2005年04月29日 | ITS
繁華街にある駐車場は、たいていの場合提携の商業施設、飲食店と割引契約をしている。
駐車場の集客にとってこの仕組みは不可欠だ。

DSRCサービスが割引きに対応出来ないと、DSRC駐車場は他との差別化ができるどころか、逆にそのことにより敬遠されてしまうことになる。従ってDSRCの割引き対応は絶対条件なのだ。

ところが、これが結構難しい。
通常のクレジット機能付きETCカードのような物では、退場時に割り引き情報を伝えることが出来ない。
出口で割引券を提示し、割引き料金で処理をしてもらうことは可能かもしれないが、それじゃあ何のためのDSRCか、という事になる。

この課題を解決するためには、割引情報を読み書きする領域を持つ専用カードが必要になる。

技術的には問題はないだろう。しかし、課題は山積だ。

まず、車から降りるさいにETCカードをもって行かなければならない、ということ。チケットフリーと言いつつ、結局はチケットのような物が介在することになる。

そして、各商業施設、飲食店は専用のリーダーライターを装備する必要がある。余計な投資だ。通常の駐車場との契約に切り替える、という判断は当然でてくるだろう。

さらに、これが一番大きな課題だが、ユーザーは既に保有している高速道路用のETC機器とカードは多機能対応の物に交換しなければ、DSRCサービスは使えないということ。

多機能ICカードのハード、ソフトの仕様は全国で完全に統一しなければならず、それにはまだかなりの時間がかかると思われる。
その時点では現行の高速道路専用ETCの普及は相当に進んでしまってるだろう。駐車場サービスのために機器を買い換えるユーザーがそんなにいるとは思えない。

たかが駐車場のキャッシュレスと言うユーザーベネフィットのために、これだけの難問題の克服が出来るとは到底思えないのだが、どうだろうか。

DSRC駐車場サービス検討WGのプレゼン

2005年04月28日 | ITS
DSRC普及促進検討会のホームページに3月9日に行われたDSRC普及促進検討会総会のプレゼンテーションが掲載されている。
(とみぞぅさん情報Thanksです)

その中で「DSRC駐車場サービス検討WGの報告」に注目してみよう。

DSRC駐車場サービス導入のメリットとして以下があげられているが、本気で検証されているのが疑問だ。

■駐車場利用者のメリット
 ・入出場時の幅寄せ、窓開閉の煩わしさ排除
 ・キャッシュ、チケットレスで入出場時の時間短縮

これらは否定はしないけど、言うほどたいした手間や時間じゃないと思う。

■駐車場事業者のメリット
 ・正確な顧客管理が可能
 ・入場待ちを軽減し、効率的運営が可能
 ・他の駐車場との差別化
 ・マンション、月極駐車場の不法駐車排除
 ・情報、広告配信による新たなビジネスチャンス創出

駐車場業者が顧客管理して、何するのだろう?「最近利用されてませんが、たまには遊びに来てください」なんてDMでも送るのか?

また、普通入場待ちは満車で起きる物で、チケット受け取りで発生する物じゃない。

差別化は確かにそうだろうが、上の利用者メリットがどの程度重要かということにつきる。
チケットレスで遠い駐車場と、チケット有りで近い駐車場、あなたはどちらを使いますか?

さらに、駐車場を使うたびにいちいち広告を配信されたら大迷惑だ。

■社会的メリット
 ・駐車場入出場のバリアフリー化、高齢者、身障者の安全・快適さを実現
 ・利便性向上による利用率アップ、路上駐車減少、渋滞緩和

これはもうこじつけとしか言いようがない。
高齢者、身障者の安全性向上、特に身障者については否定はしないが、どれほどのことかと思う。

また、「チケットレスは便利だから、路上駐車をやめて駐車場に入れよう」なんて思う人がいるわけがない。そもそも駐車場がないからか、お金を払いたくないから路上駐車をするのだ。

もう一つ、割引サービス対応について課題があるようだ。これは明日以降に書こう。

皆さん、よいゴールデンウィークを!

