ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

高速道路の逆走対策公募

2017年03月26日 | ITS
道路会社各社は昨年11月ころから逆走防止対策について民間から公募をおこない、その中から28件を選定した。
乗り物ニュース記事 2017年3月23日

最初に感じたことはほとんど想定内のアイデアであり、半年かけて公募する必要があったのか、ということ。アイデア入札と言う形をとって公平さを担保するという事かもしれないが、それにしてものんびりした話だ。

前半に書かれている立体錯視のような、逆方向から見たときに注意喚起をするというアイデアにしてもすぐ考えつくものだが、これって「大きな看板」とくらべて有意な効果の差があるのかな?
痴呆などの理由でなければ、看板でOK、痴呆が理由なら看板だろうが錯視画だろうか効き目なしだと思う。

路面に突起物を設ける案は、正規通行でも二輪車の安全性に疑問がある。

レーダー、カメラ技術をつかったものは二つに分けて考える必要がある。
一つは発見、通知。これは既知の技術で今すぐにでも出来るし、公募なんか待たずに進めなくちゃいけない案件だろう。
もう一つは車両への通知だけど、これは車載器との関係がありすぐにはできない。今のところつかうならETC2.0だが、これも道は遠い。さらにいえば、痴呆が原因であれば車載器での通知が効くのかもわからない。
CAN連動で車を止めてしまうような制御をしないと防げないが、これはなかなか簡単ではない。

私は、まずは効果的な看板設置を行うのが第一だと思う。何も特殊なことは必要なくすぐ出来る。
次にはGSPによるインターチェンジ側道の逆走察知とナビからの警告。CAN連動でハザードくらいは点灯させたいが、車両連携は置いといてもとりあえず警告。ナビメーカー各社で検討し標準化するのがいまのところ一番手っ取り早い。精度の問題で100点は取れないかもしれないが、それはそれで良いんじゃないかと思う。

プラスチック米

2017年03月12日 | インチキ・疑似科学
中国ではプラスチック米というものが作られ、それが販売/輸出され大問題になった、という話は概ね事実のように語られている。しかしこの話を最初に聞いたとき、私には疑問しかなかった。

まず、中国において米は相当に安い。高級米として知られる五常香米でも10キロで1500円程度。
ブランド米でなければ1000円買ったら重くて持って帰れない。スーパー等に出荷できないものならさらに安いだろう。
そんな商品に偽物を作るメリットがあるのか。
次に、米の形にプラスチックを成型する方法がすぐには思いつかなかった。インジェクション成型であれば手間のかかる射出口の後処理が必要だし、またバリが出ないようにするためには金型がかなり高価になる。
熱プレスで作れるとも思えない。棒状に押し出したものをカットすることでそれらしいものは簡単にできるが、見た瞬間米でないことはわかる。
また、白いものをつくるためには高いバージン材を使わなければならない。
いずれにしても生産の手間と本物の価格とのバランスから、また消費者に確実に偽物だとわかってしまうという点(商売は一発で終わってしまう)から、常識的にあり得ない話だと思っていた。

ということで、この話は相当疑っていたのだが、やはりどうやら本当にプラスチック米が存在したという裏は取れてないらしい。最近ナイジェリアでプラスチック米だと騒がれた米もその後の分析で化学成分は出なかったという。またYOUTUBEで出回っているプラスチック米工場の動画はたんなるプラスチックペレット工場。

中国であるのは前出の五常香米の偽物で、これに香りを似せるために化学物質を添加するというようなことはあった(いまでもある?)が、どうやらその話からでてきた都市伝説、ということのようだ。

ETC2.0の存在理由は官製プローブだけなのではないか

2017年03月05日 | ITS
パナソニックはナビ無しでもつかえるGPS内蔵のETC2.0車載器を発売した。

この車載器にGPSが内蔵されている理由は、GPSで記録された位置情報をアップリンク(サーバーへ情報を送る)する機能がなければETC2.0ではないからだ。

もともとETC2.0という名称がなく、ETCの進化系として計画されていた頃は、この話はあまりクローズアップされていなかった。ETCに比べ大容量のデータ授受ができることから、交通安全情報や渋滞情報をドライバーが得ることが出来るということと駐車場などの商業利用がメインでアナウンスされていた。

