ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

「ETC2.0がスゴすぎる!」産経新聞のスゴすぎる提灯記事

2015年08月31日 | ITS
産経新聞記事
次世代「ETC2・0」はスゴすぎる! ビッグデータで最適経路を即座に案内 将来は自動運転機能も…

取材した記者があまり知らないのか、知っていて国交省の提灯をもっているのかわからないが、スゴすぎるは言い過ぎだろう。
まあこの記者も知らなかったようなので改めて解説すると、車両の走行データを収集しビックデータ解析で渋滞予測や回避ルート検索、渋滞箇所のピンポイント割り出し等をするというナビはもう普通に存在する。しかも6-7年前からだと思う。ホンダのインターナビがカーメーカー系では先駆し、市販ではパイオニアのエアナビがまさにパイオニアだったと記憶している。今はどこのメーカーでも同様のサービスを提供しているが、この記者が知らなかったようにあまり知られていない。

そして、このETC2.0が全然すごくない理由はその情報は全国に1600箇所しかないアンテナを通過しないと受信できないということ。現在のカーナビに付いているリアルタイム渋滞表示や経路誘導は携帯をつなげばどこにいても受信できる。

ETC2.0は最初は「ITSスポット対応車載器」と言われていて、もうすでに5年くらい販売しているがさっぱり売れない。1600箇所のアンテナ設置に250億円を使ったが、まるで売れず認知も進まないのでETC2.0と名前を変え、普及のために渋滞緩和のために迂回ルートを通行すると料金を安くするなどの 施策を打ち出した、というのが本当のところだ。しかしこうしたフレキシブルな料金適用は現行のETCでも技術的は可能だ。はっきり言ってさほど役に立たないETC2.0へのなりふり構わない誘導策なのだが、これとて大した誘導効果はないだろう。

最後に書かれている「将来は自動運転も」には全く根拠が無い。自動運転に対してこのETC2.0の通信規格(DSRC)がある程度補助的な役割を果たす可能性がないとは言わないが、これで自動運転が可能になるという話ではない。

いずれにしても現時点ではETC2.0にほとんどメリットはないので、わざわざセットアップ料金をはらってECT2.0を導入する必要は全くない。どうせ普及しないからセットアップ料金無料とか、対応車載器のモニターキャンペーンとかがすぐ始まるからどうしても付けてみたい人はそれまで待った方がいい。

オリンピックロゴ騒動について思うこと その2

2015年08月29日 | 雑記
佐野研二郎氏のロゴデザイン騒動に関して、今頃になって「原案」なんてのを出してきて、どうなってるのかね。
なぜ今まで出さなかったのかな。まあ、きちんとした組織委員会なのだからあとから捏造したということはないだろうと確信してますが。
ということでその前提で。

前のエントリーで、「東京のTと日の丸の◯を組み合わせるとこの造形はいずれ出てくる」といったけど、実はそこまで考えたもんじゃなかったわけね。でも単に東京のTを元にしたデザインということで、日本で行うオリンピックのロゴデザインとしてはそのコンセプトに説得力が乏しいよな。
そうはいってもこのほうが力強く佐野氏本来のデザインらしさがあり、なんだか説明臭が漂う決定案よりはいいんじゃないかな。決定案は非常に「わかりにくい」
でも、だからといってこの原案がベストだと言ってるわけじゃなくて、あくまで比較論。どっちにしても躍動感がないし、色使いが地味。ワクワクしないよね。

アマチュアがデザインした花や扇子のデザインのほうがいいとか、パクリだとかいう世論に対してデザイン業界(多摩美系?博報堂系?)の人から「いやいやあの佐野さんのデザインは素晴らしい」的な擁護発言がSNS方面で相次いだようだがそれは組織委員会の修正案だったので、この人達が今度はなんというのかが今一番興味深いところ。

