ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

硬貨流通量が減少 電子マネーの普及が原因?

2005年09月21日 | ITS
ちょっと古いが、9月4日付け日経記事によれば、我が国の硬貨の流通量が初めて減少に転じ、これは電子マネーの普及が進んだため、だという。

硬貨流通量が減少に転ずるほど、人々が電子マネーを使っているとも思えない。事実、最近の調査では、電車の切符を含めて日当たりの電子マネー使用回数はわずかに17万回に過ぎない。

私は硬貨流通減少の最大の理由は、消費税の内税化により販売価格から端数が無くなってきている為だと思うが、如何だろうか。

記事では、しかるに電子マネーは近い将来さらに拡大する、と締めくくっているが、どんな物だろうか。私も時々コンビニでEDYを使うが、現金支払いに比べて圧倒的な利便性があるとも感じないのだが。

コンビニでの現金支払いという行為自体さしたる面倒ではないし、即座に釣り銭をもらえるわけだし。もともとキャッシュレスが好きならクレジットカードを使えるわけだが、それも我が国では一般的ではない。
更に言えばEDYの場合はプール金額管理とかチャージが煩わしい。

ということで、ITSに話を戻せば、DSRCによるキャッシュレス決済に対する過度な期待は、やめといた方が良いと思う。

蛇足だが、オーストラリアでカードで買い物をすると、「クレジットか?」と聞かれる。クレジットカードを出しているのに、クレジットか?と聞かれるので不審に思い店員に聞いたら、暗証番号入力で口座引き落としが出来るそうだ。言われてみればレジに入力機があった。
まあ、いずれにしても日本では小口消費をキャッシュレスで行うということが何故か一般的にならない。

スマートプレートについて改めて考える(4)

2005年09月20日 | ITS
前回まで、車載のDSRC装置100%化にこだわる理由が判らないと書いた。

例えばプロープ情報の活用にしても、100%の車に装着されている必要は全くない。
専門家ではないが、多分50%程度の車に装着されていれば、情報量としては十分だろう。

車車間通信で衝突防止を本気でやるなら100%装着が前提となるが、この先10年たっても実現しない話だ。今すぐにやる必要がある話にも思えない。
まあ、始めなければ始まらない、という考え方もあるだろうが、10年先にそのテクノロジーでいいのか?というのはよくわからん。

やはり、通信機を100%装着したい一番の理由は国家セキュリティーなんだと思う。
しかし、それを全面に出してしまうと住基法のような騒ぎになることは明らかだ。そこで、ITSというオブラートにくるんでいる、という感じを受ける。

オーストラリアで思ったこと

2005年09月19日 | ITS
昨日、オーストラリアから帰ってきた。

市街地では、制限速度が極めて厳しく守られている。
スピードガン式の取り締まりが頻繁に行われ、簡単に免許停止になるという事情かららしい。
オーストラリア仕様の車の常識なのかどうかは判らないが、私が乗せてもらった車には速度超過警告ブザーがついていた。
もちろん、路車間通信があるわけではなく、ユーザーが速度を設定しなければならない。

路車間通信で実際の制限速度がインパネに表示され、警告がでるようにすることは容易だ。そして、この機能は路車間通信のアプリケーションとしてはとても意味があると思う。

果たして我が国ではどれほどのドライバーが、現在走行中の道路の制限速度を把握しているか?「流れにのっていれば捕まらないだろう」という曖昧な判断基準で運転しているケースが多いのではないか。

そもそも、都内全面駐車禁止や、片側3車線で制限40kmなどという、元々守れないような規則を平気で作り、誰も守らず、社会も実態としてそれを容認し、しかし運が悪いと捕まるという我が国のやり方には大いに疑問がある。

駐車に関して言えば、路上パーキングメーターが十分に存在し、かつ違反者はたちまち捕まるというのが本来の姿だと思う。

制限速度にしても、常識的な速度まで緩和し、違反者は高い確率で検挙されるというのが通常の姿だろう。

ETCマイレージ キャンペーン延長

2005年09月19日 | ITS
道路公団はETCのマイレージサービスのポイント2倍キャンペーンを、従来の「民営化まで」から「来年3月末まで」に延長する

マイレージに登録していると、こうしたニュースはメールで連絡があるのかと思っていたが、今のところ何もない。(まあ、16日発表で、その後休日ではあるが)
余程関連ニュースサイトなどをチェックしているユーザーでないと気がつかないだろう。