公式には、位置情報をアップリンクすることでその車の経路がわかるので、空いている道路を通行した場合や事故渋滞回避のため一旦降りてまた乗るようなケースについての割引を行う為、と言われている。そして付随するメリットとして走行情報を匿名で収集し交通政策に活用する、ということらしい。

しかし、現在実施されいてるガソリンスタンドへの退出については、スタンドで係員にカードを手渡しする事になっており、GPS走行情報は使われていないと思われる。またアナウンスされた道の駅への退出についても、出入り口にゲートを作るような話があり、経路情報からの判定はしないようだ。

ということは、GPSで収集した経路情報は結局のところ経路情報収集にしか使われないのではないか?ユーザーの利便とは関係ないのではという疑念が湧く。

問題は2つある。

まずコストの問題。車両の実際の経路、速度、加速度などの情報(プローブ情報)が交通政策に必要であることは認める。しかし、それはすでに複数の民間企業が保有している。
ETC2.0においては、全国に設置したポストを通過したときしかその情報はアップリンクしない。一方、民間のプローブ情報は既存の移動体通信を使っている。
全国のポストは現在1600箇所にあり、国交省はその設置に250億円を使った。さらにETC2.0の普及に数十億円は使っているだろう。これだけのお金をかければ、民間の情報をどれだけ買うことが出来るのだろうか?
仮に年間10億円かかるとしても30年分。実際にはそれより遥かに安いと思われる。ETC2.0に使われた費用の効果測定をきっちりやってもらう必要がある。

次に、いまだに国交省はETC2.0の普及促進を行っているが、装着ユーザーの利便はほとんどない。今となっては目的はプローブ情報収集ということになり、これは官の都合ということになる。
なので、放っておいても普及しない。だからこそ、大口追加割引きや圏央道の割引、道の駅途中下車をETC2.0限定にし作為的にETC2.0特有のメリットを作り、なおかつモニターキャンペーンと称する割引を行っている。
(このモニターの結果報告書は公開されているのかな?見たことがない)
ドライバーを馬鹿にしていないか?

豊洲のこと

2017年03月03日 | ITS
あまり政治的な話は書かないのだがどうにも納得出来ないので。
昨日、石原慎太郎氏の記者会見テレビ中継をみた。
先に言っておくが、私はこの人が嫌いだ。尖閣の件も無責任な行動だと思うし、四男(画家)を都で重用した件もおかしな話だと思っている。

しかし、この豊洲問題に関しては彼の言っていることはごくまともだと思った。まず冒頭に組織の長としての決済責任はある、と明確に言っている。その上で各部署からの報告の数字細部までは専門家でないので判断できない、議会でも承認された事項でみんなで決めたことだ、という主張は全くそのとおりだ。それに対し、殆どの記者はあくまでその細部の妥当性への判断について「ちゃんと内容を見なかったのか」「責任は取らないのか」の一点張り。これは議論にならない。酷いものだった。さらにその後の報道も「私一人に責任があるわけではない」という発言をメインにしていた。

いま、小池百合子桃太郎侍が石原以下の悪代官をやっつけるという図式に大衆は期待している。年々購読者/視聴率を落としているマスコミはこれに対して受けの良い記事を書くことしかできなくなっているのではないか。ポピュリズムに加担するマスコミのステレオタイプな例だ。

それ以上に、石原氏がいった「作為の責任と無作為の責任」「豊洲に移転しないのは安全と安心を混同してるから」という点について、どこのメディアも全く論評を行っていない。唯一この文脈は「石原氏の小池批判」という中で出てくるだけ。これも上に書いたことに見事に符号する。
日本のマスコミは科学的な事実には全く興味がないとしか思えない。

