ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

ETC2.0は駐車場決済に使われるのだろうか

2016年03月27日 | ITS
ETC2.0の謳い文句に、将来的には各種決済に使われるようになる、というのがある。
その中には「ドライブスルー」「コンビニ」「ガソリンスタンド」等、ほとんどありえないものも含まれている。ドライブスルーのヘビーユーザーなんていないし、キャッシュレスがそんなに需要があるのなら、まずはフェリカだろう。ガソリンスタンドにしても、セルフならどうせ車から降りて機械を操作するわけで、その際にクレカを挿入しなくてもいいという程度の利便しかないので、それで客数は増えない。したがってスタンド側に導入設備投資のモチベーションはない。
ノンストップ決済以外、ETC2.0決済の拡大はない。

そういう意味では駐車場は唯一可能性がある分野であることは間違いない。
実際北京首都空港の駐車場はETC決済できる。

しかし、これも実はかなり道のりが遠いのだ。

一番やっかいな問題は、商業施設付属の駐車場における割引処理。これをするためには、ETCカードを持ちだして何らかの機械での操作をする必要があり、完全ノンストップではなくなる。また商業施設側もこれに対応するシステムを新規に導入しなければならない。

次に、そうした制約がない民間駐車場の場合だが、導入が客数増加につながらないのでその投資は難しい。駐車場は単純に近くにあるのを選ぶ。遠くてもノンストップ決済の方を選ぶという人はいない。
料金所無人化で人件費削減ができるということもあるが、結局100%ETC支払いにならなければ人は必要だし、大手はすでに自動精算機で省人化が進んでいる。

したがって、ETC決済の駐車場は投資採算を考えなくてもいい官営か、それに近い空港駐車場等でしか当面は実現しないだろう。

コインパーキングは料金精算が面倒なのでETC決済できる方を選ぶという事はあるだろう。分単位の課金もできる。ここが民間駐車場拡大の唯一の可能性だと思う。TIMESあたりが思い切って投資をするというシナリオはあるかもしれない。しかし投資額は相当なものになる。ビジネスケースが成立するかどうか。

なんで正義の味方になりたがる?

2016年03月27日 | 雑記
昨日、福山雅治のガリレオ劇場版を見た。中国ではインターネットTVに規制が入り(これは法的には全く正しいのだが)、多くの駐在員が日本のテレビをリアルタムで見れなくなっているが、我が家は幸いまだ大丈夫。
冒頭、一人旅の少年が列車の中で安否を気遣う母親からの携帯電話を受けるシーンで、隣のボックスの老人が「マナー違反だ」と携帯を取り上げるシーンが有った。
勿論これは映画なのだが、実際にもありそうな話だし、日本で同じようなことを目撃したこともある。

満員電車で大声でどうしようもない話を延々とされるのなら文句をいうのもわかるが、どう考えても上記のようなケースは自らに被害はないし、内容的にも十分常識の範囲だと思う。
単に社会の決まりを守らないことに対する義憤でしかないのだが、これに限らず最近こうした風潮が加速している様に感じる。

実際にはそうした感情は昔からあったのだろうが、SNS等で意見を簡単に表明できるようになったから目立つし、いわゆる炎上という状態になるというのが正しいだろう。
しかし、最近頻出している他人の浮気というようなプライベートな問題になんでそんなにムキになるのだろうか?
どうにも、世の中を白か黒かに単純に切り分け、安全な正義の側に立って悪の帝王を叩くということで不満のはけ口にしているように感じる。それは確かに気持ちいい。
でも、なんであれ世の中は水戸黄門みたいに単純ではなく、それを前提としないと物事は解決しない。

ショーンK問題にしても、多少似ている。
履歴書詐称の問題であり、詐称は許されないからここを擁護する気はない。

でも、これって車海老騒動と似ている。みんな美味しいと思って食べてたんでしょう?ブラックタイガーだとわかったら急に不味くなるの?
私は報ステはあまり観ないが、時々目にしていた限りではルックスがよく、誰にも否定出来ない当たり障りないコメントを意味ありげに話すので、テレビ局的にも使いやすいだろうし、視聴者にしてもルックスでいえはすくなくもとモリタクよりは気持ちいいだろう。

彼の経歴詐称はボコボコにされているが、MXテレビが使っているゴルフ好きの某氏は業務経歴を詐称していたが未だにメディアに出ている。
多分、彼は訴訟とかが好きな「めんどくさい」人なのと、「反権力系」の人たちに擁護されてるのだろうが、コメントで嘘を言わないショーンK氏のほうが遥かに実害はないように思う。

舛添都知事の欧州大名旅行 その2

2016年03月26日 | 雑記
前のエントリーで航空料金の計算が合わないことを書いた。
別のソースで、ビジネスが120万、エコノミーが64万円だったと書いてあった。(これで計算すると1440万円を超えるが)
本当なら大馬鹿だと思う。これは割引料金ではない。
64万円だしてエコノミーにしか乗れないなんて、その人達は本当に可哀想だ。
邪推するに、正規料金のエコノミーチケットという普通はありえない切符を買った人は通常空いていればビジネスにアップグレードしてもらえる。今回はそれなんじゃないか?

勢いでもう少し書いてみる。

宿泊したホテルが高級すぎるという批判もある。どこに何泊したのかは公開資料にないので分からないが、金額をみるに確かに高級なのだろう。
私は海外で宿泊するときは次のように決めている。
社費での出張の場合は一泊一万円。アジアの場合は一万円以下。円安なので今はちょっと厳しいかもしれないが、いずれにしても80ユーロとか100ドルを目安にしている。
プライペートの場合は、観光にでかけホテル滞在時間が少ない場合は4つ星、リゾート型滞在の場合は5つ星。折角の海外旅行なのでプライベートではあまり金額は気にしない。
そもそも出張で行く場合は仕事が終わってからも何らかの懇親があり、ホテルでは寝るだけだ。高級ホテルに止まる意味は殆どない。清潔で快適なベッドとシャワーさえあれば後は何もいらない。

会社の金で贅沢をするというのは非常に卑しいことだと私は思っている。
都知事の場合は会社の金ですらない。我々が払った税金だ。その辺を認識しているのだろうか?

