ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

DeNAとZMPによるロボットタクシー事業はどうなのか

2015年05月30日 | 自動運転

DeNAと自動運転プラットフォーム開発のZMPが自動運転タクシー事業を進める新会社「ロボットタクシー」を設立した。最近の自動運転に対するメディアの視線も熱いことから結構大きく報道されている。

はたしてDeNAがGoogle等の世界的な巨人と戦って勝てるのか、という話はそもそもあるが、日本初ベンチャーとして参入することは好ましいことだとおもう。

しかし、2020年の東京オリンピックまでに無人タクシーを走らせるというのはどう考えても不可能だ。特定のクローズドな環境で無人の輸送機械を走らせることくらいしかできないだろう。

各メディアの論調もハードルは高い、としているがその理由に法規制を上げている。しかし法規制以前の問題としてインフラ整備が必要なのだ。というか、その辺の構造が固まらないと法律も作れない。

ロボットタクシーである以上は乗客には運転責任がない。言うまでもなく完全自動運転車となる。それが自動車専用道以外を走行するとなると、極端に安全に振ったロジックを組むしかない。他の自動車、自転車、歩行者の動きが予測できないので、おそらく人や自転車と混交する道路ではほとんど徐行でいくしかない。これは交通渋滞にとって大きな問題となる。

私は完全な無人タクシーが実現するまでにはまだ相当な時間がかかると思っている。都市設計のやり直しレベルのインフラ整備と、非自動運転車の排除、自転車歩行者等を察知できるような携帯端末携行義務化など、やらなくてはいけないことが山のようにあり、それはある日突然実現するものではない。これには物理的な時間がかかる。

自動車専用道での部分的な自動運転の解禁、市街地でも人車分離による自動車専用道化や専用レーン化等をすすめ、自動運転非対応車がだんだんと減ってきて、その最終段階でやっと完全運転ロボットタクシーの走行が可能となる。そこから、一気に自動車は保有からシェアリングへと傾いて行くことになるだろう。

だからロボットタクシーなんてのはそんな簡単に事業化できるものではない。

あと、自動運転に参入するIT系の企業はどうも周辺ビジネスに過大な期待をしているように思える。エンタメ、ヘルスケア、観光等可能性は無限にひろがるというような論調があるが、それって自動運転でなくてもある話だろう。タクシーの中でスマホを弄る以上の何かなんて、それほどあるわけじゃない。所詮車の基本的価値は移動手段ということ。IT系の人は「究極のモバイル端末」という見方をしている事が多いが、ここにあまり大きな期待をするのは危ない。

いずれにしてもはじめなければ何もはじまらないので今回のこの合弁企業設立も頑張って欲しいが、事業化までの道のりは遠い。


ETC非搭載車値上げ検討は「押し売り」か「当然か」

2015年05月29日 | ITS

産経ニュース「経済インサイド」で首都高速ETC非搭載車値上げがネット上で大きな議論になっていると報じている。

これは少し前にすでにこのブログで取り上げている

重ねて言っておきたいのだが、

ETC非搭載車はETC搭載車と比べ、料金徴収コストが5倍になっており、受益者負担の観点から見直す

の部分は非常におかしな理論だ。

そもそも現在の料金体系は「有人収受」を前提に出来上がっており、すでにその「受益」の代金は支払われている。「有人収受ゲート」を使う車両が少なくなって料金収受コストが「相対的に」増加したとしてもそれは有人収受ゲートをつかう(ETCを使わない)車にはまったく責任がないことで、「受益」が増えたわけではない。今どきこんな売り手都合の理論を平気でいう企業が存在することに驚く。

わたしは有人ゲートを廃止するなと言っているのではない。むしろ廃止してコストを下げるのが正しい。廃止することで削減できるコストを利用して希望者にはETC機器を無料配布、もしくは貸し出しをし、未装着車走行禁止にするほうがよほど賢いと思う。

なお、記事の最後に『「ETC2・0のメリットはこんなに大きい」といったきめ細かな説明を行うことも求められている。』と書かれているけど、これは無理。

「こんなに大きい」メリットなんてないから。


BLOGの表示をちょっと改善

2015年05月24日 | 雑記

今までなんでも書いたものを整理してこなかったのですが、投稿内容をカテゴリー分けして表示するようにしました。まだ過去5年分くらいしか出来ていませんがおいおい整理していきます。

