ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

ETC2.0のデータ、民間提供へ 国交省

2018年08月16日 | ITS
ETC2.0は走行履歴を国のサーバーにアップリンクする仕組みになっている。その目的は車両の実際の走行データを様々な政策に活用しようというものだ。もちろんこれは個人情報なので個人は特定されない。これだけ聞けばなるほどと思うだろうが、実際はそうしたデータ収集・分析はすでに民間が先んじている。国として官製データがほしかった、ということだろうか。

ETC2.0についてはこのブログで散々かいているが、ざっくり言えば消費者にメリットなく、データ通信ポスト設置にカネがかかり、しかも消費者にとって高い買い物となるので補助金までつけてるというはっきり言って厄介ものでしかない交通行政施策なのだが、唯一の官にとってのメリットはこの交通情報データなのだ。

ではそのデータは一体何に活用されているのか?これについては具体的にあまり聞かない。唯一、最近鎌倉でETC2.0を活用した交通状況の調査が実施されたが、その成果として「観光地周辺は休日には渋滞する」という大発見がもたらされた模様だ。(笑

ということからか、国交省はこのデータを民間に開放することにした。2018.8.16産経ビズ
おそらくこれは巨額の費用をかけて進めてきた施策なのにそのデータが使われていないのではないか、という批判をかわすためのものだろう。

国交省はETC2.0データを活用した新たなサービス提案の募集を行い、有識者委員会において評価を実施し、実用化にあたっての制度的・技術的課題を検討した上で、実験・実装を進める、としている。
国交省報道発表資料リンク

まあ、巨額の費用(高速道路のポスト設置だけでも250億円)をかけて集めたデータを活用しないのは勿体ないのでこれ自体は批判しないが、問題はETC2.0のデータってあんまり使い勝手が良くないということ。路車間通信だから通信ポストを通過しない限りデータは収集できない。その通信ポストは今の所全国高速道路だけ。高速道路を使わない車のデータはあつまらないし、あまり高速道路に縁がない地域のデータはまるごと抜け落ちる。この弱点を補うためには一般道にもポストを設置する必要があり、一部ではされているが完全に整備するにはかなりの費用がかかる。
訂正。公開されていないが、2015年頃から一般道路に結構な数の読み取り専用路側機が設置されているという情報もある。これについては詳しく調査し別エントリー予定。
走り回る車の移動データを取得するために一番便利なものは誰がどう考えても移動体通信であり、路側ポストではない。

ということで、すでに民間のデータ、それも全国をカバーするデータが存在する中で、限定的にしかデータが収集できないETC2.0の走行データにどれほどの活用余地があるのか、が最大の疑問。
いまから予想しておくと、国交省との出来レース以外には残念ながらろくな公募はないだろう。

ETC2.0は典型的な「やり始めてしまったからやめられない」施策だ。特に250億円かけて整備したポストや、高くて売れないETC2.0車載器の処置等、やめられない事情はよく分かる。
だからといってこのまま進めてもたいした成果はでない。もう潔くドライバーにとって意味なく高価なETC2.0は中止したほうが良いのではないか。
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Borgward(ボルグヴァルド)という独カーメーカーの謎

2018年07月31日 | 中国生活


先日運転中に前に止まったSUVに「BORGWARD」というエンブレムがついていた。ポルシェカイエン的なフォルムで決して悪くないスタイルなのだが、あまり見かけない車。
ちょっと気になったので調べてみたらその背後にはかなり面白い話が隠れていた。

ボルグヴァルドはドイツに実存したカーメーカー。1950年代後半にイザベラというヒット車を出し年間100万台を生産するまでになったがその後が続かず、1961年に資金難で倒産している。

そこから半世紀の時が流れ、2015年のジュネーブショーにおいて創業者の孫によるそのブランド復活がアナウンスされる。本社はシュトゥットガルト。企画、デザイン、設計、販売を行い。生産は中国企業が行うとのこと。そしてなんとそのわずか半年後にはSUV BX-7が発表される。翌16年にまず中国で販売が開始された。
iPhoneもアメリカのアップルの商品だが生産は中国であることを考えると、車の世界でもこうしたビジネスモデルもありえない話ではない。


しかし、実態は全く違っていた。


この話の主役はドイツ人ボルグヴァルド氏ではない。中国の自動車メーカー福田汽車なのだ。
新生BORGWARDは生産を中国で行っているだけではない。そのほとんどの資金が福田汽車から出ている。実質中国の会社であると言っても差し支えない。

