ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

上海商業事情のアップデート

2015年02月19日 | 上海生活
本日は中華圏の元旦。どこにも行かず上海で過ごしています。

今日は元旦なので普通のお店はみな休業。町中でやっているのはコンビニと年賀品を売る果物屋だけ。
(何故か上海には果物屋が数百メートル毎くらいに存在し、八百屋と明確に区別されてます。というか、八百屋はなく、野菜は市場の中でしか買えません)

ということで、食事と買い物に開いているショッピングセンターへ出かけました。我が家から徒歩圏内に新しく出来たユニー系「APITA」。
飲食店も結構開いていて、スーパーも営業中。ここのスーパーは結構品揃えがよく、天ぷら、弁当等の日本食惣菜も種類が多くて価格も割とリーズナブル。
飲食店も「まいどおおきに食堂」やちゃんぽん麺、とんかつ「かつ政」等、結構使い勝手の良いお店が入っていて、地下鉄駅からもすぐということで、在留邦人はみなさん結構注目しています。今日も元旦なのに結構お客さんが入ってました。

で、どうもならないのは上海高島屋。
高島屋ができて以降、付近の商圏に久光とここを入れて2箇所の日本食材を多く扱う高級スーパーが出来てしまい、かつこのAPITAは立地が良くて強敵。
地下鉄2号線を利用する邦人は高島屋に行く理由は全くなくなりました。
高島屋さんは相変わらずテナントの撤退が続いているようで、日本人向けの物産展のようなイベントを企画して頑張っているけど、私はこのAPITAがトドメを刺したのではないかと思います。もう無理でしょう。

それと、おそらく久光も苦しいのでは?
鳴り物入りで出来た高級ブランドモール、通称「ビトンビル」の地下だけど、そのブランドモールは土日でも殆どお客さんを見ることはない。
久光のスーパーはなんとか人が入っていたけど、このAPITAの方が立地が良い。というか、この商圏に3つは多すぎる。

既に上海はショッピングモールの総面積では世界一らしいけど、まだそこらじゅうで作っている。
中国経済は投資を止めたら死んでしまう、ということなんだけど、その先に何が待っているからは明らかですね。

ウエアラブルについての再考

2015年02月15日 | モバイル・ウエアラブル

一昨年の秋ごろ、ウエアラブルなんて市場がないんじゃないか、的な話を書いた。
特にGoogleグラスってやつはとてもトリッキーで、一般に普及するものじゃないだろうと指摘したが、さきごろGoogleは失敗を認める発表を行った。

そして、この世界で今Apple Watchが一番ホットなアイテムであることは間違いない。
しかし、Apple信者を別にすればその発売を待ち望んでいる人が多いとも思えない。
前の記事で私はその凡庸なデザインを指摘したが、それ以上に機能(消費者が買う理由)がよくわからない。

ある記事によれば、ウエアラブルの最大の可能性はスマート家電のコントロールだという。
しかし、これとてキラーコンテンツとなりうるかというと怪しい。帰宅前に空調を付けておくというニーズは確かにあるだろうが、それ以外にキラーはなさそうだ。在宅中、家中の家電(スマート化前提)をウエアラブルデバイスでコントロールするという事もできるが、果たしてそこまでの市場になるのか?
それに本当にニーズがあるなら、ユニバーサルリモコンとかもっと売れてる。さらに言えば、これらのコントロールをするデバイスがスマホではダメで腕時計じゃなくちゃいけない理由がわからない。
(私は家に帰ると鬱陶しいので時計は外してしまうが、スマホは身近においている。そういう人が多いのでは?)

健康管理は、心拍数、血糖値等、腕時計型ではないとできないのは事実だけど、前に書いたとおりそんなに大きな市場ではないだろう。

モバイルペイメントがキラーだという人がいるが、これも何故スマホより腕時計の方がいいのかというのがわからない。ポケットから出す手間の有無だけ。

iPad miniとウエアラブルデバイスの組み合わせなら検討の余地がある。7インチはモバイルの状況では簡単に取り出せないし、耳に当てるには大きすぎる。
でも、その場合でも必要な昨日は基本的な、通話ができる・誰からの電話かわかる・簡単なSMSが読めるというのぐらいのことで十分。それ以上の機能が本当に必要かというと疑問だ。
本格的なクロノグラフの体裁で見た目が美しく、それでいて一部のディスプレイでそうした簡単な表示が出るというなら検討してもいい。
でも、事前発表されたApple Watchでは、私はもらっても着けないような気がする。
あと、毎日充電はキツイね。


ビジネスジャーナル、ETC2.0義務化に関する記事

2015年02月02日 | ITS
サイゾー系のWEBサイト「ビジネスジャーナル」については、過去にも数回そのレベルの低さを指摘しているが、ETCに関するこの記事もいただけない。
「国交省、高速道路無料化撤回「料金聴取し続ける」ETC義務化画策、新たな道路利権か」

そもそも高速道路無料化を言ったのは民主党政権であり、国交省ではない。撤回というのはピンと来ない。
記事の中身を読むと、どうも利権を暴き立てたいようだ。

その利権とは、察するに「ETC2.0を義務化すれば、一般道路でも課金ができることによる国交省としての財源確保」ということらしい。

一般道の課金については、大型車が一般道路を走行することによる道路損傷に対して課金をすることで公平性を保つということから欧州各国で既に実施されている。これについては当然検討の余地がある話だし、とくに我が国では高速道路料金が高いことから一般道を走る大型車が、道路損傷だけでなく環境、安全面をも悪化させており、むしろこれらを高速道路に誘導する効果もある。
利権というよりも、検討に値するまっとうな道路行政の一つの選択肢だと思う。

