ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

NEXCO西日本 高速道路外ガソリンスタンドサービス

2016年04月22日 | ITS
NEXCO西日本は中国自動車道のSAガソリンスタンド空白区間である安佐SAから美東SAの間(150km)での給油の利便を図るため、吉和と六日市の両インターチェンジで一旦降りて指定スタンドで給油し、また戻る車両について継続走行と同じ料金を適用する。これはすでに社会実験として行われていたが、今回継続実施がアナウンスされた

この料金を適用してもらうためにはETC(2.0でなくてもいい)の装着が必須で、指定スタンドでETCカードを提示し、通信端末でスタンド利用を記録する必要がある。

ここでちょっと疑問に思うのは、こうした使い方ができるというのがETC2.0のうたい文句にあったはずだ。給油での一旦退出や、渋滞回避のための一般道迂回に対して料金を割り引くというような内容だったと思う。

このNEXCO西日本の実験は、指定スタンドでETCカードを通信機器で読み取り(具体的な方法はわからないが)データをサーバーに送る必要がある。
今後、ETC2.0になればその必要がなくなる、ということなのだろう。

ETC2.0はGPSによる走行履歴が車載器に蓄積されるので、どこに立ち寄ったかを判定することはできる。スタンドの座標と記録されたGPS走行履歴の座標をぶつけて判定することは可能だ。これは確かにETC2.0でなければできない。

あるいは指定スタンドにITSスポットを設けてそこの通過情報で判定するかもしれない。しかし、これはETC2.0でなくとも技術的には可能だろう。
この方式だとITSスポット設置費用と、スタンド内で間違いなくそこを通過するという何らかの方策が必要になる。

はたしてそんな面倒な管理が必要なのか、疑問に思う。
給油であれば30分もあれば再入場できる。社会実験は1時間制限にしているが、30分以内であれば継続走行とみなせばいいじゃないか。たしかにそうするとインター近くに事務所を設けてそこで何らかのやり取りをするというようなテクニックをつかう業者が出てくるかもしれないが、完璧をもとめてコストを上げてもしょうがない。違法使用への罰則でも設けて常習違反を抑止すればいい。

一般道の迂回も同様。ETC2.0がGPS走行軌跡で経路判定するのか一般道に設けたITSスポットで判定するのか分からないが、もし走行軌跡だけで判定するのであればETC2.0でなければ割引きできないにはわかる。でもどうやって判定するのか?通行する一般道のルートはいくつかあるだろうし、途中で飲食などの寄り道をしたらどうなるのか?
それらは目をつぶるのであれば、そもそも判定する意味がない。

ITSスポットで経路通過判定する場合は、技術的にはETC2.0である必要はないのではないか?また、これも途中で飲食等の寄り道をしてそこを通過しなかったらどうするのか?

正直、この一般道迂回の割引に関してもそんな面倒なことをせず、高速渋滞時にはXXで降りてYYで乗れば割引適用、但しX時間以内、ということにしてインター手前に表示をだし、ETC全部を割引対象にしたらいいと思う。
渋滞時限定ということであれば常習者がでることもない。

技術的な詳細まで私はわからない。
もし間違っているなら、ご存じの方はどうか指摘してほしい。

ITS Japan の災害対応道路通行情報

2016年04月19日 | ITS
熊本の震災に対して、トヨタG-Book、本田 Inter-naviと、NPO法人であるITS Japanがプローブによる道路通行情報を発信している。
プローブとは通信でつながった車両が実際にどこを通行したかをサーバーに送信することでリアルタイムの道路運行状況を把握するもので、災害時には「通れる道路」を見極めることができる非常に有益なサービスとなる。

トヨタ、ホンダの情報は各々自社ユーザーの情報であり、それぞれの財産であるが災害時にはITS Japanに提供される。ITS Japanは自らがもつ道路通行情報にそれらを合体することで、最も正確な情報が提供されることになる。

さて、そのITS JapanのWEBページだが。トップページ

この有益な情報は右下の「ITS Japanにおける災害対応」をクリックして、「熊本」とは全く記載のない「乗用車トラック通行実績情報」というリンクをクリックしないとたどり着けない。
そもそもITS Japanの役割でこうした情報提供はかなり重要なことだと思うのだが、なぜそれをもっと検索しやすいようにトップページに分り易く表示しないのか?

新着情報欄には4月14日付けであっさりと「乗用車トラック通行実績情報を公開しました」と書かれているが、これが九州の災害交通情報だとは誰も思わない。この情報を欲している人間への配慮というようなものが全く見当たらない。
何のために災害情報を掲載しているのか?