福田汽車は北京汽車グループの中堅カーメーカー。大型トラックではそれなりの地位を持っているが乗用車ではいまだヒット車を出していない。
大型トラックはダイムラーとの合弁で事業をしており、ドイツ自動車業界との縁はある。
乗用車事業を発展させたい福田汽車としては、海外ブランドが活用できれば大きなアドバンテージとなる。実際MGやローバーというブランドはすでに中国企業が買って使っている。

福田汽車はおそらくダイムラー人脈をつかってボルグヴァルド氏と話をつけブランドを手に入れたのだろう。中国企業は金ならいくらでもある。ここでキーとなるのはダイムラーの北アジアと中国生産事業を仕切っていたバルキャー氏。彼はダイムラーを退職後新生BORGWARDのCEOに就任している。氏はその前にはスマートの事業のトップだった。
(余談だが筆者はバルキャー氏を個人的に知っている。彼に関していい思い出は一つもない)

ひとつ不思議なことが有る。新生BORGWARDは2015年のジュネーブモーターショーで設立がアナウンスされた。それ以前には会社は存在せず企業活動をしている可能性はゼロである。
その会社がなぜ一年もしないうちに新車を世に出せたのだろうか?通常新車の開発は企画から最短で4年かかる。なのに、プラットフォームからなにからゼロスタートの会社がそんな短期間で新車を開発できるはずがない。

その答えは簡単だ。新生BORGWARDが設立される以前からこの車の開発は進められていたのだ。誰が? そう、福田汽車。
福田汽車は、むしろ新型車の「販売戦略」としてBORGWARDブランドを買ったというべきだろう。会社設立後多少ドイツ系人材が入ってある程度軌道修正はされたかもしれないが、一年でできることは限られる。実質BORGWARDというバッジをつけた福田汽車製乗用車だ。
シュトゥットガルトの本社でどの程度の設計関連オペレーションが行われているかは知る由もないが、彼らのHPではエンジニアの募集は行っていないことからドイツにはR&Dはないのではないかと思われる。

実際、中国におけるBORGWARDの販売戦術は露骨にドイツを強調している。ブランドの中国名は宝沃。BMWが宝馬、VOLVOが沃尔沃。そこから1字づつとった中国名は相当にあざとい。
販売店でも、宝沃はドイツの会社であり、ドイツのブランドだということを最大のセールスポイントにしているらしい。いわく、1919年創業のドイツ4大メーカーの一つ、など。
中国におけるドイツブランド信仰心は極めて高い。

しかし、中国の消費者も馬鹿ではない。2018年6月のBORGWARD(宝沃)の販売台数は3車種合わせて3000台。概ね月販2000~4000台程度で推移しているようだ。これは中国の自動車販売からするとほとんどゴミのような数字。
同様のビジネスモデルを採用した例がQOROS(观致)。奇瑞汽車とイスラエル企業の合弁であたかも欧州車であるかのようにプロモーションを行っているが、現時点での累積赤字は1000億円近いとの話もある。

やはり所詮はブランドを買っただけのエセドイツ車であることが見抜かれている、ということだ。
BORGWARDブランドの本格的な復活はないだろう。なお、バルキャー氏はつい最近退任した。沈む船から逃げるネズミ、といっては言い過ぎかな。

(中国サイト知乎の記事を参考にしています。中国語が分かる人はかなり面白いので一読をおすすめします)
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国交省は道の駅途中下車を一般ドライバーに開放せよ

2018年07月29日 | ITS
あまり知ってる人は多くないと思うが、現在全国の約20か所程度の道の駅で高速道路をいったん下車して立ち寄っても通行料金を割り増ししない(下車したことにしない)という社会実験が行われている。その狙いは国交省によれば

・サービスエリア未整備区間の解消
・適切な休憩による事故防止
・道の駅利用増加による地域活性化
となっている。至極当然な内容だと思う。

しかし、問題はその割引がETC2.0装着車に限定されているということだ。

国交省は割引をETC2.0に限定する理由を明言していない。
一方、「ETC2.0は車両の通行履歴情報を記録することができる」という特性から、これを報道するメディアはETC2.0だから実現できた施策だと勘違いしているように思われる。

しかし、それは事実ではない。通常のETCでも対応は全く問題なく可能なのだ。

以下はやや技術的な内容になる。
ETC2.0はGPSを内蔵し、走行履歴を蓄積しポスト通過時にそれをアップリンクする。
したがってETC2.0は走行履歴を記録するというのは間違いではない。しかし、走行履歴は個人情報であるため、出発地、目的地周辺の情報は記録されない。その判定はエンジンのオンオフで行われる。つまり、道の駅で車を降りたらそこで道の駅に立ち寄ったという記録は消去されてしまう。したがって道の駅立ち寄りの判定はできない。
ではどうしているかというと、道の駅に設置されたETC読み取りポストで行っている。
このポストは技術的には通常ETCでも利用可能。

ではなぜETC2.0しか割引が受けられないのか?