豊洲は築地より安全なのか、危険なのか(直感的には豊洲の方が安全だと思うが)の最終的な科学的見解はなぜ出されないのか?あるいは出されているが取り上がられていないのか?
反対、賛成の両方が納得する人選で科学的な調査組織を作り、そこに早急に最終的絶対的結論を出してもらう以外現在の議論は一歩も進まないと思うが。

豊洲ができた経緯の妥当性と、できた施設を使うのか否かはまったく別ISSUE。前者は要すれば時間をかけて調べればいいが、後者は早急に結論出さないとキャッシュアウトが止まらない。

マスク依存のこと

2017年03月02日 | 雑記
雑文です。

中国から戻った1月、5年ぶりの職場では初対面の女子社員3人が揃ってマスクをしていた。気になって電車に乗って観察したら過半数の女性がマスクをしている。5年前もマスクをしている人は多かったが、花粉の時期がメインだったように思う。1月はまだ花粉はない。インフルエンザへの警戒なのかと思っていた。

しかし、その後「マスク依存」という言葉を何回か目にした。
本当に依存するものなのか?潔癖症のようなもので、していないと不安になるのか?

色々考えた私の想定は次の通り。

眉毛と目はメイクでなんとでもなるが、鼻や口の形、輪郭は変えられない。
マスクはそれらを隠すので、大抵の女性は可愛く見える。ざわちん(最近見ないね)もマスク着用パターンが多い。

ということなのでは?
まあ、これは男性マスク着用者の説明になっていないけどね。

JR東海のオンライン予約は「おもてなし」なし

2017年03月01日 | ITS
東海道山陽新幹線は従来専用カードですかできなかったオンライン予約、チケットレス乗車を一般のクレジットカード+交通系ICカード利用にも拡大し、その名称をスマートEXとする、とのこと。(乗り物ニュース

従来専用クレジットカードを作って会員にならなければできなかったサービスを拡大するという意味では結構なことだ。
新しいクレカを作るのを好まない人は多い。

さて、これは日本人にとっては結構なことなのだが、東京オリンピックに向けて外国人をおもてなしするといっている日本としてはいかがなものなのだろうか?
スマートEX会員登録には交通カードが必要。当然の事ながら、海外でSUICAは買えないから会員登録はできない。

ここで筆者に知る海外の高速鉄道の話。
イタリアはネットでだれでも予約可能。支払いは国際クレジットカードで、購入するとメールでバーコード付きEチケットが送られてくる。入場改札はなく、検札時にバーコード提示でいい。プリントアウトしなくてもスマホやタブレット画面でOK。
スペインも概ね同様。スペインは入場改札があったが、ここもバーコード付きEチケットで入れた。
中国は簡単にオンライン予約が可能だが、国際クレカでの決済に対応していないので外国人には難しい。

日本に戻る。
JR各社の中で、オンライン予約を外国人にオープンにしているのは東日本だけ。ここだけ英語の予約画面がある。
これも決済には対応しておらずあくまで席の予約だが、それでも海外から可能。
その他はレールパスやパッケージツアーを除いて英語での案内はなく、海外旅行者が事前に指定席を自分で予約するということは全く想定していないとしか思えない。だからこそ、スマートEXに交通系ICカードという発想になるのだろう。
(JR西日本はレールパス購入予約時に山陽新幹線に限って席予約(6席まで)出来る模様。ここ ←この英語、結構酷いね。
レールパスって確かに安くてお得だけどのぞみに乗れない。一回しか新幹線で移動しない旅行者には不向き。)

実際にユーザーがしたいのはチケットレス入場ではなくオンライン予約なのではないか?ICカードとの紐付けを必須にする必要があるのか?チケット発行は自販機での切符引き換えで十分だと思う。欧州のバーコード式でも良い。

海外旅行の日程を組む際に指定席の予約は非常に重要だ。席の確保ができなければ安心して日程は組めない。
ホテルや航空券がネットで自分で予約できるようになってから、海外旅行だからと言って旅行代理店を使わない人が多数派になっている。その中で、海外から日本に来る旅行者にとって新幹線チケットだけが自分で予約できない状態になっているということをJRは理解しているのだろうか?