ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

ETC2.0を取り巻く謎

2023年03月17日 | ITS

もう2年前だけど、俺たちの清水草一氏がベストカーで以下の記事を出されてました。

私が今までグダグダ書いてきたことがここにすべて書かれています。

 

“次世代”ETC2.0を取り巻く謎 利用者にメリットが薄いのになぜ普及? - 自動車情報誌「ベストカー」

“次世代”ETC2.0を取り巻く謎 利用者にメリットが薄いのになぜ普及? - 自動車情報誌「ベストカー」

“次世代”ETC2.0を取り巻く謎 利用者にメリットが薄いのになぜ普及? 近年ETC2.0が登場した。現在に至るまでメリットといえるものを利用者に提示しできていない。メリットも...

自動車情報誌「ベストカー」

 

 


ソニー・ホンダモビリティ 新EV「アフィーラ」の危うさ

2023年02月13日 | 自動運転

1月のアメリカCESで発表され、2年後の発売に向けて先行予約の開始がアナウンスされたソニーのEV。
先日ラジオを聞いていたら、車に詳しいITライターの人が単純に「これはすごいことになるでしょう」とお話しされてましたが、私は非常に悲観的。

番組ではまず、「クルマはスマホになるといわれており、ソニーとホンダの協業の未来は明るい」的な話から始まりました。
いやいや、ソニーのXperiaって世界的に見たら決して成功してないよね?という突っ込みはおいといて。

この「クルマはスマホになる」、耳にタコができるくらい聞く言葉ですが私はならないと思います。なぜなら、車に乗るときスマホはすでにポケットに入っているから。
ネットに繋がり、ソフトのインストールでカスタムができ、エンターテイメントを楽しめる、というのがどうやらクルマはスマホになる、の根拠らしいけど、そんなこと言ったらデスクトップパソコンはすでにスマホだよね。でもデスクトップパソコンはスマホだ、とはだれも言わない。

なぜか

持ち歩けないからです。家でしか使えないものはスマホではない。

一方、クルマは移動時につかえるからデスクトップパソコンよりはモバイル性があるかもしかもしれないけど、でも目的地に着いたら駐車場に置いておかなくてはならない。
「クルマでの移動時にしか使えない」スマホなんて要ります?私は要りません。ポケットに入ってるiPhoneで十分です。

さて、この方のお話、後半は車内エンターテイメントが中心になりました。クルマは自動運転になる、すると人は運転業務から解放される。すると何をするか?ゲームだ。ソニーはゲームの世界でPSという非常に大きな資産を持っており、これが大きなビジネスチャンスにつながる。ということのようです。

この、自動運転で運転から解放されることで生まれる市場ってのも、特にテック系の人たちから過大評価されてますね。
有料エンターテイメントやら、ショッピングやらで莫大な市場が生まれる、とか。

本当かね。

まずはこの車、おそらく1000万円くらいする。裕福層しか買わない。クルマの中でちょっと時間ができたらすぐゲームしたい層とは多分マッチングしないでしょう。
そもそも運転業務から解放されたらみんな嬉々としてゲームをするのか?という疑問があります。例えばいまでも助手席の人は運転業務から解放されてる。なんで助手席専用ゲーム機がないんでしょうか?
タクシーに乗っているときは運転しなくていい。じゃみんなゲームしてますか?飛行機も運転しなくていいし、目の前にモニターがある。どれだけの人がゲームしてます?

移動時間中のエンタメなんて、ポケットに入ってるスマホでSNSチェック、で十分なんじゃないでしょうかね。
もちろん、運転しなくてよくなったからっていきなりネットショッピングをはじめる人もそんなにはいないでしょう。

ソニーとホンダが組んだら誰もが想像すらできなかったすごいことが起きる、という論調もあるけど、この分野はもう10年以上騒がれているから、もう「誰も想像すらできないすごいこと」なんてないんだ、と考える方が自然です。

ソニーが展示したこの車、じっさいかなり苦悩されたとおもいます。フロントグリルにフロントバーと称するインフォメーションディスプレイが付いていますが、ソニーっぽさを出すにはこれくらいしかなかったんでしょう。クルマのフロントグリルに情報表示するなんてまったく使い道がないってことは百も承知で、でもそれくらいしか思いつかなかった、というのが正直なところじゃないのかな?