一方で、ロゴ活用例で羽田空港の写真をまたまたPHOTOSHPPING している。これは現時点で著作権者の許可をとっているかいないかまではわかっていないが、もし無許可であったらこれもとんでもないことだよ。元ネタの「SLEEPWALKING IN TOKYO」には写真の無断使用禁止が明確に書かれている。
うちの会社でもプレゼン資料に使う写真素材は結構厳しい。社内限定の資料の場合でも必ず元ネタがなんであるかの表示、社外に出る可能性のある場合は著作権フリー素材以外は使わないということを徹底している。今回の場合はより厳しく素材の著作権を問われるものだろう。広告クリエイティブ業界ってそんなにヌルいもんなの?
まあ普通は著作権者の許諾を得ているとおもうのだけど、サントリーTシャツの例があるからなぁ。なんかどうにもズルズルになってきちゃってるよね。ベルギー劇場のロゴは模倣とは無関係だと思うけど、もうここまでグダグダになっちゃったんだからゼロクリアしたほうがすっきりするよね。


ETC2.0専用 新規格料金所は絵に描いた餅

2015年08月23日 | ITS
ETC2.0に関するリリースでは現行ETCに対する利便性向上についていろいろ書かれているが、その中身は実際たいしたことはないのでこれからETCを買う人は実売5000円程度の現行タイプで十分だ。以下のまとめをみてほしい。


このまとめにはあまりにバカバカしくて入れなかったが、ETC2.0専用のゲートバー無し新規格レーンという構想もある。
最近のthe PAGE で井口裕右氏が紹介されているETC2.0の記事にもその記載がある。
「2016年春頃の導入を予定しているという新規格の高速道路料金所では、ゲートバーを廃止して一定速度で通過できるETC2.0専用のレーン設置が計画されており、これまでよりもスムーズに料金所を通過できることが期待されます。」

しかし、これはほとんど実現不可能だ。新規格料金所が実現不可能というのではない。それをETC2.0専用にするということが不可能なのだ。

現在国交省と各道路会社はETC専用レーンを端っこから真ん中に移す工事を進めている。それにともない、徐行せずに通行できるようにレーンの幅を拡大すると思われる。
はたして、このレーンを16年から「ETC2.0専用」で運用できるだろうか?いまETC装着車のうち2.0は1%しかない。100台に1台しか通れない料金所をレーンの真ん中に作れるわけがない。また、現行でも徐行すれば通過でき渋滞問題は解消しているのに「徐行しなくていい」というだけの付加価値を評価しETC2.0に移行する消費者はいないだろう。
さらに、実用面での問題として99%を占める通常ETC装着車の誤侵入を防げるわけがない。誤進入に対してバーを設けるというようなジョークはしないだろうから、通常ETCが誤進入しても課金することになる。なぜなら、現行ETCでも100キロ程度での通過であれば読み取りに何ら問題はない。
いや、ちょっと待って、それのどこがETC2.0専用レーンなのか?

これがほとんど無理筋だということはおそらくもう国交省や道路会社関係者には了解されていると思う。だから最近のリリースには出てこない。

ETC2.0は鳴り物入り(とはいえ一般での認知は極めて低いが)ではじまったETCの「DSRCその他利用」の目玉であり、すでに民間を巻き込んでかなりの投資がされている。
一般認知が低いからメディアも勘違いして新しい何かのようにいうけど、実際はもう10年やって普及しないというお荷物案件だとも言える。
ここに至ってその普及のために「ETC2.0でしか享受できないサービス」を打ち出してきた。これは販売戦術としては正しいが、一番の目玉らしい「経路に応じた割引」にしたって技術的には現行ETCで対応可能であり、消費者にとっては欺瞞だ。これは国交省側はきちんと説明する義務がある。