それは、ただ単にETC2.0に対象を限定しているから、としか言いようがない。

ここでもう一度この施策の目的を見てほしい。
これは道路施設上の不備を補い、疲労防止による事故防止を目的にしている。
つまり、当然すべてのドライバーに対して解放されるべき施策だということは明らかだ。

それなのに、まだ圧倒的に通常ETCに比べて装着車両がすくないETC2.0に限定し、わざわざその施策の効果を抑制する必要なんて、普通に考えたら全くない。

その理由は、驚くべきことにETC2.0の普及促進、なのだ。

ETC2.0は通常ETCよりも1-2万円高い。しかし、ドライバーが感じるメリットはほとんどないため普及が進まない。そこで、国交省はこの制度をETC2.0装着車限定とし、ETC2.0のメリットを無理やり作り出しているのだ。
なぜそこまでしてETC2.0を普及させたいのかは私はさっぱりわからない。
ETC2.0は走行履歴情報を官に提供するからその見返りだという説もあるが、それならそうと明言すればいい。もしかしたらもっと何か深い闇があるのかもしれないが、それは安易に推測で語るべきものではないのでここではこれ以上言わない。

道路会社は民間企業であり、ユーザーに対してどのような優遇策を出すかは企業の自由だ。ゴールド会員には特典を用意する、というようなことは行われている。しかしこれはそのような話ではない。
繰り返しになるが、サービスエリア未整備区間の不便解消、適切な休憩による安全確保はすべてのドライバーに提供されるのが当たり前。ETCでないと処理が面倒ということであればETC限定にすることは理解するが、ETC2.0普及促進に使うのは完全に間違っている。

ドライバーは道の駅途中下車施策を全ETCに適用させるべく声を上げるべきだ。
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乗り物ニュースのETC2.0翼賛記事。このタイトルはいかがなものか?

2018年07月26日 | ITS
乗り物ニュースのECT2.0記事、おそらく国交省に依頼された翼賛記事だと思うが、タイトルの「着実に近づく『従来型が使えなくなる日』」は故意にミスリードさせようとしているのではないか?

この記事は署名記事ではなく編集部記事であり、おそらく国交省の意向を受けて書かれたものだと思う。
このタイトルをみたら「通常のETCはそのうち使えなくなるから買うならETC2.0にしておこう」と考える人もいるかもしれない。というか、中身をよく読まなかったらそう思うのが普通だろう。
しかし、実際は使えなくなる理由は通信のセキュリティ規格の変更であり、通常ETCに関しても現在販売されている機種は概ね対応済みなのだ。(除く在庫処分品)
しかも、その変更時期は「現行のセキュリティ(車載器、カード)に問題が発生しなければ最長で2030年頃までとなる予定です。ただし、セキュリティに問題が発生した場合は、変更時期が早まる可能性があります。」ということで、まだ10年以上先の話。
今すでに通常ETCをつけているユーザーは10年後に使えなくなる可能性がある、ということ。ただ、これにしても切り替えには相当の混乱が予想されるため、本当に2030年に実施されるかどうか筆者は疑っている。

案の定、後追いメディアでは明らかに勘違いして「従来型は使えなくなる」としたものもある。
このような誤解をあえて誘うタイトルもETC2.0をなんとしても普及させたい国交省の意向なのだろうか?