多分、あの金額を支払っているということは都知事の部屋はスイートだと思う。幹部がスイートに宿泊する理由は、来客を招き入れる、スタッフとの打ち合わせをプライベートな空間でできるからということで、それなりに意味があり否定はしない。しかし、最高級ホテルのスイートはバカバカしく高い。そういう使い方をされたのだろうか?
現地の相手先に対するメンツもあるので安いホテルには泊まれないということはあるだろうが、今回の訪問目的(ラグビー関係)からはその必要は余りなさそうだ。
確かにロンドン・パリのホテルは高い。だからこそ少し格を落とすべきだろう。

昔、なかなか海外に行けない時代には民間企業でも海外出張は一種のご褒美のような側面があり、それなりに贅沢をしたいというのがあったと思うが、今はそんなことはみじんもない。官の感覚は民間と相当乖離しているように思う。

この出張での公務はラグビーワールドカップ東京大会に関する講演。20人で行く理由も全くわからない。

遊びに行きたければ自費でいけ。

舛添都知事の欧州大名旅行 航空運賃を検証してみた

2016年03月26日 | 雑記
昨年10月に舛添都知事一行20人がパリ、ロンドンに出張し5000万円を使った件で、都はその費用内訳を公開した。
まず最初に言うべきは、石原都知事時代の経費と大して変わらず舛添氏が特に問題だということではない。おそらく都は今までこうした金銭感覚でずっとやってきたということだろう。

運賃総額が1440万円。

この内266万円が都知事のファーストクラス。
私も今まで2回ファーストに乗っている。一度は自腹、もう一度は以前会社がビジネスを許容していたことのアップグレード。それで感じたが、ビジネスとファーストには絶対にその価格に見合う差はない。俺は偉いんだからファースト、という自己顕示需要を満たすために設定されているようなもので、私が知事なら同行者とビジネスに乗る。

まあ、それはそれで良い。都知事がファーストに乗るくらいは良いだろう。
しかし、それ以外の計算が合わない。

公開資料では「割引」ビジネス 7名 「割引」エコノミー 12名となっている。

基本的に航空会社が設定するビジネスやエコノミーの正規料金は、実際にそれで搭乗する乗客なんていないことを前提としている。まあ、割引表示のベースと思えばいい。
したがって、「割引」で乗るのは当たり前なんだが、その割引チケットにも色々ある。一番高いのが当日でも買えるもの。事前予約のほうが安くなる。

まさかこの旅行のチケット予約が一週間前に出来なかったとはおもえないので、JALの7日以上前に予約するタイプの料金を調べてみた。
出発日によって差があるので、一番高いレベルでいうと
ビジネス 60万円 エコノミー 28万円。 なおエコノミーはシートの広い「プレミアムエコノミー」のもの。

これで計算すると、266万円+420万円+336万円=1,022万円。

これは一週間前以前に予約する割引チケットの中で一番高いタイプなのだが、それでも全然計算が合わない。一体都はどんなチケットを手配したのだろうか?
出入りの旅行代理店はいい商売をしているようだ。
なお、これは偶然かもしれないが、知事以外の19人全員が60万円のビジネスであれば計算が合う。

ここからは一般論。
エコノミーにはもっと安いチケットも存在する。
それのデメリットは日程変更ができない、その便がキャンセルされた場合の振替優先順位が下、というような制約だ。
企業の出張では通常、日程変更に柔軟に対応するために高い割引チケットを使うことが多いが、これはよく考えたほうがいい。

超忙しい方ならまだしも、海外出張日程を変更するような事件はそれほど起こらない。
携帯だって海外で繋がるわけだし。
(この出張、海外携帯借上げ等で220万円計上されてるが、これもどうかしてる。一人10万円!新品のiPhone買って、使い終わったら捨ててきたのか?普通に公務の携帯で海外ローミングすれば済むはなしだろう)

払い戻し不可の格安チケットの場合、どうしても日程変更が必要になったらチケットを捨てて買い直せばいい。出発を変更したケース、日程が現地で変更になったケースがどれだけ合ったからを調べれば簡単にシミュレーションできる。発生リスクの被害額と発生頻度で割り出す簡単なリスク評価だが、おそらく超格安チケットに分があると思う。

上海アピタは頑張ってほしい

2016年03月24日 | 上海生活
上海の商業施設はどこもかしこも厳しい状況が続いている。特に物販店が厳しい。主たる原因は消費の後退ではなく、売り場面積の過剰と通信販売の急激な拡大にある。
中国では一般商店の品ぞろえが十分でなく、専門店街で何軒も回らないと目当ての商品にたどり着かないことが多い。また一般商店では必ず価格交渉が必要となり、中国人でもそれは面倒だと思っている。さらに通販の運送料が日本に比べると格段に安く、ほとんど気にならない。そういった事情から、一旦通販を利用してしまうとやめられない。

上海西部、日本人も多く居留する地下鉄2号線「娄山关路」にアピタが開店して一年以上経過する。
ここは立地のよさ、品ぞろえ、同じビルに入っている日本食系レストランの多さから在留邦人の人気を集めている。
中国人の人気も高くアピタが入っている金虹橋というショッピングセンターは最近できた上海の商業施設の中ではかなり健闘していると思う。

しかし、比較的うまくいっている金虹橋ではあるが、地下鉄駅から地下でつながりアピタ本体やレストラン街がある地下2階はいいのだが物販中心だった地下1階に行ってみて驚いた。これほど集客力があるSCなのにほとんどがシャッター街になっているのだ。
それほどまでに上海の実体物販店は厳しい。物販よりは好調なレストランにしてもかなりの頻度で入れ替わっていて、決して楽に儲かるわけではない。

小売・飲食で進出を計画されている方は十分な市場調査をされたほうが良い。気を付けなければいけないのは、在住歴の長い邦人の意見。彼らは昔の全く違う中国で生活をスタートし、そのやり方で生きてきて中国の変化についていけてないケースが往々にしてある。10年前の上海と今の上海は別の世界だと思ったほうが良い。スマホソフトを使いこなして生活しているような人からアドバイスをもらうべきだ。

