ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

「街中」ETCの展望

2008年06月29日 | ITS
先日のエントリーで、ITS事業企画(IBA)さんはどうやら専用ETC車載器から既存ETCをそのまま利用できる「利用車番号」方式へ転換するようだ、と書いた。
利用車番号方式とは、事業者に申し込みをすることで今ついているETCで商業施設のキャッシュレス利用ができるようになる仕組み。
とはいっても、利用できる施設は両手で数えることができる程度しかない。

この「利用車番号」構想、国交省のITSホームページに掲載されたのが2006年4月。
WEBページには「徐々に広がりつつあります」と書いてあるけど、2年たってもまったく広がっていない、というのが実態だ。

ETCとETCカードは高速道路の料金決済にしか使えない。
一般の商業施設(駐車場、ガソリンスタンド、ドライブスルーなど)で使うためには専用のETC車載器が必要だった。

しかし、ETCはどんどん普及してしまい、「その他」の用途のために専用のETCに買い換えてもらうことはまったく期待できない状況になってしまった。
そこで出てきたのが利用車番号方式。これは車載器のIDに紐付け登録をした別のクレジットカードで決済する。

でも、それですら拡大しないわけだから「どうやらこのビジネスは存在しない」と見るのが普通だと思う。

しかし、ここまできた以上は引き返せないのか、もしくはラストチャンスにかけるのか、DSRC・ITS車載器の商業利用についてORSEが運営管理をする形で電機メーカーを中心とした中間法人が設立されるらしい。(カーメーカーは参加しないようだ。)

もちろん、商業利用だけでなくITSジャパンが進めるインフラ協調の交通安全システムも視野に入っているのだろうが、こちらもビジネスモデルの構築は100%無理。
かといって、本来あるべきインフラ整備、公共事業としての税金投入も財源が絞られちゃって、とても厳しい。

中間法人は主として機器の企画統一を進めるようだが、いわゆるITS車載器、はっきりいって無理でしょう。

余談ですが:ETCの街中利用ができるようになれば、高速を使わないユーザーにもETC装着が拡大する、ということを本気で言う人がいた。
携帯を使わない人に「コンビニで使うと便利だから」といっておさいふケータイが売れるか?

海外のホテル代

2008年06月27日 | 雑記
また来週欧州へ出張。今回はスエーデンの地方都市ヨンショーピンで打ち合わせ。

先日のエントリーでユーロ高による物価高について書いたが、J-CASTニュースでも海外のホテル代の高さに関する記事があった。

私の会社はありがたいことに海外出張のホテル代の上限を定めていないが、いままでずっと自主的に一泊15000円以下、アジアでは10000円以下に抑えるようにしてきた。
会社の金だと贅沢をする人がいるが、それはあまり上品なことではない。

しかし、J-CASTニュースでいうとおり今欧州で15000円ではまともなホテルに泊まれない。前回の最終日にアムステルダムでとまったベストウエスタンは110ユーロ(17000円)だが、典型的なビジネスホテル。洗面所はまるで病院のように質素で、コップは使い捨てのプラスチック。
さすがにバーベキューじゃないんだから、と突っ込みたくなる。

今年の夏休みは家族でシンガポールに行くことにしたが、シンガポールのホテル代も異常に高い。ロシアや中東の富裕層が物件を買いあさり、地価・家賃が高騰していることが原因だという。

ところで。

上記リンク先のJ-CASTの記事に
ービジネスマンと思われる人物のブログ「地方ではたらく輸入会社社長のブログ」ではー
とあるが、この「XXで働くXX社長のブログ」ってパターンはよく見るね。
”で働く社長のブログ”でググるとほとんどの地名が網羅されていることがわかる。

社長になるとこうしたタイトルでブログを書きたくなるのかなぁ。
なんかちょっとやだね。

ちなみにGOOGLE検索ヒット数(””で囲んで検索)みたらやっぱ社長がダントツでした。
(たいした意味はないけど)

で働く社長のブログ  540000件
で働く専務のブログ    847件
で働く部長のブログ   3450件
で働く課長のブログ  29700件
で働く主任のブログ     5件
で働く平社員のブログ  1550件

iPhone

2008年06月25日 | モバイル・ウエアラブル
月並みな話題で恐縮ですが、ソフトバンクによるiPhoneを発売を前に、ネットでは「携帯ガラパゴスの日本に黒船襲来だ」派と「そんなに売れないぜ」派にわかれて議論が盛り上がってます。