ETC 別納カード廃止トラブル

2005年04月27日 | ITS
一部では話題になっているようだが、去る4月1日、ETC別納カードの廃止によって全国でバーに接触する事故が2000件、追突事故が2件発生したそうだ。

3月末にサービスを終了した「別納カード」の利用者で、大口延長が認められなず期限切れとなったユーザーがそれを知らずにゲートを通過しようとしたことが原因。
対策として、1日夜からバーの閉鎖を中止したが、該当ユーザーへは通常料金での請求をするらしい。

今回の事故は、別納カードという業務用のカードで起きた案件であるが、一般ユーザーが全員使用しているETC機能付きクレジットカードも、いずれ期限を過ぎると使えなくなる。ここから予想される混乱はかなり深刻だ。

通常、クレジットカードは期限が近づくと自動的に新しいものが送られてくる。
通常のカードで有れば、その場で財布のカードを入れ替えるが、ETCカードは車の中に置きっぱなしのケースも多く、ついつい忘れてしまう事は十分に考えられる。

普通に考えれば、我が国が採用したのは世界一高価なETC車載機器なんだから、期限切れカードを入れると警告がでるような仕組みになっていてもいいんじゃないのか、と思うのだが、残念ながらそうはなっていないのだ。

クレジットカードで決済すること、また期限切れならバーに接触することはどちらも最初から判っていたことで、今更問題だと騒ぐこと自体滑稽だ。

関越自動車道・三芳PAのスマートIC実験

2005年04月26日 | ITS
レスポンスに、関越自動車道・三芳PAのスマートIC社会実験の記事がでていた。

ICとはインターチェンジのことで、ETCのみ利用できる高速道路のサービスエリアに設置された簡易料金所のことである。

これも私は大いに疑問だ。もともと一般道に隣接しているサービスエリアに対して、何でここで出入りできないのか?という疑問を周辺住民は抱いていただろう。
所詮交通量はさほど多くないだろうし、限られた人数で低コストの料金所は造れるはずだ。サービスエリアの施設自体は存在するので、それを共用することで一から施設を作るよりは安いだろう。
無人で、かつ現金管理がないETCだからこそ可能だ、という主張だろうが、レスポンスの写真には係員が写っている。現金管理だって、サービスエリアでは普通におこなわれている。(運営はお得意の別法人かもしれないが)
なにも、ETCでなければ絶対に出来ないという物じゃない。

利用者ニーズを考えればとっくに実現されなければならなかった施策だ。

スマートICがETCでなければ実現できない、ということにしておけば、ETCの社会的正当性を主張できる。さらには、ETC装着者の特権としておくことで強制的な拡大をはかれる。
それが狙いであろう。どうも利用者不在を感じてしまう。

702NKまたまた

2005年04月25日 | ITS
今朝、通勤電車の周囲にいる女性3人が皆Gジャンを着ている事に気が付いた。珍しい偶然なのかな、と思い、その後駅で気にしてみてみたら、なんと若い女性の5人に一人ぐらいはGジャンを着ているではないか。単なる流行なのだ。

今も昔も若い人たちは個性がない。基本的に流行に従う。私もそうだった。
よく、「若者は個性的だ」という人がいるが、それはあくまで年寄りの基準から見たら個性的に映るだけで、いつの時代でも若者は没個性である。
だから本当の意味で個性的な商品は売れたためしがない。

ということで、ボーダフォンいわく「個性派モデル」702NKである。ここ数日ITSから離れてしまい申し訳なし。

もう良い親父なんだから、変にいじるのはやめようと思っていたのだが、NextTrainをインストールするのに結構手間取り、あれこれいじったことで逆に火がついてしまった。
全体のテーマをMacOSX風に変え、(これは秀逸)さらにはゲームボーイのエミュレータを入れ、通勤電車でゲームという、まるでティーンエイジャーのようなことをしている。ソフトを入れすぎて、標準の32MBのメモリーカードが足りなくなってきた。

画面は小さいが、一つの携帯端末でなんでも出来るというのはやはり魅力だ。

702NK近況

2005年04月22日 | ITS
702NKは今現在日本で入手できる唯一のスマートフォン(しかも安い!)ということで、一部では結構話題になっているようだ。技術評論社から本も出た。まるごと702NK
一方、DOCOMOもモトローラのシンビアン搭載本格スマートフォンM1000を6月頃には発売するらしい。
702NK同様GSM対応で、海外ローミングも可能。ブルートゥース、さらにはWiFiにも対応している。液晶の大きさでは、断然こっちの方が良いが、ソフトキーは使いにくいだろう。
(ところで、世界中でGSMが使えないのは日本だけ。なんでこんな事になってしまったのだろうか)