このような状況下、西に1キロ程度しか離れていない威寧路でも5月に新しく大型SC(BINGO広場2期)が立ち上がる。全く理解に苦しむ。ここは大型駐車場を構えた郊外店で、ここより西には大した商業施設がないからそれなりの勝算があるのだろうが、すでに営業しているBINGOの1期もそれほど繁盛しているようには見えない。

アピタ(ユニー)は本体が苦戦して日本ではかなり店舗整理をしているという。
在留邦人はみな応援しているので上海はがんぱってほしい。

iPhone SE は新商品ではない

2016年03月23日 | モバイル・ウエアラブル
まず初めに言っておくと、わたしはAppleアンチではない。むしろ信者に近い。
それでも、というかそれだからこそ言いたいが、この商品は賢いマーケティングからもたらされたコンサバなつまらない結論、というようにしか見えない。

なぜメディアがあたかも新製品のような報道をするのか不思議でならない。画面が小さくなったとか、4インチを採用とか、外見は5sに似ているとか。

私が言うまでもなく、これは5sのマイナーチェンジであり新商品ではない。ハード的には6s同等、いくつかのフューチャーが追加されているがそれでもマイナーチェンジの域を出ていない。そもそも5sから5seへのマイナーチェンジだったのだろうが、新しさを出すために5をとって単にSEとしたのだと推測する。

2015年にAppleは4インチのiPhoneを3000万台売った。その販売を継続するために5sの商品強化をする。その際の商品企画として、6sをプレミアム商品と位置付けブランドを毀損しないようにデザインは変更せずにハードを強化し価格を概ね据え置くという変更を施した、ということだろう。だから当のAppleも「ヒット」するとは思っていない、いままでくらい売れればいいと思っているのではないか?
4インチはローエンド商品という位置づけにして外観を変えずハイエンドからの下方シフトを防ぐ、守りの商品企画だ。

4/5からの買い替えはないだろう。安いとはいえ5万円の出費。ときめきのない見た目が変わらない商品に買い替える人がそう多いとも思わない。4インチの使い勝手を重視するユーザーは多いが、その人たちの選択肢は「しばらく今のを使い続ける」になる。
中身は6s、という部分にどれだけのアピールがあるか。いま5sを使っている人になにかハード的な不満があるのか?iPhoneユーザーでプロセッサーの処理速度に興味を持つ人がどれだけいるか?ごく一握りだろう。

4インチの使い勝手を優先するユーザーが実際多いのであれば、筐体をかえた新商品を出すべきだったのではないかと思う。

新しいことをしないAppleなんて面白くない。

自動運転のまとめ その幻想と真実

2016年03月21日 | 自動運転
自動運転についてはいままで散発的に書いてきたが、この一年、日本でも自動運転は相当話題になっている。しかしメディアの報道などを見るとまだ理解が浅く、単純にバラ色の未来やトンチンカンな懸念が示されてるが肝心な本質的なものが見えていないと感じる。
結構長文となってしまったが、できる限りポイントに絞ってまとめてみた。

1.高度運転支援と完全自動運転(レベル4)
自動運転にはレベルが0から4まで設定されている。たとえば自動ブレーキはレベル1。ここではその詳細には踏み込まないが、レベル3と4には技術的な差はなく、どちらも人間の介在なしに目的地に到達できる。では何が違うのかというと、レベル3では緊急時にドライバーが対応しなければならない。レベル4では人間は全く運転に関与しない。ロボットタクシーというのはこのレベル4になる。
ハードウェア的にはレベル3と4は殆ど同じだが、商品としての価値は全く異なる。
しかし、この二つを明確に区別せずに議論されているケースが多い。

基本的にカーメーカーはレベル1から段階的に自動運転を進めていき、レベル3をゴールにしたい。その理由は2つ。
レベル3は個人所有が前提となるがレベル4が実現すれば車は必ずしも個人所有する必要がなく、カーシェアリングの方向に行くことが想定されている。カーメーカーが付加価値の高いビジネス(ブランド価値、アフターセールス等)を維持しようと思ったら個人所有は譲れない。
また、数多くのPL訴訟を経験しているカーメーカーは万が一の事故発生時に100%責任をとるというリスクを簡単にはとらない。最終責任は運転者とするマージンを残したい。

レベル3まではドライバーによる運転がのこされている。加速感、ステアリングの応答性といった官能性能がまだ要求される、この分野は各自動車メーカーが長年蓄積した秘蔵のレシピをもっており、異業種に簡単にまねができるものではない。レベル3までならカーメーカーは自分の土俵で相撲が取れる。

一方、IT企業、特にGoogleは一足飛びにレベル4を目指している。彼らは万人にモビリティを提供し、その上で交通事故、渋滞、環境負荷といった自動車の負の側面をなくしたいという純粋なゴールを持ち、結果そのエコシステムを牛耳ることで利益を得ることを考えている。その際にカーメーカーは単なる入れ物のサプライヤでしかない。それはカーメーカーとしては最も危惧する事態になる。

当初、カーメーカーはレベル4には立ち入らない方向であったが、最近風向きが変わってきている。IT企業のスピードの速さから、フィルムからデジタルのようなとてつもなく大きなゲームチェンジとなる可能性があることを認識し始めたのだ。それは大手カーメーカーの最近のモーターショーでの展示やトップの発言にも見て取れる。

しかし、レベル4の世界でカーメーカーがそのエコシステムの中でどのように利益を得ていくのかは現時点では不透明だ。

2.レベル4の世界
レベル4の実現は人々の生活にきわめて大きな変化をもたらす。
車は呼べば来る。降りれば勝手にいなくなる。そうなったら自家用車を所有する意味はあまりなくなる。一台の車はおそらく10人程度のユーザーでシェアすることになる。これは特定の10人という意味ではなく、計算上ということ。いずれにしても一人一台車を保有するよりは、カーシェア運営会社の費用・マージンを乗せても割安になるだろう。

配車が効率的に集中管理されれば車の実利用率が上がり、資源の有効活用になる。
子供、老人、障害のある人たちのモビリティが確保される。
システムエラーや落石などを除けば交通事故はなくなる。
すべての車が自動運転になれば渋滞は解消する。