以下はいままで散々書いてきたことだがあえて今回の記事内容に反論しておく。
私の主張をご存知の方は読む必要はないが、もしはじめてだったらご一読願いたい。

・広域的な運転支援、渋滞回避支援サービス
 広域的な道路交通情報や前方の渋滞情報、それに合わせた渋滞回避ルートなどが案内されるほか、事故多発地点や急カーブ、落下物などの情報の事前通知、災害発生時における災害情報と運転支援情報などが提供されます。カーナビと一体になっている場合は映像と音声で、カーナビがなくても、発話型のETC2.0車載器が装着されていれば音声でそれらの情報を得ることができます。ITSスポットでは、最大で1000kmぶんの道路情報が取得可能で、従来からカーナビで使用されているVICSよりも広域な情報が提供されます。

>これについては細かいことは言わないが、「これがついてて便利だ、良かった」という話は聞いたことがない。その程度の機能。

・圏央道の料金2割引
 2016年4月から実施。ETC2.0搭載車は、圏央道(新湘南バイパスを含む)を約2割引きで利用できます。たとえば平日の日中に神奈川県の海老名IC(神奈川県海老名市)から埼玉県の白岡菖蒲IC(埼玉県久喜市)まで圏央道を利用した場合の料金は、通常で3070円、ETC利用で2850円、ETC2.0利用で2590円です。

 このサービスは都心を避けた圏央道への迂回を促進する目的などから実施されているものですが、ETC2.0では走行経路の把握が可能になるため、将来的には渋滞を避けたルートを通行した際に利用料金を割引く制度も予定されています。

>割引がETC2.0に限定しているのは事実。ただしETC2.0は走行経路の把握が可能なため実現したかのように巧妙に書かれているが、実際はETC2.0だけを割引対象にしているだけ。ETC2.0の走行経路はエンジンを切るたびにその前後が消去されるので実際には使えない。実際は通常ETCでも使える受信ポストで判定している。
また、今後拡大が予定されている、とあるがさっぱり拡大していない。

・高速道路からの一時退出を可能に
 指定のICから高速道路を降りて指定の「道の駅」に立ち寄り、1時間以内に高速道路へ再進入した場合、降りなかったのと同じ料金になります。ETC2.0搭載車を対象に全国3か所から始まり、2018年7月現在では岩手県から長崎県まで、20か所で実施されています。

>これも同様。ETC2.0だから実現したのではなく、ETC2.0に限定しているだけ。通常ETCも対象にするべきだと消費者は声を上がるべきだが、あたかもETC2.0だから実現したかのようにしているので誰も気が付かないのだ。

・駐車場での利用
2017年から2018年3月にかけては、NEXCO東日本および中日本、首都高速道路などが主導し、一般駐車場で「ネットワーク型ETC」を活用した利用料金決済の実証実験も行っています。この「ネットワーク型ETC」は施設側が整備するもので、実験では従来のETC搭載車も利用の対象とされていましたが、ETC2.0の場合はさらに、車載器の発話機能で駐車場内の空いている駐車マスを案内したり、車両の登録情報から駐車場進入時に車高オーバーであることを知らせたりすることも可能になります。

>これもETC2.0限定の話ではない。ETC2.0ならではのメリットが書かれているが、音声案内が必要だとは思えないし、これも予定で実施のめどなどない話。

・ETCの普及団体であるITSサービス高度化機構(東京都千代田区)によると、将来的な展開として、このような駐車場やガソリンスタンド、ドライブスルー店舗での料金決済サービス、フェリー乗船の簡素化などを例示しています。

>ガソリンスタンド、ドライブスルー等はETC導入の時から言われているが実現していない。このブログでは15年前からこれは実現しないと言い続けている。

ETC2.0は路側ポストの設置に250億円、またその普及については恒常的に補助金を出しており、相当の金額が注ぎ込まれているがドライバーの利便にはさっぱり結びついていない。
したがって普及もなかなかなので、圏央道の割引や道の駅退出などを恣意的にETC2.0に限定して普及させようとしているのだ。
もう良い加減にやめてほしい。
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左手ハンドファースト、右手フィンガーグリップ

2018年07月23日 | ゴルフ
これはゴルフに関する自身のメモみたいなものですが、なにか参考になれば。

右肘。インパクトの手前では肘の裏側が正面を向いた状態で右肘は曲がっていて、それが伸びていくようにインパクトを迎える。
インパクトの時に右肘は曲がっているか伸びているか?これはプロのスイング写真をみてもそれぞれだけど、概ね「若干曲がっている」ように見える。

ということで、クラブを握り、インパクトを再現してみる。
腰を切って、右膝が左膝についた状態で頭を残す形。
その状態で、右肘は若干曲がっている。その右肘を伸ばしたり曲げたりしてみると、それに連れてフェースが開閉するのがわかる。

ということは、インパクトでの右肘の曲がり具合をきっちり管理できない限り、ボールは右にも左にも行くということになる。
でも、そこをシビアにコントロール出来ないのがアマチュア。

