ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

豊田市のITS

2008年05月27日 | ITS
ちょっと多忙でエントリーが途絶えてます。
(先週バンコクへ出張、来週はヨーロッパ出張予定)
といいつつも、なんかアップしましょう。

以下、中日新聞からの引用
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豊田市は、市内の高度道路交通システム(ITS)の取り組みを紹介するDVDを製作した。「実感できない」との指摘もあるITSを、具体的に目に見える形で紹介した。

市はトヨタ自動車のおひざ元として全国でも有数のITS先進地だが、市民からは「社会実験ばかりやっているイメージがある」との批判も根強い。

DVDは電話予約式のデマンドバスや自動決済型の駐車場に加え、実験中のカーナビゲーションを通じた横断歩行者情報や渋滞情報の提供など、計18種類のメニューを盛り込んだ。
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ということで、DVDはみちナビとよたというサイトから見ることが出来る。
(コメントでご指摘のとおり、”まちナビとよた”とミスタイプしてましたので修正しました)

「実感できないとの指摘もあるITSを、具体的に目に見える形で紹介」
ということだが、実感できないのであればPRよりもまずはその政策の実効性そのものを疑うべきだろう。

新エアーナビ(その2)

2008年05月16日 | ITS
前回、パイオニアの新エアーナビについて書いたけど、レスポンスには神尾寿氏のコメントが掲載されている。

氏は従来から車+通信実現の信奉者で、このエアーナビについても極めて好意的かつ楽観的な紹介となっている。

この商品、確かに話題になることは間違いないだろう。
PNDとしては最強のスペックで、かつ非常にリーズナブルな価格設定だからだ。
サンヨー、ソニーは大幅な商品見直しを迫られる。

でも、神尾氏と真逆の意見となるが、この商品、そう簡単に通信契約ユーザーを獲得することはできないと思う。
車を運転している時だけしか使わない機能に年間12350円~24948円をはらう人がそんなに沢山いるとは到底思えないのだ。
いつも言うことだが、人は車の中で生活しているわけではない。

ところでこの新エアーナビは、アメリカのDASHと似ている。(ナビ自体の性能はP社が勝る)

DASHはPNDだが、通信契約をするとプローブ情報が手に入る。2年契約で9.99ドル/月。
通信契約をしなくても使えるが、渋滞予測はできない。
DASHのWEBサイトには、通信契約無しに使うのは馬鹿馬鹿しいぞ、というようなことが書いてある。(過去エントリー
DASHは通信契約で地図更新が手に入る。またVICSがないアメリカでは、DASHのプローブは一種のキラーコンテンツになりうる。この辺、通信型として普及する可能性はエアーナビよりも有利だろう。(エアーナビは地図更新は別料金らしい)
しかし、今のところDASHが絶好調という話も聞かない。

面白いことに、DASHは本体価格を発売前に200ドル下げた。
利用料で回収するビジネスモデルを取ったのだろう。

新エアーナビの挑戦的な価格も、同じような考え方なのだろうか?

ということで神尾氏のコラムに戻るが、「日本メーカーがテレマティクスを前提にした“ネット端末としてのPND”の分野で先行できれば、それは海外のPNDメーカーに対抗しうるだけの武器になり得る」というご意見はどうにも賛同しかねる。

パイオニア新エアーナビ

2008年05月12日 | ITS
連休前に関連記事をアップしたパイオニアとソフトバンクの提携の正体は、「新エアーナビ」だった。

この新エアナビは通信機能を持ったPNDというべきもので、ナビとしては4ギガの内蔵メモリーで機能する。5.8インチと、PNDとしては奢ったスクリーンは基本的にカーナビとしての使用を前提とした商品だろう。
オープン価格であるが、ワンセグ付きで6万円前後という想定価格はかなりの破格だ。

で、このナビの売りは通信対応ということになる。
ソフトバンクとの提携により、専用通信モジュールが提供される。月額利用料は¥1,029 ~¥2,079 (二段階定額、税込)。
この利用料で利益を回収するビジネスモデルなのだろう。

通信接続で得ることができるメリットは
・スマートループの渋滞情報
・駐車場満空、GS価格情報
・待ち合わせ場所を携帯で送れる「お迎えサービス」
・グルメ、POIなどの最新情報
・ウェブやケータイサイトの気になる情報をサーバーに送信し、ナビ側で呼び出し可能