以上のように、レベル4、完全自動運転の社会は理想的なものになり、これが究極のゴールであることは間違いない。

3.レベル4で出現する新市場はあるのか?
完全自動運転になったら運転から解放されるので車内でのビジネスチャンスが広がる。それをGoogleは狙っているという人もいる。しかしそれはどうなのだろうか?
運転から解放されている移動手段という意味では、今でも普通のタクシーがそうだ。
運転から解放されたらスマホをいじるか、景色を見ながら考え事をする人が多いのではないか?車が行先のホテルや観光地、レストランをリコメンドするというようなビジネスモデル言う人も多いが、実際そんな場面は極めて限られる。これはテレマティクスで散々いわれていたが、別にそんなこと車にのってから車に教えてもらう必要なんてない。
しいて言えば朝の通勤時の朝食サービスくらいだろう。事前に注文をいれ、路面店の窓口で受け取るというようなものか。
おそらくGoogleも検索エンジン型ビジネスが自動運転車のエコシステムの根幹をなすとは考えていないだろう。

4.レベル4実現への問題点
自動運転の問題点としてよく取り上げられるのがハッキングだ。ハッキングすることで恒常的に利益を得ることができる闇のビジネスモデルが成立するなら問題だが、考えられるのは愉快犯や特定の人物の暗殺。後者は別にこの方法以外でもできることであり、通常なら特段心配する必要はない。
本当に怖いのは大規模テロだろう。自動車爆弾の心配もあるようだが、これとて今あるラジコンのローテクな装置でもできること。それよりもある一国の車を同時にハッキングしてブレーキを無効にするというような事態が恐ろしい。
とはいえ、運転操作へ介入するゲートウェイに制限を設ける等の対策で技術的には対応できるだろう。
本当の問題はそんなところにはない。

まず、レベル4の車両が自家用車を保有する程度のコストでいつでも利用できるようになり、駐車場が不要になれば、だれも通勤通学に電車を使わなくなるだろう。これの影響は大きい。
公共交通機関の収益は成立しなくなり、公共交通は自動運転に集約されることになる。
そうなると、いかに効率のよい自動運転車とはいえ、朝晩や週末のピーク対応が必要になる。一台の車をシェアするユーザー数はとても10人とはならず、せいぜい2-3人となり、平日昼間の閑散時には車庫に車が溜まることになる。
少なくとも通勤用はライドシェアの仕組みがないと成立しないだろう。

次に、レベル4ですべての車がロボットタクシーになると車という商品の性質が全く変わってくる。カーメーカーの個性は不要となり、運営会社の指定する仕様の車を一番安く供給するメーカーが受注することになる。ニッチマーケットは存在しないので、3位以下のメーカーは軒並み廃業になり、全世界で数社の巨大メーカーが運送機器サプライヤ―として薄利多売で競争していくことになる。

同時に周辺市場も軒並み消滅する。保守点検は管理会社が一括して行う。自動車販売も運営会社とのフリート商談だけとなり、ディーラーも中古車業も消滅する。自分の車ではないから個人向け自動車部用品マーケットも消滅する。個人向け自動車保険もなくなる。
車両製造業者としての自動車メーカーは生き残るかもしれないが、その他の自動車関連の雇用は殆ど消滅する。

自動車部品も相当の変化が出てくる。操縦系部品、衝突安全系部品、UI系部品は消滅する。自動車関連産業でどこが勝っても負けても必ず勝つのはカーエレクトロニクス業界だけ、ということになる。

もう一つ厄介なのは倫理的な問題だろう。
自動運転車であっても絶対に避けられない事故はある。ブレーキ性能ではカバーできない飛出しや落下物では事故が発生する。止まれない状況になり、たとえば右によけると子供が一人、左によけると二人の老人がいるとしたら、どちらによけるのか?
危険にさらす人数を少なくするのか?将来のある子供を助けるのか?誰の命を助け、誰を助けないかをコンピュータにゆだねるのか?そして、その判断の結果やむを得ず轢いてしまった人の遺族にプログラマーはそれを説明できるのか?
人間が運転している場合は無我夢中でハンドルを切った結果であり、こうした倫理的な問題は発生しない。しかし自動運転車はコンマ何秒の間にそれを判断することができるのだ。
これについてはまだ回答が得られていない。

5.レベル3からレベル4へ移行
より厄介な問題は、レベル3から4への移行期だ。
カーメーカーが本気で取り組んでいるから、レベル3車はいずれ出てくる。2020年にはかなりの部分を自動運転可能な車両が登場するだろう。
しかし、そこからレベル4に行くのは大変だ。
(1)事故責任
先に述べたが、レベル3の車が事故を起こした場合の責任は運転者にある。周囲をはしる非自動運転車両が突然突っ込んできた場合、それをよけることができないとしてもカーメーカーに責任はないし、カーメーカーが事故調停の当事者になることもない。
しかし、これがレベル4であれば、事情はどうあれカーメーカーがすべての事故の当事者になる。これはカーメーカーとしては無理だろう。
(2)渋滞
完全自動運転車両だけの世界では、周囲の車両の挙動はすべて予測可能であり自動運転車は見込み運転が可能で渋滞は解消されるといわれている。しかし移行期、非自動運転車や歩行者がいる場合、完全自動運転車は制御を可能な限り安全に振る。交差点等では極めて慎重な初心者のような運転にならざるをえない。これは深刻な渋滞を引き起こす可能性がある。
(3)インフラ
結局のところ、レベル4車両はレベル4車両専用地区、しかも人・自転車と隔離された専用道路での運用からスタートするしかない。それをだんだんと拡大していくということになるのだろう。これには車の問題以上に都市計画の問題が大きい。
東京オリンピックでは東京の街をロボットタクシーが走り回る、と安倍首相はいったが、それには相当なインフラ整備が必要であることを認識しなくてはならない。
すべての車がロボットタクシーとなった際の都市デザインは今とは全く違うものになるだろう。

5.まとめ
・完全に自動運転が可能な車でも、ハンドルがついているもの(レベル3)とついていないもの(レベル4)は雲泥の差がある。
・カーメーカーはレベル3への進化を進め、そこをゴールとしたい。
・IT勢は一足飛びにレベル4を目指している。
・万人へのモビリティ付与、交通事故死ゼロを実現するためにはレベル4であり、いずれはそこに行きつくことになる。
・レベル4の世界になると車は完全なコモディティとなり、カーメーカーは製造以外の付加価値をつけることができなくなる。これは完全なパラダイムシフトであり、産業構造と社会インフラに大変革をもたらすことになる。
・運転から解放されることで新市場が出現するというのは幻想でしかない。
・もっとも難しいのはレベル3から4への移行であり、それには相当の期間がかかる。