もちろんソニーの強みである各種センサーで自動運転方面ではいろいろなことができるでしょうが、それ自身がキラーコンテンツとなるものではありません。
ソニー+ホンダという往年の日本ブランドの協業というクールジャパン的ブランドパワーでそこそこの台数は売れるとは思うけど、私はそれ以上の物にはならないと思います。

 

蛇足だけど、クルマとゲームの融合で唯一優れていること。それはドライブ系ゲームです。

シート、ハンドル、ブレーキ、アクセルが付いているから、ハンドルコントローラーが要らない。これ、シートや大画面液晶の本格的シミュレーター買おうとすると数十万円かかりますからね。

以上です。


燃費グッズ「アドパワー」他1社に措置命令

2023年02月11日 | インチキ・疑似科学

怪しい燃費グッズについては過去に何回か書いている。
2021年8月のエントリー「また出てきた燃費グッズ」

この記事では直接商品名を表示せず”直訳すれば「広告の力」”と表現したが、このたび消費者庁から措置命令がでたのでもう隠す必要はないだろう。
AdPowerだ。
『同庁が表示の根拠となる資料の提出を求めたところ、両社からデータの提出はあったが、車の状態など試験環境が同一ではなかったとして、「合理的根拠が認められない」と判断した。』
要するに提出された試験結果は製品の効果か測定誤差かが不明である、ということ。

これに対し同社は
「深くおわびし、再発防止に努めたい」とコメントした。

現在同社のHPにおける表現は「静電気抑制放電効果により、エンジンへ吸入される空気の流れを変化させます。」と変更されており、燃費や馬力が改善するという表現が削除された。
実際に効果がある商品を開発するとか、販売を中止するということではなく、表現を変えることが再発防止策らしい。

この商品、21年8月のエントリーにある通り疑似科学でおなじみのゲルマニウムを含むテープをエアクリーナーボックス内に貼ることで静電気抑制し、空気の流れを良くすることでエンジンの燃焼効率を上げる、という仕組みになっている。
東海大学で試験を行い、静電気除去による空気の流れの改善が確認された、としている。

この試験結果が製品の効果なのか測定誤差なのかは筆者は判断できない。
しかし、それ以前の問題がこの製品にはあるのだ。

それは「エアクリーナーボックス内の空気の流れを良くすることで燃焼効率が上がる」という部分。
エンジンが回るとエンジンはエアクリーナーを経由して掃除機のように勢いよく空気を吸い込む。
エアクリーナーはエンジン内に入る空気のごみをとるフィルターで、当然ながらそれ自身が空気の流れを阻害している。その阻害量(圧力損失)は静電気による空気流量阻害とはけた違いに大きい。

カーメーカーのエンジン設計はそれを計算してエンジン内に必要十分な空気が送り込まれるように吸気システムを設計する。ある程度エアクリーナーが詰まったところで性能には影響しない程度のマージンを取っていることは言うまでもない。もし空気の流れをさらに良くすれば燃費が向上するなら、カーメーカーはもっと大きな吸気ダクトやエアクリーナーをつけるだろう。

そうしないのはすでに十分な空気流入が確保されているということに他ならない。
カーメーカーが燃費改善に費やすリソース(時間、人、金)は厖大なものがあり、かつてカーメーカーにいた身としては「そんなに間抜けじゃないぜ」といいたい。

しかしこの商品、アマゾンなどの評価は結構高い。その仕組みは上記のブログエントリーに詳しく書いた。
「パワーが上がるので軽くアクセル踏んだだけで加速する」というおまじないが実際に燃費を向上させているだけなのだが、この効果があるからオカルト燃費グッズが後を絶たずに現れることになる。