ではどうするか。

上記のインパクト再現状態で、右肘の曲げ伸ばしがフェースの開閉に最も影響がないようにすればいい。

これは実際にやってみるとわかる。

1.左手がハンドレート(手の甲側に折れてる)になっているとたやすくフェースは開閉する。ハンドファースト(手のひら側に折れてる)にすると、フェースの開閉は抑えられる。
2.右手は、パームでしっかり握ると右肘の曲げ伸ばしがそのままダイレクトにフェースを開閉させる。フィンガーで握るとフェースの開閉は抑制される。
理由はおそらく以下のようなものだろう。
1.手首がロックされるので回転方向のブレが止まる。
2.右の指と手首の間に遊びができるから、肘の曲げ伸ばしによるブレがそこで吸収される。

これは人によるかもしれないが、実際に右肘の曲げ伸ばしとフェースの開閉の関係を試してみると良い。
おそらく、左手ハンドファースト(手のひら側に折れる)、右手はやや上から握るフィンガーグリップが一番フェースを安定させると思う。
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観光者向けハングル、中国語表記について考える

2018年07月16日 | 雑記
駅名などの表示を日、英、中、韓にしている交通機関などが増えてきている。
これについて、ツイッターなどで全く不要であるとする意見が提起されているが、ほとんどは嫌韓嫌中クラスタによる感情的なものに見える。
ここではそうした感情論を抜きに実際的に考えてみたい。

まず考慮するべきは、訪日観光客の半数は中国、台湾、香港の中華圏、25%は韓国であり、中韓で75%を占めているという事実。(3017年:ソース日本政府観光局)
なので、中韓に配慮するのは至極当たり前のことだ。
75%の人たちに利便を提供することは、インバウンドを取り込みたいのなら当然行われるべきであろう。

しかし、ならば全ての表示を4ヶ国語(もしくは簡体、繁体を分けて5カ国語)で表示するべきかというと、それは別の話だと思っている。

特に駅名表示は私は日本語と英語(ローマ字)だけでいいと思う。表示が煩雑になり見にくいというのもあるが、実際にあまり意味がないからだ。
その理由は、中華圏からくる観光客は当たり前のことだが、漢字が読めるということ。中華圏の人にとって日本漢字はほとんど読めるし、例外的に読めない字があっても駅名全体では理解できる。
また、韓国語は表音文字だからハングルがなくともローマ字があれば瞬間的にはわからないかもしれないが理解可能。また漢字も結構知っているから、漢字駅名もそのままハングル読みで認識する人も多い。
例を上げれば、品川は中華圏訪日観光客は「品川」(PinChuan)で覚える。「Shinagawa」表示は理解できないが、当然「品川」でまったく問題ない。韓国訪日観光客は「시나가와」(Sinagawa)で覚えるからローマ字で問題ない。
実際にまったくよめなくて問題となるのは全部カタカナの駅名だけ。これは英語がローマ字ではなく英語になるので全く読めない人も出てくるからそこだけ補足してあげればいい。

逆に筆者がソウルを旅行したときは漢字表記が非常に助かった。(ソウルの地下鉄は英、日、中表示)ハングルとローマ字ではほとんど理解できないが、漢字表示が出るとすぐわかる。

駅名表示以外はどうなのだろうか?
まずは中華圏。入口、出口など日中共通の言葉に二重表示は要らない。ともすると律儀に日本語、中国語簡体、中国語繁体ということで出口、出口、出口と微妙に違うフォントで書かれているケースがあるがこれは笑ってしまう。
(余談だが、簡体、繁体表示は気をつけたほうがいい。台湾、香港からの訪日客は中国大陸からの訪日客と思われることを好まないし、簡体字表示しかないとへそを曲げることがある。どちらか一つを選択するのであれば、大陸客も読める繁体字にするべきだ)
また、改札口、洗面所、自動販売機等など日中で言葉が違う場合でもほぼ想像できるし、一旦認識すれば次からは覚えることができるのであまり必要ない。切符、精算等まるで意味が通じない言葉は補足がいるかもしれない。カタカナは全くだめ。地下鉄を地鉄と表示する必要はないが、バスはわからないから公共汽車や巴士の表示は必要。
韓国に関してはハングル表示が親切だと思うが、英語と漢字でほぼ理解できるのではないか。これは実際に調査してみればいいと思う。

