ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

ITSスポットの運用 3月30日から開始

2011年03月26日 | ITS
ついにITSスポットの運用が始まる
東日本大震災の影響で、北関東以北のスタートは延期される。

ここから以下はいままでさんざん書いたことの繰り返し。

このサービスをナビ画面で享受するためには、専用のカーナビと専用のETCの双方が必要になる。
リンク先の記事に、「このサービスを受けるには、ITSスポットに対応するカーナビ機器が必要で、メーカーによって「ITSスポット対応車載器」「ITSスポット(DSRC)対応」「DSRC車載器」などの表記がされている。」という説明があるが、これを読んでETCも買い替えなくてはいけないということは誰も気がつかないだろう。

これによるメリットは、現状のVICSで200km先までしかわからなかった渋滞情報が1000km先まで拡大することと、すでに路側表示板でも提供されている落下物や渋滞などの「この先の道路情報」。
事故防止への(路側表示に対する差分としての)効果なんてほとんどない。

このサービスのために3020万円近くをかけてナビ+ETCを買い換えるユーザーは皆無だろう。

今後、カーメーカーや市販のナビゲーションに標準で搭載されれば活用がされるのだろうが、それもあまり期待出来ない。
いまや売れ筋市販カーナビの値ごろは10万円程度まで低下しており、カーナビメーカーは追加機能をユーザーニーズの高いiPhone接続機能やブルートゥースなどに絞り込んでいる。
それらに比べてITSスポットの魅力度は低く、当面採用は進まないと私は見ている。

普及の見込みもなく、実際の利便や安全に対する寄与も大したことないシステムに対して、国は250億円もの費用をかけて路側機器を設置したのだ。

製造業への影響

2011年03月23日 | 雑記
言うまでもない事だが、商品は部品や材料が一つでもないと作れない。様々な製造業で在庫だけで操業している状態で、来週位からさらに多くの分野でライン停止が出てくるんじゃないか、と思う。
工場は無事でもその下の外注先がダメなら作れないし、地震の影響がなかったとしても計画停電で作れない物ってのが結構ある。加熱炉に一定時間入れなきゃいけないとかね。
既に代替品を探しに走っていると思うけど、信頼性確認をせずに使うわけにはいかない。

という事で、来週あたりからかなり深刻な状況になる可能性が高い。

アエラとポスト

2011年03月20日 | 雑記
「放射能がくる」という表紙の今週号のアエラがボコボコになっている。
同誌のWEBページはアクセス集中でサーバーダウンなのか、意図的に封鎖しているのか、繋がらない。
目次からして「原発が爆発した」「放射能が東京にくる」「最悪ならチェルノブイリ」
私は、こうして煽ることで売上を得ようとしているというよりも原発アレルギーな人が編集に関わっているように感じる。
アエラに「東京が危ない」という何らかの確信があって都民を避難させたいのならわかるが、そうでないのならここまで不安を煽る必要はないだろう。

一方で、週刊ポストへは賞賛が集まっている。
かなりナショナリズムを刺激するようなビジュアルだけど、少なくとも今私たちは敵国と戦っているわけではない。
こうして信じてやっていくしかないし、これが非常事態の際のマスコミの役割だろう。

ただ、それにしてもソーシャルメディアの反応が圧倒的にアエラ批判、ポスト賞賛というのはちょっと気持ち悪いし、一日であっという間にボコボコに叩かれて、アエラが公式ツイートで謝罪するという流れもなんだかちょいと怖い。

災害とツイッター

2011年03月20日 | モバイル・ウエアラブル
計画停電以降、TVを消してる事が多い。
東京の節電は被災地には関係の無い東京だけのことらしいが、それでも関東が混乱したら被災地救助に多大の影響があることは間違いない。
実際にはピーク時以外は問題はないというが、一旦TVを消してしまうとそんなモンなくてもスマートフォンがあれば情報ははいる、ということがよくわかる。

この一週間、ほとんど貴重な情報はツイッターから入手した。
しかし、これにも様々な問題があることがわかった。

「XX町YY小学校では食料・毛布がなく危機的な状況です」というようなツイートが延々と「拡散希望」などのコメント付きで非公式RTされていた。
さすがにここ数日はないが。
その後すぐに「こうした情報は、RTするのではなくすぐ警察に通報するべきだ」、という意見が出された。これはまっとうな意見なのだが、それで何が起きるかは明らかだ。何百という同じ内容の電話が警察に入り、警察の業務と電話回線に対するとんでもない阻害になる。
 Togetterツイッターをみて警察に電話しました
しかし、だからやめてしまうと最悪誰も連絡をしないという事態も考えられる。