いよいよ我が国でもスマートフォンが一般的になってくるのだろうか。

さて、私の702NKだが、eBayでパールホワイトのガワを購入し、自分でクリア塗装を施した。
ガワは腐るほど出品されている

殆ど香港の業者で、面倒な手続きは一切無く国際郵便で2-3日で届く。

そのほかにも、本体留守録のソフトなどをインストールした。
また、CLIEで重宝していた電車時刻表ソフト「NEXT TRAIN」のシンビアンOS版も開発されている。
あと欲をいえば、世界主要都市の乗り換え案内「METRO」が欲しい。

DSRCの駐車場利用は立ち上がるか?

2005年04月21日 | ITS
DSRCのサービス利用について、実現性は極めて低いとこき下ろしてきたが、未だに「でも駐車場は有望なんじゃないの?」という無邪気なご意見を聞くことがある。

確かにガソリンスタンド決済なんかとの比較でいえば最も有望であるが、やはり相当にハードルが高い。
今日はその辺、突っ込んで見よう。

まず、消費者のベネフィットという面であるが、駐車券の授受や精算手続きがないというのは、確かに便利だ。コインパーキングで新千円札が使えなくて困った経験など、誰にでもあるだろう。

しかし、キャッシュレスで遠い駐車場と、現金決済で近い駐車場のどちらを選ぶか?と聞かれれば、近い方だろう。もしくは、料金が選択基準かもしれない。いずれにしても、キャッシュレス決済による差別化効果は限定的だ。

従って、駐車場事業者としてはその導入には慎重にならざる得ない。入庫台数はおそらく増加しないのだ。そして大半の駐車場は自動精算になっているから、人件費削減効果も期待できない。単純なコスト増となり、その対価は多少の顧客満足だけである。
しかも、DSRCサービス対応のETCが普及するまでは利用者もいない。
つまり、たいしたメリットのない事に対して、不透明な先行投資をしなければならないのだ。
健全な経営センスをもつ駐車場事業者であれば、当面導入はしないというのが結論だろう。

DSRCサービス対応サービスがないので、DSRC対応機器が売れない、機器が売れないからサービスも拡大しないという典型的なチキンエッグだ。

これの打破の為に、国交省は2007年までに公共駐車場への導入を進めるらしい。しかし、そんな程度の施策では市場の活性化は望めないだろう。マーケットドリブンな絵が描けていないからだ。

さらに、フェリカの状況、というのがある。すでにお財布ケータイの普及や、スイカの普及を考えれば、環境整備はもう完了していると言っても良い。それに比べて、実際にフェリカ決済を導入している小売店はまだ非常に少ないし、利用者自体あまりいないのが実情だ。キャッシュレス決済には、いうほどの市場はないのではないか。(IOカード→スイカに修正:4月22日)

逆に仮にフェリカが今後無事に離陸した場合は、今度はこれがDSRCのサービス利用と真っ向競合することになる。

どちらにしても、DSRCサービス利用に未来はない。

デジタルラジオ放送開始を前倒し

2005年04月20日 | ITS
昨日地デジについて書いたが、タイムリーなことに昨日の日経夕刊トップに、地上波デジタル音声放送(=デジタルラジオ放送)が5年前倒しされ来年からスタートするという内容の記事がでていた。
まだ受信機は発売されていないが、こうした発表をするからには既に準備が進んでいるのだろう。

音楽がCDクオリティとなり、またアーティストの写真、交通情報などの画像データ表示が可能となる。
デジタルラジオについてはこちらを参照下さい。
デジタルラジオ推進協会

ここで気になることは、携帯電話にその機能を付加する計画があるということ。
普通に考えれば、通信料で事業をいとなむキャリアが自らの通信料に寄与しないデジタルコンテンツの受信装置を組み込むとは思えない。