こうしたプローブによる交通情報はETC2.0のメリットで謳われているが、これをみると本気で活用するのか?と思ってしまう。

上海高島屋 新世界大丸の状況

2016年04月19日 | 上海生活
高島屋の16年2月期株主総会資料が公表された。一方で、昨年5月にオープンした新世界大丸も15年の売上げを発表した。

上海高島屋は売上げ73億円、営業利益マイナス12億円。
新世界大丸は売上げ約70億円、営業利益マイナス約70億円。

どちらも大変な苦戦である。

高島屋に関しては開業から3年経過。開業当時よりも状況はいくらか改善していると思うが、それでも週末でも非常に空いている。営業利益マイナス12億円は高島屋の子会社の中でも突出して悪い数字であり、通常の経営判断であれば撤退だろう。
来年度も赤字予想であるが3億円の改善を計画している。シンガポール高島屋の例をあげ10年かけて黒字化するといっているが、現状からの改善は相当大変だと思う。シンガポールはオーチャードの一等地だが、ここには高島屋以外商業施設がないのだ。さらに日本人居留者はユニー系のAPITAができてから、そちらへ相当流れてしまっている。
年商70億円=日商2千万円。これは大型百貨店としてはかなり厳しいものだと思う。

一方、大丸はブランド提供であり実際の経営は新世界百貨店。なので大丸としては損益への影響はないと思う。
新世界大丸はまだオープン一年未満。中国ではソフトオープンしながらだんだんと来客が増える傾向にあるのでまだこれからかもしれないが、それにしても売上げが少ない。
売上げ金額としては高島屋と同じくらいということなのだがしかし立地が全く違うのでこれではやっていけない。
南京東路の地下鉄駅から上海最大の観光地外灘へ抜ける道の角。週末となれば大変な人ごみになる商業地。固定費が高く、それが営業利益の赤字を大きくしているのだろう。
三菱電機のらせん型エスカレーターが売り物でそれは見事なものだが、ここもフロアに買い物客はすくない。
南京東路は人出は多いが殆ど中国各地から来たお上りさん。高級百貨店で買い物をする人たちではない。むしろそうした雑踏を嫌い肝心の上海のリッチ層はあまり行かない場所であり、オープン当初からその懸念が言われていた。

過剰投資により商業施設が飽和している中で、逆に中国人の消費は日常品は通販、高級品は海外へと向かっており店舗はどこも閑古鳥が鳴いている。立地の悪い店が生き残れるわけがない。
私は今後の改善は相当厳しいものがあると思っている。

IBAサービスの現状

2016年04月12日 | ITS
2004年、三菱商事の子会社「ITS事業企画」が設立され、専用ETC車載器を使った商業決済「IBAサービス」がスタートした。スタート直後にこのブログで「かなりヤバイ」と評価させていただいたが、その後丸ビル駐車場とかKFCなど三菱系企業向けに細々とサービスを続け、会費を無料にしたりと努力はされたようだが2009年頃に駐車場のTIMESに事業譲渡し、会社は解散した。
ちょっと気になって現状をみてみたら、なんと駐車場屋さんのTIMESの傘下に入ったくせにノンストップ駐車場はついに一箇所もなくなり、今は箱根ターンパイクとジャンボフェリーのみのサービスになっていた。
注)IBAではなく、TIMES ETCサービスと言う名前のノンストップゲート駐車場はまだ日本に「2ヶ所」存在しているらしい。
今でもWEBページのタイトルは「街でも使えるETC マチナカETCのIBAサービス」となっている。山と海でしか使えないのに。

清水草一氏のETC2.0体験記事

2016年04月09日 | ITS
乗り物ニュースに高速道路に詳しいモータージャーナリスト清水草一氏のETC2.0 に関する記事が掲載されている。
ETC2.0試してわかった問題点
清水氏はETC2.0 に対して以前から懐疑的な意見を出されており、私としては心強い。
最近国沢光宏氏も自身のブログで同趣旨のことを書かれている。

私は上海にいるためETC2.0を試す事ができない。
いれば購入し確認したと思う。実際以前光ビーコンや電波ビーコンを装着し、その価格に見合うほどの価値はないことを身を持って体験している。

清水氏は装着された感想をこの記事で述べられている。
まず、SAや道の駅のITSスポットだダメダメだという件。これはやる前から想像できた話で、これも以前からさんざん書いている。
そもそも官製サイトが魅力的であった試しがないが、誰も観ないんだから更新すら全くされていない状態だろう。

渋滞回避については、こればかりは体験しないとわからないので批評しなかったが、やはり大した使い勝手はないと氏はいう。
プローブによる渋滞情報はGoogleが無料で提供しており、それに対して相当のアドバンテージがなければ消費者はお金を払わない。Googleのほうが優っているのであれば、これはもうどうしようもない。

