南斗屋のブログ

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秋葉原通り魔事件の死刑執行される(2022年7月26日)

2022年07月27日 | 刑事関係の話題
(事件と判決)
秋葉原通り魔事件の加藤死刑囚の刑が、2022年7月26日に執行されました。
事件が起きたのが2008年6月8日。
一審(東京地裁)判決が2011年3月14日。二審(東京高裁)判決が2012年9月12日。最高裁判決が2015年2月2日で、事件から最高裁判決までは7年弱、同判決から執行までは7年強です。

(同事件の要約)
 一審判決はこの事件を以下のように要約しています。
「本件は、被告人が、歩行者天国で賑わう休日の秋葉原において、横断歩道にトラックを突入させて通行人をはね、その直後、トラックから降りて、ダガーナイフを手にして、通行人らを次々と突き刺すなどして、7名の命を奪い、10名に傷害を負わせたという、殺人、殺人未遂(殺人未遂の被害者は11名)等の事案である。」
 この事件の性質。
 「白昼の大都会で、それまで一面識もない多数の通行人に対する無差別殺傷事件」
 以上のような事件で責任能力にも問題がない以上、一審判決は死刑であり、高裁、最高裁もこれを維持したという経過です。

(児童虐待、幼児性の残存)
 一審判決は、「犯行に至る経緯、背景事情等」という表題のもと、次のような母親の児童虐待を認定しています。
「被告人は、昭和57年、青森県で二人兄弟の長男として出生した。被告人の幼少期から両親の夫婦仲は良くなく、母親は、父親に対する不満を被告人に対してぶつけることがたびたびあった。例えば、屋根裏に閉じこめたり、窓から落とすようなまねをしたり、食事をちらしの上にあけて食べさせたことなどがあった。」
 その後、中学での成績優秀であったので高校は地元の進学校に入学したが、高校での成績は芳しくなかったようです。そのあとのエピソードが気になりました。
〈母親は被告人が特定の名門大学へ進学するように望み、合格すれば車を買ってあげると約束していたが、被告人は、高校での成績は芳しくなく、別の大学への進学を希望したところ、車は買わないということになり、被告人は、「大学に行ったら車を買ってくれる」という約束を母親が反故にしたことへの反発から大学への進学自体を辞めることにし、ちょっと遊びに行くくらいの軽い気持ちから、岐阜県にある自動車関係の短期大学に進学した。同校は、自動車整備士の資格が取得できる学校であったが、被告人は、父親が奨学金を受領したのに被告人に渡さなかったことへのあてつけとして資格を取得せずに卒業した。〉

 大学へ進学せず、自動車関係の短期大学に進学したこと、資格もとらずに卒業したことは、いずれも両親へのあてつけです。自らの進路に関することであるのに、親のことを理由としてマイナス方向に自らを向かわせてしまうのは、幼児性の表れといえます。
 なお、判決は、児童虐待の影響について次のように判示しています。
「被告人は、前記のとおり、幼少期に母親から虐待とも評価され得る不適切な養育を受け、その影響もあって、他者との共感性に乏しく、他者との強い信頼関係を築くことができなくなっていた。」

(自殺企図)
 この点は、あまり報道されていなかったような記憶ですが、一審判決では認定されていました。
「被告人は、平成18年8月ころには自殺を考えるようになり、夏季休暇の後職場に戻らず仕事を辞め、青森県内で車を衝突させて自殺するため、車で青森県に向かい、同月31日、高校時代の友人らに自殺を予告するメールを発信し、母親にもその旨電話した後、青森県弘前市内で自殺を実行しようとした。しかし、運転を誤って車を故障させてしまったために自殺は失敗し、結局は自殺を諦め、母親に連絡して実家に帰った。」
 池田小事件の犯人も自殺企図があったことから、無差別大量殺人と自殺願望、自殺企図とは関係があるのかもしれません。本件は違いますが、「人を殺せば死刑になると思った」というような動機の犯罪もあらわれてきております。このような者に対しては、死刑の抑止力は無意味となるおそれはないでしょうか。