また、この先しばらくは自動運転に関するエントリーが増えていくと思いますのでよろしくお願いいたします。


東芝の利益水増し決算 140億円がNEXCO西日本向けのETC

2015年05月20日 | ITS

東芝の不適切な会計処理(利益を500億円水増し)問題で、そのうちの140億円がNEXCO西日本向けのETCだった、と報じられた。

http://news.yahoo.co.jp/pickup/6160567

東芝は「いずれも従来になかった新規案件で、原価総額が分かりにくかった」というコメントをしていたが、ETCの設置が従来になかった新規案件とは考えられず通常のETC料金所やその設備更新でそこまでの見積り誤りをするとはとても考えられない。

新規案件ということならITSスポットやスマートIC関連かもしれないが、利益目論見が140億円狂うということは受注額はかなりな額だろう。ITSスポット整備は全国の高速道路全部合わせての工事予算が250億円程度でこれが原因とも思えない。

それ以上の何かなのだろうが、詳細は報道されていないのでこれ以上はわからない。

 


ありがちなCarPlayに関する勘違い

2015年05月19日 | 自動運転

自動車業界は1985年のIBMと同じ道をたどろうとしてる。

タイトルを見て、自動運転の実現によりカーメーカーが単なる輸送機器メーカーになってしまうという話かと思ったら違っていた。

この記事の筆者(IT系の方のようだが)はいう。

「トヨタ自動車を含め、反対している企業も数社あるが、20社以上の自動車メーカーはインフォテインメントとメッセージ機能において、権利をAndroid AutoやApple CarPlayのいずれか、あるいは両方に渡してしまった。これは最終的に車の鍵をシリコンバレーに明け渡すことになりかねない。」

CarPlayは、単にiPhoneを車の中で使う際に運転の邪魔にならないようなわかりやすい形にして車両のディスプレイに表示をするインターフェースであり、それ以上のものではない。CarPlayを使わなくとも同じことはiPhoneをクレードルにひっかけておけばできる。ミラーキャストを使えばiPhoneの画面をそのままディスプレイに表示することだってすでにできる。でもそれは安全運転阻害となるから、表示できるコンテンツを制限し、運転中でも操作しやすいような画面で表示するのがCarPlayなのだ。

これを搭載したからといって車のオペレーションシステムをAppleに明け渡したことにはまったくならないし、百歩譲って車の「インフォテイメントの部分」をAppleに牛耳られることになっても大したことではない。というのも、どうせスマホが車内に持ち込まれた時点で車内のインフォテイメントはそのほとんどをスマホが代替できる。これには抗いようがない。

この記事の筆者は、車がネットに繋がることによって実現する例をいくつか挙げているが、果たしてこれが車にとってのキラーコンテンツなのだろうか?基本的に車に求められるものは快適かつ安全に目的地に到着することであり、ここに書かれている「車の中からオフィスのコーヒーメーカーのスイッチを入れる」といったサービスは多かれ少なかれそれを補完するものだろうが必須ではない。それ自身では何もできないパソコンとは根本的に違うのだ。

しかし自動運転となるとちょっと話が違ってくる。これは目的に安全に到着するという車の根本的な価値にかかわっている。そしてこの世界にApple, Googleが参入を狙っている。Apple はiPhoneのような垂直統合の世界を目指しているようにも思えるし、それだけに大手カーメーカーも危機感を持っているのだ。


中国工商銀行の詐欺SMS

2015年05月18日 | インチキ・疑似科学

中国在住の方限定情報。

中国工商銀行の公式SMSアドレスである95588から以下のようなメールがはいったらそれは詐欺メールなので要注意。ポイントが1208元たまっているので交換するならこちら、とかいてあり、リンク先でパスワード等をインプットしたら、あっという間に11万元を抜かれたという話。

(最後のメール、11万元の引き出しは本当に工銀からきたメール)

このメールは筆者にもしょっちゅうくるが、筆者は工銀の口座をもたないので無視していた。

なぜ詐欺師が95588の名義でSMSを発信できるのかわからないが十分気を付けてほしい。


SNSの問題点

2015年05月17日 | 雑記

ツイッターで松本徹三氏をフォローした。この人の言うことは正論だな、と思う。一方でずいぶん前に宋文洲氏を外した。ご本人の意見は聞く価値が有るのだが、反原発極論ゴミツイートみないのもバンバンリツイートされどうにもTLがゴミだらけになることから外さざる得なかった。

ツイッターは自分の好きな人だけをフォロー出来るし、耳障りなことを行ってくる連中をブロックできる。結果的に自分が好きな傾向の話だけが流れてくる。しかし、ここには大きな罠がある。

