ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

自動運転に関するまとめ その5

2015年01月30日 | 自動運転
完全自動運転への道のり 2

自動運転とマニュアル運転が混在する世界では,運転者の責任という問題も無視できない。

完全自動運転の世界では運転者という概念がなくなるが,マニュアル運転では当然,事故が発生した場合の責任は運転者にある。
自動運転とマニュアル運転が混在する場合,車にはハンドルとブレーキが備わっており,たとえ自動運転中であっても非常事態が発生した場合の事故回避責任は運転者にあることになる。

クルーズコントロールを使っていて居眠りをし,追突事故を起こしたらそれは100%運転者の責任になる。これは当然のことだ。だからクルーズコントロール使用中も運転者は常に運転に集中する。
前方車両との距離を自動的にコントロールしてくれるアクティブクルーズコントロールであってもそれは同じだが,これが更に進化し,ハンドル操作までやってくれるようになると運転に集中することは難しくなって来るだろう。

また、たとえば運転中に突然前方に複数の人間が飛び出し,ハンドルを切らないと避けられないとする。
しかしハンドルを切る方向には歩行者が一人いて,そちらを轢いてしまうかもしれない。どういったハンドル操作をするかの選択は運転者にあり,結果には責任を負わなくてはいけない。
もしこの先自動運転が高度化した場合,このようなケースの判断はプログラムが行うことになる。例えば死傷者の数を減らすことが第一優先であれば,ハンドルを切り歩行者をはねることになるが,その場合飛び出して事故の原因を作った人間が助かり,なんの責任もない人間が被害にあうことになる。それを自動運転のプログラムが決めるということにはかなりな違和感がある。
これに対する答えは私にもわからないが、必ず出てくる問題となる。
自動運転専用レーンでも、先行する車の物理的なトラブルや予期せぬ落下物等があれば同じような事が起きる。

実際に自動運転を運用するには、こうした問題も解決しなければならない。

自動運転に関するまとめ その4

2015年01月29日 | 自動運転
承前

5.完全自動運転への道のり

既にGoogleは実証試験車を走らせており,かなりのデータを蓄積しているらしい。
しかし,当然のことであるが,自律式である以上は相当設定を安全に振る必要があり,近くに歩行者がいるとなかなか発進しない等,じれったいような運転になっているようだ。

これは今時点では仕方がない。

さらに言えば,自動運転車両が中途半端に普及した状態では交通流は悪化するだろう。
制御を安全に振るため,非自動運転車車両の動きを常にリスクが高い方に予測して運転をせざる得ないため,かなりな慎重運転にならざる得ない。
この,自動運転と非自動運転が混流する過渡期における渋滞悪化は難しい問題になる。
自動運転専用レーンを作る等,道路側での対応が必要となる。

さらに,道を走る車が全て自動運転車になったとしても,歩行者の問題が残る。
この先自律型の衝突安全装置は相当に精度を上げてくるだろうが、見通せない場所からの飛び出しには対応できない。
もちろん,すべての歩行者,自転車が通信機器をもって人対車通信を行い事故回避をすればいいのだろうが,その通信器を体に埋め込む様なことをしない限り,100%安全は保証できない。
人・自転車と車の混流は道路構造などで物理的に防ぐしか無いだろう。

完全自動運転の世界が実現するには相当な時間が必要となる。
それまでの間は自動運転とマニュアル運転のハイブリッドのような形となり,自動運転は専用レーンのみというようなことになる。そして専用レーンがだんだんと増えていく,というようなイメージだろう。
専用レーンからマニュアルレーンに出るときのワーニング等,克服する問題も結構多い。
相当に長い過渡期となるだろうが,しかしそうしない限り完全自動運転のゴールに辿り着くことはできない。

自動運転に関するまとめ その3

2015年01月26日 | 自動運転
承前

4.Googleが自動車会社を駆逐する?