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医療観察法上の保護者とは

2021年08月10日 | 刑事関係の話題
 医療観察法の「保護者」について整理してみました。

(医療観察法での保護者とはどのような者か)
 医療観察法には、「保護者」についての規定があり、次の順番で上位の者が「保護者」となります(同法23条の2)。
一 後見人又は保佐人
二 配偶者
三 親権を行う者
四 前二号に掲げる者以外の扶養義務者のうちから家庭裁判所が選任した者
 この四者が不存在の場合には、規定(23条の3)により市町村長が自動的に保護者となります。
 刑事事件から医療観察法上の入院申立てがされるケースでは、市長を保護者として、対象者○○さんが医療観察法上の入院申立てをされました、つきましては付添人を選任するか否かについて回答くださいというような文書が地方裁判所の刑事部から送られてくるのは、この条文によります。
この裁判所からの通知は、役所の社会福祉担当の方のところに届くことになりましょうが、担当者の方からすると、そのような方について市長が「保護者」になったことなんてないのにと思われるはずです。それもそのはず、保護者という決定などなくても、後見人・保佐人・配偶者又は親権者がいない場合は、市長が保護者になるという規定によって通知が送られてくるからです。
 わかってしまえばなんということもないのですが、裁判所からの通知はこの点について全然説明してくれていないので、医療観察法等にあまり触れたことのない役所の担当者としてはびっくりしてしまうのも無理はありません。
 なお、医療観察法というのは、通称でして、正式名称は、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」といいます。裁判所からの通知は、この正式名称しか書いておらず、医療観察法とは書いていませんので、その点も注意が必要です。

(保護者は何ができるのか)
 保護者には、付添人の選任権があります(30条1項)。医療観察法に詳しくない方は、この付添人というのは、刑事事件の弁護人のようなものと認識していただければ十分です。
 保護者は、対象者のために意見陳述をしたり、資料提出をすることができます(25条2項)。
 また、審判期日に出席することも可能です。審判期日には、市長が指定すれば職員も出席可能です(31条6項)。

対象者に入院等の決定がでれば保護者には通知されますし(43条3項等)、対象者のために退院許可の申立てや処遇終了申立てをすることもできます(50、55条)。

(保護者の選任)
 このように保護者には様々な権限が与えられています。
 しかし、先ほど述べたように自動的に保護者となるのは、後見人又は保佐人、配偶者、親権を行う者だけで、それ以外の者(兄弟姉妹や対象者が成人となっている場合の両親)は、自動的には保護者として扱われません。
 そこで、このような方が保護者となることを希望する場合は、裁判所に選任してもらって保護者となります。
 この手続きが、保護者選任の申立てです。
 この選任の申立ては、「家庭裁判所」で行わなければならず、医療観察法の事件が継続する地方裁判所刑事部ではありませんので、注意が必要です。

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検察審査会〜検察官の不起訴処分への不服申立手段

2021年07月08日 | 刑事関係の話題
(検察官の不起訴処分への不服申立手段)
 検察官は、被疑者を起訴する権限があり、起訴・不起訴を決定します。
 検察官は、以下のような場合に不起訴処分とします。
・事件の嫌疑が認められない、又は、起訴をして裁判をしても有罪にもちこめる証拠がない
・有罪にする証拠は十分であるが、微罪であり起訴して有罪判決等をとるまでもない(起訴猶予)
 このような不起訴処分に対しては、検察審査会に申し立てをするという不服申立て手段があります。

(検察審査会とは)
 検察審査会は、一般人11名で構成される議決機関です。検察審査会のメンバーは一般人から抽選で選ばれ、審査は非公開です。
「検察審査会」とあることから、検察庁に置かれていると思われる方が多いのですが、検察を「審査する」、つまり検察とは一線を画すことが必要なため、裁判所に置かれています。
 ですので、申立ては、裁判所の検察審査会の窓口にします。
 どこの裁判所に行ってもよいわけではなく、不起訴処分をした検察庁に対応する裁判所に提出することになっています。
 例えば、千葉地検の検察官が不起訴処分をしたときは、千葉地検に対応する裁判所は、千葉地方裁判所なので、同裁判所の検察審査会に申し立てをすることになります。

(検察審査会への申立てができる方)
 検察官の不起訴処分は、被害者にはマイナス方向なのですが、被害者(犯罪により害を被つた者)は検察審査会への申立てができます。
 被害者が死亡した事件では、遺族(配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹)が申立てができます。
 そのほか、事件について、告訴や告発をした者等も申立てができます(以上、検察審査会法2条2項)。