その辺のからくりはこうだ。

データ放送の画面(携帯画面)には必要に応じてリンクが張られており、ユーザーがクリックすると自動的に通信が始まり、より詳細な情報のダウンロードや、ECサイトでのCDやコンサートチケット購入が出来る。
通信キャリアは、こうした通信需要とECによる商売を狙っているようだ。

もう一つ気になるところは、デジタルラジオの車載機である。
今現在はないが、放送が開始されればナビゲーションの付加機能としてすぐにでも登場しそうだ。
そして、もしデジタルラジオのもつ「交通情報」などのコンテンツが十分使いやすいとなると、インターネットITS構想にとっては大きな逆風になるだろう。

地上波デジタルと車載チューナー

2005年04月19日 | ITS
ホリエモン騒動は、どうやら彼の思惑通りの方向で決着したようだ。
彼の狙いはポータルの価値を高めるためのコンテンツ獲得であり、放送業の経営参画なんて最初から興味はなかったんだと思う。交渉を有利に進めるブラフだったんだろう。

さて、放送といえば地上波デジタル。
そのそもそもの是非は別として、自動車関連では今年から来年にかけて最もホットな話題になりつつある。というのも、地デジになれば、走行中も安定した画像を見ることが出来るからだ。

走行中に安定画像を見る機器としては車載の衛星アンテナ・チューナーが結構昔からあった。一部の観光バスが装備している。
また、モバHOが有料衛星放送を開始した。
しかし、地デジが来れば(受信範囲は当面限られるものの)より手軽な機器で、聴取料もなく安定した画像を見ることが出来る。

実際、カーナビ、カーオーディオメーカーは各社、具体的に動いているようだ。

走行中も安定画像を見ることが出来るようになると、心配なのは事故だ。
今、走行中にTVを見ることは禁止されているものの、実際の取り締まりは行われていない。
大半のユーザーが走行中もTVが映るように取り付けをしていると思われるが、現実的には走行中は画面が乱れるから、運転中に画面をじっと見ることはない。

しかし、これが常に安定画像となったらどうなるか。例えばサッカーの中継でゴール前のシーンなど、画面を見入ってしまう可能性はとても大きい。

地デジ車載チューナーが普及すると、走行中の前席TVは厳しい取り締まりの対象になるだろう。

つまりは、後席向け(RSE)がやっと日本でも普及を始める、ということになりそうだ。

auフルブラウザ定額で思うこと

2005年04月18日 | ITS
先々週ロスへ出張する際、成田の免税売店でSONYのノイズキャンセラー付きヘッドフォンを衝動買いしてしまった。どうも空港の売店というのは衝動買いをしやすい。
それを使って、機上でPCのHDDに入ってるMP3を聞いていた。周囲の騒音が全くなくなる訳ではないが、確かに大幅に軽減する。

さて、ちょっと古い情報だがAuが5月からフルブラウザ定額を開始する。
(随分まえにジョンさんから頂いたネタ)

やはりWEB接続は通信従量制では利用が見込めないという。その通りだろう。
なお、私が使っているボーダフォン702NKもフルブラウザ定額対応だが、定額の場合は閲覧可能サイトに制限があり、制限が緩い接続の場合は従量制で、とてもブラウザを起動する気にはならない。

いずれにしても、携帯通信料金の定額制は今後の流れなのかもしれない。まだPC接続は対象外で、まずは専用端末上でのフルブラウザ定額だが、その先にあるものはデータ通信定額制だろう。
これが、今後の車内環境にどう影響するのだろうか?

私の基本的なスタンスとしては、通信料金の高さもハードルであるが、それ以上にインターネット接続が運転者にとってのメリットのないことを主張してきた。
その一番の理由は、運転者は運転をしなければならないという、まったく当たり前の事である。自動運転が実現すれば話は別だが、まだしばらくは運転業務に集中する必要がある。インターネットという情報の海を見に行くことは許されない。
そして、ここのところを勘違いしやすいのだが、運転の妨げにならない程度の情報には対価を支払う価値がない、ということである。

何でもあり、無制限がインターネットコンテンツの魅力だ。
内容、表現、リンクなどに制限のあるコンテンツに魅力はない。多分、I-modeが言うほど盛んにならなかった理由はその辺にあるのだろう。

そうはいっても、運転中に知りたい情報というものは存在する。それをインターネット接続で提供するのだ、という主張もある。
しかし、冷静に考えて欲しい。渋滞、地図、天気、重大ニュース、車の状態、ロードサイドアトラクションなど、欲しい情報はもう十分に提供されていないか?ナビ、計器板、ラジオ、路側看板で事足りていないか?運転中に「あー、お金を払ってでもこの情報がほしい!」ということがあるか?