AppleのCarPlayやGoogleのAndroid Autoがカーメーカーにとって脅威となる、というような記事が,特にIT系メディアでは見受けられる。
しかし,実際にはそんなことはない。少なくとも今時点のこれらは,単にもともとスマホができること(音声認識,ナビ,メール,音楽等)を自動車車内で安全に使うためのものであり,特段革新的な事ができるわけではない。「安全に使う」というのがキーで,何かを出来るようにするのではなく逆に「できることを制限する」プラットフォーム。

一部の論調では,アップルやGoogleが車載OSを牛耳れば車の制御も行うようになる,というのもあるけど,これはそんなに簡単な事ではない。
車の制御はCAN通信で行われており,基本的に各カーメーカーは公開していない。
CAN情報を読むだけならまだ簡単で故障診断装置などはアフターマーケットでも販売されているが,CANに介入することはカーメーカーの許諾なくしてはできない。
市場ではリバース・エンジニアリングで解析した自動ドアロックやアラームなどが存在するが,カーメーカーの承認はとれていない。

市販用品屋の世界ならそれでも良いけど,アップルやGoogleはそんなリスクを犯すとは思えず,カーメーカーとのタイアップで進めるしか無い。もちろん,カーメーカーが彼らに主導権を渡すわけがない。

一方,御存知の通りGoogleは自社で自動運転車を作り,試験走行を進めている。彼らは何を狙っているのか?交通事故死をなくすという社会的使命感で始めたという話はおそらく本当だろう。しかし,今となっては更に先を見据えているはずだ。

自動運転の補助として手動運転が残存するかぎり自動車メーカーに優位性はのこる。
車の制御に関するカーメーカーの蓄積は,新参企業が短時間で真似できるものではない。

しかし,完全自動運転の世界になったらどうか?
車の制御はより単純化される。すべての運転は想定された加速,減速のもとに行われる。
さらに,電動車ということになれば出力制御はさらに容易になる。

性能差がなくなれば,ハードウェアの優劣は信頼性とコストの世界になるだろう。
しかもカーメーカーが蓄積したノウハウが要らないとなれば,なおさらカーメーカーの優位性はなくなる。
もちろん,だからといってGMやトヨタという大企業が消滅するとは思えず,彼らは彼らなりの進化をすることになるのだが,この時「地図情報」と「ビッグデータ処理能力」をもつGoogleが,すでに「自動運転に関して先駆的なノウハウ」と持っていたら,市場の主導権を握るキープレーヤーの一つになることは間違いない。

WEB上では,そうした世界になればGoogleは無料の自動運転タクシーを走らせ,車内での広告でビジネスをするのではというような記事もあるが,もっと包括的なビジネスを狙っているのだろう。
広告付き無料タクシーというビジネスモデルが成立するなら,今すぐにだってできる。

自動運転に関するまとめ その2

2015年01月25日 | 自動運転
承前

3.完全自動運転の世界

遠い将来像を描くなら,すべての車は通信機器を備え,行政が管理するサーバーで処理され,すべての交通流が自動運転でスムースに流れる様になる世界だろう。
ここまで来ると交通渋滞は殆ど解消される。例えば信号待ちからの発進はすべての車が同時にスタートする。
いや、もしかしたら交差点では双方からくる車がどちらも止まらずに通過できる様になるかもしれない。
これはかなり先の未来の話であり,私が目にすることは多分ないだろう。

しかし,いずれはそうなる。そうした世界では,少なくとも車両の運行制御はルールに基づいて画一化され,カーメーカーの独自技術やノウハウは意味を持たなくなる。公共交通機関の乗り物に近いイメージとなる。
こうした世界が実現すると,自動車という耐久消費財に対する考え方が根本から変わってくることになる。

まず,自宅の車庫という概念がいらなくなる。
車は乗りたいときに呼べば,家の前まで自分でやってくる。バットモービルの世界。
行政が地下にでも共同駐車場のようなものをつくり,走っていない車は常にそこに収納されていればいい。
出先でも同じことで,駐車場を探す必要はない。降りたら車は自分で駐車場に入る。

さらに,車という商品には走行性能による差別化がなくなる。
すべての車は同じ加速,同じ最高速度で走り,同じように減速しカーブを曲がり,同じように止まる。
高性能車を所有する意味は全く無くなる。実質的に差別化できるものは乗り心地,内装の快適性やインカーエンターテイメントだけになる。
自動車メーカーは商品企画に対する考え方を根本から変えなくてはならなくなる。

