ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

自動運転と商品としてのクルマ

2013年10月28日 | 自動運転
ITS世界会議2013東京で最も注目された技術は自動運転だったように思う。メディアが取り上げたのも自動運転関係ばかりだった。
自動運転は交通事後を劇的に減らすことができる。安全の観点からいえば将来的に車が自動運転になることは既定路線だと言っていいだろう。

自動運転はFUN TO DRIVINGと対極に位置する。何らかの共存ができないか、という自動車評論家もいるようだが、それはないだろう。運転を趣味として楽しみたいならサーキットに行けばいい、という時代になる。

しかし、ドイツ人は簡単にはうんと言わないだろう。

ITS世界会議でもBMWの安全担当VPであるコンバス氏は「自動車の安全性が自動運転の一番の 目的ではないと思う」と発言した。
そして、高速道路での完全自動化を否定し、自動運転技術はあくまで安全補助装置であるした。

それはそうだろう。自動運転の世界では加速性もコーナリングも最高速も関係ない。どの車も同じように加速し、制限速度で走る。
「駆け抜ける喜び」のBMWにとっては想像したくない未来だ。BMWの役員が高速道路での自動運転を否定するのは当然のことだろう。

しかし、最初に言ったとおり人命尊重の立場からいえば、いずれ車が自動運転になることは間違いない。

そうなった時に、人はどういった基準で車を選ぶのだろうか?
果たして「高級車ブランド」は維持されるのだろうか?

シロモノ家電のように、全く所有者の個性を表さない単なる生活道具となってしまうのか?
それとも時計のように、たとえ基本性能に差がなくても高級ブランドが維持されていくのだろうか?

自動車メーカーは今から考えておいた方がいいと思う。

ゼンリンの赤字決済

2013年10月26日 | ITS
地図情報大手のゼンリンは発表していた2013年9月中間期の連結業績予想を下方修正し、純損益は2億円の赤字に陥る見通し。
これに対するゼンリンのプレス発表は、「国内地図データ販売が新車販売における軽自動車へのシフトや、カーナビゲーションの低価格モデルへの構成変化などにより減少」と説明している。
各メディアもこれに準じた報道となっているが、JEITAの資料を見る限りではゼンリンが一気に赤字に陥るほどのナビ売り上げ減少はない。
スマホがナビを駆逐すると言われて久しいが、いうほどナビの台数は落ちていない。
しかし低価格化が進んでいるのはその通りで、ナビデータもコスト低減の影響を受けているのは確かだろう。

とはいえ、それでゼンリンが赤字になるというのはどうにも解せない。
GPSとデジタル地図の活用はその表示機器がなんであれ拡大している。そしてゼンリンはグーグルマップにもデータを提供する大手なのだ。

実はゼンリンはどうにも先が見えない赤字事業を抱えている。
地図+周辺商業施設情報を盛り込んだ「Actiz アクティズ」というローカル誌を無料でポスティングするという事業だ。
リクルートがよくやる、R25のような広告収入を収益源とする無料誌ビジネス。

殆どのひとがこの雑誌を知らないだだろう。そんなに広告も取れていないと推測する。
こうしたビジネスを成功させるには、まず相当な金をかけて知名度を上げなければならない。リクルートがどれだけ広告に費用をかけてているか。
そして、広告を取るための強力な営業部隊が必要だ。多分、どちらもできていない。

さらに、いまさら紙メディアかよ、というのが正直なところ。
対象地域全戸に無料ポスティングって、どれだけ印刷と配送コストがかかっているのか?

この事業が今季赤字のすべての原因ではないだろうが、少なくともマイナスに働いているだろう。
リストラ費用捻出の体力があるうちにやめた方がいいと思う。

SONYは変われるのか

2013年10月15日 | モバイル・ウエアラブル
東洋経済、平井社長のもとで変わりつつあるsonyについての記事

ここでも登場し、他のメディアでも話題になっているレンズだけのデジカメQXシリーズ。
確かにこれはソニーらしいクリエイティブな商品だとおもう。
一方で、大前研一氏はこれを悪しきプロダクトアウト型製品であると酷評している

確かにスマートフォンに装着し高級カメラ並みの写真が取れるレンズ型カメラという発想はとてもクリエイティブで、こうした商品を上市できるという意味においてまだソニーには他の日系家電メーカーにはない可能性があると思う。
しかし、大前氏が言うように「誰をターゲットにしているのか」という疑問は私も感じる。

