ETC2.0による高速道路渋滞回避割引については昨日のエントリーでYOMIURI-ONLINEを引用したけど、このResponseの記事のほうがより詳しいので再度紹介。
『ETC 2.0』普及へ前進、経路別の料金優遇などサービス具体化へ
ポイントは以下の通り。
・ETC2.0普及策の目玉は経路別の料金優遇
・ETC2.0でないとそれは受けることができない。
引用
従来の車載器の場合、個別車両の経路情報はETCの料金所単位でのみ把握しているため、流入した料金所から流出した料金所までの間に複数のルートがある場合には、どこを通ったかわからないのが現状だった。
・ETC2.0は車載器にGPSと連動した経路記録が残りそれをアップリンクできる。また途中経路に設置されるITSスポットでもID情報がアップリンクされるため、どこを通ったがが把握できるということ。
・現行のETCの場合でも料金所の出入りは把握可能。しかし意図された経路誘導以外のケースでも割引が適用されてしまうからETC2.0に限定して割引を行う。(とは書かれていないが、そうとしか読み取れない)
しかし、果たして途中経路が異なる車両を割引対象外にすることにどれだけの意味があるのだろうか。
この目的は渋滞緩和だといっている。現在、従来型ETCは5000万台。一方でこれまでに販売されたETC2.0対応車載器は67万台。本当に渋滞緩和が目的であれば、料金所出入りの管理だけで割引をするほうが効果ははるかに高い。
さらに言えば、高速道路だけを走行する場合の経路誘導による割引も、途中に首都高出口のような路側通信機を設けることで通常のETCでも対応可能なはず。
もう一つのメリットとして謳われているプローブ情報の収集だが、これは民間の通信ナビのプローブ情報が既に存在する。それを活用する方が安上がりなのではないか?いまさらのように感じる。
2009年に「ITSスポット対応車載器」という名前でスタートし、250億円をかけて全国高速道路にITSスポットを設置、サービスエリアや道の駅にも情報スポットを設置したが全く普及せず、その後何回もモニターと称するキャッシュバックキャンペーンを打っても認知は上がらず、名称をETC2.0に変更したがいまだに67万台。それもほとんどは高級車のメーカーオプションだったりするような状況。
我が国のITS施策の目玉ではじめたもので、250億円投資してITSスポットを設置しちゃった以上投げ出すわけにもいかず、かといってこのままではこれ以上の普及は期待できないので、苦肉の策で「ETC2.0なら料金割引適用になります」と言っているようにしか見えない。でも、渋滞緩和のための交通流調整という重要な目的があるなら通常ETCでも適用となるように考えるべきだ。
(蛇足だけど、渋滞回避で一般道に誘導したら一般道が渋滞するよね。実際に有効な運用につながるのかな)
国交省は、渋滞軽減のための経路誘導割引をなぜ通常ETCに適用しないのか、明確な説明をするべきだろう。
http://response.jp/article/2015/07/28/256641.html