さらに、それとて課金がETC2.0を義務化しないとできない、ということではない。現行のETCでもできるし、欧州のようにGPSを使う手もある。
いずれにしても大型車に対しては何らかの装置設置を義務化する必要があり、その際には既に十分普及している通常のETCを使うのが一番だろう。
この記事では、「現行ETCは課金しかできないが2.0になると料金所以外に設置された設備と情報をやりとりする、つまり一般道でも設備を置きさえすれば課金できる」と書いてあるが、現行ETCの設備は物理的には一般道にだって設置できる。

ETCの義務化というのはまた別議論。
そもそも料金所の無人化を目的とするなら最初から義務化でいけばよかったのだ。ずっと前から主張しているように、下手に民活などといって市場原理を導入したのが間違っていたと思う。義務化とし、大量に国が発注し入札で徹底的にコストを下げ、国民にはコスト若しくはそれ以下で販売または貸与するべきだったと思っている。

記事は 「国民皆ETC2.0という新しい打ち出の小づちを手に、再び道路利権を肥やしかねない。」 という言葉で結ばれているが、ETC2.0は打ち出の小づちにはならない。
それ以上に、今なんの不便もなく使っているETCをETC2.0に強制的に交換するなんて、あまりに馬鹿げている。

高速道路に関するアゴラ記事

2015年02月02日 | 高速道路
高速道路に関するアゴラの投稿記事。執筆者は元民主党衆議院議員、SONY出身の藤田憲彦氏
高速道路はどうあるべきか

起承転結がよくわからない文章。
なんか言っているようでなんにも言っていないようにも感じる。

明確におっしゃっていることは多分最後の一節に要約されているのだと思うが、

-高速道路の建設は客観的に必要性の高いものに絞りこみ(当たり前の話)
-将来にわたって有料化を維持し、その収入を一般道路財源にもあてろ(民主党の人に言われたくないな)

ということらしい。
道路系の記事なので一応紹介しておきます。

自動運転に関するまとめ その6(最終)

2015年02月02日 | 自動運転
承前

6.完全自動運転実現後の世界

クルアがすべて自動運転となり,免許がなくてもだれでもいつでもどこにでも行ける。そして交通事故死がゼロになる。
その実現への道のりは遠いが、いずれそうした世界は来る。
その際には自動車産業を取り巻く環境はどうかわるのだろうか?

先に指摘したとおり,車の性能差がなくなると車という商品に対する考え方が変わるだろう。
走行性能は購買判断基準から外れる。また,Fun to Driving がなくなれば,商品に対する愛着だって薄れるだろう。
そして,車は使いたいときに玄関まで来てくれ,目的地で降りたら勝手に車庫に入ってくれるとなれば,車を所有するということにあまり意味がなくなってくる。

車が単なる移動手段ということになり,且つ車が玄関まで来てくれるなら,カーシェアリングで十分だと考えるのが普通だろう。

一人で移動する時と大人数で移動するときで違う大きさの車が使える。
長距離移動なら,寝台のような車も使える。
ちょっとお金を出せばファーストクラスのようなシートの車が来る。

世の中の車がすべてカーシェアになるとどうなるのか?

まず,一般ユーザーを対象とした自動車販売店がなくなり、販売員は不要となる。
事故ゼロの世界では,板金修理業もなくなる。
定期的な整備はカーシェア会社が行うことなるので,整備工場も淘汰される。
カーシェアの車をドレスアップすることはなくなるので,自動車用品産業もなくなる。
こうした、バリューチェーンと呼ばれるアフターマーケットはほとんど消滅する。

これによっておそらく相当数の雇用が失われることになる。
(もっとも、これが実現する頃にはその他の産業構造も激変しているだろう)

実はカーメーカーの収益は新車よりもアフターマーケットから多く得られている。
カーメーカーの収益源は新車販売だけ,それもカーシェア会社若しくは自治体へのフリート販売だけになり,利益率は当然悪くなる。
フリート客は趣味趣向で車を選ばない。コスト競争は非常に厳しくなる。
実際,現在でもタクシーやレンタカーといったフリートへの販売ではカーメーカーは殆ど儲かっていない。

ということは薄利多売しか生き残る道がないということになる。
製造販売だけに限って言えばカーメーカーは世界で数社しか生き残らない。

だから、アフターマーケットに変わる製造販売以外の収益源を確保するがが課題となる。
そういった意味では、どれだけオペレーションシステムにカーメーカーが関与できるかがポイントになるのだろう。
ある面ではスマホと似ている。アップルのようにハードとソフトを垂直統合しエコシステエムと築かなければ、製造業が市場のキャスティングボードを握る事はできない。アンドロイドを採用した他社は結局製造者以上のことはできず、大手以外は市場から出て行った。

人間のモビリティは殆どこのシステムに依存することになる。どこに行って何をするかを何処かの会社が一括して管理できるわけで、そこには当然ビジネスチャンスがあるし、その利益を獲得するためには自動運転のノウハウを早く積み上げて先駆するしかない。
大手カーメーカーが自動運転の研究を進める最終的なゴール、というか危機感はここにある。
Googleが開発した自動運転プラットフォームの採用では、結局のところ製造者で終わってしまうのだ。

以上