それ以前の問題として、ETCマイレージ自体、知らない人の方が多いのではないか。

大体、マイレージの関連ページに行き着くのも難しいし、(GoogleでETCとマイレ『ッ』ジで検索したら、このブログが2番目にヒットしてしまった)、さらにこのマイレージの個人ページにログインするためには、絶対に覚えることが出来ない12桁数字のIDのインプットが必要、かつパスワードも数字のみ6-8桁とあまり一般的でなく、結局ログインするたびにメモを開かなくてはならない。

なんというか、「ユーザーフレンドリー」とか「顧客満足」いう言葉をどこかにおき忘れている世界だ。

延長の理由は、おそらく各種のキャンペーンが予定通り進まないためだと思う。
5000ポイント付与にしても、リース支援にしても計画に届いていない。
PR不足とか、施策の設計自体とかに問題があると私は思うのだが、どうやら根本的見直しという考え方は存在しないようだ。

スマートプレートについて改めて考える(3)

2005年09月13日 | ITS
何か狂っているのか?
それは、このままだと消費者は自己負担で5.8GHzのDSRC車載器を2種類搭載するはめになるということだ。
もちろん、これは消費者が望んでいることではない。

ETCは紆余曲折あったが、普及はある程度道筋がついてきていると思う。
ETC装着率は25%程度、利用率は50%を超え、料金所渋滞も解消にむかっている。道路公団側も、このまま段階的に有人料金所を減らし、職員を削減することが出来るだろう。

ETC(料金収受)に関して言えば、もはや課題はないのだ。
ETC車載器の装着率は70%程度が上限と思われるが、それ以上の普及促進にあまり意味はない。
めったに高速道路を利用しないユーザーにETC装着を強要することはユーザー側、道路公団側双方にとって全く意味のない行為の筈だ。

しかし、どうも行政側にはITS推進のためにDSRC通信機器を全車に装着しなければならない、という前提があるように感じる。

しかしもともとETCは絶対に100%にはならない。それはわかっていたはずだ。
いまさら、「ETCは普及に上限があるからITSには使えない」と騒ぐ方がおかしい。
100%にしたいなら、シンガポールのように最初から強制するべきだったのだ。

スマートプレートについて改めて考える(2)

2005年09月08日 | ITS
もともと車に受発信装置をつけるという考え方は、旧運輸省がナンバープレートに発信器を埋め込む「スマートプレート」、旧建設省がノンストップ高速道路料金収受装置として「ETC」を進めていた。

スマートプレートとETCにはこの(最終的にはおなじ国交省となる)二つの省庁の覇権争いという見方もあるが、実際にこの二つの装置は本質的に性格がことなる物である。

スマートプレートはほとんど消費者に対する利便を提供しない。まさに車両を特定する表示器であるナンバープレートをハイテク化するものであり、管理者側のニーズである。
従って、その普及は法的強制力に頼るしかない。

一方、ETCは管理者側の合理化という側面もあるが、圧倒的に消費者の利便性向上に寄与する事から、市場原理に基づく普及が可能だ。

この結果、自然の流れとしてETCは立ち上がり、市場への浸透を始め、スマートプレートは一時忘れ去られたかに見えた。

ところが、ここに来てスマートプレート巻き返しの材料が出てきたのである。

ETCはその普及が予想より早く頭打ちになることが鮮明になってきたのだ。
所詮全ての車に装着する事が出来ないデバイスでは、ITSのメイン通信装置としては失格ではないか、という議論だ。