古賀某氏が報ステで自分の恨みを晴らすような発言をしたあと、「ツイッターなどでは賛同の意見が沢山よせられています」とか言ってたけど、それは当たり前のことなのだが、やはり自分は正しいのだと錯覚してしまっている。

リベラルを自称する人たちはこうした仲間内の話だけを聞いているから、原発や自衛権に反対するのは議論の余地なく正義でありそれに逆らう人間は精神病だ、という精神科の女医も現れた。これは右にも左にも言えることで、私はどちらかの肩を持つつもりは全くない。

中道な意見は右からも左からも叩かれる。趣味でやっているツイッターやらブログなんだから、「食事中に政治と宗教の話はしない」という先人の知恵のごとくに常識人は振る舞う。だから肝心の中道で常識的な見解を持つ人々の意見や考え方が常識的であるが故に目立たない。それが問題なんだよね。


髭剃り替刃とインクジェットプリンターと自動車

2015年05月17日 | 自動運転

エプソンでもキャノンでも、インクジェットプリンター本体は非常に廉価で販売されているがインクが高い。本体の価格を安くして本体の販売競争に勝ちその後インクで利益を回収するビジネスで、これはよく知られていることだ。

消費者としては、大きな瓶に入ったインクを買ってそれを随時継ぎ足して使いたいが、毎回カートリッジを交換しなければならない。しかもそのカートリッジにはチップが埋め込まれ、純正品でないと交換した履歴が残らないなどの仕掛けが施されている。

髭剃りの替刃もこれに少し似ている。交換替刃が彼らのビジネスのメインであり、それを装着するホルダーはただで配っているようなものだ。

しかし、プリンターともちょっと違う部分がある。それは剃り味の耐久性。4枚刃だろうが5枚刃だろうが、2−3週間で切れ味が悪くなる。世の中には工業用ダイヤを使って相当固いものを切る刃が存在する。今の技術を持ってすれば、一年位使える髭剃り替刃は簡単に作れるはずだ。

実はすでにシックからダイヤコートを施した替刃が発売されたことがある。この商品「ダイヤプラス」は耐久性に優れ非常に評判が良かったが、そのうち製造中止となった。自分の首を絞めてしまうからだ。確実に消費者が喜ぶ商品が、そののビジネスに壊滅的な打撃を与えることがある。カミソリは数社に寡占されている市場なので、替刃の持ちはこの先もずっとある一定のレベルに制御されていくことになる。

自動車にとっての自動運転も商品に改良が自らの首を絞めるという意味では似ている。事故がなくなるから部品が売れなくなるが、プリンタや替刃とは違いそれですべてのビジネスをしているわけではない。それ以上に大きな問題は、性能やブランドによる付加価値付与ができなくなるということ。自動運転は交通事故をなくすものであり、その実現は社会の要請だが、カーメーカーとしてはあまり積極的にやりたいものではない。

しかし、ここに来て各社が自動運転を言い始めた。看過すればIT系企業に主導権を握られてしまうからだ。

この先自動運転が自動車の産業構造を変えてしまう可能性もある。


トヨタ・マツダ 提携の真意

2015年05月14日 | ITS

トヨタとマツダの業務提携が発表された。

すでにトヨタのハイブリッド技術がマツダに供与され、北米向けのサイオンをマツダがOEM供給するなど、すでに両社の提携は進められていたが、ここにきてその業務提携をさらに拡大するということになる。

報道では主に環境分野で両者の得意技術を補完するということになっている。確かにこれはその通りで、この先燃費規制、CO2規制が強化されるとマツダとしてはハイブリッド技術は今後も必要となる。また将来的にはFCV(筆者は否定的だが)に関してもマツダが自社で開発することはできないだろう。

そうしたトヨタの技術を対等な立場で活用するために、自社のクリーンディーゼル技術をトヨタに供与するというのはマツダにとっては合理的な判断だろう。

一方、トヨタはどうなのか?確かにトヨタはディーゼルエンジンについては遅れている。しかし利益2兆円というトヨタが自社開発できないはずはない。エンジンの開発は非常に大変で膨大な開発費とエンジニアが必要だが、トヨタにできないことはない。

マツダならハイブリッド技術を供与しても強敵にはならない。むしろそれでクリーンディーゼルエンジンを手に入れるほうが得策と判断しただろう。もう一つのポイントは、国産メーカーでは最も進んだマツダのディーゼルエンジン技術を他社にとられないように、自社のハイブリッド技術と引き換えに囲い込んだ、とみることもできる。トヨタとしては最大のライバルであるVWと戦うためにディーゼルエンジンがどうしても必要なのだ。