確かに、空いている駐車場を案内する、グルメ情報、リアルタイムな穴場情報を検索する、近くのレストランのメニューを表示する、等のビジネスチャンスはありそうだが、それって本当にユーザーから対価が取れるほどのものになるのだろうか?

実は先月、家族で箱根に一泊旅行をした。その前数週間はブログのアップもままならないほど忙しく、事前に旅行情報を集めることも出来ず、まさに行き当たりばったりの旅となった。そこで感じたことは、結局路側看板や各種施設のパンフレットなどでPOI(Point Of Interest : 観光名所)の情報はいやでも手に入るということだ。普通に手に入る情報なんて、氾濫していて価値はないのだ。

では車内インターネットに未来はないか、というと、そんなことはない。この前書いたように、後席モニター向け接続は大いに可能性ありだ。
家族で旅行するときに、後席の子供達がネットをたぐって穴場情報を探り出す、なんて使い方は全然有りだと思うし、乗員の暇つぶしとしては最高である。

なかなか進展のないインターネットITSだが、車のネット接続は結局の所リヤシートでのネットサーフィン、なんていう最も単純な物が一番可能性を秘めているのではないかと思う。

第3世代G-BOOK

2005年04月15日 | ITS
レスポンスに、トヨタG-BOOKを推進する友山e-Toyota部長のインタビューが掲載された。

G-BOOKは安全に傾斜しつつある。
インタビューでは、もともと他の2社とは違い、『テレマティクスは安全技術である』というスタンスだといっているが、どう考えても最初は『車載i-mode』路線だったけどね。

まあ、車に専用通信ユニット(DCM)を埋め込む理由は安全・セキュリティしかあり得ないと思う。これは、このブログで一貫して主張していることだ。
そういう意味では、このトヨタの方向転換は私的には当然のことだと思う。

でも、日本の交通・治安状況を考えた場合、事故通報・盗難車追跡のニーズは限定されるとおもう。特に、大衆車まで考えた場合、毎月の会費を払ってまでそのサービスを求めるユーザーがどれだけいるかという問題は、クリアできていない。

このインタビューの中で、友山氏はテレマティクスはナビの一機能ではなく、逆にナビがテレマティクスの一部である、という主旨の発言をされている。そして、我が国のナビと携帯電話の普及速度が他の先進国に比べて早すぎたために日本のテレマティクスは独特なスタートを切らなければならなかった、と述べている。

それはそうだろう。しかし、この市場環境はギブンであり、今後も変わらない。結局何をしようがユーザーはG-BOOKやCARWINGSを高機能ナビとしか見ないだろうし、それに沿った商品企画しか通用しないんじゃないかと思う。
そこが日本のテレマティクスの難しいところだ。

愛・地球博とDSRCサービスに通じる物

2005年04月14日 | ITS
1月25日の記事で、愛・地球博の入場者は目論見通りには行かないだろう、書いたが、やはり現実になっているようだ。
日当たり入場者の平均では、5-6万人といったところだが、過去の例では大阪花博、横浜博覧会などマイナーな奴でも日当たり平均は10万人を超えている。

入場者が伸びない理由は、上のリンク先に書いた通りだと思うが、こんな事は誰だってちょっと考えれば判る事だと思う。
というか、企画をしている人間が、自分の生活感に照らし合わせてそのベネフィットや満足が価格や手間に見合っているかどうか、という判断をしているのかどうか、だ。

公共系の事業は、極めて高い確率でこれが欠落する。全国で第三セクターが軒並み破綻しているのもその例だ。

DSRCサービスもまさに格好の例である。
私は推進している人に聞いてみたい。
「あなたはガソリンスタンドでクレジットカードを財布から出す手間を省くために、月会費をはらったり、通常より高価な専用機器を購入しますか?」