数ヵ月後に答えがでることなので、売れる売れないをバシッと予測するのはリスクがあるからやめときましょう。
まあ、日本では単一機種で100万台売れれば大ヒットらしいが、多分100万台では収まらない、でもアメリカのように短期間で爆発的売れることはないだろう、ぐらいで。

・最初は「マック信者」が群がるから、行列やバックオーダーが起きる?
 これは、そのとおりでしょうね。でも、信者だけで終わる商品じゃない。

・ワンセグやおさいふケータイ機能がないから売れない?
 そんなことはないと思う。どちらも言うほどのキラーコンテンツじゃない。

・真の黒船はNOKIAじゃないの?
 これも違うと思うんだよね。通常のコモディティとして携帯を買うなら、日本製のほうがいい。あえてNOKIAを買う理由はない。
一方、iPhoneは一種のファッションでしょ。

・カメラが2メガピクセルじゃだめ?
 これも的外れ。iPhoneが欲しいというタイプはそんな細かいフューチャーの差異は関係ないでしょう。

・片手親指入力が出来ないから売れない?
 多分、iPhoneを欲しがるユーザーと高速親指入力するユーザーはそんなにラップしない。むしろiPhoneのUIを面白がる。

・実質の端末価格24000円、これなら飛ぶように売れる?
 う~ん、パケット放題加入が義務付けられるので、結局SB以外への通話にも使うから月額1万円を超える。これはちょっと考えるね。
実際、携帯料金のアンケートでは月額平均6千円程度、1万円超は全体の10%しかいない。
まあ、iPhoneを買う人は上位10%に近いような人が多いのかもしれないけど、一方でWEBはWiFiで、通信は通話とメールだけ、という使い方を想定していた人も多いんじゃないの?

もしiPhoneが期待ほど売れないとしたら、この通信料とソフトバンクのスーパーボーナス縛りによるものかもしれない。残金がまだ3-4万残っている人が多いんじゃない?
実は私がそうだから。

ETCの駐車場利用 ITS事業企画とタイムズの提携

2008年06月22日 | ITS
時間貸駐車場「タイムズ」を運営するパーク24と「IBAサービス」を運営するITS事業企画(以下、IBA)は共同で、両社それぞれが運営するETC車載器を利用した決済サービスの、登録申込み窓口一本化に向けた実証実験を行なう。
レスポンス記事

これはいわゆる「利用車番号」(見慣れない言葉だけど、「者」ではない。タイムズのWEBサイトでも利用「者」になっているけどね)サービスのことを言っている。
 6月27日追記:ちゃんと直ってました。
専用のETCを購入しなくても、今付いているETCのID(これが利用車番号)と手持ちのクレジットカードを紐付け登録し、決済するというもの。

とはいっても、対応する駐車場はタイムズはまだ大阪の長堀駐車場一箇所しかなく、IBAも全国で数箇所しかない。
長堀駐車場の利用手順がタイムズのサイトに載っているけど、入口でカードをとって、事前精算機に通してから出庫する。ETC利用のメリットはキャッシュレスと、出口のカード操作が不要になるだけ。なんだかなぁ。

それよりもIBAのWEBサイトで驚いたのは、IBA対応駐車場が次々とサービスを停止してるということだ。
昨年の川口のショッピングセンター、3月西新宿、4月ランドマークタワー、そして5月に元町、山下公園。

TIMESとの提携をニュースリリースする一方で、どんどんサービスを廃止するというのも解せない。

おそらく、これらは利用車番号方式ではなく、IBAの専用ITS車載器を使う決済方式を採用していた駐車場だろう。これは専用のETC車載器でなくてはサービスを受けることが出来ない。
専用車載器はリンク先からもわかるけど、小売価格19800円とETCの実勢価格からみると倍近い価格で、この程度のメリットじゃどうにも販売は厳しいだろう。

この専用ITS車載器がネックになって会員が増えない、また次世代のITS車載器の開発もメーカー(見るからに三菱電機)が受けない、というような理由で、IBAは専用サービスをフェードアウトさせ、利用車番号方式によるサービスに集約しようとしているのではないだろうか。

そもそもETCに付加価値つけた「ITS車載器」という商品、出る出るといって未だに(IBA以外では)市販されない。
現在計画中のものは、スマートウェイがらみの交通安全情報に対応するような話だけど、これだって私は全然売れないと思う。

「縮むクルマ経済」と第二東名

2008年06月21日 | 高速道路
日経新聞に3回連続で「縮むクルマ経済」という記事が掲載されていた。
日本の人口減、高齢化、若者のクルマ離れなどで内需という意味ではクルマを中心とした経済はこの先大幅な縮小方向への見直しを余儀なくされる、ということをカーシェアリング、パークアンドライドなど、いろいろな例を示して説明していた。

一貫して右肩上がりできた日本の自動車関連市場はこの先、新車販売も保有も走行距離もすべて縮小する。それを前提とした構造変換が必要であるという意味では(例示にはちょっとピントはずれのものもあったが)大筋ではそのとおりだと思う。

ところが、こうした話とまったく逆行しているのが第二東名だ。
この市場環境のなかで、本当に10兆円近くかけて作る必要があるのか?