今後もETC2.0普及のためになりふり構わない施策が出てくる可能性があるので十分注視していきたい。

Apple WatchのTVCMで驚いた

2015年08月22日 | モバイル・ウエアラブル
上海に生活しているがTVはほぼリアルタイムで日本のチャンネルを観ることができる。で、最近びっくりしたのはApple WatchのTVCM。
中国人の若い女性二人組みがヨーロッパ、ベルリンらしいが、に旅行に行くというストーリーでなにかとApple Watchがお役に立つみたいな内容。最初は日本人なのかとおもったら、Apple Watchの盤面表示が簡体中国語。
これ、中国のTVでも流しているのだろうか?中国のTVはほとんど観ないので今時点では確認できていないが、流すのだろう。主要先進国の消費者は中国の若い女性が出るCMに共感しないだろうから、これは中国を主要ターゲットにしていると見るのが正しいと思う。

TVCMをするということは、黙っていても売れる商品ではない、ということ。販売実績を頑なに発表しないことからも好調ではないことはわかっていたが、やはり厳しいのだろう。

このCMが「中国人の若い女性」を主人公にしているところがとても興味深い。
多分、今はAppleギークに行き渡って販売が一段落しているような状況なのだろう。これから伸ばそうと思ったら、期待していた割に意外に伸び悩んでいる中国、あとは新しい市場ということで女性を狙っていくしかない。
なので中国人の女性を使う、というのはあまりに安直なアイデアだけど、実際そんなところだと思う。

オリンピックロゴ騒動について思うこと

2015年08月20日 | 雑記
佐野研二郎氏のオリンピックのロゴはわたしはオリジナルだと思う。
その理由は、まずあのベルギーの劇場のロゴをみたからといって真似しようと思わないでしょ。ほとんど何のインパクトもない。(ここが論点なんだけど)
次に、日の丸の○と東京のTを組み合わせて造形を考えると、あのデザインはそのうち出てくる。縦の棒を線にすれば円の接線を形成するTの横棒部分が気持ちよく丸くなるがそれでは縦の線に力がない。縦の線に太さをつけるとどうしてもあの造形になる。で、右上は赤い日の丸にし、大きな日の丸が後ろに隠れていることを強調するために左上のエレメントを右下にも持ってきた。美術の宿題を一生懸命やってきた優等生が作りそうなデザイン、という感じ。

それとあのデザインが良いかというのは別の話だ。学生の宿題ならよくできましたレベルだけど、オリンピックのロゴとしては私は躍動感がなくあまりに退屈だと思う。デザインの評価は好みの問題だが、私が選定者なら選ばない。色使いも甚だ疑問。縦の棒が黒いのは「すべての色が交わるとあらわれる黒を使うことで融和を」、みたいなことがコンセプトで語られてたけど、黒という色にそんなイメージ持つ人は一人もいない。

一方でサントリーのトートバックはどうしようもない。メディアはトレースと言っているけど、あれはフォトショップでコピーペーストしただけで、トレースほどの手間もかかっていない。
彼はアートディレクターであり素材さがしや実際のデザインはスタッフがやっているということは理解するが、彼が社長をしている会社が受け、かつ「佐野研二郎デザイン」と銘打って出したのだから、100%責任がある。それは謝罪してるわけだが、あまりにスタッフの教育ができていないということだろう。

コスタリカの博物館の件は偶然だと思う。ああしたメシベのような六角のデザインはよくあるし、だれが作ってもバランス的にもあの辺に落ち着く。太田市の図書館だかの直線と丸の造形について米国のデザイナーが訴えるとか言ってるらしいが、これは便乗だろう。細い直線と丸のデザインなんていくらでもある。

ということで、いったん問題が発覚すると徹底的にあら捜しされちゃうし、便乗で騒ぐ人も出てくる。探せば多かれ少なかれパクリやコピペなんて誰でもやってると思うんだよね。
妙な義憤にかられて大騒ぎする連中は昔からいるわけだが、それがインターネットのおかげで最前線に出てきてしまっている、という感じ。
正直、オリンピックのロゴは全くいいとは思わないが、ちょっとかわいそうな気もする。