高速道路の路線番号

2016年03月14日 | ITS
乗りものニュースに清水草一氏の「高速の路線番号、日本にどう導入? インターの“迷う標識”も懸念」という記事が載っている。
内容には100%同意。コメント欄に(YAHOOニュース含め)否定的な意見が多いのには驚いたが、おそらく海外にいって自分で運転するなんて想像もできない人たちなんだろう。

去る1月、スペインでレンタカーを借りて運転した。Googleナビを使っていたが、それでも道路番号がないと不安だったとおもう。ナビの指示が「この先20キロA22を道なり」と言われたら、分岐でもA22を見ていればいい。アルファベットの地名は咄嗟には頭に入らない。印欧語圏の人にとっての日本語のローマ字はもっと厄介だろう。タイの地名アルファベット、たとえば「Suvarnabhumi」が全く頭に入らないのと同じ。

基本、運転中にそうした複雑なことを考えさせてはいけない。注意散漫になる。直感的にわかる記号のほうが良いに決まっている。リンク先記事の最初のページにある写真でもわかるが、ローマ字の表記はかなり小さく読みにくい。これを瞬時に判断しろというのは無理だと思う。

また、もう一つの論点である東西南北表示もその通りだと思う。ナビを使うようになってからはあまり気にならなくなったが、中央道の長野あたりで隣のインターまでいくときに「東京か名古屋か」といわれて戸惑った記憶がある。

これは高速道路に限らないが、日本の公共表示は「漢字を全く読めない人がいる」という前提でチェックされていないと思う。最たる例は料金所。SAやPA等にはアイコン表示があるが、料金所の非ETC車用レーンには漢字で「一般」としか書かれていない。予備知識なく侵入した外国人はどこに入っていいかわからず焦るだろう。「一般」がなにを意味するのか分からないが、そこに恐る恐る入るしかない。「一般」を「閉鎖」だと判断しETCレーンに入るかもしれない。
こうしたことも事故につながる。台湾でも英文が併記されている。スペインではカードやコインのアイコン表示があった。


前のエントリーで書いた通りオリンピックで外国人旅行者が増加するとは思えないがこの先グローバル化がさらに進むことは間違いない。公共表示は人間ならだれでもわかるユニバーサルデザインにしていくことは極めて当然なことだと思う。

オリンピックを前にライドシェア解放を検討ってどういう意味?

2016年03月10日 | ITS
Uberのような自家用車を活用したタクシーサービス(今のところ誰にでも通じる日本語の固有名詞がないので取り合えず「ライドシェア」と呼ぶ)に関して安倍内閣が解禁の検討をしているという。
それに対してタクシー業界が反対するのは当然で、すでに解禁されている外国では相当な反発がでている。
それ以外に、安全面等での懸念がメディアなどから上がっているが、これは運転手の資格、身元管理を運営会社がしっかり行えばよい問題。運転手の身元がスマホに表示されるライドシェアの仕組みのほうが、偽造かもしれないネームプレートよりも信頼できる。少なくとも中国では。さらに乗車後の評価システムがあるからか、中国では通常タクシーよりはるかにドライバーの質が良い。

さて、日本政府が解禁を検討している理由として、2020年の東京オリンピックに向けて外国人観光客が増加するから、ということが言われているらしい。

本当か?

オリンピックってそんなに外国人観光客を呼べるのか?
少なくとも私は海外のオリンピックを見に行こうと思ったことはない。また周りに海外のオリンピックを見に行った知り合いもいない。
1964年の東京五輪では確かに海外からの観光客は来たと思う。でもその時とは全く状況が違う。
やっとテレビがカラーになり、海外衛星中継も限られていた時代。また多くの欧米人にとって当時の日本は敗戦国から驚異的な速度で立ち直ったミステリアスな異国であり、オリンピックで外人受け入れ態勢をとったということが日本旅行へのきっかけとなったのかもしれない。

しかし、言うまでもなく現在の状況は全く異なる。
いまや、海外のオリンピックを見に行く人って、身内や友人が出場する人だけじゃないの?とすら思う。

でもなぜか「オリンピックをやると海外からの観光客が増える」とどんなメディアも全く疑わずに報道している。
また、それがあたかも常識であるかのようにインフラ整備が進む。結果外人に便利になれば結果として海外からの観光客も増えるかもしれないが。

まあ、100歩譲って海外からの旅行者が増えるとして、果たして彼らがライドシェアを使えるのか?
少なくとも中国のライドシェアである滴滴は簡単な中国語ができないと使えない。いかにスマホの地図上で場所指定ができるとはいえ、必ず運転手との会話によるピックアップ地点の打合せが必要となる。むしろ、ライドシェアは海外からの旅行者は使いたくても使えない物なのだ。

運転手との連絡を英語でできる外人限定版のライドシェアシステムを作ればその問題はなくなるが、果たしてどれだけのドライバーが集まるのか。呼んでも30分待たないと来ないなら、捕まえにくくてもタクシーに乗ったほうが良い。

滴滴出行(滴滴専車)の使い方

2016年03月09日 | 上海生活

2019年10月アップデート。
中国は状況が目まぐるしく変わるのでこの記事は古新聞です。車両のランクとかは全く変わっています。
また、現在は中国の銀行口座がないと支付宝、微信支付ともに使えない(入金ができない)ので、滴滴を旅行者がつかうことは難しいと思います。
唯一の方法は、微信にパスポートとVISA等の国際クレジットカードで実名登録(この国際クレカは決済には使えない。実名登録の証明用)、
その後WINDOWSで微信アプリをダウンロード。次に誰かから微信のアカウントに送金をしてもらい、WINDOWSアプリ上で受け取る、ということでチャージができます。(これは単に抜け穴だと思われます)

最新状況にアップデートしました。(16年5月)

