ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

トヨタ車DA標準装備の現状

2021年09月05日 | ITS

トヨタは2019年以降、DA(ディスプレイオーディオ)の標準装備化を進めている。
DAとは定義としては液晶画面が付いたカーオーディオをさすが、一般的にはスマホ連動機能をもち、CD.DVDプレーヤーが付属せず自身の音源はラジオだけ、というものが多い。

トヨタが標準装備しているDAはそれに加えてDCMが標準でついている。DCMは車載の通信機器で、トヨタのサービスに特化して通信が可能。

DAとスマホの連携にはアップルのCarplayやアンドロイドスマホのAndroid Autoが必要となるが、そのサービスを受けるためには別途33000円が必要だった。さすがにこれは評判が悪く、現在は標準装備となっている。

このトヨタのDA標準装備化は極めて評判が悪かったようだ。
中高年にはスマホ連動のハードルが高いし、スマホを使いこなしている人にとってもいちいちスマホを接続する面倒がある。スマホナビの地図案内には問題も多い。Googleはすれ違い出来ない対面通行路を平気で指定する。さらに車速連動しない等、やはり車載ナビよりは劣る。
筆者もandroid Auto対応の車にのっているので使ったことがあるが、やはり使い勝手はよくないとおもう。
さらにいえば、AndroidoAutoもCarPlayも、スマホと車で何か特別なことができる仕組みではなく、逆に安全のために車内でスマホを使えなくようにするデバイスであり、使えるアプリはほんの一握りだ。

しかしトヨタはこのDA標準装備を強気で進め、従来あった「オーディオレス」仕様をなくしてしまった。オーディオレス仕様とは、市販のナビを装着するユーザー向けのものだが、オーディオレスがないことに加え、このDAは外して市販ナビに交換することもできない。

市販ナビは実はディーラーにとっても大事な収益源であったことから、ディーラーからもかなり反発があったようだ。

車載ナビを求める人用に純正ナビユニットが別売されていて、どうやらこのDAには純正ナビユニットを付けたほうが良いらしい。まあ、液晶画面が最初からついている車だ、と思えばそれはそれで納得できる話かもしれない。

さて、トヨタはなぜDAの標準装備を強行したのだろうか?

 

一つには、純正のアドオンナビしかつかない=利益が社外に流出しない、という囲い込み。

そしてもう一つは冒頭にかいたDCMにある。DCM付き車=コネクテッドカー、といってもいいだろう。世の中では今後車はすべてコネクテッドになる、といわれている。
DCMがついているとトヨタは車両情報を受け取ることができる。車両の状況をメーカーが把握し、必要なサービスをご案内する、といえば聞こえはいいけどこれは完全なアフターセールス囲い込み策。結局のところ狙いはそこなのだ。

ではDCM付き車両、いわゆるコネクテッドカーのユーザーにとってのメリットとは何なのだろうか?
実はここがコネクテッドカーの弱点なのだ。リモートでドアロック解除とか、盗難時の追跡、事故発生時の自動通報等のメリットがあげられるが、正直どれもないと困るようなキラーコンテンツではない。なぜなら、どれ一つとっても日常使う機能ではないからだ。万が一に対する出費は相当な説得力がないとなかなかむずかしい。

要するに、ユーザーに対価を払ってもらうのは厳しいのならば標準でつけてしまえ、ということなのだ。コネクテッドに関するサービスは3年間無料、それ以降は年間使用料がかかる。

 


SNSと陰謀論

2021年09月05日 | インチキ・疑似科学

陰謀論ってのははしかみたいなもんで、大体中学生のころにかかり大人になると治る。
この図式が過去から連綿と続いていることはムーという雑誌が時代を超えて生き残っていることからもよくわかる。

でも、SNSの登場でちょっと様相が変わってきているように思う。

一つには、はしかが治りにくくなっているということ。
ムーを欠かさず購入していた人でも、愛好者の集会に参加するまではなかなかいかなかっただろう。
でもSNSでは簡単に仲間と繋がることができる。極端論を展開するとフォロアーが千単位で集まる。
いったんそのレベルのフォロアーがついてしまうと、仮に目が覚めても「はしかだったね」と表明することはとても難しい。
フォロワーが減ってしまう、フォロワーを裏切る、ということもあるし、仲間から罵詈雑言を浴びる可能性も高い。

最近よく見るのは、反ワクチン、反自粛勢力の人がコロナ感染してしまったケースに対する反応。
ワクチンを打たなかった千葉真一氏や、反自粛反ワクチンを明言されていた落語家の三遊亭多歌介氏のコロナ死に対する反ワクチン勢力の発言がきわめて微妙であることからも見て取れる。
何も言わずにそっと去っていったひとも多いとは思うが(そうであってほしい)。

ある方は感染して味覚障害が残ったが、本垢では「辛い物が食べられるようになった」「やっぱりただの風邪」と書いているが、わざわざ裏垢を作って正直な気持ちを書いている。

コロナは自分や近親者が感染することで目覚めることができるが、厄介なのは極右、極左的陰謀論にはまってしまった場合だ。
自分や近親者の感染という絶対的に揺るがない事実がなく、都合が悪い事柄に対しては「隠ぺい」「マスコミ操作」的な反証がいくらでもできる。
絶対的な事実である三遊亭多歌介氏に関してすら、死因に関する陰謀論がでている。

 

もう一つは、中年になってはしかにかかってしまうケースが増えていること。
とくにネットに触れていなかった人が急に始めると、リンクをたどると「真実」が次々に出てきて「目が覚めて」しまう。
いうまでもなくそうしたサイトやSNS投稿のリンクはそうした陰謀論にしかつながっていないから当たり前のことなのだが。
SNSのなかった時代にも口コミでの伝播はあったが、その情報量やスピードはけた違いだ。

およそ陰謀論は「大企業や特権階級が自らの利益のためマスコミや政治家を囲い込み、庶民(特に子供)の命を犠牲にして儲けている」というストーリーが骨子になっている。
そして、その「教祖」的な人は間違いなくたくさん本を書いていて、有料メルマガとか有料セミナーとか会員制サロンを主催している。

彼らこそ、自らの利益のためにやっているということが「真実」に「目覚めてしまった」人たちにはみえないようだ。