あと、あのボランティアの制服。あれは絶対に許せない。スタジアムとロゴとあの制服デザインを見ると、すべてまったく違う方向を向いていて、しかもどれもよくない。どういう方法で選定しているのか知らないけど、総合ディレクターが必要なのではないか。

戦後70年談話と中国の反応

2015年08月15日 | ITS

あまりブログで政治的なことは書かないようにしているが、戦後70年の節目の時に中国にいるので中国メディアの反応と感じたことを書いておく。

中国ネディアの最右翼(なのか、最左翼なのか、要は一番過激)な環球時報はWEB版で「安倍談話は満足できるものかどうか」というアンケートをしており、97%が「不満」。もっともこのメディアの読者はそうした人が多いので、一般市民の意見を必ずしも代表しているとはいえないだろう。

環球時報の社説は日本のメディアと同様に、「お詫びの言葉を直接言っていない」「この先の子孫にお詫びの宿命を追わせるべきでない」あたりに噛み付いているが、お詫びの言葉が入ったことを評価はしないまでも、きちんと伝えている。

敗戦後、引揚者たちが中国を含むアジアの人たちに助けられたことへの感謝の部分は報じていない。おそらく多くの中国人は全文を読まず、要約記事しか目にしないからこれは伝わっていない。

ということで、これは大体予想された反応であり、党中央から正式は声明が出ない以上は中国メディアとしてはこの程度の記事しか書けないだろう。その他の大部分は海外メディアの報道を引用してお茶を濁している。

それよりも思うことは、日本のメディアだ。私は70年談話は全体を通して見れば良い内容だと思う。また、こうした談話は高度に外交的配慮がされているものであり、その表現も慎重に考えられているのだろう。
それに対して国内メディア各社がニュースやコラムであら探しや採点のようなことするのはどうかと思う。中国のメディアがそれをするならわかるけどね。物事は全体を見るのは大事でしょう。

報ステの解説をした人は、この先の若者にお詫びの宿命を背負わせたくない、の部分に噛み付いていた。この先の若い人たちが海外で過去の日本が行った行為に対する非難のような場面に遭遇しなんの反応も示さないとしたら問題だ、お詫びするかしないかではなく歴史に対する正確な認識を持ってほしい、という言い方だったが、要は日本人が過去に何をしたかを認識してその気持を表わせ、といっている。

これには私は同調できない。戦争は私が生まれる前の出来事であり、私には1ミリも責任がない。日本人としての謝罪の気持ちなんてのも全くない、というかその立場にないと考えている。首相は自分の意志でこの国の長になっている人間だから国の過去の過ちを詫びなければならないが、私は自分の意志で日本人になったわけではない。

異論はあると思うし、これは私が愛XX心という感情をあまり感じない人間だからかもしれないが、その国の人間だから過去のその国の過失に対して詫びるべきだ、という考え方はむしろ戦争の原動力となりうるナショナリズムそのものではないかと思う。


車は本当に究極のモバイルデバイスなのか

2015年08月11日 | 自動運転

Google等が進めている自動運転車に関するIT系メディアの論調には、おおむね以下のようなものが多い。

・Googleが自動運転の世界を独占すれば、カーメーカーは単なる輸送機メーカーになる。

・車は究極のモバイルデバイスであり、このOSを牛耳ることでGoogleは自動車関連ビジネスを独占することもできる。

・自動運転車はユーザーが目的地をインプットする。したがってそれに応じた目的地周辺の広告を車内ディスプレイに表示することでビジネス可能。

・このビジネスモデルなら、自動運転車(ロボットタクシー)を無料にすることも可能かもしれない。

・さらにユーザーがどこに行き、何をしたかというビッグデータを分析し個人別マーケティングも可能になる。

しかし、これは現実的にみてどうなのかな、と思う。車は本当に究極のモバイルデバイスなのか?車は基本的には移動用の機器でしかない。マニュアル運転であれば操縦する楽しみという部分が存在するが、自動運転となるとまったく移動用の生活機器となる。