最近スマホでタクシーを呼ぶ人が増え流しのタクシーがなかなかつかまらない上海ですが、だからといってスマホで呼ぶのはちょっと勇気がいります。
私もそうでしたが、自家用車を使うハイヤーサービス(Uberの中国版)滴滴専車をつかってみたら案外簡単だったのでその使い方を書いておきます。

まず必要なのはスマホ。iPhone, androidどちらもOK。次に、ソフトのダウンロード。微信と滴滴出向が必要。
なぜ微信がいるかというと、支払が微信支付になるからです。(なお、支付宝との紐付もメニューにありますができませんでした。パスポートで実名認証している外国人は使えない様です。)

微信のウォレットにお金を入金しておきます。知人に頼んで現金を渡して送金してもらうのが一番簡単。
また、ウォレットの画面から設置で銀行カードの紐付もできます。これをしておけば都度の引き落としになります。

次に、滴滴出行を立ち上げて、個人情報をインプットします。常用住所も2か所入れることができます。携帯電話番号は必須。名前などは入れなくてもOK。またここの設置画面で微信のパスワードなし支払(黙認免密支付)を開通させておきます。

現在4種類の車が選べます。大衆車は「快車」というカテゴリーになっていて、それ以上が「専車」。専車のなかに中型車(カムリクラス)の舒适型、ミニバンの七座商務、高級車(ベンツクラス)の豪華型。だんだん高くなります。
(その他、出租車はタクシー、順風車は通勤時の相乗り、代駕は運転代行。ここでは快車と専車について書きます。)

なお、中国のスマホソフトは毎週のようにアップデートするので、クラス分け名称等は変更になっている可能性があります。

快車で概ね通常のタクシーと同等の料金。私は運転手の質がいい舒适型をよく使います。タクシーより数割高いですが、いま滴滴は時々割引クーポンを出すのでタクシー並みの料金で乗れることも多い。

さて、使い方です。まず、快車か専車かを選択。画面には現在自分がいる場所が表示されます。(前もってソフトにGPSへのアクセス許可をしてください)
そこでよければそのまま。違うなら地図を動かしてピンの位置を変えます。
次に行先のインプット。中国簡体漢字でインプットすると候補がどんどんでてきて、たいていは最後まで入れなくとも見つかります。
専車の場合は車のクラスを指定します。
快車の場合は併車と不併車どちらにするか、と聞いてきます。
これは通常は不併車。併車は乗合で、安いけど途中で寄り道することになります。

すると見込み料金が表示されます。
これは実際の料金とは異なりますが、大体正確です。
料金は割引クーポン込の価格になっています。

次に、今すぐ来てほしい場合はそのまま、時間指定をする場合は+マークをタッチして出発時間「現在」となっているところをタッチして変更します。

最後に呼叫ボタンを押します。画面を見ていると、そのうち運転手の名前、車の種類、ナンバーの下3桁の表示が出ます。これは応答の合図。中級でリクエストしてもミニバンが応答することが結構ありますが、その場合は中級の料金が適用になります。その後数分以内にこの運転手から電話が入ります。

ここからが問題ですね。どこに来てほしいかを伝えなければなりません。
ポイントは、伝えやすい場所で待つこと。XX路 XX路 路口(交差点:ルーコウ)が一番楽です。
文章では、「我们在XX路 XX路 路口 等你」となります。大抵はそれに対して何分くらいで行けるよ、というような事しか言わないので、ハオハオと言っておけばいいでしょう。または、有名な建物の前 XX的門口前面、など。「XX路にいる」はXX路上です。運転手のスマホの地図にこちらが現在いる地点が表示されますので、ここでさほど厳密に説明できなくても何とかなります。

電話がおわったら自分のスマホを確認しましょう。呼んだ車が今どこを走っているかリアルタイムで表示されます。
地図上で車が近づいてきたら手を振れは大体気が付いてもらえます。表示されているナンバープレートの番号を確認しましょう。

乗ると運転手が念の為行き先を確認してきますが、その時点で運転手のスマホナビには経路がインプットされてます。

走行中、車にメーターはありませんが自分のスマホ画面に刻々と料金が表示されます。到着すると、運転手がスマホを操作し、こちらのスマホには最終料金が表示され、黙認支払いの場合は特に何もしなくても支払が完了、そうでない場合でも運転手とのやり取りはおしまいです。確定金額を確認して問題なければ下車し、その後暗証番号インプット等をして微信支付の支払いを完了させればOKです。
さらに支払い完了後の画面で運転手評価をします。運転が乱暴とか、車内が汚いとか目に余る場合以外は5つ星にしておけばいいと思います。いままでの経験では紳士的な運転をする人が多く、これが流しのタクシーとの大きな違いです。

最初はドキドキしましたが、やってみると簡単でした。試してみてください。


支付宝 中国のキャッシュレス生活

2016年03月09日 | 上海生活
中国ではスマホによるキャッシュレス決済が急速に拡大し、それに関しては日本よりはるかに進んでいます。
Felicaをつかう日本のおサイフケータイとは違い、スマホ画面に出るバーコード提示なのでスマホの機種は問わず利用可能。
殆どの日本人駐在人はそのやり方などを知らないと思いますので、その解説も含めて書いていきます。

大手のネット決済は二つ。最大手はアリババグループの「支付宝」、次に使われているのがテンセントの「微信支付」です。
支付宝は実名認証が必要なので、パスポートの画像データを送って登録が必要。【訂正】今は画像データ送付は不要のようです。銀行カード作成時の名前や登録携帯番号を正確に入力すれば登録可能のようです。
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訂正追記 
2016年夏から実名登録の規制が厳しくなりました。
支付宝に銀行カードをひもつけ、制限なく使うためには3種類の実名認証が求められます。
中国人は電話番号、銀行カード、身分証明でOKですが、外国人はパスポートが認められません。
三つにするためには、銀行カードが二枚必要です。現在一つの銀行では一枚しか作れませんので、
二箇所の銀行でカードを作る必要があります。
また、その銀行カードの名義はアルファベットで姓スペース名で統一する必要があるとのこと。
その名義でできるのは交通銀行と建設銀行だそうです。
駐在の方は、もう一つの実名認証としてまず電話番号と銀行カードで登録してから(使用限度制限がある)
自分の名前の公共料金支払いもしくは高鉄、飛行機の切符購入履歴があればそれも実名認証に使えるとのことです。