等となっている。

さて、ここで私の疑問は以下の通り。

このナビはカーナビゲーションの概念を拡張する「身近なお出かけ情報端末」を新しいコンセプトとして掲げている。
確かに小売価格はかなりカジュアルな設定となりそうだ。
しかし、そうしたライトなナビユーザーが月額1000~2000円の利用料を支払うだろうか?これはなかなか難しいと思う。

WEBで見つけた気になる情報を専用サイトに送り、ナビ側から通信で呼び出すという仕組みも、なんだかなぁと思う。そもそも取り外すPNDなんだから、そのままUSBで接続して情報を取り込んでしまえばいいような話だろう。
それ以上に、提供される通信前提のサービスに月額1000~2000円に見合うコンテンツがないように思う。

この商品、通信モジュール契約なしでも使えるようだが、何割が通信契約までたどり着くのだろうか。

モバイルキャストの現状

2008年05月11日 | ITS
一昨年の6月、モバイルキャストって会社は危ないんじゃないか、ということを間接的な表現で記事にした

そして、現在同社を取り巻く環境はかなり複雑な状況になっているようだ。
モバイルキャスト&倒産」でググるとおやしげな話が山ほどでてくるが、ここでは憶測を排し、客観的な事実だけを記載しよう。

同社は現時点で営業を継続している。
しかし、同社のWEBサイトでは、プレスリリースの最後の更新は2007年7月で止まっている。
つまり、もう一年近く新商品を発表していないし、対外的に発表するような事柄もないということだろう。

追記:2008年7月に新商品(既存商品にタイアップブランドのデザインをいれたブルートゥースヘッドセット)を発表してます。
追記:2008年12月にノイズキャンセリング付きイヤホン型BT「MP320-MK」を発表しましたが、どうも12月28日現在、なぜかまだ実際には販売されていないようです。リンク先の下のほうに記載あり。

また、日本唯一のサードパーティーテレマティクスとして事業展開していたアウディジャパンの「アウディクラブコンシェルジュ」は昨年の夏ごろにサービスを停止したらしい。

そして、同社については未公開株の勧誘など、怪しい話がでている。これは同社の名前を借りた詐欺行為なのかもしれないが、もうひとつ不可解な投資話があるのだ。

プレッヂ投資事業有限責任組合というのがある。
これは投資ファンドなのだが、投資先はモバイルキャストだけ。出資を一般に募っている。ベンチャーへの出資といっても、一年間プレスリリースのない会社への投資がいかに冒険であるかは言うまでもないことだろう。
モバイルキャストと一体になった資金繰り策と見られても仕方がない。

プレスリリースが途絶える直前の昨年6月に日産カーウイングスとのコラボレーションのプレスリリースをしている。

このように、モバイルキャストという会社はテレマやブルートゥースの世界ではそれなりのポジションを持っていた会社だ。
インターネットITS協議会の幹事会社にもなっている。

これ以上おかしなスキャンダルへと発展しないことを祈る。

自動車が国内で売れない理由

2008年05月04日 | 雑記
日経BPネットでアナリストの森永卓郎氏は「自動車が国内で売れない理由」として、それは人口減でも若者の車離れでもなく、構造改革による格差拡大だ、と断言している。

いわく、地方都市では車は必需品であるが、構造改革の犠牲となった低所得者は貯蓄を取り崩し、もはや車を買う余裕もなくなっている、というのだ。

格差の拡大は事実だと思うが、本当にいわゆる「ワーキングプア」層の増加が新車販売に影響を与えているのだろうか?
ワーキングプアといわれる、年金のない老夫婦や母子家庭が格差社会前なら新車を所有していたとは思えない。これは別の問題なのではないか。

もちろん、そこまで極端ではないが格差社会が低所得者層を拡大させ、車が欲しくても買えない人々を増加させているのかもしれない。
でも私の感覚では、そういった悲鳴はあまり聞かない。買いたくても買えないというよりは、特に新車を買いたいと思わない、という雰囲気しか感じられない。

私が思う国内で車が売れない理由は、主に2つ。
ひとつは、車の品質が上がり、昔の車のように経年劣化しなくなってきている、そしてここ10年で主要なキラーコンテンツであるエアバック、ABS、ナビという装備が付いてしまっているから、どうしても買い換えたいと思わない、さらに、車はすっかりコモディティ化したので、新車を買うと一目置かれるとか、古い車はみっともないという価値観がなくなってきている、こうした市場環境の変化が新車への買い替えを阻害している。