この提携で苦境に立つのは三菱自動車だ。現在日産へ軽自動車のOEM供給をしているが、国内マーケットが軽自動車中心になり日産も自社生産に意欲をもっていおり、この提携は必ずしも確固としたものではない。

三菱自動車は日本を含む先進国ではほとんどプレゼンスがないが、アジアでは一定のシェアを持っている。ここで三菱自動車が弱体化するとその市場を埋めるのは間違いなくトヨタということになる。この辺もトヨタはしたたかに狙っているのかもしれない。


自動運転で失業するのは?

2015年05月13日 | 自動運転

GIZAMODEさんの自動運転に関する記事。

自動運転で失業するのは運転手だけ、と思うのは甘い。

まさにこれが自動運転に関する最大の論点なのだ。 いまITS周りで一番ホットな話題はなんといっても自動運転だろう。このブログもそちらに舵を切っていこうかなとも思っている。 一月の終わりに何回かに分けて自動運転に関する長編のエントリーを上げたが、自動運転が産業構造にもたらす大変革に注目してもう一度簡単にまとめてみたい。

自動運転になると、車の性能差は意味をなさなくなる

運転の楽しみもない

白物家電のように実用品化がさらに進み、所有満足を満たす商品ではなくなる。

呼べばどこにでも来てくれるようになる。

ならば、所有せずにシェアリングでいいのでは?

Google等はそこにビジネスチャンスを見出している

シェアリングのほうが資源活用、環境面でははるかに優れる ↓ 長期的にはこれがゴール。

車というより輸送機器となる

車のニッチマーケットは崩壊し、カーメーカーは厳しいコスト競争にさらされる。

一定スペックの輸送機器をもっとも安く作る会社しか生き残れない。4位以下の会社は全滅か?

車は運営者(カーシェア会社か自治体)が一括管理するので自動車販売、整備業は大幅に縮小。

自動車のバリューチェーンにかかわるビジネスは全滅。少なくともBtoCビジネスはなくなる。

カーメーカーにとっては悪夢のようなシナリオだ。これに対してカーメーカーはどう出るのか?


支付宝登録について

2015年05月13日 | 上海生活
2016年夏から実名登録の規制が厳しくなりました。 支付宝に銀行カードをひもつけ、制限なく使うためには3種類の実名認証が求められます。 中国人は電話番号、銀行カード、身分証明でOKですが、外国人はパスポートが認められません。 三つにするためには、銀行カードが二枚必要です。現在一つの銀行では一枚しか作れませんので、 二箇所の銀行でカードを作る必要があります。 また、その銀行カードの名義はアルファベットで姓スペース名で統一する必要があるとのこと。 その名義でできるのは交通銀行と建設銀行だそうです。 駐在の方は、もう一つの実名認証としてまず電話番号と銀行カードで登録してから(使用限度制限がある) 自分の名前の公共料金支払いもしくは高鉄、飛行機の切符購入履歴があればそれも実名認証に使えるとのことです。

検索でたどり着いた方は、すでに支付宝についてはご存知でしょうからその説明は省きます。中国在住の方を対象にしています。

中国にきて3年。来てすぐに支付宝登録をし、活用してます。公共料金の支払や各種チケット等の予約、通信販売等、中国に駐在されたらやはりこれを使ったほうが何かと便利です。

たしか2012年に当ブログで登録に関する記事をアップしていますが、中国のネットサービスはやり方がしょっちゅう変わるのでもう参考になりません。
たとえば、当時は中国人の保証人のサインを画像で送る必要がありましたが、今はそれはないようです。
また、最初は銀行カードからの引き落としができたのが2年ほど前からできなくなり、チャージからの引き落とし(余額)からしか払えなくなっていましたが、(添加銀行カードの操作がパスポートではできなかった)最近またできるようになりました。
国際クレジットカードの利用とか、いろいろなことが頻繁に変わるので気を付けてください。

登録に絶対必要なものは大手銀行の銀行口座・銀行カードと中国携帯(銀行口座開設時に登録した番号のもの)。まあこれは駐在されている方はみなさんお持ちでしょう。
銀行カードは個人ネットバンキングを開設しておいたほうが何かと便利です。支付宝の余額チャージが簡単にできます。