以下の記載も最新状況では異なっていることがありますのでご注意ください。
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どちらもプリペイドでお金を入れておくことも、銀行カード(中国の銀行のデビッドカード)と紐付し即時引き落としも可能。銀行カード紐付のほうが入金の手間がなく楽です。特に微信支付はスマホ画面上からパスワードを入力することで銀行カードの紐付ができます。一日の使用金額上限設定や金額によってパスワードや指紋認証必要等のセキュリティ設定ができます。なお、銀行カード等を使わずプリペイドにチャージする場合は、支付宝や微信支付を使っている中国の知人に現金を渡して送金してもらうのが一番簡単です。

スーパー、コンビニなどは支付宝、微信どちらにも対応していますが、アリババが運営している通販「タオバオ・天猫」は支付宝だけしか使えません。汎用性でいえば支付宝に軍配が上がります。

支付宝に絞って話をしましょう。
支付宝のスマホソフトから、光熱費や携帯通話料等の支払が可能。帳戸番号を入れておけば請求の連絡がプッシュ通知され毎月の支払は殆どワンタッチで済みます。

中国版食べログである「大衆点評」では、団購と称するクーポン券を出しているレストランが多く、85元で100元食事券、などの割引が行われてます。これの支払には支付宝が必要。クーポンといっても支払時に金額を聞いてからその分をスマホで購入すればよく、要は割引です。また最近は大衆点評の画面から金額を入植して支払うことで割引金額になるレストランも増えています。支付宝を持たない日本人しか行かない居酒屋等は殆ど対応していませんが、中国人が行く店は大抵なんらかの割引があります。

「飢了マ」(ウーラマ)等の出前サイトも支付宝決済で配達時のお金のやり取りは不要。

スーパー、コンビニでは支付宝の付款画面で表示されるバーコードの提示で一瞬で支払が完了します。このバーコードは表示するたびに変わり、また決済が済むと無効になるので後ろから写真を撮られても不正利用はできません。

中国ではあまり見ない自動販売機ですが、これも支付宝に対応しているものが多くなっています。これは音で支払います。付款画面の声波付をおすと携帯がら音が出て、それで支払ができます。
交通カードの自動チャージ機もスマホの支付宝に対応してます。これはバーコードをかざします。

Uberのようなハイヤーサービスである「滴滴出行」の滴滴専車も目的地に到着したら引き落としになります。これは支付宝、微信支付両方に対応してますが、パスポート登録の外国人は支付宝が使えず、微信支付のみとなります。
滴滴はいまならUberと熾烈な戦いをしているので、2割、3割引きのクーポンが乱発されており中級車でも普通のタクシーと同じ程度の料金で使えます。

支付宝同士、微信支付同士でのお金の受け渡しも簡単にできます。食事の割り勘とかも簡単に清算できます。
まあ、私の場合周りの日本人がほとんど使っていないので使いませんが。

中国駐在の方はローカルスタッフや親しいおねえさん(笑)に聞いて設定されたらいかがでしょうか。あるとないでは生活の便利さが全然違います。

圏央道ETC2.0限定割引-なぜ国はETC2.0の普及を促進したいのか?

2016年03月08日 | ITS
4月からの首都圏高速道路料金改定に関しては、最高料金を930円から1300円にすることに対する批判が多少出ているが、これは距離制の段階的導入ということですでにアナウンスされていた。900円が激変対策の暫定的な上限だったということ。
これについても言いたいことはあるが、今回は圏央道のETC2.0に限定した割引についてもう一度まとめて書いておく。
しつこくて申し訳ない。

圏央道迂回により首都高速への車両流入を減少させ、渋滞緩和を図るというのであれば圏央道迂回車はすべて割り引くべきだろう。
ETC2.0でなければ技術的に経路判定ができない、ということはない。みんな勝手にそう勘違いしていて、国交省も高速道路会社もあえてそれには言及していないだけだ。

ETC2.0だけを対象にする理由は、その普及促進であると国交省、高速道路会社は明言している。
優遇措置を設けて普及促進をするからには、その普及が国民生活にとってメリットあるものでなければならないが、国交省、高速道路会社がいうメリットとは以下のようなものだ。

1.見通せない先の道路状況を車載器に表示し、事故を防止する安全効果
2.SA.PA,道の駅などの情報や観光情報提供
3.駐車場等の各種商業決済
4.経路別料金のきめ細かな適用による渋滞緩和

しかし、これについては大いに疑問だ。

1についてはすでに全国1600か所(その後増えている?)の路側機から情報が発信されているが、これが本当に役立っているという方がいれば教えてほしい。ほとんどのユーザーが知らないということは口コミでも全く広まっていない、つまりほとんどあってもなくてもいいようなものなのではないか?
これの実効性は首都高の参宮橋カーブでの実験で実証されたことになっているが、その欺瞞については当ブログの過去記事に詳しい。
2.については、ほとんど休眠状態なのではないか?某SAのそれには未完成で放置されたページがあるとのこと。
3.についても全く進捗ない。というか、事業化にトライしたITS事業企画という会社は事実上撤退した。
4.については、現行ETCでもIDをアップリンクしているので経路上に設けた路側機の通過履歴から対応可能なはずだ。

実際には、これ以外のメリットとして、ETC2.0はその車の走行履歴(経路、速度)をデータベースにアップリンクし、プローブデータとして交通量分析等に活用することができるのだが、プローブデータはGPS位置情報+通信のものがすでに民間でいくらでも存在する。トヨタ、ホンダ、日産、パイオニア、Google等が保有している。
あえて官が自前で持つ意味があるのだろうか? 買ったほうが安くないか?
GPS情報+通信と、数多くの路側機設置と今あるETCの全交換が必要なETC2.0、どっちが効率的かは考えるまでもない。

私にはそれほどまでしてETC2.0の普及を推進しなければならない理由がわからない。
路側機を設置する方針を立ててしまったから、車載器メーカーにやると約束して協力してもらっているから、始めてしまって投げ出せないから、というような状況にしか思えない。