そして、全ての車に装備することが可能な通信装置はスマートプレートしかないだろう、という論法だ。

この話、どこか狂っている。
続きは次回以降。

ETCを装着して考えた

2005年09月06日 | ITS
昨夜、ETCを装着した。
帰宅したらETCカードが届いていたので、子供のように我慢できず、夜遅く暗い中で作業をした。

装着自体はどうということなく完了したが、結局配線はACC電源とアースだけ、という至極簡単な物だった。
これなら、シガーライター電源で十分だ。というか、何故車に装着する必要があるのか。簡易装着できるシガーライター式のアンテナ一体機にすることも出来たと思う。

車にきちんと装着しなければならないのは、車載器と車をマッチングさせるためだ。現在の仕組みでは、一旦取り付けたETCはその装着する車両情報をインプットされており、他の車では使えない。これがセットアップである。

しかし、ここがETC普及に弾みがつかない最大の理由だと思う。
月イチ高速ユーザーにとって、ETCは欲しいとは思ってもその装着に関わる手続きが煩雑で、なかなか後付をするまでに至らないのだろう、というのが私の分析である。
問題は価格ではない。実勢価格1万円+αであり、それが5千円になっても需要が急増するとは思えない。

ETC普及が伸び悩んでいるのはこの複雑な仕組みを考えた人間の失敗である。
例えば、シガーライター方式にしてセットアップを廃止し、軽自動車用、乗用車用、トラック用、トレーラー用などを分けて販売すればいいのだ。どうせゲートでは車のサイズを見ており、不正は排除できるはずだ。
セットアップが要らないから、車検証情報が無くても購入可能。
小売店で買ってすぐ使えるし、セットアップ料も装着工賃も要らない。
ORSEは5000円程度の各種インセンティブを打っているが、それに匹敵する金額負担が軽減される。

セットアップ時にナンバープレート情報も入れ込み、不正利用がないようにゲートのカメラでナンバーとのマッチングをチェックする仕組みになっているが、そんなにセキュリティを強化する意味がわからない。
事実、誤作動防止のためそのチェックは行われていない、という噂もある。

簡易タイプにすれば装着工賃を払う、セットアップ料を払う、車検証情報が必要、専用カードが必要、といった複雑な仕組み=販売阻害要因の大きな部分は回避できたのだ。
ちなみにアメリカのETCであるEZGOは簡易タイプである。

ETC普及の鈍化は車載器の価格にあるという主張は、自らの失敗を認めない態度だ。そして、それを無理矢理ねじ伏せる為の各種インセンティブを打っているが、このコストは結局利用者につけが回ってくるのだ。

高速料金が異常に高いことが、組織的なカード偽造を誘発した。
それを警戒するあまり、ETCは必要以上にセキュリティを強化したんだと思う。
でも、一部の悪意ある行為を防止する為に大多数の善人が迷惑するような仕組みを作ってしまうことは企業が往々にしておかす過ちだということを銘記して欲しい。

スマートウェイ推進会議 提言フォローアップ

2005年09月01日 | ITS
国交省道路局ITSホームページに、スマートウェイ推進会議の提言フォローアップが掲載されている。
パワポ資料のPDFだ。

余談だが、国交省のITS関連資料に必ずでてくるこの男、なんともいえず気持ち悪いと思うのは私だけ?



この資料は前回7月の会議での発表に多少手を加えたものだが、注目ポイントは以下の通りだ。

・路側機から車内への渋滞情報提供手段としてDSRCを使ってVICSをやる、
 と明言している。

・そしてVICSの精度アップのためにプローブ情報を収集する、としている。
 実際にVICSプローブ懇談会が始まった。
 ここの記載では、現在ある光ビーコンのアップリンク情報活用のことか、
 将来のDSRCを使うVICSのことかは定かではない。

・ETC車載器ではなく、ITS車載器なるものが登場している。
 ICチップ埋め込みの汎用クレジットカードで、DSRCサービスを対象としている
 らしい。
 ETCでは普及が頭打ちになるためだろうか?

・ところがその肝心のDSRCサービスだが、ずいぶんとトーンダウンしている。
 2007年から公共駐車場で始める、ということで、ドライブスルーや給油所
 の決済に関しては積極的な言及は見られなくなった。

 このITS車載器なるもの、何を消費者ベネフィットとし、どうやって普及させるつもりなのだろうか。