電話が通じない状況で助けを求める場合は知人にメールをするのが正しいのだろう。
ツイッターを使う場合は、電話がかけれそうなフォロワーにDMを出す。ツイートで発信する場合は日時を入れる。受け取ったフォロワーで電話をかけることができる人はRTせず、(非公式RTはさらにだめ)警察に電話をし、連絡完了/もしくは自分が責任持って連絡する、という内容のツイートを返す。それを受けて発信した人はツイートを削除する。
多分、こんな流れが正しいように思うが、公式RTと非公式RTの区別を正確に理解している人は殆どいないと思う。
公式RTは発信源で削除をすれば消えるが、非公式RTは「別のツイート」なので、どこまでも拡散してしまう。

広瀬隆氏

2011年03月19日 | インチキ・疑似科学
原子力発電所に対して一貫して反対の立場をとってきた広瀬隆氏にとって、今回の事故はまさに主張が現実となったということで、ある意味面目躍如かもしれない。
震災後に様々なメディアに登場し、それにより危機感を感じている人もいれば徒に危機を煽っていると批判している人もいるようだ。

私はもともと広瀬氏の著作を読んだことはなかったが、気になってネットを検索しこのダイヤモンド・オンライン記事を見つけた。

しかし残念ながら最初の

マグニチュードが当初8.4→次に8.8→最後に9.0に修正されてきたことが、疑わしい。原発事故が進んだために、「史上最大の地震」にしなければならない人間たちが数値を引き上げたのだと思う。

というところで、そこから先を読む気がなくなった。いわゆる陰謀論的な発想だね。
申し訳ないけど、これだけでわたしはこの人をトンデモ系と判断した。

しかし、この記事がダイヤモンド・オンラインのランキング1位であることが心配。

ツイッターをはじめとするネットメディアは、何が起きているかを素早く知ることができる代わりに、氾濫する情報へのリテラシーが重要になる。

いま最も重要なことは被災地への燃料・物資輸送だが、すでに原発に対する過剰な警戒が輸送の障害になっているという。「政府を信じるとろくなことはない、今すぐ逃げろ」といっている人もいるけど、本当に皆がそんなことをしたら被災地はどうなる?

この災害に対して、東京にいてできることはあまりに少ない。
被災地のため、とか思って節電をしているかもしれないけど、それは実は自分たち東京の停電を防ぐためであって、被災地救済とは関係ない。

余剰品を支援物資としてNPOに届けるか、募金をするか。
さらに、発電所については出来ることは何も無い。現場の努力に任せるしかない。

少なくとも、買い占めをしたり、おかしな情報流布の片棒を担いだりして被災地援助の邪魔をしないようにしたい。

所有価値と使用価値

2011年03月06日 | 雑記
ブルーレイディスクの2010年度の販売はわずか1億枚。これはCDやDVDの販売枚数から見れば、極めて小さい数字だ。

実際、すでにブルーレイディスクは記憶媒体としては「負け」が決まったかのように言われている。
レコーダーやPCに付いてくるDVDプレーヤーの多くはブルーレイ対応。すでにこれだけ対応する機器が市場に出ているのにもかかわらず、なぜ不振に終わってしまうのか?

一番大きな理由はHDD、メモリー、クラウドストレージとの競合だろうが、もう一つ見逃せないのは映画や番組を保存するというニーズが希薄になってきている、ということだ。

所有するメリットは、その財に財産価値があれば貯蓄・投資となることやその財に記号的な何かがあれば、所有していることを対外的に示すことでの満足感を得られる、というのがある。

当然映画のコレクションに財産価値はないし、記号的な何かもない。
そもそも「記号的」な所有価値自体が希薄になってきている。ベンツを所有することで、優れた商品を持っているという自己満足感は依然としてあるが、「周囲の羨望を得られる」などという価値はもはや存在しない。

もっとも実際的な「所有」のメリットは「使いたい時になんの制約もなくすぐ使える」というだろう。

かつては、気に入った音楽を好きな時に聞くためにはレコードやテープ、映画はビデオテープが普及するまでは名画座での上演を待つしかなかった。
クラシックやJAZZファンなら、LPレコードを何百枚も持っているのは普通の事だったし、セルビデオや製品版のDVDが出始めたころはそれを蒐集するひとも多かった。

しかし、今や音楽や画像のネット配信で「観たい時に観る」ニーズは充足される。所有になんの意味もない。

そしてもう一つ、消費者がはっきりと気がついたことは、どんな名画であっても「何回も観る」ことなんてそうない、ということ。私もいくつかDVDの製品版タイトルを持っているが、繰り返し見ることなんてない。

テレビ番組だってそうだ。保存する意味のある番組なんてさほどない。

光学ディスクは、大容量ストレージメディアとしてはHDDに負け、可搬ストレージメディアとしてはUSBスティックやクラウドストレージに負け、製品版の流通形態でもネット配信に負けることになる。