チョット面白いし、使ってみたいなと思うが実際にはポケットに入れてもかさばるし、装着し準備するまでに30秒かかるというレポートもあり、多分そのうち使わなくなる。
スマートフォンの画質を更に上げるほうが正しい選択肢だし、高性能なコンデジと大して価格差がないQXはやっぱり商品としては無理がある。

私はプロダクトアウト型商品を否定しない。
単純な市場調査に基づくマーケットインではろくなものは出来ない。なぜなら消費者は自分が知っている世界でしか物を考えられないからだ。
しかしもっと大事なことは、プロダクトアウトで発想したクリエイティブな商品であっても、その市場許容性についてはマーケット目線で評価しなければならない、ということ。
随分前の話だけど、踊りを踊るスピーカー「Rolly」ってのがあった。あんなものを本当に売る気で商品にしてしまうというあたりに、ソニーの可能性と弱さがある。
Go,Nogo の的確な最終判定が出来ていないとしか思えない。

その判断はトップの目利きにゆだねられる。
ソニーは各分野、事業部に広がる製品群を独自の規格で連携されるという戦略を繰り返しとってきて、それはことごとく失敗している。
私も一時、PCはVAIO、PDAはCLIE、デジカメもソニーと、メモリースティック商品で周りを固めたことがあったが、さして感動するようなユーザーエクスペリエンスは得られなかった。

結局は事業部をまたがって、一貫したSONYによるユーザーエクスペリエンスをマネージメントできていなかった、ということだろう。
これについてはSONYも自認しているようで、それに類するような記載が冒頭のリンクにはある。
しかし、それを統合して一貫したユーザーエクスペリエンスを創出するには、ジョブスのような天賦の才能が必要。
危機感をもって社内が一つになる、なんてレベルではこれは乗り越えられないだろう。

自動運転の将来

2013年10月14日 | 自動運転
本日、世界ITS会議東京が開幕した。
今回の目玉はなんといっても自動運転だろう。最近の国際モーターショーでも最もホットな話題となっている。
デモ走行を用意しているDSRCのITSのスポットはその蔭にかくれてしまったかのようだ。

高速道路の自動運転に関して言えば、今ある技術で通信をつかわなくとも自律機器だけで実現可能だ。
レーダーとカメラによる画像解析の組み合わせで、アクティブ型のクルーズコントロールは既に実用段階にある。
またカメラを使ったレーン認識によるハンドル操作も難しいことではない。

最大の障害は、前方に割り込んでくる車など、レーンを走る車の乱れだ。
だから、ガードレールを備えた自動走行レーンを作って、そこには途中から侵入/退出できないような仕組みが作れれば、高速道路の自動運転は今すぐ実現できる。
しかし、装置が普及しないのに囲われた専用レーンは作れないし、専用レーンがなければ装置は普及しない。
官主導で動かないとこれもなかなか始まらないだろう。高いお金をかけて東名高速を二重にしたんだから、そこで実験すればいいんじゃないか?

一方で、最近ボチボチ報道されているのがアナログTV波空き地を使った車車間通信。
先行車のアクセル、ブレーキ操作を通信で後続車に発信し、正確な運行情報を伝えることにより自動運転の制御をより確実にする、という。
トヨタが実用化に向けて検討中、カーメーカーの垣根を越えて仕様を共通化する、なんて言っているけが、これも技術的には可能だろうが一体実現に何年かかるか。
他の車にもその装置がついていないと車々間通信はできない。
多分、ある程度の車が装着していれば全体の交通流を把握して適切なブレーキ操作介入などができるのだろうが、実用に足るレベルにまで装着車が増えるのには相当な時間がかかる。

私はこの普及にいつまでかかるか分からない通信型が実現する前に画像認識+レーダーによる自立型自動運転の技術が確立すると思う。

iPhone 5c のテレビCM

2013年10月13日 | モバイル・ウエアラブル
iPhone5cは計画の半分程度しか売れないので生産調整にはいったという。
確かに、あの色、ラウンドした形は「安いタイプ」を体現しており、しかも価格が大差ないのであればそれは売れないだろう。