支付宝の登録(中国語の登録は注柵、ログインが登録なので間違えないように)はパソコンの支付宝から行います。
必要項目を入力して、パスポートの必要部分(写真のページ、居留証のページ、最後の入国スタンプのページ)を画像ファイルで送付し、審査を受けます。詳細手続きの説明は割愛しますが、2-3日で完了します。
なお、パソコンの支付宝は暗証番号インプット時に暗号化ソフトが必要でこれは管理者権限がないとインストールできません。会社のPCの場合は注意が必要です。

これが完了したら、スマホアプリをダウンロードしましょう。これで利便性が飛躍的に上がります。
毎月送られてくる各種公共料金の帳戸番号を登録しておけば請求金額のリマインドが来て、数回画面クリックとパスワード入力で支払が完了するようになります。iPhone5S以降であれば指紋認証での支払ができます。

私が登録したころより外国人の登録は随分と簡単になっているようですので、トライしてみてください。


北海道の高速道路料金

2015年05月12日 | 高速道路

今朝のNHKニュースで、運送業の勤務時間制限(休憩を含む13時間を上限)の取り締まりを厳しくしたことから運送料金の値上げが相次ぐといってた。実例としてでてきた北海道では、遠隔地は高速道路を使わないと13時間以内に配達(往復)が完了しないため高速道路料金分を値上げするという交渉を荷主としているとか。

ってことは、運送料金の競争が激しいから北海道ではいままでトラックは高速道路を使っていなかった、ということになる。
実際、北海道は一般道も信号がなく走りやすいから、札幌近郊を除けは一般のドライバーもよほど急ぐ場合でないと高速道路は使わないらしい。

使われないインフラをなぜ作ったのか?そういえば、石原伸晃氏が「熊しか走らない」といって批判されてたけど、実際そうなのだ。
しかし、私はだから高速道路はいらないといっているわけではない。むしろ逆で、日本中に高速道路網を設けるべきだと思っている。北海道にしても道東自動車道の開通で難所であった石狩峠や日勝峠を回避できるようになった。一定速度で自動車専用道を走ることは環境、安全の両面から一般道よりはるかに好ましい。

問題は、それでも料金が高いから使われないということ。
せっかく高いコストをかけて作ったインフラが使われないのなら、使われるようになるまで料金を下げるべきではないのか?極論を言えば、もし無料でなければ誰も使わないのなら無料にすればいい。活用されなければインフラとは呼べない。
道路の維持費はどうするのか、という疑問もあるかもしれないが、大型トラックの輸送需要はいずれにしても存在し、それによって傷められた一般道は税金で維持補修している。

通行料が高いからという理由で大型トラックが一般国道を走っているという現実にはどうも納得しがたいものがある。


ETC2.0とVICSワイドの妙な関係

2015年05月06日 | ITS
VICSセンター(一般社団法人 道路交通情報通信システムセンター)は、4月23日からVICSワイドの運用を開始した。
これは従来からあるFM多重VICS(ナビ地図上に渋滞を表示するもの)の通信量を2倍に拡大し、渋滞による旅行時間(通過に必要な時間。ITSの世界では一般に旅行時間と呼ぶ)や、プローブ(実際に走行している車両から通信で送られる情報を基にした渋滞情報)によるさらに精度の高い渋滞情報の提供を可能にするというもの。
詳細はVICSセンターのVISCワイドに関するホームページを参照ください。

これは今後、鉄板で普及する。FM多重VICSは機器にVICSセンターが台当たり300円を課金し、ナビメーカーが支払っているので利用者の目に見える出費はない。300円のコストであれば、商品力競争のために今後すべてのナビが搭載することは確実。そもそも現行のFM多重VICSが事実上すべてのナビに搭載されているわけだから、ナビメーカーはそれをワイド版に切り替えるのは当たり前だ。

さて、ここで気になるのはETC2.0。注)
こちらは今後普及する気配が全くないが、国交省はそんなこと気にせずに後戻りはしない決意を持っているようだ。
その証拠に、高速道路に設置されている電波ビーコン方式のVICS発信機は今後故障しても修理せず、2022年には全廃しDSRCによるETC2.0に置き換えると発表している。
注)このページ、路車強調システム(正しくは協調)がいつまでたっても修正されないくらい、ほとんど注目されてない。

VICSセンターの記事を読んでいただくとわかるが、VICSワイドが提供する旅行時間情報は「一般道」と明記されており、高速道路はETC2.0があるのでそちらに任せるようだ。
しかし、ETC2.0の普及は少なくとも現時点では絶望的。ETC2.0の情報受信には専用ナビと専用ETCが必要になるが、今年の初めに行われた普及キャンペーン(5000円の商品券バック)は散々な結果におわった。
いま価格.com のETC車載器の売れ筋ランキングをみても、ETC2.0は10位内にパナの1機種が入っているだけ。通常のETCが実売5000円に対して20000円以上するETC2.0をつける人はいない。