車内にモニターを設けてそこに目的地周辺の広告を流すといっても、どれほどの効果があるのだろう。そもそもすでにどこに行って何をするかを決めた人が使うのがタクシーだ。ついで買いとかレストラン関連の情報が意味をなさないとは言わないが、タクシー代を無料にするほどのビジネスモデルは構築できないだろう。そもそも無料になったら需要の大部分は通勤になる。会社や自宅周辺の情報なんていらない。

運転から解放され、車内での自由な時間が生まれるので車内モニター等によるビジネスチャンスがある、という見方もあるが、それがあるなら今ある有人タクシーでもできる話だ。実際上海のタクシーはヘッドレストモニターで広告流しているけど、普通の人は自分のスマホをいじっている。

ユーザー個人の行動・購買パターンをビッグデータで解析、という話は個人情報保護からまず実現しない。どこへ行って何をしたかを企業の販売活動のために公開するユーザーがどれほどいるのか?アマゾン等の購入履歴に基づくおすすめを家人にみられるのは嫌なものだ。まして家人と一緒にのったタクシーが変なおすすめをしてきたら非常に困る人も多いのではないか?

車内におけるe-コマースが自動運転になったらなにかが革命的に変化する、とは思えない。運転者が運転業務から解放され、自分のモバイルデバイスをいじくる時間が増える、という程度のことだと考えたたほうがいいと思う。

むしろ、前から言っているように車の「商品価値」に対する消費者の考えかたが根本から変わってしまうことの方が重大だ。そしてそれは今ある自動車産業に劇的な変化を強要することになる。


テスラ 中国における状況

2015年08月10日 | ITS

米国のEVメーカーテスラが中国で振るわない。

これは中国に進出してからずっと言われているが、その状況に変わりはない。
わたしは基本的な市場調査に問題があったと思っている。

ご存じの通り、テスラは10万ドル以上する高級車で、アメリカでは金持ちしか乗っていない趣味のスーパーカーのような車。
中国はこうしたプレミアム車の世界最大市場であり、テスラがここを本国の次に重要な市場だと考えたとしても不思議はない。

確かに中国の大都市はフェラーリやランボルギーニが路上に駐車されている光景を目にできる世界唯一の場所なのだ。
しかし、ここに問題がある。それは誰もがわかることだが、充電インフラだ。

テスラという車は日本のリーフやi-MiEVに比べると航続走行距離が長い。それはテスラの技術が優れているわけではなく、沢山電池を積んでいるからだ。電池は高いので沢山積むと車両価格が高くなる。この問題に対して価格弾性が低い超プレミアム車にしてしまうというのは確かに一つの解だし、実際アメリカではある程度その読みは当たった。特に環境意識が高いインテリ系のお金持ちに受けているのだろう。

電池が大きい分、充電に時間がかかる。
中国で売れないのは専用の急速充電インフラがないから、という記事はよく見かけるが、しかしもっと根源的な問題がある。

まず第一に中国の住宅事情。

中国では都市部で一軒家に暮らしている人はほとんどいない。一般人はアパート、金持ちは高層マンション。金持ち向けの高層マンションは通常30階程度のノッポビルで、ワンフロアを占領していたり、ワンフロアに2-3世帯というケースが多い。
アパートといっても、その区画(小区と呼ぶ)はクローズドなので車を持つ人たちは敷地内に路上駐車。マンションは地下に駐車場を持つケースが多い。いずれにしても、自分の車庫はない。つまり、自宅充電ができないのだ。

中国にも金持ち向け高級一戸建てはある。別シュウ(野の下に土、別荘の意)とよばれ、緑豊かな郊外にあることが多くそこに住んで通勤する人は少ない。別荘地の周辺には商業施設も学校もないから家族が不便であり、日常の住居には使えないのだ。