違うなら教えてほしい。

V-Low マルチメディア放送 i-dio と Amanek

2016年03月07日 | ITS
アナログTVの空地利用によるマルチメディア放送といえば、最近事業継続を断念したNOTTVが頭に浮かぶが、そうしたタイミングで新放送事業が発表された。その名もi-dio。思わずヨーイディオ!と叫びたくなったが、中身を見るとNOTTVとは随分違うようだ。
ここではその中でITSがらみの車向け放送であるAmanekチャンネルについて書く。

Amanekチャンネルはホンダでインターナビを手掛けた我が国のテレマティクスの第一人者である今井氏が立ち上げた新事業。V-Low帯域を使ったドライバー向けの放送であり、現時点では対応する車載端末はないが、ナビなどへのチューナー搭載を将来的には当然想定されているとおもう。
車+通信を推進してきた今井氏がなぜここで放送事業なのかという疑問に対しては、プレスリリースやRESPONSEなどでその理由が語られている。
もうすぐ5年になる東日本大震災。その時、津波の情報や渋滞の情報がうまく伝わらず不幸にもかなりの方が車ごと流されてしまった。災害時に通信はパンクしてしまう。確実に多くの人に正確な情報を届ける機能は放送が勝る。サービス名の「あまねく」もそれに由来しているのだろう。

残りの人生をそこにかけるというその志には感銘を受けるし、公共利益を優先するというのはHONDAのDNAなのかもしれない。(これは全く違う分野で私自身が経験している)

しかし、前途は多難だ。おそらく今井氏も十分承知しているとおもう。

V-Lowマルチメディア放送は全国をいくつかのブロックに分けて運営される。
それにより、その場所に即した情報をタイムリーに該当するリスナーに提供することができるので、災害通報等に強みをもつ。
しかしこの事業の黒字化が相当難しということは、FM東京系のi-dio事業主体会社が認めている。電波使用料の値下げがないと事業は黒字化せず、また大都市圏以外では黒字化は難しいとしている。電波使用料のラジオ並みへの値下げがあり、それにプラスして大都市圏の黒字で地方局の事業を補うことでやっと成立するとしている。
さらに、実際に有効な災害通報を行うためにはさらに細分化した地域別放送が必要となる。これについてはその事業者は収益モデルを期待できないことから、自治体のほか、設備投資面でデジタル化に対応できない地方局の参加、高速道路会社やカーメーカーの参画を呼び掛けているようだ。

カーメーカーの参画という意味では、今井氏との関係からすでにホンダは各放送会社に出資している。しかしその他のカーメーカーに拡大するのは容易ではないだろう。
また高速道路会社もSA・PAの情報や落下物情報などを適時に提供するという需要があるが、それはITSスポットと競合する。高速道路会社としては二重投資に思えるだろう。

さらに、こうした出資者が集まったとしても肝心の消費者需要という面も簡単ではない。放送されるコンテンツの大部分はドライブ向け音楽になるようだが、それがいかに高音質であろうとも好きなジャンルはみな違うし、AMラジオ局リスナーに対しては音楽だけを流すラジオは受けないだろう。
また、災害時の緊急放送が入るというメリットだけで、Amanekチャンネルを常時聴取する人がどれだけ出てくるだろうか。
災害時の緊急放送は既存のラジオでも提供されている。(でもラジオを聞かない人も多い)
現行ラジオに対する優位性はマルチメディアである=車載器に画像情報が提供されるということなのだが、ユーザーはそれに対価を払うのだろうか?もちろん放送だから無料だが、チューナー(レシーバー)は必要だ。カーメーカーやナビメーカーがコストアップしてでもつけようと思うほどの需要が発生するかがポイントとなる。

かなり難しい事業となるだろう。

圏央道 ETC2.0限定割引の不可解

2016年03月03日 | ITS
16年4月から首都圏の高速道路料金体系が変更になる。
首都高速の距離別料金見直し、外環道と中央高速高井戸―八王子間の距離別料金制への移行、起終点が同じであれば経路にかかわらず同一料金、および圏央道に関しては「ETC2.0に限定した」割引という項目が盛り込まれている。

以上の内容は2015年9月に国土交通省が発表した「首都圏の新たな高速道路料金に関する具体方針(案)」に基づいて高速道路会社が作成したものであり、16年3月1日に国交省から正式にアナウンスがされた。
本案については高速道路会社が利用者の意見を聴取した。15年9月18日~30日という短い期間の募集で137人から回答があったようだが、これで広く国民の意見を聞いたとはあまり思えない。その結果はここにある。

(実際、このパブコメ募集は私も気が付かなかった。気が付いていればコメントを送ったのだが)

内容は批判的な意見に対しては、今後の検討の資とするというありがちなものになっているが、その中で「圏央道の割引をETC2.0に限定せず、ETC全般に適用せよ」という意見に対しては、「過去の決定に基づくものです」的な非常にあいまいな回答となっている。

なぜ「途中経路を把握できるETC2.0でなければ割引き判定ができない」と書かれていないのか?

一般には次世代ETCであるETC2.0だから技術的に割引きができるのだ、という風に思われている。
しかし、現行ETCも首都高速では出口通過判定をして距離別料金を徴収している。技術的には経路通過の判定はETC2.0でなくてもできるはずだ。少なくともハードウェアの問題ではないと思う。たしかにETC2.0のほうが高速通過に有利だということはあっても、インターチェンジの速度が遅い場所に設置することでそれは十分対応できる。

ETC2.0だから割引きが可能なのではなく、ETC2.0を普及させるというのがまず目的としてあり、だから割り引くとしか思えない。そのことは道路会社のリリース「首都圏の新たな高速道路料金の具体案 15年9月11日」にそのまま書かれている。
「ETC2.0の早期普及のため、ETC2.0の普及促進を進める料金の導入を検討するとともに、関係機関とも調整の上、車載器の購入助成の実施も検討します」

首都圏への車両流入を防ぎ渋滞を緩和することが目的であれば、圏央道へ迂回した車両はすべて割引対象にするべきだろう。

国交省と道路会社は、なぜETC2.0に対して助成金をつけたりETC2.0に限定する割引をおこなうのか、本当にETC2.0はそこまでして普及させる必要があるほど安全・渋滞緩和に有効なものなのか、きちんと説明をするべきだ。