ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

毎日新聞 ITSスポットの楽観的記事

2010年11月30日 | ITS
毎日新聞に驚くほど楽天的なITSスポット(DSRC)の記事が掲載されている。

少なくとも自動車メーカーは対応カーナビの開発にしのぎを削ってはいない。様子見はしているようだが。まあ、15年までに1000万台の普及なんてあり得ない。

将来的には駐車場やドライブスルーでのキャッシュレス決済などでの利用を見込む、と書いてあるが、10年前からずっと同じことが言われている。

DSRCのETC以外への利用に関しては、最近になっていままであまり強調されていなかった「県境をこえた広域な渋滞情報の提供」という話をメインにしているようだ。
駐車場も、安全運転支援もキラーコンテンツにならないので、新しいセールスポイントにしたいのだろうが、これだってまるでキラーコンテンツとはなりえないだろう。

ソフトバンク光の道

2010年11月21日 | 雑記
ソフトバンクが光の道に関して、新聞の一面広告を出して国民に意見投票を呼びかけている。

孫氏は日本を代表する優れた経営者だと思うが、これは正直いただけない。私は消費者を馬鹿にしているのではないかと感じてしまう。
この意見投票は「安い、早い、旨い(B)とその反対(A)と、どちらが良いですか?」と聞いているわけで、それに関する判断材料はほとんど示されていない。
何も理由がなければ(B)が良いに決まっている。

国がそれを採用しないのには理由があり、その理由は簡単にいっちゃえば「計画の実現性のなさ」だろう。
SBはそれに対して「実現できる」具体的な説明をきちんとしなければ、こんなもんに判断は出来ない。
それを確認もせずにあの比較表をみて「国は馬鹿だ、SBが正義だ」といって(B)をクリックする人もいるかもしれないが、そういう人は何とか商法に引っかからないように気をつけたほうが良い。

わたしが知りたいのは以下の2点

メタルケーブルは維持費が高く光は安いので、メタルをはがして全部光にした方がトータルコストは低減になる、というのは本当なのか。
SBはそうだといい、NTTは違うというが、これについてはきちんと最終見解が出されたのか?

そして、光が本当に必要なのか。
添付の資料のなかに、光の道実現に向けてというPDFがある。
これを読むと、(22ページ)この5年間でネットのトラフィックは70倍になったから、今後10年で1000倍、20年で10万倍になり、そうなるとADSLや無線では対応できないから光がいると言う。
しかし、ここにあるグラフだけで今後の伸びを信じろと言う方が無理だ。この5年の増加はyoutubeによるものじゃないの?
この5年の伸びが今後も等比級数的に持続すると推測する根拠がない。
電子カルテやデジタル教科書といっているけど、それはメタルでは本当にできないのか?そこは論点が違うのではないか?

こうした基本的な前提が明確にならない状態でAだBだとかいうのは止めようよ。

日経夕刊記事 渋滞情報 県境越え提供??

2010年11月20日 | ITS
今日(2010年11月20日)の日経夕刊一面トップに、高度道路交通システム 「渋滞情報 県境越えて提供」という記事が掲載された。

いわく、国交省は2011年1月から全国の高速道路で渋滞情報の提供を大幅に拡充、都道府県ごとの情報提供を基本としている現在のカーナビに比べ、県境をまたいでももっともすいている道を探せるのが特徴だという。
で、専用の車載器が必要なので自動車や電機メーカーが対応を急いでいる、という。

記事では
「東北道を経由して埼玉県から神奈川県に高速道路で向かう場合、これまでは埼玉県内の渋滞情報は予測できても都心部の混み具合は把握が難しかった」
とある。

たしかにFMVICSの渋滞情報は県をまたいでは表示されない。
しかし、県境を越えた渋滞情報はビーコンVICSでも、電光掲示板でも、またプローブ対応の機種であればナビでも提供されている。

実際に現在のカーナビを使っていて、FMVICSの渋滞情報が都道府県単位であることが不便だと感じることはさほど多くない。
都道府県単位といっても県境付近の情報は入手可能。
おそらく、ほとんどのユーザーは言われるまで気がつかないのではないか。