次に、プレミアム車としての位置づけ

金持ちだからと言ってガソリンをガバガバ使う大排気量車やスーパーカーに乗るのは、ちょっと頭悪そう、と感じるスノッブな人種がアメリカには多いのだろう。そうしたちょっと違うお金持ちにテスラは受けたのだと思う。
でも、中国にそのスノッブを理解する人は少ない。頭悪そうで結構なのだ。要は威張りが効けばいいわけで、ブラバスでもアストンマーチンでもベントレーでもポルシェカイエンでも何でもいい。わざわざ使い勝手が悪いテスラを買う人はいないだろう。
この辺の読み違いはApple WatchのEditionバージョンとちょっと似ている。中国人の金持ちは値札に無関心と思える爆買いをするが、費用対効果はきっちりおさえているのだ。

中国を第二のメイン市場と位置付けていたテスラは販売計画の大幅な見直しを余儀なくされている。最近家庭用充電池を発表したが、これは電池の調達コミットメントを達成するための苦肉の策のように見える。自動運転でUBERと組むなど華々しい話が多いが、その実情はかなり苦しいのではないか。

近々SUVタイプを投入するので最近SUVブームとなっている中国で巻き返しができる、という発表もあったが、ブームとはいえ全乗用車の20%。飛躍的に販売量が増えるとは到底思えない。


ドイツ3社連合がhereを買収 本当の理由

2015年08月05日 | 自動運転

NOKIAが売却先を探していた傘下のデジタル地図メーカーhereはおおかたの予想通りドイツのプレミアム系カーメーカー、メルセデス、BMW及びアウディの3社連合により31億ドルで買収が決まった。

なぜドイツの3社がデジタル地図メーカーを必死になって買収したのか、ということについてはIT系メディアが色々と解説している。GoogleやAppleが自動車関連に進出するなかでの防御策である、という論調が多い。確かにそれもあるのだがちょっと違う。

なかでもピントはずれなのは、車内のOSがCarplayやAndroidAutoに牛耳られてしまうことへの対抗というもの。これは全く違う。車内エンタメなんてどうでもいいのだ。というか、スマホ連携はユーザーニーズで、スマホをカーメーカーが作れない以上はCarplayやAndroidAutoに任せるしかない。スマホの画面を車のディスプレイで表示するかしないか程度の差でしかなく、あくまで車内エンタメであり車両制御とは全くの別物なのだ。

hereを買収した理由は同社がもつ3Dマップ。これがあれば自社位置をセンチメートルレベルで把握できるため自動走行に不可欠なのだが、だからといってカーメーカーが保有する必要はない。しかし、いま世界で3D地図を作れるのはTOMTOMとGoogleしかない。Googleはいわずもがな、自動運転のライバルだ。

自動運転が実現したときに一番ビジネスが危ぶまれるのは走り系のプレミアムブランド。まさにこの3社だ。

だから数年前まで彼らは自動運転には否定的だった。しかしGoogleが参入し、交通事故死ゼロという社会的要請について世の中の認識が拡大してきたことから、将来は最終的に自動運転の世界になることは避けられないと判断したのだろう。昨年くらいから一転してモータショーなどでも積極的に自動運転を言うようになった。

運転車が運転しない車に走る喜び系の走行性能は無用になり、コスト競争になる。このまま放置すると彼らに全く未来はなくなる。であれば、そこに至るまでにアドバンテージを取ってしまおうというのが独3社の読みだろう。つまり、IT系会社に対する対抗策というよりは他のカーメーカー、特に日系等の大衆カーメーカーに対する対抗策だと私は思う。