最近の車にはACC=アダプティブクルーズコントロールが付いている。これはドライバーがアクセル操作をしない。
アドパワーさんが製品に自信をもっているなら是非ACC使用下での燃費比較試験を実施してほしい。


Apple CarPlayの使えなさ

2022年10月16日 | モバイル・ウエアラブル

スマホと車両を連動させる仕組みがもう7-8年ほど前から出現している。iPhoneであればCarPlay、AndroidであればAndroid Auto.
これが出現した当時、「カーメーカーはシステムをGoogle/Appleに乗っ取られる」というような勘違いコメントが主にIT系ライターによって語られて爆笑していたのだが、当然そんなことは起きていない。

当ブログ過去記事 2015年5月

そもそもCarPlay、Android Autoはスマホを運転中にいじるのは危険だからアプリ機能を制限したうえで車両のモニターに表示する、というものであって、何かができるようになる仕組みではなく、何かをさせなくするもの。それが全く理解されていなかったようだ。さらにいえば、車と連動といってもエンターテイメント系だけのことで車両操作系へのアクセス(CAN通信)はカーメーカーが一切許可していないので、乗っ取られることはありえない。

さて、そのCarPlayはじっさい使ってどうなのか?
筆者はiPhoneに買い替え、所有車がCarPlay対応なのでここ数カ月使った感想を書いてみる。

先ずなんといってもUIが悪い。筆者の車は液晶がタッチパネルではないので車両のダイヤルやボタンで操作するが、車両のダイヤルは車両のナビを前提に作られてるからCarplayアプリの操作はまどろっこしい
ナビ画面の拡大縮小は運転中にはとてもできない。
ナビに関してはCarPlayはAppleなのでデフォルトがAppleのマップ、ナビ。HeySiriで音声操作ができるけど検索や地図がいまいち。よってGoogleやYahooのマップ、ナビを使うことになるが、AppleナビならHeySiriで音声で拡大縮小できるけど、Googleではできない。

やはりUIに関しては純正車載ナビのほうが圧倒的に使いやすい。

ナビ以外も各種Appが使えるけど、基本的にまともに使える(使う)のは音楽Appくらい。それとてApple系に最適化されていてAmazon Musicでは運転操作阻害の観点からか画面からの検索はできず、結局スマホ画面から操作が必要。(これじゃもっとあぶない)

また、車載器のCarPlay と頻繁にアップデートするIOSの相性もカーメーカー側では徹底的には検証されていないと思われよくバグる。バグったらリスタート必要など、走行中にはもう打つ手がない。SA等駐車場に止めて対応する必要がある。これは致命的。コンビニなどに寄ったときにスマホの接続は解除しなくてはならず(スマホ決済なので)、再接続でバグることも多い。

また、これは私の車だけかもしれないが、CarPlayを接続すると車両のヘッドユニットがCarPlayを外部機器として認識するので車両に挿してるメモリーカードの楽曲再生やTVチューナーの起動ができない。

車両の純正ナビに比べればリアルタイム地図更新および渋滞を加味した経路誘導の面でGoogleナビのほうが優れていると思うが、やはりCarPlayでの使い勝手の悪さは何ともしがたいものがある。
結局Googleナビを使うときはスマホをつながずそのまま架台にひっかけて使う、ということになる。

ということで過大な期待とともに登場したCarPlayだけど、この先なにかブレイクスルーがあるとも思えません。


ETC2.0 賢い料金(道の駅一時退出)はどうなっているのか

2022年08月27日 | ITS

圏央道特定区間の割引を除けばETC2.0のほぼ唯一のメリットとして4年ほど前に始まり、しきりに喧伝されていた(とはいえ知名度は低いが)賢い料金・道の駅一時退出制度