安全運転支援については、参宮橋実験のころから徹底的に批判してきたが、やはり氏も「気休め程度」とおっしゃっている。

唯一残されたメリットは割引で、それも圏央道だけ。しかも首都圏を回避したルートを選択した場合のみでありこれの恩恵がある人は限られる。
というか、この割引というメリットも普及促進のための「餌」で、意図的にETC2.0だけに提供されている。技術的には現行ETCでも割引は可能だ。
この先この「餌」を首都高速などでもばらまくとしたら、2.0に限定する理由は更に追求されなければならない。

なぜ国交省はこのユーザーに全くメリットがないETC2.0を推進したいかといえばその理由は2つ。
一つは、ETC2.0はGPS位置情報を一緒に官のサーバーにアップリンクすることから、その交通情報を自前で手に入れたい。
邪推すればNシステムに代わる国家セキュリティに使いたいという思惑があるのかもしれない。
二つ目は、やはりここまでお金をかけてインフラを整備した以上引き返せない。

しかし、もうすでにプローブ情報は民間に存在し、コストをかけ、さらにドライバーへの余計な負担を強いて自前の情報を持つ必要はないだろう。
国家セキュリティであるなら、それは相当に厳しい議論を巻き起こすだろうし、プロフィットモデルによる普及は成立しなくなるが、しかし正々堂々と公にすすめるべきだろう。

石井国交大臣 ETC2.0についてのコメント

2016年04月09日 | ITS
レスポンス記事。
ETC2.0の普及「徐々に」・・石井国交相

徐々に、というのはまあ何をどうしてもそうしかならないだろうからコメントはない。

気になったのはこの記事のなかに、そのメリットとして
「将来登場するであろう経路選択割引や高速道路の広域渋滞情報の収集に役立つと期待されている。道路の維持管理にも効果を発揮する。」
と書かれていること。
経路選択割引はGPS経路情報がなくとも、現行ETCでスポット通過情報を把握できるんだからで技術的にはできるはず。
渋滞情報収集はそれはもう通信によるプローブで実現している。ETC2.0でデータとらなくても民間から買えばいい。
道路の維持管理への効果ってのがよくわからないが、経路誘導で道路損傷をコントロールするのか、または車両の挙動から損傷を把握するのか?
どちらにしても今そんなに深刻に困っているとも思えないし、ETC2.0でなくとも対応できる。

すでにほぼ飽和状態まで普及している現行ETCを置き換えてまで実現する必要があるメリットには見えない。

このレスポンスの記事では、日本のETCがガラパゴスであると書いてある。DSRCを使う方式自体は別にガラパゴスではないが、日本のETCの仕様はコストが高く結局海外への売り込みがほとんどできなかったことはその通り。
そもそもコストが高い理由はETCが商業決済まで出来るようにその基本的な仕様を決めたからだと思うが、それは全くの絵空事だった。これはちょっと考えれば誰でもわかることで、このブログでは昔から指摘している。
そんなETCがやっとこさ普及した訳で、さらに2.0なんて展開する必要なんて無いんじゃないか。

中国では常識だけど日本人は誰も知らない「上火」

2016年04月09日 | 上海生活
先週、ツイッター方面で「上火」が話題になった。
中国人妻が上火を日本語ではなんというか、という質問を旦那にして、日本にはそんなコトバも概念もないことを知ってびっくり、というような話。

上火というのは漢方の概念で、「体の中に熱がたまりそれにより様々な症状がでる状態」。熱がたまるといっても発熱とは別らしく、熱はでない。
主に食物によりそれは起こり、肉や辛いものは上火の原因となるので、中国人はそれを下げる野菜や豆腐製品を一緒に食べる。メニュー選びでは結構これを気にしている。

中国人に聞くと、若い人でもこれを常識として知っている。
日本人は上火にならない、だから意味がわからないというと、「そんなはずはない、何人だろうが人間だからなるはずだ」という。実際中国人は「風邪をひく」ように誰でもしょっちゅうなるようで、上火を下げるといわれる「加多宝」「王老吉」という缶入り薬草茶の売上はコカ・コーラを上回る。

これについてうちのスタッフ数名から話を聞いて理由がわかった。

上火は体に熱がこもるからそれが「扁桃腺の晴れ、ニキビ、吹き出物、口内炎、鼻血」となって噴出し、また熱が水分を奪うから「便秘」になるという。

つまりこういうことだ。

ここに上げた症状は個々に言えば何人であろうと年に数回は経験する。
これらの症状のうちひとつでもでると中国人は「上火になった」と思う。
中国人以外はそれらの症状に関連があるとは思わない、ということ。