推進関連のサイトに書かれている説明は、明らかにまだわが国の自動車トラフィックが右肩上がりで増え続けることを前提にしている。

我々はとんでもない負の遺産を作ろうとしているのではないか?

第二東名不要論に対する反論は「高速道路は耐用年数がある」が定番だが、何にだって耐用年数はある。耐用年数があるなら補修するのが普通で、もう一個新しく作るという選択肢はよっぽどの理由がなければ選ばれない。
東海地震のバックアップというなら、中央道がある。

10兆円(だか、7兆円だか)という天文学的な予算を費やして作る必要性について、いろいろ探してみたが見当たらなかった。

明確な説明資料などがあるか、知っている人がいたら教えて欲しい。



新エアーナビ AVIC-T10

2008年06月20日 | ITS
先日のエントリーでパイオニアの通信型PND「AVIC-T10」について、フィーチャーと価格から三洋・ソニーにとっては脅威になるだろう、ただし通信契約はあまりなされないだろう、と書いた。

でも、発売直後から結構良くない評判が立ってしまっている。もっとも大きな苦情は音声案内の声が小さいということで、これは早速アップデートの対策が検討されているようだ。
さらに関連オプションの発売延期とか、通信サービスの開始延期とか、結構ばたばたしている。

パイオニアという会社にとってカーナビは失敗の許されないコアビジネスなのだが、ここにきて通信型で勝負をかけることに私は大きな危惧を感じていた。

しかし、それ以前の問題で躓いてしまっているようだ。

役人とタクシー

2008年06月14日 | 雑記
いろいろあった中で、国交省がタクシー券利用を国会休会中の2ヶ月、禁止するという。
それに対して、「われわれは適正に利用しているのに迷惑だ」「業務に支障が出る」という役人の意見が新聞に紹介されていた。

民間企業で通常の業務残業にタクシー利用を認めている会社なんて、ほとんどないだろう。役所は民間に比べてそんなに超多忙なのか?
子供の頃から、予算策定前の役所では皆徹夜、とかいうニュースをよく目にしたが、OAの導入にもかかわらずそのまま時間が止まってしまっているのだろうか。
あるいは、海外諸国でも役所というのはそういうものなのだろうか?

11時半までに仕事を片付けないと電車がなくなっちゃうけど、タクシー券があって12時までやればタクシーで帰れるとしたらあなたはどうする?
私なら、12時までかけて仕事をする。誰でもそうだろう。高速使えばそのほうが家に早く着く。

果たして、深夜タクシーで帰る役人は朝何時に来ているのだろうか。
そこまで忙しいなら、当然始発で登庁してるんだろうな。

国交省が他の省庁に率先して決めたということは評価できるが、国会休会中とか、上司の許可で現金決済ならOKというあたりがまだ甘い。

高速道路5社決算 日経記事の怪

2008年06月13日 | 高速道路
今朝の日経に「高速道路5社の08年3月期、増収減益 ETC割引でコスト増」という記事が掲載されていた。

リンクはすぐ切れるので、転載します。
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高速道路会社6社の2008年3月期の連結決算が12日、まとまった。利用台数の増加などで全社が増収となったが、自動料金収受システム(ETC)利用者への料金割引などで5社が最終減益となった。高速道路の建設債務は返済計画を上回って減る見通しだ。

今回は民営化後3回目の決算。旧日本道路公団を民営化した3社(東日本、中日本、西日本の各高速道路会社)はそろって増収減益。西日本で第2京阪道路の一部が開通するなど道路の延伸で利用台数が増えた。

一方、ETC利用者を対象に深夜や通勤時間帯の通行料金を割り引く制度が普及し、利益を押し下げた。阪神高速道路は料金の高い大型車の通行が増え、増益だった。(12日 20:53)
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本紙の記事を朝の限られた時間で斜め読みしたが、どうも頭に入ってこない。
「ETC割引でコスト増」って、どういう意味?なんで割引がコストを悪化させる?
利用台数が伸びて増収になっているのに、ETC割引で減益になるの?
正規通行料金で売上計上して割引をコスト計上している?