光学ディスクの話はここまで。

車もこの道をたどる可能性がある。
ベンツやBMW、もしくはさらに趣味的な車を所有する満足は今後もあるだろうが、一般的な消費者にとっては車はモビリティの手段でしかない。

「使いたい時になんの制約もなくすぐ使える」車があれば、所有に意味はなくなる。
TIMESが始めたカーシェアは、都内であればたいてい徒歩圏内に車があり、ネットによる簡単な予約で15分200円で使える。まだ認知度が高くないようだが、これは首都圏の消費者にとってのパラダイムシフトとなる可能性がある。
それに伴い、ユーザーは車を買わない、いじらない、メンテナンスしないわけだから、伝統的なカーディーラーやアフターマーケットという業態は劇的な変化を強いられるだろう。

高速道路割引(案)の全容

2011年03月05日 | 高速道路
高速道路の割引試案について、ここ・PDFで詳細を見ることができる。

平日も2000円キャップにすることになったわけだが、これは誰が望んでいるのだろうか。
「土日限定で1000円割引だから、土日に行楽が集中する。平日も割引することで平準化する」という説明を民主党の誰かがいっていたけど、それは枝葉末節な話でしょう。

むしろ、新幹線を使っていた業務用の移動が経費節減のためにどの程度車にシフトされるのかが注目される。

車での出張が欧米ほど一般的でない我が国では変化はすぐには起きないかもしれないが、そのうち増加する。
いまでこそ、「車は危ないから公共交通機関をつかいなさい」という会社は多いが、高速道路が無料である欧米では誰もそんなことは言わない。

また、会社には新幹線使用を申告し、車で出張するというケースも出てくるかもしれない。
東京名古屋間、新幹線は2万円。車は近郊料金をいれて5000円程度+ガソリン代5000円程度。複数乗車で行けばかなりの差になる。まあ最近はどこでもコンプライアンスが厳しいから、そんなにはないかもしれないが。

今までの割引を継承したため、新しい料金体系につては小一時間読んでも全貌がわからないほど複雑になっている。

ちょっと気がついたこととしては、

・軽自動車はETCの有無に関わらず、平日も休日も1000円上限となる。
ETCがあれば1000円未満の走行で時間割引が受けられるのでETCを装着することのメリットは残るが、その割引は数百円であり、毎日短距離を通勤利用するような人以外はETCのメリットはなくなる。
軽自動車に対する優遇が過ぎるように思える。高速の燃費は100kmで走る場合小型車と軽自動車って実はそんなに差がなく、エコカー優遇としては疑問ではある。ますます軽が売れるようになるだろうね。

・エコカーは軽自動車並みの割引とするらしいが、これは事前登録とETC必須となり、その準備に8月までかかるという。
確かにホンダフィットは外見からはHVかガソリンかどうかはわからない。ということは、ETCに登録されているライセンスプレート情報と、ビデオカメラで読み取るライセンスプレート情報のマッチングをゲートで行う、ということになる。

そもそもETCにはその機能があるのだが、現在は精度の問題でチェックをしていない。
8月からはライセンスプレート情報と実際のプレートが違うとゲートを閉めるのだろうか?
ETCを載せ替えてもETC再セットアップをしていない車って、結構あるんじゃないかと思うけど。
それともエコカーだけチェックするのかな?

北米テレマティクスに関する楽観的記事

2011年03月01日 | ITS
楽観的な「コネクテッドカー」の記事。(英語)

GSPの位置情報で高速道路や駐車場、給油の課金をするってアイデアはどう考えても無理だろう。電源切っちゃえばわからないし、屋内の駐車場などで正確な課金ができるかどうかも怪しい。
そもそも駐車場や給油所のキャッシュレスは日本でETC使って10年やっても普及していない。
保険料を実際の走行距離や運転状況で変化させるというアイデアはいいとおもうけど。

駐車場にWIFIを設置する、というアイデアは悪くないけど、スマートフォンがこれだけ普及しても必要なのかは疑問。なんに使うの?という感じ。

結局、繋がりたいのは車ではなく人であり、人はスマートフォンですっかりユビキタスに繋がっている。
そして、人は車の中では運転業務という一番大切な仕事があるから、そんなに暇つぶしをする暇はない。

常時FACEBOOKをチェックしなければ我慢ができないような人に対して運転中でも安全にその内容をチェックし、ボイスで返信できるような仕組みは、(そういう人とはあまりお近づきにはなりたくないけど)スマートフォン側でもテキストトゥスピーチやらボイスリコグニションやら使ってやればいい。車との連携っていっても、ブルートゥースでつないでカースピーカーから出力する程度だろう。

一番最初に書いてあるとおり、子供の頃に見た「ナイトライダー」への郷愁がアメリカ人にはあるのかも。