さて、ここからが言いたいこと。

高速道路の旅行時間情報はすでに存在する。高速道路上の掲示板にも出ているのでみなさんご存じだろう。
この情報をVICSワイドが使えないわけがない。でも、VICSワイドの旅行情報提供はなぜか一般道だけとなっている。
その理由はVICSワイドが高速道路を含めた旅行時間情報を提供したらETC2.0の存在意義がますます無くなってしまうからだろう。警察庁と国交省の省庁の垣根という問題ではなく、むしろ双方に関係するVICSセンターがETC2.0に配慮したとみるべきだ。

しかし、言うまでもないことだが、ユーザーにしてみればこの事実上無料で使えるFM多重VICSですべての情報が入手できるほうが良いに決まっている。

国交省はETC2.0がこの先本当に普及するのか、一度仕切り直しをしたほうがいい。

WPKGリダイレクト 予防策

2015年05月05日 | 上海生活
WPKGリダイレクトの原因はDNSポイズニングだったようで、Google DNSを使っている自宅のもう一台のWINDOWS7では発生しませんでした。
Google DNS(8.8.8.8、8.8.4.4)についてはGoogleを信用するのか?という否定的な意見もあるようですが、Google自身は強力なDNSポイズニング対策を講じていると言っています。今後もこうした事態が発生することは十分考えられるので、中国においてはDNSを8.8.8.8、8.8.4.4に手動設定しておくのがいいと思います。
DNSの手動設定についてはここでは細かく記載しませんが、検索すれば簡単に見つかります。
Macの場合はシステム環境設定→ネットワーク→対象を選択して詳細からDNSのタブを開いて変更(+ボタンを使う)、でOK。
8.8.8.8を入れて、次に8.8.4.4です。

首都高速、ETC未装着車値上げの愚

2015年05月03日 | 高速道路
産経新聞によれば、国交省はETC未装着車の首都高速通行料を値上げする方向で検討に入ったという。
産経新聞記事

記事の要点は以下のとおり
国土交通省は首都高速道路でETCを搭載せずに通行する自動車について、平成28年度にも通行料金を値上げする方向で検討を進めている。ETC非搭載車はETC搭載車と比べ、料金徴収コストが5倍になっており、受益者負担の観点から見直す。合わせてETCのさらなる定着とともに、詳細な渋滞情報を提供できる新システム「ETC2.0」の普及も促す。

こんな馬鹿げた話はない。全く非論理的だとしか言いようがない。受益者負担の考え方が根本的に間違っている。

ETC装着車は料金収受コストがかからないため、割引を行うというのはわかる。
しかし今までの料金体系は現金収受を前提にして作られていたものであり、ETC非装着車がどんなに少なくなろうとも道路会社のコストは増加していない。「減らすことができない」だけなのだ。ETC非装着車は人間による料金収受というサービスを受けているが、ETC非装着車の台数が少なくなり相対的に一台あたりの収受コストが増加したからといって、「受益者負担なので値上げ」といわれて誰が納得できるか? 未装着車が装着車と比べ5倍のコストがかかっているなんてのは会社側の話であって、利用者には全く関係ない。現金利用者にとって「受益」となることは何もない。

料金収受コストを下げるためにはETC以外通行禁止にするしか無い。1台でも未装着車がいる限りすべての料金所に24時間収受員を配置しなければならない。
義務化にしなければ完全廃止はできないのはわかっていたことだろう。それをいまさら何を言っているのだろうか?

想像するに、未装着車ユーザーに対して値上げという「嫌がらせ」をして装着率をさらに上げ、ある程度まで言ったら走行禁止にするという作戦なのかもしれないが、今ここに至ってもETCをつけてない人はおそらく年に数回しか首都高速を使わない人で、その人達は多分少々値上げされても装着しない。
もうETC(2.0じゃなくて普通のやつ)を無料で配って、ETC未装着車の走行禁止にしたらどうか。そのほうがトータルコストは安くなる。

あと、この記事の最後にETC2.0を「渋滞解消の切り札」として普及を促進する、と書いてあるが、これについては具体的な方策はなくまず無理。路側機の投資250億円は無駄になるが早く諦めたほうがいいのではないか。