実は、これは全然違うのだ。
増収は新規に作った道路を機構に譲渡したから、その譲渡収入が計上されているだけ。
一方、費用の増は修繕費などが大きい。

本業の道路料金収入は若干の減で増収になっていない。
通行量は若干増えたがETC割引で多少の減収になっている。
でもETC割引が減益の主原因ではない。

毎日や読売などの一般紙の方がよほど正確な記事を掲載している。
経済関係は日経が一番と思って定期購読してきたが、最近どうも怪しい。

首都高Xと匿名性

2008年06月12日 | 高速道路
首都高(株)のWEBサイトにある首都高XQ&Aでは、4項、5項で首都高Xの無記名、匿名性について言及している。
これってそんなに大きなメリットなのだろうか?

クレジットカードは個人情報の流出が心配、って人にはいいかもしれない。そこまで神経質な人はそもそもクレジットカード自体を使っていないし、だからETCもつけることができない。
確かにそんな人には首都高Xはいいかもしれないが、あまり多くはないだろう。

一方、ETCを利用すると、利用履歴が残る。
車載器で金額履歴がわかったり、クレジットカードの請求で金額が表示されたり、マイレージのWEBサイトで利用履歴がわかったりということだ。

だから、家人に絶対隠しておきたい行動をとる場合は、ETCを使わずに現金で通行するかもしれない。
まあ、はっきりいっちゃえば愛人とのドライブだね。

各種履歴はパスワード等で保護されているが、奥さんにPCの前まで引っ張り出されて、暗証番号入れさせられたらアウト。
さらにいえば、履歴は消せるかもしれないけど携帯の着歴と同じで消したのがばれるとまたそれはそれでもめる。

この無記名・匿名というメリット、普通はそんなにおおっぴらに宣伝するようなものじゃないようにも感じるんだけど、随分と力が入っているように見受けられる。

かなり修羅場を経験した人が企画をされているのだろうか?

首都高XのQ&A

2008年06月10日 | 高速道路
首都高速のWEBサイトのQ&Aコーナーに「首都高Xについて」という項目が出来ている。まだ導入日時や価格も決まっていないのに、10項目に及ぶQ&Aを掲載するというのも随分と用意周到な話だ。というか、それほどに神経質になっているように思える。

この中の第3項、「何故海外のようにカメラを利用しないのですか」は、消費者をミスリードする内容。
以下、転載。

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首都高の料金徴収にはカメラ方式は使えません。
-略-
カナダ、オーストラリア、シンガポール、ロンドンなどでは、カメラ方式による課金が実際に行われています。当社でも現地調査等を行いましたが、やはりカメラの認識率は悪く、向上させるのに苦労しています。それでも、各国の運営会社では、交通量の90%程度について課金ができれば問題ないということのようであり、またそのことへの世間からの批判もないようですが、日本では許容されない精度であると考えられます
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これを読むと、カメラを使う外国では精度が悪いため10%程度の通行車両は課金を免れているように思えるが、実はロンドンは前払い、シンガポールはETCと同様の仕組みであり、カメラが監視しているのはあくまで不正通行。カメラだけで通行料課金をしているのではない。
したがって実際の課金率はここでいう90%ではなく、「正規通行車両+不正通行車両の9割」ということになり、100%に近い数字になるはずだ。
さらに、不正通行にはペナルティつきの請求書が発行されるので、10%の課金漏れを狙って不正通行するという行為も成立しない。

London Congenstion Charge に関するwikiの記事に罰則や未払い対策などについて詳しい。90%に課金できればいいや、といういい加減な対応をしているわけではないことがよくわかる。一体どんな現地調査をしたのだろうか?
このQ&AをTfL(ロンドン交通局)に見せたらクレームがつくんじゃない?

注)ロンドンの場合、10台以上保有の法人ユーザーは車両事前登録による事後清算(ペナルティなし)ができる。この場合は確かに10%の課金漏れは発生しているだろうが、大口ユーザーであり、また恣意的に課金逃れが出来るわけではないので、10%のロスを見込んだビジネスケースにしておけば問題はない。

それに対してわが国のETCは、不正通行の何パーセントに請求書を発送しているかご存知だろうか?驚くべきことに、請求書は発送されていない。(時々常習者が逮捕されるが。)

ここの文章、WIKIで確認できるけど昨年発表されたときはこんなだった。
(追記参照ください)

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それでも、交通量の90%程度について課金ができれば問題ないというのが彼の国の運営会社の姿勢であり、また世間からの批判も無いようである。そのような低い精度を許容するお国柄であることが、日本との大きな違いであろう。
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英国、カナダ、豪州、シンガポールなどを名指しして「ルーズなお国柄」とは恐れ入る。でも、たとえばカナダでは法令により滞納者は車のナンバープレート更新・新規発行が差し止められる(Plate Denial)など、厳しい管理がなされている。

逆に不正通行が放置される日本の制度の方がよっぽどルーズに思えるのだが、違うか?