原発ミサイル攻撃と朝日の社説

2015年08月05日 | ITS

先ごろ国会で山本太郎氏が「原発にミサイルを撃ち込まれた時のリスク管理はどうなっているのか」という質問をして失笑をかった。

言うまでもないが、それがリスクなら安保法案は必要、という真逆の結論を引き出してしまう質問だし、そもそも質問で想定している相手国は核を保有している可能性が高く、わざわざ命中させるのが難しい原発なんか狙うよりも大都市を狙うだろう。リスク管理をいうなら、大都市に核ミサイルを撃ち込まれることを想定しているか、と聞くべきだ。想定敵国とは仲良くしていれば攻撃されないから安保法案不要といいつつ、でも原発は攻撃されるかもしれない、というロジックがまるで分らない。

「だから原発は廃止しなさい」といいたかったのだろうけど、結局おバカをさらしてしまったとしか私には思えない。

まあ山本氏はもともとタレントであり議員にしたのは東京都民の責任だから仕方がないけど、それが我が国を代表する朝日新聞の社説となると話が違う。

テロとミサイル攻撃 脱原発こそ最大の防御だ 2013年3月

実はこれに関しては当時もブログエントリーしているが、山本氏の発言もあったのでほぼ同じ内容だが以下に掲載する。

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「ミサイルで日本の原発を攻撃すれば、広島型原爆の320倍の爆発が起こる」。北朝鮮の朝鮮労働党幹部がこう講演したと、韓国のネットメディアが昨秋、報 じた。真偽は定かではない。だが現実に日本海沿岸のものを含めて多くの原発が、北朝鮮の中距離弾道ミサイルの射程内に入る。
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北朝鮮労働党幹部の講演などという、世界で最も信用が置けないソースを引用して、しかもその「真偽は定かでない」といいつつ新聞の社説に掲載する神経がわからない。こんなのの真偽はネットで検索すれば5分でわかる。原発を爆破しても原子力爆発は起きない。起きる可能性があるのは放射能事故だ。
このブログは多くても1000人くらいの方しかご覧になっていないが、それでも何かを記載するときは検索して真偽を確認する。そんなのは文章を公開するうえでやるべき最低限のことだ。

朝日新聞の社説がそれを放棄しているというのはどういうことなの?パソコン使えない系?それとも無知な読者の不安を掻き立てたくてわざと書いた?

前半と繰り返しになるが、北からミサイルが飛んでくれば、標的が原発だろうが大都市だろうが悲惨なことになる。

「脱原発こそ『最良』の防御だ」なんて、まったくどういう思考回路があると出てくる結論なのだろうか。

減らすべきリスクは原発ではなく北朝鮮そのものだ。


通常のETC、ETC2.0及びこのたび発表された経路誘導サービスの関係をまとめた

2015年08月04日 | ITS

通常のETC,ETC2.0と、このたび発表された経路誘導サービス活用のための再セットアップの関係が分かりにくいので表にまとめた

上のリンクはEvernoteのWEB上にPDFでアップしてあるので環境によっては開かない/時間がかかるかもしれないがご容赦ください。ETC.pdfという名前のファイルになっています。スパムやウイルスではないのでご心配なく。(クレジットをそのまま記載いただければ転載OKです)

このサムネイルはクリックで拡大します。

まあ、これを見ていただくとわかるけど、2万円高いETC2.0をつけるメリットはその金額に見合うとは思えず、さらに現時点ではそれに再セットアップ料をはらってまだ開始していない経路誘導サービス対応可能にする理由もない。
果たして経路誘導による割引がどれほど重宝なものになるかさっぱりわからないが、始まってそのメリットを確認してから検討すればいいと思う。

この一覧をまとめて、改めてITSスポット/ETC2.0はどう見ても無理筋じゃないか、と思った。


エキサイト乗り物ニュース ETC2.0に対する正しい認識

2015年08月03日 | ITS
エキサイト乗り物ニュース 「ETC2.0はスマホに勝てるのか、その将来は」というタイトルから、スマホとの競合ってそんなに関係ないんじゃないの?と思って読んでみたら、私のブログで主張していることとおおむね同じ内容で感心した。ライターさんの名前がないが、今まで内容もよくわからず「ETC2.0で割引き拡大」としか報道していない他の大手メディアとは大違いだ。