SA.PAが少ない高速道路区間全国23箇所のICで料金所をいったん出て道の駅により、1時間以内に再入場すれば追加料金が発生しないという制度だがその後どうなっているのだろうか。

気になって国土交通省のリリースを確認したが、令和元年6月のリリースで「一か所当たりの日当たり平均利用車数(平日)」は12台であることが報告されている。営業時間で1時間に1台。
これをもって成功とはいえないだろうがまだこの時点では始めたばかりなので仕方がない。
ところが令和2年3月のリリースでは利用台数の記載がすっぽりと抜けている。意図的なのかどうかはわからないが、前年比である程度の増加をしていたら当然成果として記載されるはずなので実態は推して知るべしだろう。なお、余談となるがアンケートの結果を受け再入場までの制限時間は1時間から3時間になり、その後なぜか2時間に短縮されている。

さて、そもそもこの制度には大きな疑問がある。

SAPAがすくない(間隔25㎞程度といっている)区間があるのは道路会社のせいであって、過労運転防止やサービス向上の観点から改善するのは当然のことだろう。それを、あたかもETC2.0のメリットのように取り扱っている。
いや、ETC2.0だからできるようになったのでは?と思われるかもしれない。じっさい、多くのメディアが勘違いしているとおもわれるが、実はまったくそんなことはない。
道の駅への立ち寄りを感知しているのは通常のETCと同じDSRC信号だ。

ではなぜETC2.0に限定されているのだろうか?
理由は単純で、1万円以上高いETC2.0車載器の普及促進なのだ。

多くのWEBメディアがこれに翼賛する記事を上げているのも興味深い。ETC2.0は必要ないなんて間違い、とか、ETC2.0はこんなにすごい、とか。ライターさんには良心がないのかね。
たとえばこれとか。


私見としては、ETC(2.0に限らず)装着車についてはすべてのICでの途中下車を2時間程度無条件で認めればいい。高速道路により素通りされてしまった地場の国道沿い商業施設への寄与になるだろう。配送車両などが拠点への荷物の積み下ろしに利用するかもしれないが、それはそれで構わないと思う。

この辺の詳細は当ブログでいままでさんざん書いてきているので、たとえばここらを参照ください。

文中平成を令和に修正 20220903


新型クラウンクロスオーバー、なぜ作った?

2022年07月20日 | 雑記

トヨタが新型クラウンを発表した。SUVになる、という大方のうわさはその一部でしかなく、実際はSUVを含む4車種であり最初に登場するのがクロスオーバーと称するSUV的モデルだ。

このクロスオーバーという車、私には疑問しかない。
若干背が高かったりサイドに大型のモールをつけたりしているがぱっと見はセダン。真っ先に特徴は何かといわれれば「ボンネットが何故か黒い」としか言いようがない。

ネットの記事によれば、「若手デザイナーに任せた」という。

 

あぁ…大事……新型クラウン「反対もあった」大胆な路線変更を成し遂げた鍵は若手起用と「壁」(ベストカーWeb) | 自動車情報サイト【新車・中古車】 - carview!

 2022年7月15日、トヨタは新型クラウンを世界初公開した。新型クラウンは4種類のボディバリエーションを持っており、その第一弾であり中心的存在となるのが「クロスオーバ...

日本最大級のクルマ総合情報サイト、カービュー!

 

年寄りの干渉を排除し若手に任せる、って美談のように語られているけど本当にそうなのか?
はたして若手デザイナーはEセグメントのセダンを買うのか?多分買わない。ほかにもっと選択肢がある。
記事中に『若者にとってクルマとは「乗って楽しいもの」だけでなく、海にもキャンプにも行けて、乗り降りもしやすい、荷物も積みやすいかたちであることが重要だったという。』
とある。その通りだろう。ただ残念なことにそれに適したボディ形状の車は世の中にはいくらでもあって、クラウンでそれをやる意味はまったくないということなのだ。