ATXテクノロジーの新テレマティクスサービス

2005年04月13日 | ITS
ここ2日間、テレマティクスに関して書いていたが、タイミング良くレスポンスにテレマティクス関連記事が掲載された。

テレマティクス最前線・自動的にディーラーに情報が

欧州と北米でBMW,メルセデス向けにテレマティクスを展開する独立系事業者ATXテクノロジーが、ディーラー向けのリアルタイムテレマティックサービスの開発を完了したとのこと。

カーディーラーは自社で販売した車両の情報をタイムリーに知ることで、走行距離に応じたメンテナンスの案内や、事故、故障情報からプッシュ型のサービス来店促進ができる、としている。まあ、テレマティクスの可能性として、前々から言われていたことだ。

もちろんオーナーの了解を得ることが前提だとしているが、はたしてどれほどの顧客がこのサービスを好むのだろうか?
まあ、北米のBMW・メルセデスオーナーはリッチなロイヤルカスタマーが多いだろうから、さほど抵抗はないのかもしれないが、私個人としてはメンテナンス先の選択の自由は確保しておきたいと思う。

メンテナンス情報や故障情報はダッシュボードに表示されれば良く、それをどこで修理するかはユーザーが判断する事じゃないか。まして、車の走行情報をディーラーに発信することには大きな抵抗を感じるのだ。

レスポンス記事は
「車が自ら故障箇所やマイル数などをディーラーに発信し、メンテナンスのスケジュールが組まれる、という時代はすぐそこまで来ているようだ。」
という言葉で結ばれているが、私は懐疑的である。

トヨタも日産もテレマティクスをやめる事が出来ないのだ

2005年04月12日 | ITS
大体、テレマティクスという言葉自体、知らない人に説明するのがとても大変である。
なにがメリットなのかということをユーザーの立場で説明することがとても難しい。

こんなことなら、いっそやめてしまえばいいのに、と思うのがだが、一方ではカーメーカーは戦略的にテレマティクスを推進しているのだ、という考え方もある。

リアルタイムな顧客情報を入手することで、顧客を囲い込む。
いわゆるCRM、もしくはVRM (Vehicle Relationship Management)とも呼ばれている顧客管理に有効であり、アフターセールスや新車買い換えに繋ぐため、カーメーカーはコストを払ってでもテレマティクスを維持していくメリットがある、といわれていた。

しかし、それも最近どうも眉唾になってきている。

個人情報保護法の施行によって、市場の雰囲気が変わってきた。
事業者は、自分の顧客に対するマーケティング活動のために個人情報を保有し、活用することが認められている。テレマティクスからもたらされる個人情報を販売活動に使うのは自由だ。
しかし、それと同時に「使ってもらいたくない」顧客の権利が明確になってきている。
アフターサービスとしてのコンタクトはありがたいが、売り込みや囲い込みをされるのは嫌だ、という顧客は多いだろうし、そうしたことに対する顧客の警戒意識が、個人情報保護法以来とても高まってきている。

本来、テレマティクスをCRMに使うのであれば、過半数のユーザーが加入していなければ効率的な運用は出来ないだろう。
そもそも現在のG-BOOKやCARWINGSのサービス内容で、過半数のユーザーが加入するとは思えないが、それに輪をかけて、加入はするが「自分の車の情報提供はしない」、もしくは「案内のe-mailは拒否する」というユーザーが増えれば、ますます難しくなってくる。

どうも、テレマティクスはもう日本の自動車業界にとってなにも意味を有さない代物なのではないか、と思う。
実は、当事者はみな思っているのだと思う。しかし、やめられないのだ。

まず、トヨタのG-BOOKであるが、これは将来の社長といわれている豊田章男専務がGAZOOから続くインターネット事業として立ち上げた物だ。
トヨタとしては、プリンスが立ち上げた事業を敗北の形で撤退する事が出来ない。

トヨタが続ける以上、日産も引き下がれない。

そして、両者とも中途半端な会員を抱えてやめるにやめられない事業を維持していかなければならない。そのうち携帯電話が進化し、スマートフォンやマルチメディアフォンがでてくるだろう。そのときにはそれに対抗する機能を開発する必要がある。

これからが大変だ。