まず最初の記事、都心は環状線のほうが渋滞しているから、の箇所だけは東京限定の話であり一般論ではない。
しかしそこから以降は正論。

・割引はETC2.0でなくともできるはずであり、これは[我田引水な普及策」だ
・すでにGoogleマップでプローブによる渋滞情報は誰でもとれるのに、いまさら役所がプローブやって勝てるか
・ゲートレス料金所もすでに渋滞は解消しており、徐行するかしないかの差にどれほどの価値があるか
・駐車場などの民間需要は見込めない
・今後ETCが目指すべきは更なるコスト低減と100%普及であり、いるかどうかわからない機能を追加して価格を上げるのではなくむしろ機能を絞るべき

そして、これら誰が考えてもその通りだと思うことに対して国交省が無理やりETC2.0の普及をしようとしているのは「これまでITS(高度道路交通システム)を国策として進めてきた国交省の省益やメンツを守るためにすぎず」というのもその通りだと思う。あと付け加えれば、この施策に付き合わされて開発投資をしてきた関係メーカーへの配慮もあるだろう。

ETC2.0とそれにまつわる話は複雑で一般人にはなかなか理解できない。そうした中、「割引になる」「安全に寄与する」「渋滞が解消する」という耳障りの良い話をすれば誰からも批判はされない。このままだ将来に対してなんの価値も生まない無駄な公共投資が行われることになる。
国交省はETC2.0についてゼロスタートで見直し、その財源はETC100%普及に振り向けるべきだ。

ETC2.0 再セットアップが必要なんだって!しかも有料!

2015年08月01日 | ITS

ここしばらくETC2.0 について書いてきたけど、コメント投稿を頂いて今はじめて知ったほとんど笑い話みたいな事実があった。

すでにDSRC車載器、もしくはITSスポット対応車載器(呼び方が違うだけ)であっても、ETC2.0の機能を享受するためには再セットアップが必要なのだそうだ。そしてそのセットアップ料金はセットアップ店が行うため価格はオープンのようだが、4−5千円はかかるらしい。

通常のETCより一万円以上高いDSRC車載器を買った人たちは、今度は再セットアップのためにセットアップ店に持ち込んで更に4−5千円をお支払いいただくことになるらしい。もし本気で国交省がETC2.0の普及拡大をしたいなら、少なくともこれは無料にするべきだろう。

あと、今日の朝日新聞にも出ていたが、今後経路誘導割引を受けるためにはETC2.0であることを必須にするようだ。

割引を受けるためには従来のETCは使えず、機械を買い換えなければならない。DSRC車載器を購入した人はお金を払って再セットアップをしなければならない。

しかし、ここ数回言ってきているように経路誘導による割引は普通のETCでできるはずだ。高速道路内なら首都高出口のような通信機を新設するだけ、高速道路外の場合は指定経路を外れていても割引対象にすればいい。というか、もしETC2.0装着車が何らかの事情で違うルートを通行したら割引をやめるか?多分そんなことはない。クレーム処理が面倒でそんなことできないだろう。多分実際はETC2.0ならどこを通っても割引、ETCは技術的には可能だが割り引かない、ということになる。その理由は今まで投資したITSスポットが無駄になり、その責任を取らなくてはいけないから。というか、インフラ整備はまだまだ現在進行中。

この話は複雑でわかりにくいから国民は気がついていないと思うが、もっと声を上げて反対した方がいい。

国交省は現状のDRSC車載器ユーザーを調査し、ITSスポットが安全運転にどの程度役に立っているかを公表するべきだろう。もしたいして役に立っていないならもうやめた方がいい。250億円は大きな投資だったがもうサンクコストだろう。