買わない人にデザインや商品企画をさせるって、「女性向け商品を男性がしている」ようなものだと思う。

日本においては、Eセグセダンって個人経営者や子供が独立した夫婦が主たるユーザーであり、やはりそこを見ないと商品企画ではない。
おそらく40代以降、また個人経営者で外車やレクサスではなく敢えてクラウンを買う人はどうしても保守的、もしくは取引先などの関係から華美にしたくない、という気持ちがあるだろう。

この人たちがボンネットが黒い車を買うとは到底思えない。のちに出現するというセダン型以外の選択肢はない。
つまり、クロスオーバーという類別は新しいユーザーを獲得する必要がある。

しかし、これを選ぶユーザーの顔が想像できないのだ。
いま、日本ではセダンよりSUVのほうがはるかに売れている。でもSUVを選ぶユーザーはもっとSUV的見た目や広い収納スペース、悪路走破性(それは多分にイメージだけのものだが)を求める。
この車を選ぶ必然がない。

セダンはクラウン後継、スポーツは海外市場向け、エステートはRAV4の上位、という感じで位置づけがわかるが、どうもこのクロスオーバーは蛇足のように思う。


メタバースは線香花火か

2022年06月05日 | モバイル・ウエアラブル

メタバースがバズワードになって一年くらいたつけど、私はどうにもこのブーム(?)に懐疑的。

メタバースとは、コンピューターネットワーク上での仮想空間、特にVRヘッドセットをつけて入り込む3次元のバーチャル空間。VR3次元でないものはもう15年以上前から存在し、「セカンドライフ」なんて懐かしいものもあるし、アバターになって他者とコミュニケーションする世界はMMOゲームが既に存在する。

メタバースと、それら既存のサービスとの違いは「VRヘッドセットを使う」ことと、「おおむね2021年以降に参入してきたものである」ということくらいだろうか。

なので概念としては全く新しいものではないのに、メディアではなにか革命的なもののように取り扱われている。

ここで、メタバース+流行らない 等のワードで検索をかけるとそれを必死に否定するブログが結構見つかる。
面白いことにどのブログをみても「フェースブックが社名をメタにした」「大手企業が続々参入している」とまるでテンプレートを使っているかのように反論が同じで、なおかつ仮想通貨などの自身のアフィリエイトへのリンクがお約束のように張り巡らされていること。

実は、これが線香花火臭を発散させているのだ。情報商材屋やオンラインサロンのような、儲け話に群がる連中がさっそく目をつけている。
仮想通貨が良い例で、メタバース空間では仮想通貨しか使えないからこの先爆上がりするとか、今のうちにもっておくべし、等の言説もでている。
まあこうした勧誘ならまだいいが、この先詐欺まがいの物も出てくる可能性がある。
結果、焼け野原のようになってしまうだろう。

そうはいってもメタバースそれ自身に将来性があるのなら、こうした立ち上がり時の混乱は時間がたてば収まるだろう。
しかし私にはそうも思えない。

メタバース否定論者は「セカンドライフ」も成功しなかっただろう、といい、推進派はそれはハードの限界があったからで、10年でコンピューター処理速度、通信速度は飛躍的に向上した、という。
「セカンドライフ」をやってみて数回ログインして飽きてしまった私は前者の立場だ。当時でもさほどストレスのない仮想空間だったし、アバターとなってコミュニケーションしたり買い物やビジネスしたりできた。本質的にはメタバース=セカンドライフといって間違いない。
私がすぐ飽きた理由はハード性能が貧弱だったからではない。キラーコンテンツが見当たらなかったから、としか言いようがない。
メタバースも大手企業が参入してビジネスチャンスを窺っているようだけど、それって消費者(参加者?住民?)にとってはキラーコンテンツではない。人は買い物だけに生きているわけじゃない。売り手目線でしか語られてないと感じる。

ショッピング以外のコンテンツはどうか。よく他者とのコミュニケーションがあげられるが、本当にそんなことしたいのか?と思う。仮想の世界にまで面倒な人間関係を持ち込みたいとは、私は全く思わない。(これは人それぞれだろうけど)

