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[エルサレム/モスクワ 3日 ロイター] - イスラエルは3日、地中海で米国と合同のミサイル迎撃実験を実施した。ただ、事前に予告していなかったことから、ロシアが同地域で弾道のような物体をレーダーで探知したとの報道が先行する格好となり、一時緊張が高まった。
ロシアの通信社は3日、同国国防省の話として、地中海中部から東に向けて2つの弾道「物体」が発射されたことをレーダーが探知したと伝えた。地中海中部から見て東は、おおむねシリアが位置する方向となる。
その後、イスラエルが地中海で米国と合同のミサイル実験を実施したと発表するまでの間、金融市場に動揺が広がり、北海ブレント先物は一時1ドル超上昇、ドバイの株価が下落するなどの影響も出た。
イスラエルは、ミサイル迎撃システムのターゲットとして使われるミサイルの実験だったと明らかにした。
ワシントンの米政府当局者は「イスラエルは弾道ミサイル防衛システムを試すため定期的にミサイルや無人機を発射している」と語った。
オバマ米大統領がシリアへの軍事介入について議会の承認を得る方針を表明し、介入の判断が先送りされる中、イスラエルのネタニヤフ首相は自国の防衛力の強さを強調している。首相はこの日、議会でミサイル迎撃システムについて「これらのシステムは自らを守る力をわれわれに提供している」と述べ、「イスラエルへの攻撃を考えている者はそうしないほうが良い」とけん制した。
イスラエルのヤアロン国防相は、この日の実験はタイミングが悪かったのではとの記者団の指摘を否定、同国として軍事的な優位性を維持する必要があり、そのためには実地試験も必要だと述べた。
インタファクス通信がロシア国防省報道官の発言として報じたところによると、黒海近くのアルマビルにある早期警戒レーダーが0616GMT(日本時間午後3時16分)頃、物体の発射を探知した。同レーダーは欧州とイランからのミサイルを探知するために設置されている。
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インタファクス通信によると、同報道官は「物体の軌道は、地中海の中部から地中海の東部沿岸に向けて描かれている」と述べた。
国営ロシア通信(RIA)はシリアの消息筋の話として、2つの弾道物体は海に落下したと報道。
国防省はロイターへのコメントを拒否した。
レバノンのアルマナール・テレビはシリアの治安当局の話として、シリアの早期警戒レーダーでシリア領内のミサイル落下は探知していないと伝えた。
ロシアのショイグ国防相は物体発射をプーチン大統領に報告した。プーチン大統領の反応は今のところ伝えられていない。
シリアの友好国であるロシアは、これまでもシリアに対する軍事介入に反対する姿勢を示しており、ロシア国防省当局者は、米国がシリアに近い地中海に艦船を配備したと非難していた。
シリア情勢の緊迫化を受け、米軍は地中海に駆逐艦5隻などを配備。これに加え米軍は2日、空母「ニミッツ」とその他4隻の艦船が紅海に向けて航行中であることを明らかにしている。