ホンダインターナビやパイオニアのエアナビなど、プローブ対応のナビは広域渋滞情報と経路誘導がうたい文句だが、それがキラーコンテンツになっているとは言い難い。

こうした渋滞情報に関する誇張された表現でITSスポットとその対応カーナビの優位性を言おうとしているのなら、それはおかしなことだ。

今すでに提供されている情報以上の対価を払うに値する利便が、ITSスポットとその対応カーナビで提供されるとは私は思えない。

さらに言えば、仮にそれができるなら、なぜITS対応カーナビにしかその情報を提供しないのか。
「神奈川方面はXX経由」などと路側の掲示板、ビーコンに表示することは何の問題もなく可能だろう。

偶々おとといのエントリーで書いたように、250億円かけて設置した1600カ所のITSスポットを無駄にしないため、国交省は対応ナビの普及についてかなり焦ってきていると思われる。
対応ナビ自体はすでに市販機で発売されてから1年以上たつが、全く売れていない。
この日経記事は国交省からの要請によるものだろう。

カーメーカーへ採用を要請する動きも出てきてるらしいが、対価を払うかどうかを決めるのはユーザーであり、お客様が欲しない装備にコストをかける余裕はカーメーカーにはないだろう。

アップル対google

2010年11月20日 | モバイル・ウエアラブル
アメリカではgoogleのアンドロイド搭載スマホがiPhoneを抜いたという。
アンドロイドは多くの会社が対応携帯を出して、全てのキャリアで取り扱うわけだから、これは別に不思議なことではない。

しかし、興味深いのはこの先のシェアがどうなるのか、だろう。

アップルがマッキントッシュを出した後、IBM互換機に敗れ、ウインドウズに惨敗した歴史を引き合いに出して、アップルには未来はないという人は多い。
確かにアップルが自社製品だけにOSを搭載し、アンドロイドが汎用OSとしてオープンになっていることから、見た目はWin対Macに似ている。

しかし、結局Win対Macの戦いが圧倒的にWinの勝利に終わった理由はビジネス利用によるものだろう。
Macはいわゆるオフィス仕事で使うには安定性に欠けていた。
ウインドウズのエクセル・ワードがビジネススタンダードになれば、自宅のPCもそれにつられて互換機としなければ色々と不便だ。

スマホに関しては、そうした事情は存在しない。
ビジネススタンダードが、今はブラックベリーで、この先アンドロイドがシェアと伸ばすかもしれない。PC同様、アップルの製品は固いビジネスユースというイメージに欠ける。
しかし、会社で配られる携帯がアンドロイドだろうが、ウインドウズモバイルだろうが、それがiPhoneのシェアを奪う事にはならないだろう。

アップルには他社にはそう簡単にまねのできないiTunesという強力なビジネスモデルがある。
機種数、キャリアを問わないアンドロイドがiPhoneを上回ることはあっても、iPhoneが大きくシェアを落とすことはないだろう。


高速道路の逆走

2010年11月20日 | 高速道路
高速道路での逆走が増えているらしい。
この記事では、ETCが定着したから、というような書き方をしているが、ETCには全然責任はなく、高速道路割引や無料化により高速道路通行量が増大したことと、高齢化に伴って自然とドライバーも高齢化が進んでいることが昨年を上回るペースでの逆走発生の理由だろう。

いくら慣れないとはいえ、普通に運転していれば逆走はありえず、ほとんどのケースは認知症だろう。実際にこの広島県でも65歳以上が7割を占める。

高齢化で、この問題はより深刻になる。

ITSスポットということで今、DSRCの路側機の設置が進んでいるが、逆走車への注意喚起には使えないのだろうか。
どちらから走ってきたかは、2つのセンサーを設置することでわかる。
逆から走ってきた車両に対して、何らかの警告を出すことは容易だろう。