さらに言えば、自動車メーカーは主導権をにぎることができなくなるだろうという論調もある。
次回はこの辺を考えてみたい。

自動運転に関するまとめ その1

2015年01月21日 | 自動運転
自動運転についてまとめてみようと思います。
かなり長くなるので何回かに分けて掲載していきます。

1.はじめに-なぜ自動運転なのか?
今年(2015年)のアメリカコンシューマーエレクトロニクスショー(CES)における自動車関連展示の中心は自動運転。ベンツ,アウディ,BMWといったドイツ系各社を始めとする各社が自社の技術を発表していた。正直,ドイツ勢がここまで本腰を入れている事に驚いた。車+通信は,すでに陳腐化してしまった「テレマティクス」から「コネクテッド・カー」と名前が変わったものの,それ自身ではここに至っても目新しい動きはなく,それも含めた中での「自動運転」がこれからのITSの最も重要なキーワードになることは間違いない。

自動運転はいわゆる「Fun to Drive」とは対極にあり,それをウリ文句にしてきたカーメーカーにとってはある種の自己矛盾となる。
一方で,我が国で年間5000人,アメリカで年間3万人に上る交通事故死のほとんどがヒューマンエラーに起因し,それを自動車というハードウェア側で減らすことができるのであれば,そちらに向かうことは当然カーメーカーの責務である。
さらに,自動運転は高齢者,障がい者のモビリティを飛躍的に向上させる。
これらを勘案すれば,将来車が自動運転になることは規定路線だと言える。

2.ASV
(1)ASVは自動運転への通過点
レーダや画像認識及びそれらの組み合わせによる自動ブレーキを中心に,自律安全機構がいま最も注目されている。こうした装備を備えた車を総称しASV(先進安全自動車)と呼ぶ。これが更に進化していくことは間違いなく,いわゆる「高度運転支援」の段階に到る。しかし,高度運転支援はあくまで運転支援であり,運転者の介在は必須であることから自動運転とは依然一線を画すものであり,この延長線上に有るゴールが自動運転だと考えるとわかりやすい。

(2)通信型か自律型か
ASVを実現する方法は大きく分けて二通りある。車両に搭載されたレーダーやカメラにより障害物を検知しするタイプ(ここでは自律型と呼ぶ)と,車両に搭載された通信装置が道路,他の車両,歩行者に設置された通信装置と交信することで障害物を検知するタイプ(ここでは通信型と呼ぶ)。
現在存在する自動ブレーキ等はすべて自律型で,通信型はまだ実用化されていない。
自律型は車から(レーダーやカメラが)見えるものしか避けられないことから,通信型がその進化形なのだという考え方もあるが,私は通信は将来にわたってあくまで補助にしかなりえないと思っている。

例として車対車の衝突回避を通信で行うケースを想定しよう。
これは言うまでもなくすべての車に統一されたプロトコルを持つ通信装置が装備されなくては機能しない。それには相当の時間が必要となる。万が一が許されない世界なので,何十年もかかるだろう。
さらに,フェイルした時の責任の所在が明確で無い。どちらかの車の機器か,サーバーか,通信状況かのいずれに問題があったのか,多分双方のデータ記録でわかるだろうが,大破して全焼することだってある。自律型であれば,責任はその車にしかない。

一方で,自律型はインフラ整備が進めばさらに進化する。
例えば,車両の画像認識をより正確にするために路側帯やセンターライン,交差点等のカメラ判定を容易にするラインの引き方をルール化することは,ペンキがあればすぐにでもできる。
同様に,車対車に関しても後部にレーダ認識を確実にするための統一規格による反射板などの設置を義務つけすることは,行政側が比較的簡単にできる施策だ。

車対車の通信型はかなりハードルが高いが,道路側からの通信による情報提供で安全運転支援をすることは難しい話ではない。
実際現在日本においてはDSRC通信とETC2.0車載器による路車間通信が始まっている。
しかしこれの安全運転支援への寄与は限定的でありその普及の道は遠く,世界ITS会議などで披露されているが海外の反応も鈍い。

通信は自律型センサーで感知できない障害物(見通しの悪い交差点やカーブ)検知,あるいは信号機との協調といった,自律型を補完する形であれば有効だろう。
(続く)

日本では何故DRL(デイタイムランニングライト)が違法なのか?