むしろ感じるのは、本当に説明がないとわからない表示に外国語表示がない、ということ。例えば新宿駅の自動販売機では1600円くらいまでの切符しか買えないが、それに関する多国語表示はなく新宿駅の自動販売機の地図で甲府が見つからず途方に暮れる、ということになる。

本当に訪日外国人にとって何が必要なのかをきちんと考えたほうがいい。
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未来投資戦略2018

2018年06月25日 | ITS
政府は国の今後の投資戦略の最新版、未来投資戦略2018を公表した。PDF

ICT、AI、ビッグデータ、自動運転、キャッシュレスといった、必ずしもすでに日本が世界をリードしているとは言い難い、しかしこの先もっとも重要なテーマについての我が国の戦略であり、非常に重要な国の政策の姿を語っているが、その中身をみるとこれらBUZZワードはきれいに散りばめられているがいかにも具体策に欠けていて、本当にこれでうまくいくのか心配になる。
野党はモリカケへの熱意と同じ、もしくはそれ以上の熱意でこの中身について突っ込んで政府を追求してほしいと思うのだが、そうした動きが見られないのは残念だ。

私の分野である自動車・交通関係に限定し、気がついたことを記しておく。

1.自動運転
オリンピックの2020年には公道での地域限定移動サービスの自動化を実現し、来日観光客へのショーケースとする、とあるが、私の予想は羽田国際ターミナルと国内ターミナルを結ぶ無人小型シャトルが精一杯。とてもショーケースというレベルには行かないだろう。
自動運転には道路インフラの根本的な見直しが必要であり、それには時間がかかる。2030年までに本格的な無人自動運転移動サービスを地域限定全国100箇所で実施、というのは現実的な線だが、これで世界をリードすることはできないだろう。
(どうでもいいけど、年表を西暦で書いた後、その詳細説明に平成をつかうのはやめてほしい。いちいち頭の中で換算する必要がある)

それ以上に不可解なのは、自動運転とカーシェアは切っても切れない関係であるはずなのにカーシェアについての言及は一言もない。というか、全体をとおしてシェアリングビジネスへの言及はほとんどない。既存のタクシー等運送業への配慮がにじみ出ているように思うが、そんなことではインベーションはできないはずだ。

2.新幹線のネット予約
「本年度中に全ての新幹線・在来線特急の海外インターネット予約を可能とし、将来的な予約ページの共通化や-略-ジャパン・レールパスの利便性向上等を推進する」
結構なことだけど、今更かよ、という感想しかない。過剰なセキュリティで使い勝手がわるいとか、スイカ購入が必要とか、プリントアウトした確認書を有人みどりの窓口で切符と交換とかはやめてほしいけど、私の予想では面倒くさいシステムになるな。

3.ETC2.0
この報告書の中でのETC2.0への言及は2箇所のみ。全文を引用してもこれだけ。
-ETC2.0で収集したプローブデータの活用を官民連携で推進する。
-ETC2.0等を活用したピンポイント事故対策の実施
正直、プローブデータは民がすでにたくさん持っている。官民連携で活用を推進する、という絵はあまり想像できない。
また、事故対策に関してはこのブログで散々こき下ろしているとおり、ETC2.0にその効能はほとんどない。(というか、その他手段のほうが費用、効果ともに優れる)
そもそもETC2.0が構想された時点ではだれも自動運転なんて考えもしなかった。もはやETCにノンストップ料金収受システム以外の機能は不要。おそらくここに書かれている2点についての進展はない。
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日本は息が詰まる社会を目指すのか

2018年06月20日 | 雑記
先週末から昨日まで私用で一時帰国していた。
羽田からリムジンバスに乗車。国際ターミナルで7割方席は埋まり、半分近くは外国人だった。
前の方に雰囲気からシンガポールか香港人だと思われる中華系外国人家族が乗車。小さい子供二人がちょっとはしゃいでいたが、特に気になるような騒ぎ方ではなかった。

国際線ターミナルから国内線ターミナルに移動する間の赤信号で停車したとき、ドライバーが車内にやってきて子どもたちにむかって指を口に当てる仕草をし、親にQuiet pleaseと注意をした。
そこまでのことではないにの、と思ったのだが、その後国内線ターミナル出発後ドライバーは改めてマイクで日本語で車内では静かにしてほしい旨の注意を行い、最後にBe quiet pleaseと付け足した。