まあ、それ以前に私が常々いうように、別に通信でなくていい。
逆走車をセンサーで認知することはすでに既存の技術でできる。
逆走車に対して大きなバッテンとかサイレンを表示し、通常走行車線にも「逆走車あり」という警告を出すことはすぐにでも可能だと思う。

また、GPSの精度が高くなっているので、ナビスタンドアロンでも逆走に対する警告を出すことは容易だろう。

認知症のドライバーに対してこうした警告がどれだけ役に立つのかはわからないが、今のITSスポットよりは現実的な実効があるように思う。

DSRCの実情

2010年11月19日 | ITS
DSRCの路側機設置が進んでいる。ETCの通信技術をつかって、交通安全情報を車両の機器に表示する仕組みで、これを「ITSスポット」と呼ぶことにしたようだ。

しかし、この情報は通常のETC車載器では受信出来ない。専用のETC車載器(これはITSスポット対応カーナビと呼ぶらしい)が必要だが、まだほとんど普及していない。

それなのに、この財政難、事業仕訳などと言われる中、今年度250億円の予算で来年4月までに全国の高速道路に1600個を設置するという。
しかし、「ITSスポット対応カーナビ」が普及しなければ250億円は完全に無駄使いになってしまうので、いい加減国交省も焦ってきているようだ。

しかし、市販カーナビでは全くその機能は消費者にアピールしない、というか、全く知られておらず、コストを上げて装備するメリットは全くない。

そこで望みの綱はカーメーカーであるが、これもあまり積極的にはやりたくない。ライン装着のナビゲーションにこの機能を盛り込めるのは、プレミアムブランドであるレクサスくらいだろう。これとてトヨタの「お付き合い」。
それ以外のメーカーにとっては、はっきりいってDSRCはお荷物でしかない。

20日の日経夕刊トップに、これに関する記事がのっており「自動車や電機メーカーも新システムへの対応を急いでいる」と書いてあるけど、これは全然事実と違う。(20日20時追記)

少なくとも現時点では純正ナビゲーションに大きな採用の動きはなさそうだ。


ヒマつぶし市場が劇的に変化するだろう

2010年11月14日 | 雑記
通勤やちょっとした時間つぶしの時のマーケットを仮に「出先ヒマつぶし市場」と呼ぼう。

人によって異なるだろうが、その需要源泉はおおむね2時間~4時間/日の有限な時間で、それを新聞、雑誌、単行本、携帯プレーヤー、携帯ゲーム、携帯メール、ワンセグ、睡眠、考え事などがシェアを取り合う市場だ。

15年ほど前には、少年漫画が相当のシェアを持っていた。
少年ジャンプは1995年に653万部という最高部数を記録した。

今、ジャンプが280万部。少年サンデーは65万部を割ってしまった。

その他週刊誌、雑誌も軒並み苦戦をしている。
その理由が携帯にあることは間違いない。

そして、それはiPhoneを始めとするスマートフォンの出現でさらに急速に加速する可能性がある。
その理由は、今言われている電子書籍だけではない。スマートフォンのヒマつぶし能力は相当なものがある。

私はiPhoneを使い始めて1年数カ月がたつ。
今、朝の通勤(約1時間)はツイッター・メールのチェックと産経新聞。気になることをWikiで調べたりしていると時間が足りないくらいの状況。
夜はツイッターとyoutube、場合によっては青空文庫。
従来習慣的に買っていた週刊誌2誌の購読はいつの間にか止めてしまった。

余談だが、産経のiPhone向け無料という戦略はなかなか興味深いものがある。「デジタル強者」に対する保守・右派的宣伝活動としてはそれなりの効果があるんだろう。私は「タダだから読んでる」だけで、思想的な影響は受けていないと思ってるが、じわじわときているのかもしれない。
これはビジネス的にはどうなんだろうね。

いずれにしても、雑誌社は存亡の危機に見舞われている。

スマートフォンは出先ヒマつぶし市場の相当のシェアを獲得する。出先ヒマつぶし市場はヒマな時間が需要源泉だから、ゼロサム的な市場だ。
どんなに魅力的な商品を投入しても、市場のパイは拡大しないので、他者のシェアを食う以外にシェアアップはない。
スマホに押し出される従来商品は絶望的に凋落することになる。