それと、若者の車離れ。
どうしても一人一台車が必要な地方は別として、若者が自分専用車を欲しがらない。家の車を必要なときに使うということで満足している。
これはお金がないから、所得が低いからという理由では説明しきれない。

ちなみに:
昭和60年 大卒初任給15万円、バイト時給550円、ガソリン1リッター145円、小型車新車130万円。
現在   大卒初任給20万円、バイト時給800円、ガソリン1リッター155円、小型車新車150万円。
若者がこぞって車を所有していた25年前と比べて、むしろ車を保有することはやさしくなっているように見える。

もちろん、この数字に表れない若者のニート化などが影響しているということも否定できないが、それ以上にライフスタイルの変化が大きい。

若者に限らず、誰でも「どうしても必要なもの」があれば余計に働いてでも手に入れるものだ。その証拠に、所得が低いから携帯をもてない、という若者の話はあまり聞かない。
25年前に若者の神器であった車が今は携帯に変わっている。
今の若者にとって車のプライオリティは想像以上に低い。

都市部は便利だから車は要らない、という指摘もあるが、これもおかしい。
都市部の若者がこぞって自分専用の車を所有していた20年前と現在とで公共交通機関の利便性にたいした差はない。これでは説明が付かない。

結局、現在の若者にとって「自分の車を所有する」ことの、ライフスタイルに対する貢献度合いが高くない、ということしか理由はない。

引き続き交通事故の話

2008年05月02日 | 雑記
今日、横断歩道で男性が轢かれ重体になる交通事故が名古屋で発生した。

交差点を右折してきたSUV(ハリアー)が、横断歩道の途中で荷物を落とし、しゃがんで拾っていた男性を轢いてしまったという状況で、おそらくはしゃがんでいた男性が車高が高いSUVの死角に入ってしまったということだと思う。

私も同じようなSUVに乗っている。
ためしに横断歩道の地面がどう見えるか近所を注意しながら運転してみたところ、横断歩道の地面の一部はピラーの死角からボンネットの死角にほぼ連続して入ってしまい、ほとんど見えないことがわかった。

しかし、これは運転席の高さ調整によって状況がかわる。上記は運転席のハイト調整を一番下まで下げた状態での見え方であり、私の車と座高の場合、シートを一番上に上げると問題がない。

カーメーカーはSUVの着座位置について対策を講じるべきではないだろうか。

それ以前に、大きな交差点の右左折は原則矢印信号にするべきだ。
国交省が本気で交通事故死者を減らしたいなら、通信を使ったスマートウェイなんかよりもこうした地道な改善にこそ先に資源を投入するべきだろう。

高齢ドライバー

2008年05月02日 | 雑記
昨日も倉敷で76歳の高齢ドライバーによるアクセル・ブレーキ踏み間違えによる死亡事故が発生した。

今後、高齢ドライバーの増加に伴って、これは大きな社会問題に発展する可能性が高い。

これをなんとか、ハードウェア側で防止することはできないのだろうか。
ひとつの提案として、ゴーカートのようにアクセルとブレーキを右足、左足専用にしてしまうという意見があるが、それでもアクセル・ブレーキの錯誤は発生するかもしれない。

そこで考えたのだが、こんなことはできないのだろうか?
・アクセルをフルスロットルで踏み込むことは、現実的にあまりない。
・一方で、パニックブレーキの時は通常、全力で床まで踏み込む。

それならば、アクセルを床まで踏む込むと燃料をカットする、またはブレーキがかかる仕組みにすれば、踏み間違いによる最悪の事態は避けられる。
もちろん、合流などで緊急の加速をしようとしてエンジンがストールするのはまずいので、一定以上の踏力でしか作動しないようにし、作動中は車内に警報を鳴らすなどの工夫がいるだろう。

とはいっても、「アクセル踏んだらブレーキがかかる」装置というのはかなりハードルが高い。
しかし、ITSを活用して位置情報から混雑地帯や駐車場内だけで作動するようにしたり、前方に障害物があるときに作動するようにすることは十分可能だろう。

これらは簡単に実現する話ではないが、高齢ドライバー対策は真剣に考えたほうがいい。