商品は新興市場を狙ったというが、逆に発展途上市場ではiPheneはステータスだからあんな幼児玩具みたいな外観では逆に売れないと思う。

しかし、アップルはまだ勘違いしているんじゃないかとおもったのはテレビCM。
世界中の人たちがその国の言葉で楽しくハロー、というようなものだが、新興市場でカジュアルに携帯を使っている映像なんて、「携帯電話」の広告ならまだわかるけど、iPhoneの購買意欲を刺激するとは到底思えない。むしろ逆効果何じゃないの?
この「カジュアル外観iPhone」は失敗だったということで、次期モデルで同一コンセプトの継承はないだろう。

とはいえ、5sはシステムエラー頻発でかなり問題が出ているようだし、とりあえず今回の新モデルはしばらく様子を見た方がいいように思う。

Google グラスで思うこと

2013年10月10日 | モバイル・ウエアラブル
Googleグラスに限らず、ウェアラブルコンピューティングっていうのかな、そういった機器が今年のCEATECでも結構見受けられたようだ。
こうしたデバイスって、本当に未来があるのだろうか?

まず、あのGoogleグラスや、ドラゴンボールのスカウターみたいなものをつけて町を歩けるか、ということ。多分かなり痛い。それが珍しくなくなるくらい普及すれば別だが、それには結構な時間がかかる。
となると、おそらくは普通のめがねの様な違和感のないものになるだろう。

しかし、それはそれで問題がある。それをつけていることが他人にわからないと、盗撮とか運転中の使用に対する制限とかが出来なくなる。

特に運転中の使用制限は大きな問題になるだろう。
もっと言えば運転中に限らず、町を歩いているときだってメールやSNSのチェックをしていたら注意散漫による事故が怖い。ここ中国なら、一週間以内にはねられるだろう。

運転中の使用は当然更に深刻で、簡単なナビゲーションの誘導程度に規制しないと散漫運転による事故が多発するだろう。
しかし、もし普通のめがねの様なものになるとそんな規制は事実上出来ない。
車と連動する仕組みがないと物理的にコンテンツに制限を加えることも出来ない。これは難題になると思う。使用者の良識に頼るしかない。

ということを考えると、通勤電車内とか自宅でぼんやりしているときくらいしか使えないのかもしれない。でも例えば電車内のような公共の場所、声でコマンドを入れなくちゃいけないとするとそれはまたそれで厳しいね。
であれば携帯端末で良いんじゃない?とも思う。

普通のめがねと同じ外観で、メール着信やスケジュールリマインド程度が表示されるというレベルが現実的なんだろうと思う。

桜塚やっくんの事故で思うこと

2013年10月07日 | 高速道路
桜塚やっくんの事故について、現場は事故多発地点だったとの報道があった。年間4-5回は発生していただろうという。
また、スポーツ放置によれば現場は逆カント(逆バンク)なのではないか、という。これについて真相はわからないが、仮に本当だったとしたらそれは大きな問題だ。

ITSスポット導入の実験が行われた「事故多発地点」首都高速4号線参宮橋カーブにしても、路面の継ぎ目段差が大きく、明らかに車両の挙動が変化すると自動車評論家の両角氏が指摘していた。このカーブはITSスポットの設置と同時に路面の補修が行われており、対策後事故は激減した。
国交省及び関係者はITSはスポットの効果だと宣伝しているが、その後ITSスポットを一時停止していた数ヶ月間も事故は植えず、問題は路面にあったことは間違いない事実だ。

実際、魔のカーブと呼ばれるような場所には物理的な理由があることが多い。年間4-5回の中央分離帯接触事故があったということであれば、道路の問題は検討されていなければならないはずだが、スポーツ報知によれは県警は道路が逆バンクかどうかに関して「把握していない」とコメントしており、それが事実ならそうした検討はなされていなかったということになる。

今すぐ効果がでる根本対策をしないで、ITSで「危険を通信で車載器に通知する」なんて、実効に疑問があり且つ普及するかも全く不透明なことにお金をかけてどうするのか。
優先順位が間違っている。

国慶節に九寨溝にいってきた件

2013年10月07日 | 上海生活
日本でも中国の大型連休「国慶節」の観光地における混乱がニュースになったようですが、まさにその最大の混乱があった世界遺産「九寨溝」に行ってきました。
一番混乱したのは10月2日の火曜日、国慶節の始まりの日だったようですが、私達夫婦はその2日に上海から九寨空港に飛びました。
空港からホテルが有る九寨溝入り口までは80キロ程度。それに7時間かかりました。