その後新宿に着くまで車内はお通夜のようにシーンと静まり返り、横の若い白人カップルは口を相手の耳に当てて話をしていた。彼らは日本は怖い国だと思ったに違いない。

帰国時の羽田空港。カードで入れるラウンジでコーヒーを飲んでいたら電話が入った。
ラウンジにはたいてい電話するための個室のようなスペースが有るのは知っていたが、とっさに見当たらなかったので周囲に誰もいない隅に移動して受話したら、すぐに係の方から電話ブースへ行くように促された。それがそのラウンジの規則なんだから文句をいう筋合いはまったくないし、係の方の対応も規則通りなんだろう。しかし、間違いなく誰にも迷惑をかけていない。

通話はご遠慮ください、という日本のルール、私は全く理解できない。通話を遠慮するべきシチュエーションなら会話も禁止だろう。図書館とか。
公共交通機関等は普通の会話レベルで通話をする分には全く問題ないと思う。むしろ新幹線車内で大声で酒盛りをする会社員や、東京から大阪まで一分たりとも途切れることなく話をするおばちゃん連中を規制してほしい。

日本人はマナーがいいという。しかし、マナーとは人の迷惑にならないような声で話をすることであり、携帯電話をしないことではない。
いや、日本人はマナーがいいのではないのだ。同調圧力が強いだけ。ゴミが落ちていないところには絶対にゴミを捨てないが、たくさん落ちているところなら捨てる。
また、これが問題だと思うが、同調しない人に対する批判が異常に強い。携帯電話はマナー違反ということになれば「自分に全く被害が及ばないことでも」それを無視する人間を許せない。苦情が出る。

苦情は昔からあったんだとおもう。しかし最近SNSで簡単に拡散するもんだから企業側が炎上を怯れて過剰に対応する。そしてそれが風潮となって広がっていく。
公務員や消防団員が制服で飲食したりコンビニで買い物したりしてるだけで苦情がはいり、役所が記者会見をして謝罪するというのも過剰な苦情対応によるものだろう。

この過剰なコンプライアンスはゼロリスクの追求にもつながる。
企業が問題を起こすと、昔ならそれほど話題にならなかったような話であってもSNSで拡散し、いまやSNSを主情報源としているメディアが飛びつく。企業はそれを怯れ徹底的にリスクゼロを追求する。
社内に監査専門部門ができ、すべての企業活動はその部門の監査を通すことになる。監査部門はそれが仕事だから重箱の隅をつついてくる。以前よく言われた80点ならGOだ、という考え方はもう日本にはない。95点でも5点とれない理由を延々と説明させられる。

当然、スピード感がなくなり、かつ冒険的な企画は潰されるか、もしくは説明が大変なのでそもそもだれも言い出さなくなる。

こんな状況でイノベーションは生まれない。
実際、この10年間で日本発のイノベーションって何が有る?
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中国偽国際免許

2018年06月13日 | 雑記
この件は前にもちょっと書いたけど、メディアもSNS界隈も非論理的な意見が溢れているからもう一回。
なお、私は偽の国際免許を認めろと言ってるわけではない。そこは論点ではないことをお断りしておく。

よく見る意見は大体こんな感じだ。
「偽の国際免許で中国人にレンタカーを運転させるとはとんでもない。日本の道路法規も知らず、めちゃくちゃな運転をする中国人に無免許で車を運転させ、事故が起こったらレンタカー会社は責任を取れるのか?国は早急に対応をするべき」

この話には独立した3つの事柄が含まれているのだが、しかしこれら論調はそれをごちゃごちゃにしているのだ。

1.中国人が持ってくるフィリピンの国際免許証が偽物であるという問題。
2.日本の道路法規を知らずに慣れない中国人がレンタカーを運転するのは危険だという問題。
3.中国人の運転は荒いので、日本で運転させるべきではないという意見。

1については、前提として彼らは中国の運転免許は持っているので無免許ではない。ただ中国は国際条約に加盟していないことから国際免許が存在しないという制度の問題が根本になる。だから偽の国際免許というものが出てくる。一方、旅行者がレンタカーを借りたいという需要は存在するわけで、実際英国、ドイツを含む多くの欧州国家、カリファルニアを含む多くのアメリカ州、オーストラリア、ニュージーランド等では規定の翻訳書があれば中国の免許での運転を認めている。日本人もハワイなら国際免許は不要。
我が国が中国からの観光インバウンドを重視するなら欧米豪のような処置をして法的な問題をクリアすればいいし、それよりも偽免許問題に厳格に対処するというなら中国人のフィリピン国際免許での運転を禁止すればいい。