2015年01月12日 | 雑記
追記
2016年10月に日本も法規を制定しDRLが認められました。
ただしヘッドライトやフォグランプ点灯時には自動的に消灯する必要があり用品として後付は難しい。リレーを入れれば可能ですが最近の車はCANなのでうっかり回路をいじると他に問題が発生することが有ります。
ここまで

ここ中国ではデイタイムランニングライト(以下,DRL)はとても人気が高い装備になっている。
それは決して安全性ということではなく,AUDIやベンツ等の高級欧州車にかっこいいLEDのDRLが付いているから,というだけのことで,それは日本でも同じだと思う。

しかし,日本の車に付いているLEDのDRLは,実は法規的にはDRLではない,ということは案外知られていない。
欧州で義務装備となっているDRLは光度の下限(400cd)があるが,逆に日本であたかもDRLのように昼間点灯している灯火は「その他灯火」と呼ばれるもので,300cd以下でなくてはならない。
欧州車はDRL機能を削除するか,もしくは日本向にわざわざ光度を落としている。

欧州では400cd以上の灯火を日中点灯しないと違反,日本では300cd以上を点灯させると違反。

何故こうしたおかしなことになっているのだろうか?

実際には国交省は日本へのDRL法規の導入を検討している。下の文章は2009年の資料でまだ結論は得られていないと思うが,長い検討は日本人の得意技なので仕方がない。

「日本においては、日没前後の薄暮時間帯の四輪自動車の昼間点灯による二輪自動車の被視認性の低下の可能性等が懸念されることもあり、義務化を含めたその必要性について検討を進めていくこととする。」(安全基準検討会資料)

日本では既に薄暮れ時に二輪車の点灯が義務つけられているため,四輪車が点灯すると二輪車が目立たなくなる(被視認性の低下)ことが懸念される,ということだ。

しかし,朝晩の薄暮れ時にはライトを点灯しよう,ということが警察からは言われていたような気がする。
推奨される行為が,義務化されると二輪車への危害になるとはとても思えない。
また,「日本に於いては」と前置きがあるが,一体その他の国とどう違うのか?

ETC2.0普及促進キャンペーン

2015年01月09日 | ITS
ETC2.0普及促進キャンペーンが明日1月10日から始まる。
今まで散々書いてきた事の繰り返しになるが、何をやっているのかどうにも理解に苦しむ。

ETC2.0というのは以前はITS車載器と呼ばれていたもので,高速道路通行料金精算機能に加え路側機からDSRC5.8GHz帯電波を受信し,車載器(ナビ画面)に交通情報を表示する機能をもったETC。

それに対応するナビでないと機能しないが,ナビ側のコストアップは大したことがないので今販売されているナビの多くがこれに対応している。

しかし,問題はこのETC2.0対応車載器の価格が高いこと。

普通のETCなら実売価格は1万円を大きく割り込んでいるが,ETC2.0車載器だとまだ2万円以上する。

正直,現時点ではそれだけの出費に見合うメリットがないので,あまり売れていない。数が出ないから値段も下がらない。その悪循環を断ち切るということで,このキャンペーンをするのだろう。
5000円x1万台,5000万円のコストは一体どこから出ているのか。
通行料なのか税金なのかわからないが,利用者が払っていることに変わりはない。

国交省はすでに250億円だかの税金を投入して全国高速道路に路側機を整備した。これが素晴らしい物なら話題になり,車載器だって黙っていても売れる筈だが,実際はそうではないということ。

路側機に対する投資が無駄にならないようになんとか車載器を普及させたいということだろうが,10000台増やしたくらいでは焼け石に水だろう。

なんだかなぁと思う。

Goo Mail またグダグダか

2015年01月08日 | 雑記
このブログ、ご覧のとおりGooブログを使わせて頂いています。なのでメインのメールアドレスもGooメールにしてGmailに転送して使っているわけですが、このGoo Mailってのは見ていて笑っちゃうくらいグダグダ。

2008年にリニューアルが発表されたけど、謎の理由で実行されず。
2009年にはIMAPサービスの一時停止がアナウンスされ、それが半年以上の「一時」だったもんで利用者から苦情の嵐。でも2010年に一時停止。しかも、これは結局「技術的な理由で」再開されずにサービス終了。
同じころリニューアルがおこなわれたが、これがとんでもないシロモノで数々のトラブルが発生。わたしも2年分のメールが突然再送信されて、iPhoneが半日使えなくなった。(この時のトラブルはまとめサイトがあります)
このリニューアルは重くて使い物にならず、「ライトバージョン」なるのものを急遽設定しその場しのぎしていた。