3日に九寨溝に入りましたが、確かに大混雑。入場券は旅行社が手配していたので並ばずに入れましたが、エリア内の専用バスにのるのにはどこでも行列。
しかし、バスはかなりの台数が頻繁に運行されていたのでそれほど長時間待つ必要はありませんでした。

帰りの出口行きバス乗り場はものすごい列で、扇状に人がたかってしまう状態でしたが、「押すな」「割り込むな」というかけ声が並んでいる中国人たちからかかり、意外なほど秩序が保たれていました。中国人も随分変わってきていると思います。この辺は日本の報道では分からないでしょう。

ただし、交通の状況は最悪。渋滞すると反対車線を走る車が出てくる。どういう勝算があってやっているのかわからないけど、先の方で適当に割り込むんでしょうね。
これで更に渋滞が悪化する。先を争って頭を突っ込むからどちらも動けなくなる、というパターンも中国では日常的にありますが、こうした運転マナーの悪さはまだまだです。
あと、ゴミね。ゴミを捨てないという認識はまだまだ。おそらく都市生活者と地方の人で違うのでしょうが、世界自然遺産の遊歩道で食べ物の包装紙をポイポイ捨てる人が結構います。
だから、ゴミ拾い職員の数も相当なもの。これは中国どこに行っても同じですが、中国人がゴミを捨てなくなったら雇用が悪化し失業率が上がってしまうのでは、とすら思います。

翌4日に、棚田のような青い池で有名な黄龍へ行きましたが、ここのロープウェイが一時間待ち。しかしここでも列が乱れたり割り込み等はなく、時に日本と変わりませんでした。

中国を感じされられたのは九寨空港からの帰り。
セキュリティの前に何百人もが塊になって順番待ちをしている中、空いているレーンがあるのに開けようとしない。
そのうち、出発時間が迫った人たちが前に出ようとする。これは、普通は空港職員が先導して割りこませるものですが、職員は沢山いるのにぼんやり見てるだけ。
で、前から並んでいる人が「割り込むな」ということで怒鳴り合いが始まる。するとやっと職員がやってくるけど、何の役にも立たない。

結局、セキュリティを通るのに小一時間かかりました。その間、ぎゅうぎゅうに押されて大変でした。

国慶節や春節といった中国の連休に中国国内旅行をするのはやめといたほうが無難、ということですね。

上海高島屋 売上目標を再度下方修正

2013年10月01日 | 上海生活
今日は上海の中央やや北よりにある長風景畔広場というショッピングセンターに行ってきた。
ここにはユニクロ、しまむら、大戸屋といった日本ブランドと、H&M等が入っていて、地下には大きなスーパーがある。
ユニクロで買い物して大戸屋でランチという、東京にいる時と同じような平凡な週末を過ごせる。
地下鉄の駅に隣接していないのでロケーション的には良くないが、無料送迎バスを何台も走らせている。実は私もアパートの前から無料バスで行くことができる。

室内のアスレチックのような子供の遊具が沢山あり、子供連れを集客するような努力がされている。そのせいもありそこそこ人が入っているが、それでも2階から上はかなりの空きテナントスペースがある。
前から書いているように、上海の商業施設は完全に飽和しているのだ。
それなのに、まだまだ新しい商業施設が作られている。まったく何を考えているのかさっぱりわからない。

数日前、高島屋は上海高島屋の今年の業績見通しを発表した。それによれば、初年度の売り上げは当初目標の半分以下、50億円から60億円となりそうだという。
開店時に反日デモがあり、十分な宣伝が行えなかったことから知名度が上がらなかったことが不振の理由だとしている。

いや、反日はあまり関係ない。単なる言い訳に過ぎない。
正直なところ、私は高島屋に行く理由を見出すことができない。それほど特徴も魅力もない店舗なのだ。
この厳しい上海という市場で、もはや日本ブランドでごさいといって店を出しただけでうまく行くはずがない。長風景畔だって最初に書いたような努力をしている。

単年度黒字化までに10年かかるとの見通しらしい。
当面は価格と品揃えを見直しながらじっくりとロイヤルな顧客を育てていく方針らしいが、私は全面的なコンセプトの見直しをするか、さもなければすぐに撤退する方がいいと思う。