ということで、VR にしてもMMO型のコミュニケーション可能な仮想空間にしても、それ専用に企画されたゲームコンテンツが存在し、一定のユーザーを獲得している。
それの発展形としてVRゴーグルを使ったよりリアルな商品をメタバースと呼ぶならそれは正常進化としてまったく有りな話だし、教育等の局所的な場面でのVRは有効だと思うけど、メタバースそれ自身に社会を変革する何かがある、ということではないだろう。


ジャケット着用のゴルフ場で思ったこと

2022年06月03日 | 雑記

名門ゴルフ場にはかなり厳格なドレスコードがあって、ほとんどの場合入退場時のジャケット着用が必須になっています。
中にはハーフパンツでの来場禁止とか、ポロシャツの襟立てるの禁止とか、髑髏マークのシャツ禁止とか中学の校則かよ、みたいなのもありますが、今日はジャケットの話。

名門ゴルフ場はそもそもメンバー中心で、ビジターはメンバーのお友達に限られるわけだからどんなルールがあろうがそれに文句をいう筋合いは一つもありません。
でも、ブームで乱立し今となっては来場者はネット予約のビジター中心というゴルフ場でも同様のルールが残ってる。

ということで、夕方のロビーで精算したり待合せたりしてる人たちはみんなジャケットを着ているわけだけど、どうみてもスポーツウェアの上に会社に来ていくダークな背広を仕方なくひっかけてる、という人が多いですね。正直いってやぼったい。

30年くらい前までは、中年以上の男子はレジャーに行くときにジャケットを着たもんです。私(現在還暦+5さい)よりも10歳以上うえの世代。
だから、ゴルフ場に来ていってさまになるジャケットを持っていた。
もしくはその世代はアイビーを経験しているのでカジュアルなブレザーを持っていた。

でもいまの人ってレジャー用のジャケットあんまりもってないですよね?
わざわざゴルフ用、それも合計10分程度の入退場用に買う人もいない。なので会社用をひっかける。まさに入退場用です。

これってバカらしいくないですか?
ジャケット着用ルールでゴルフ場の雰囲気が英国紳士の集まりみたいになるんならまだわかるけど、単にやぼったいだけになってる。
暖炉やアンティークな家具のあるサロンがあるならまだしも、宅急便受付にはプラスチック椅子も置いてあるようなロビーでそんなこと言っても意味ないですよ。

ビジターをたくさん入れてるゴルフ場も形式的にはまだベースはメンバーシップ制になっているわけで、「マナー委員会」とかがある。
そうした非営利の意思決定機関には摩擦をおこしてでも改革しよう、という人はほとんどいない。
うるさい古参メンバーが「ジャケットは着用だ」といったら、はいそうですね、といっとくのが一番楽。

まあ、あと10年もしたら自然に変わるでしょう。

蛇足ですが、
以前はハーフパンツにはハイソックスというルールが一般的だったけどさすがに今はなくなったようですね。
さすがに中年男性のハイソックスは気持ち悪い、と誰もが思うようになったんでしょう。


ETCXはどこにいくべきか?

2022年05月22日 | ITS

CarviewにETCXの記事がでた。2022年5月22日

ついに「おサイフカー」の時代へ。ETCXへの期待と不安【いまどき・これからの車学】

「おサイフカー」の時代は来ないと思う。

実際、ETCを高速道路以外の決済で使うという話は20年以上前のETC構想当初からあった。
その後、三菱商事系のITS事業企画という会社がIBAサービスという事業で駐車場、ドライブスルー等に展開したが、消滅している。
ETCの商業利用では最も親和性が高いということで駐車場のプロであるタイムズが事業継承したけど、それでもうまくいかなかった。

