南斗屋のブログ

基本、月曜と木曜に更新します

遷延性意識障害(植物状態)者の余命認定 3

2005年10月16日 | 遷延性意識障害
最高裁平成6年11月24日判決の原審は東京高判平成6年5月30日です。
この東京高裁判決が基にした自動車事故対策センターの統計資料には以下の内容が記載されています。

昭和54年8月から平成2年3月末までの1794名の介護料受給者のうち、
 植物状態から脱却→8%
 死亡→51.5%
 引き続き受給中→そのほか
 
 死亡者の事故発生から死亡までの期間
 5年未満 66.3%
 5年~10年 21.8%
 10年~15年 8.3%
 15年~20年 3%
 20年~    0.4%

 そして、このような統計資料を基にして、前記東京高裁判決は、被害者の余命は症状固定時から12年であると推定すると事実認定をしたのです。
 最高裁平成6年11月24日判決は、この東京高裁判決を「原審の認定判断に違法はない」として支持したのです。
(続)

 

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遷延性意識障害(植物状態)者の余命認定 2

2005年10月16日 | 遷延性意識障害
 その人があとどのくらい生きることが可能だったのかということを厳密に証明することは不可能です。
 そこで、裁判では、平均余命表を使用し、「**歳の平均余命は@@歳だから、あと@@歳まで生きることができる蓋然性がある。よって、@@歳まで生きるものとして計算する」という論理を使用します。
 ところが、遷延性意識障害者の場合は、平均余命を生きることが可能なのかどうかが問題にされ、平均余命表の平均余命どおり生きることができないのではないかという問題提起がされているのです。
 実際、遷延性意識障害者の平均余命を平均余命表よりも短く認定した裁判例は複数存在します。
 そのうちで最もよく言及される裁判例が、症状固定時から12年と認定した高裁判決を支持した最高裁平成6年11月24日(交民集27巻6号1553ページ)です。
(続)
 

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