その後、2014年には無料サービスを中止。グダグダだったくせに「ただで使いたい人はどうぞお引き取りください」ということで、これでユーザーは激減するだろうなと思っていた。

ところが2015年3月にまたリニューアルするという発表。これはただでは済まないなとおもっていたところ、案の定今日の昼からGooメールからの転送が止まってしまった。日本の実家の設備工事の関係で業者さんとやりとりしていて、約束のメールが来ないから苦情電話入れたら「2時に送ってます」との回答があり、そういえば昼から全然メールが入らないなとおもって調べたらわかった次第。
メールシステムを新バージョンに移行したけど、メール転送設定は引き継がれていないというのが原因だった。

リニューアル版は旧版の過去メールやアドレス帳を自動的に引き継がないから引越作業はユーザーさん自分でやってね、というとても有料サービスとは思えない仕組みになっているらしい。

さらにお笑いなのは、その作業が集中してサーバーがダウンしたらしい。

今日の午後からメールは新バージョンに入ります、でも過去メールとアドレスは引き継いでません

前のメールも見れず、宛先設定もできないから仕事にならない

皆さん即移行作業(あたりまえ)

サーバーパンク(なんという想像力のなさ)

こりゃ、きっとまだなんかあるなと楽しみにしてます。

追記

今日過去メールの移行作業をしてて途中でエラーになった人達は、メールが消えてしまったらしい。こりゃ怒るわ。

明けましておめでとうございます

2015年01月02日 | 雑記
新年、明けましておめでとうございます。短い一時帰国中。東京の家からアップしています。
※大晦日の上海外灘で発生した将棋倒し事故。36人の方が亡くなったとのことでご冥福をお祈りします。実はその24時間前にまさにあの場所で友人を案内して夜景を見ていました。

最近、テレマティクスは「コネクテッド・カー」と名前を変え、また新たなブームを迎えようとしているかに見えます。
しかし、だからといって昨年は私からみて重要なブレイクスルーだと思える事柄があまりなく、実際ITSに関係するブログのアップはほとんどありませんでした。
テレマティクスもコネクテッド・カーもその本質はあまり変わらず、結局のところは大したユーザーベネフィットを生み出すことはないと見ています。

ITSに関する、より重要な方向は自動運転にあると考えています。
これはインフラ整備を伴うこと、すべての車に装備されないと機能しないことなどから、一朝一夕で普及することはありませんが、将来の既定路線ということは間違いないでしょう。
自律型の自動運転装置と通信方式の適切な組み合わせで、まずは高速道路のような隔離された道路から始まるのではないかと思います。

中国で仕事をしていて切実に感じることは、日本製品の商品力の低下です。
ブランド力や製品の魅力では欧米に勝てず、コストでは韓国、中国製に勝てない。韓国、中国製品のクオリティは(上位企業製品に限っていえば)確実に向上しており、そのスピードは日本人が想像しているよりはるかに速い。
日本製品の商品ポジションが空洞化しつつあるのですが、これを日本企業は切実に理解していないのではないか。

例えばスマホ。
SONYのエクスペリアは未だに、「カメラ性能に世界が驚く」なんてTVCMをしているが、そこに未来はない。
シャープのアクオス・クリスタルという端末、縁まで液晶の先進的デザインで発売時にはかなり話題になったけど、いまソフトバンクで投げ売りしている。(3Gガラケーからの乗換なら外部スピーカー付きゼロ円、かつ13,000円の通話割引)
もうその程度のハードウェアの進化ではブレイクスルーにならないのでしょう。それを得意技としてきた日本企業はこれからどんどん苦境に立たされる。スマホはわかりやすい例だけど、車だってその他の家電だって同じです。

テレマティクスと同じくらい話題先行で実体がともなわない「ウェアラブル」にしても、これこそ生活の質を向上するソフトが伴わなければ商品としては成立しないという意味で、日本企業が最も苦手とする分野です。
すでにエコシステムをもつAppleやGoogleですら一筋縄ではいかない商品。残念ながら日本企業がここでヒット商品を出せる可能性はほとんどないと思います。

かなり悲観的なことを書きましたが、2015年が皆様にとってより良き年でありますようお祈り申し上げます。