このETCXにしても、すでに事業開始後1年経過するが商業施設は一か所のみ。一年やってほぼ進展なし、という状況なのだ。

筆者は「ETCにように素通りできないのが問題点」というがそもそもドライブスルーもガソリンスタンドも素通りするもんじゃない。
素通りしないのなら、別にスマホキャッシュレスでも大した手間ではない。「素通りできないから需要がない」というのが正しい。

あと、クラウド化でETCXは運用側も大幅に費用を下げることができるとしているけど、クラウド化してもDSRC受信アンテナ設備はいるよね?
それが高いから普及の足かせになっているんじゃないの?設備費用をいったらスマホ決済には当然かなわない。

スマホキャッシュレスがなかった時代でもIBAはとん挫したわけで、今の状況を考えたらもっと難しいだろう。

前から何回も言ってるけど、ETCは有料道路料金支払い機に特化するべきでその他の商業利用なんて考えるのはすぐやめたほうが良い。
ETCXはプライベート有料道路のETC化に特化してやっていくのが正解だとおもう。

 


バルミューダフォン値下げ

2022年04月08日 | モバイル・ウエアラブル

いろいろ話題をふりまいてくれたバルミューダフォンですが、3月初めに25%を越える値下げを発表しました。
これは何を意味するのでしょうか?

商品はその総利益が最も大きくなる価格を設定します。総利益は数量x利益で、当たり前の話ですが価格は安い方が数量は出る、ということなので総利益が最大となるようにうまいところでバランスをとって価格は設定されるものです。

おそらくバルミューダフォンの最初の定価10万円+もそうやって決められたんでしょう。一部の人はバルミューダのブランドバリューがあるから高めの価格設定をしたのだろう、といっていますが、多分違います。バルミューダは30億円の開発費をかけた、という話がありました。
それを製品コストに上乗せして回収するためには、10万台販売するとして一台あたり3万円。ハードウェアのコストよりこの開発費の割り掛けのほうが高いのではないでしょうか。

こうした開発コストの割り掛けが大きく乗っかってる商品は、販売が計画を下回ると非常に面倒なことになります。開発費を回収できず、損費を計上しなければならなくなります。

そうした事態に陥ると、まず考えることは「利益は吐き出してもいいから開発費だけは何とか回収しよう」ということでの値下げです。
今回の値下げはそうしたことかもしれません。

さて、ここで一つ考えなければならないことがあります。

バルミューダフォンはすでに27億円を売り上げており、それは実は計画を上回っている、ということです。
あれだけボロカスにいわれている商品が実は販売好調?
いや。そうではありません。この売り上げはソフトバンクへの初期分の卸売り(おそらくは3万台程度)で、消費者への実売ではありません。

もしこの初期ロットが多少計画を下回ったとしてもそれなりにさばけているとしたら値下げなんてするバカはいません。在庫を抱えて相当困っている、と見るべきでしょう。
しかし、定価10万+だったのでソフトバンクはおそらくその8掛け程度で仕入れているのではないでしょうか。スマホ業界の価格建てをしらないのでこれは想像です。
まあ、多少の差はあったとしても、25%定価がさがってしまったら赤字販売を余儀なくされます。通常そんなことは受け入れられるはずがありません。
おそらくはバルミューダからソフトバンクに対して何らかの補償が出ているのでしょう。

しかしバルミューダさんの苦労はこれで終わらないでしょう。
なぜなら、あのスマホは7万円台でもまだ値ごろを外しているからです。10万でも7万でも売れ行きはあんまりかわらないのではないかとおもいます。

おそらく売れ行きを向上させるための値ごろ感は2-3万円ってところではないでしょうか。
好みは人それぞれですが、私個人はあのスマホ、ただでくれるといっても10万円出してiPhone買うほうを選びます。

寺尾社長はバルミューダフォンが発表されて酷評をうけたことに心底驚き、しばらく落ち込んでいたらしいですが、この商品が本当に売れると思っていたとしたら絶望的にセンスがないし、センスというのは先天的なものなのでもうこの先しばらくはトースターに専念したほうが良いのでは、と思いますね。