携帯マルチメディア放送は、このし烈な市場にかなりの設備投資を前提にして参入しようとしている。

やめといた方が利口だと思うが。

2013年ITS世界会議

2010年11月14日 | ITS
2013年に東京で開催されるITS世界会議に向け、準備組織が発足したという。11月13日付けの日経記事

「日本の得意技術を世界に示せる分野だけに官民一体で主導権を握るべきだ。」としているが、その可能性は全くないだろう。
ほとんどの国ですでに何らかの電子的ノンストップ料金収受は行われている。

商業利用にも耐えうる信頼性(とそれによる高コスト)をもつ我が国の5.8MHzDSRCアクティブ方式は、立ち上がり段階から海外へは紹介されていたが、「ETCをドライブスルーの決済に使おう」というようなアイデアにピンとくる人が少なかったのか、結局はガラパゴスなのだ。
というか、肝心の日本だってETCの商業利用はほとんど実現していない。ガラパゴスとすら呼べない、といった方がいい。

最近はDSRC技術の安全運転利用やプローブへの活用を言っているが、これとて言うほどのものではない。
路車間、車車間通信による安全運転サポートはお台場などで実証実験などを行っているが、「素晴らしいから早く実現せよ」というメディアの反応は取れてない。
個人のブログ「お台場日記」を引用させていただくが
下段のほうでおっしゃっておられる「ちょっとした注意を怠らなければどれも防げると言ってしまえば・・・」というのが普通の感想だと思う。

「直進車の情報をセンサーで察知し、通信で右折車のモニターに表示し、スピーカーで警告する」よりも、そうした危険な交差点は右折矢印式にする方がはるかに現実的だ。明日からでもできる。

ITSのビジネスで我が国が標準化で市場を確保できる分野はきっとあるのだろうが、今官民でやっていることは全く的外れだと思う。

カミソリというビジネス

2010年11月07日 | 雑記
先週出張先のホテルで、チェックイン時にシックの立派なひげそりをもらった。5枚刃という豪華なカミソリがついている。

カミソリビジネスは、替え刃で利益を出している。そういう意味ではプリンターに似ている。
カミソリ自体は豪華な見かけになっているけど、柄は単なるプラスチックだからコストは安い。これをビジネスホテルの宿泊客(ほぼ100%、ターゲットユーザー)に配布して、替え刃のリピートが取れれば商売は成立する。

付属していたパンフレットによれば、2週間で替え刃は交換してほしい、という。普通のカミソリだってそのくらい持つのに、刃が5つもついていて2週間しか持たないってのもちょっと納得いかないが、パンフレットには「いかに高品質のステンレス鋼を使ってもひげは硬いから」みたいなことが言い訳っぽく書いてあった。

しかし、それは嘘だと思う。技術を結集すれば半年や一年くらい持つ替え刃は作れるのだろう。でも、そんなものを作ったらカミソリ会社のビジネスは終わる。
多分、核兵器のようなもので、一旦それを使って戦争が始まったら世界が滅亡するから、シックもジレットも貝印も禁じ手には手をださない。

どこかの第三者がダイヤモンドコーティングして一生替えなくていい替え刃をだしたら大儲けだろうな、と思っていたら、ドイツのGFDって会社が発売したらしい。

この会社、ジレットかシックの刺客に気をつけた方がいいね。

光の勧誘

2010年11月07日 | インチキ・疑似科学
前に光の勧誘に対して、ADSLで不便を感じないんだけどなぜ光にしなけりゃいけないかを説明してくれ、というような問答をしたという事を書いた。その後、どうしたわけか電話はかかってこない。

ところが、一人暮らしの母のところに最近勧誘電話がかかってきているらしい。パソコンは使わないので結構です、と断ると、パソコンは出来なくても大丈夫です、というようなことを言われたという。

これじゃ年寄り相手の振り込め詐欺一歩手前だろ。