2についてはそのとおりだが、どこの国の人間であろうが関係ない。そもそも国際免許というものは免許証の翻訳書であり、その取得にあたって外国の交通法規の試験や講習などまったくないのだから、どこの国の人間であろうが皆日本の交通法規なんか知らずに運転している。実際、沖縄では結構外国人による事故が発生しているようだが正規の国際免許で運転している台湾、香港、韓国からの観光客で9割だそうだ。これを問題にするなら国際免許での運転は一切禁止にするべきだろう。

3については一般論として運転が荒いことは事実だが、それをもって全体に適用するのは差別的だろう。黒人は犯罪率が高いから宿泊禁止なんて言ったら大問題になる。それと本質的に同じことを言っている。

つまり、理屈的には2.3は問題とは言えない。存在している問題は1の「国際免許がどうやら偽物である」、ということだけ。運転免許自体は持っているが、制度的に必要となる国際免許が偽物だということ。
(蛇足だが、中国の免許で正式に日本で運転する方法はある。香港は中国の免許保有者に対して香港の免許を無試験で交付している。香港免許を取得しその国際免許を持ってくれば100%合法。中国人が香港免許を取得するためには2回香港に行く必要があり手間がかかるのでこの方法は一般的ではないようだ)

一番の解決策は他国のように中国の運転免許があれば運転できるようにすることだが、政府は踏み切らないだろう。
まず、中国ということで感情的な反対論が噴出する。韓国は済州島に限り中国免許での運転を認めたが、そのときもかなりの反対論があったらしい。
許可することで交通事故死者が出たりしたら叩かれる事は必至。しかも、事故というものは必ず起きる。日本人による海外でのレンタカー対人死亡事故だって発生している。そんなリスクを役所がとるはずがない。

そんなことで、問題だ、問題だというばかりで今の状況から全く何も変わらない状態が続くんだろう。
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中国、ナンバー読み取り駐車場が急増中

2018年06月08日 | ITS
中国ではナンバー読み取り式の駐車場がものすごい勢いで増加している。従来のカード発行式駐車場はどんどんナンバー読み取り式に機械を入れ替えている。
日本でもナンバー読み取り式は存在するが駐車券は発行され、精算済みの場合は出口ゲートがそのまま開くというようなものが多い(日本を離れて6年経過しているので最近の事情はよくわかりません)。事前精算機対応のためだろう。
しかし、中国のナンバー読み取り式は駐車券を発行しない。入り口では表示器にナンバーが表示され、そのままゲートが開く。
精算所に人がいて集金するケースが多いが、スマホで決済が済んでいるとそのまま通過できるようになっている。

スマホ決済は二通りあり、一つは駐車場に貼ってあるQRコードを読み取り、自車のナンバーをインプットし支払う方式。要するに事前精算機がなく、自分のスマホで精算をするということ。決済はWechat Pay。もう一つが商業施設利用割引。レジで専用QRコードを読み取り、同様に自車のナンバーをインプットして完了。QRコードは一回読み取れば次回以降は自動的に自車ナンバーが表示されるので、二回目以降は精算はあっという間に終わる。
駐車場によっては出口に人がおらず、必ずスマホ決済をしなければならないところもある。それほどに現在の中国ではスマホ決済は当たり前になっている。

この方式、DSRC技術をつかったETCでのノンストップ料金収受に比べればローテクだが、ユーザーとしての使い勝手としては大きな差はない。スマホ決済はチャチャっとできるのでさして手間には感じない。さらに、ETC駐車場決済の課題である商業施設利用割引が簡単にできる。ETCの場合はETCカードの親カードで支払った場合に限り、カード会社でマッチングしカード決済時に駐車代を割引くというような方法しか今のところはないようだ。

さらに、ETC決済に比べ駐車場側の導入費用は遥かに安い。ハードウェアはナンバー読み取り機だけ。システムも集金はWeChatがやってくれるのでそれほど大掛かりなものは必要ない。

日本において、ETCの駐車場利用は駐車場側の設備投資負担を考えるとあまり進まないだろう。
ETC(DSRC通信)の商業利用はまだスマホが存在しなかった20年前のアイデアであり、現在はより良い方法がいくらでもある。
まだスマホ決済の統一プラットフォームがない日本ではこの中国式の導入は難しいが、どちらが現実的かといえばナンバー読み取りだろう。
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