注)首都高もカメラを使えば良い、というような趣旨ではないので、トンチンカンな批判はしないでください。

6月23日追記
このエントリーとの関連は不明ですが、6月11日にWIKIの「首都高X」のページに削除議論が再提起され、(Yahoo知恵袋と同じ内容、という理由)19日に削除となっています。

帰国

2008年06月06日 | 雑記
昨日KLM機でアムステルダム経由帰国。
本来はB747コンビ(半客、半貨仕様)の運行が、通常の747となったということで客室はがらがら。非常口シートを独占し、熟睡しながら帰ってくることができた。
機内で一時間ほどPCで仕事。

そういえば機内のインターネット接続サービスであるコネクションバイボーイングは2006年末でサービスを停止した。理由はとんでもない赤字だったからのようだ。事業の維持に年間150億円かかるのに対して、日当たり利用者は1000人程度しかいなかったらしい。

飛行機内での無線LANサービスなんて、誰がどう考えても今後どんどん普及していくサービスとしか思えないのに、採算が取れずに撤退。これをどう考えるべきなのだろか?

まずは宣伝不足。で、事前登録が必要なので、その場でアクセスできない。さらにエコノミークラスでは電源がない。せいぜい2時間。その上、隣や後ろから丸見えなんで、丸見えじゃ困るコンテンツ(これがキラーコンテンツだったりする)を見ることが出来ない。
さらに、機内は案外暇つぶしに溢れている。映画、食事、音楽、睡眠。
飛行機の移動中ぐらい、ゆっくり寝かしてくれ!という人も多いだろう。

まあ、こんなところなんだと思う。
インターネットやユビキタスが絶対のキラーコンテンツだと思っていると案外失敗する。

ところで、現在のユーロ高は異常。
ちょっとまともなホテルなら2.5万円超。質素なビジネスホテルでも1.5万円。
マックやバーガーキングのセットメニューが800円、カフェでサンドイッチと飲み物で1000円超。夕食も日本の1.5倍以上かかる。
現在の状況はそのうち是正されるので、日本車は今のうちにがんがん売った方が良い。

日本でもガソリンリッター200円時代等といわれているが、欧州ではもう200円を超えている。
欧州では、管理職になると社有車を支給される。その場合ガソリンは会社持ちなのであまり個人の痛みはない。しかし、通常の個人保有車に関しては予想を上回る急激な小型車へのシフトが始まるだろう。

日経エレクトロニクス記事

2008年06月03日 | ITS
日経エレクトロニクス6月2日号に「岐路に差し掛かるITS」と題する記事が掲載されている。ヨーロッパに出張に来ていて、雑誌を買うことが出来ないが、WEBサイトで解説記事を見ることが出来る。

まず、記事本文ではITSに暗雲がかかっている理由として、5.8GHz帯に加えて新たに700MHz帯が登場し,用いる通信メディアが決まらないという理由を挙げている。
そうなの?

一方、WEB上の解説記事ではそれ以前の問題として、このブログのような「そもそも自動車で無線通信をすることに懐疑的な意見が根強くあることも大きな要因」としている。

「懐疑論があるから発展しない」というのはどうにも釈然としない言い方だが、まあ言っていることは正しいと思う。そして、だからこそITSは交通事故低減にフォーカスすべきだ、というのも正しいと思う。

しかし、何故その結論が車車間通信なのか?

交通事故死者を削減するなら、車対車事故のプライオリティは低い。車内の人間はすでにエアバックなどで守られている。
老人、子供の歩行者、自転車事故にフォーカスするべきだ。

さらに、車車間は基本的に100%の車に装備されるまではあくまでも補助的なデバイスでしかあり得ない。このゴールは遠いとおもう。

信号、交差点、警告板、道路構造といった既存の設備や技術をハイテクの力でさらに安全なものにし、歩行者・自転車との事故を低減することこそ、ITSが対応するべき課題だろう。そのために最も実効のある方法を取るべきだ。
検討の結果でレガシーな方法よりも通信の方が有効だ、というなら通信を使えばいい。

何故「通信の呪縛」から逃れられないのだろうか。