(申立て方法)
 申立てには、検察官がその事件について不起訴処分をしたことを証する書面(これは検察庁で発行してもらえます)と検察審査会への申立書を提出すればよいことになっています。これだけであれば、申立書さえ書くことができればよいので、それほど難しくはありません。
 もっとも、不起訴処分を覆すために、証拠を添付したり、説得的な主張をしたいという場合がありえます。
 検察官が一旦行った不起訴処分を覆すのは、なかなか難しいのが現状ですので、できれば追加の証拠や、主張を行った方がよいといえるでしょう。
 こうなりますと、弁護士と相談したり等して進めた方がよい場合があります。
同じ事件については1回しか、検察審査会に申し立てができません(一時不再理の原則;検察審査会法32条)。検察審査会は1回勝負なのです。
 よって、申立ては慎重な準備の上で行った方がよいことになります。

(検察審査会の決定の種類) 
 検察審査会の決定には、以下のものがあります。言葉が似ているので、少しややこしいのですが、次のようなものです(検察審査会法39条の5)。
 ①不起訴相当・・・不起訴が妥当だということで、検察官の判断を検察審査会も認めたということです
 ②不起訴不当・・・不起訴は不当であり、検察官の判断を認めない場合です。
 ③起訴相当・・・不起訴は不当であるだけでなく、起訴が相当であるという、不起訴不当よりもさらに強い意見です。
 ①と②は、審査員の過半数で決めます(検察審査会法27条)。
 検察官の不起訴の判断について賛成の者が多い場合は、不起訴相当(①)。
 検察官の不起訴の判断について反対で、起訴すべきだという者が多い場合は、不起訴不当(②)となります。
 起訴相当(③)となるのは、審査員11名のうち8名以上が起訴すべきだという意見の場合です(検察審査会法39条の5第2項)。

(検察官の対応等)
 不起訴相当(①)の場合は、検察官の不起訴の判断が認められたのですから、検察官は何もする必要はありません。
 不起訴不当(②)及び起訴相当(③)の場合は、起訴すべきだという意見が審査員の過半数に達しているので、検察官はこれに対して議決を参考にして、改めて事件を見直し、起訴をするのか否かを検討することになります。
 検察官が判断を見直して、起訴となれば、通常の起訴と同じように、被告人に対して刑事裁判が進行することになります。
 検察官が従前の不起訴処分の判断を見直さず、改めて不起訴処分をするということも実際には多いのです。
 起訴相当(③)の場合は、再度検察審査会に審査の場が移り、検察審査会は起訴議決をすることが可能です(検察審査会法41条の6)。

(起訴議決は2009年からの制度です)
 最後に説明した起訴議決は、2009年に改正法が施行されて可能となりました(施行期日は2009年5月21日で裁判員裁判の開始と同じ日です)。
 それ以前は、起訴相当(③)の議決があっても、検察官は法的に拘束されず、検察官の裁量に任されており、検察審査会が起訴が相当であるといっても、検察官が起訴しないことはあり、そうなってしまうともう起訴の手段は存在しないという時代がありました。
 2009年以降は、検察審査会の起訴議決により、強制的に起訴がされる制度が設けられることになりました。


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検事総長が検察実務をデジタル化するって言ってましたが。供述調書はデジタル化できる?台湾の尋問調書デジタル化について。

2021年06月03日 | 刑事関係の話題
(検事総長のインタビュー記事)
 最近のニュースで、NHKが林検事総長をインタビューしたというのがあって、その中で、検事総長が、デジタル化ということを買ったておりました。世の中デジタル化ということだそうだから、うちの検察庁でもなんかやらんといかんと思ったかどうかは知らないのですが、具体的には、①紙を大量に持っているのはおかしい、とか②遠方の参考人の話を聞く場合には、デジタル化すればよいというようなことを述べておりました。

(供述調書)
この話を理解するには、刑事訴訟の証拠として用いられる供述調書について理解しておく必要があります。
この供述調書というのは、人の話を警察官とか検察官が聴取して、書面化したものです。
書いてあることは、話者の話しです。
ただ、いったことをそのまますべて文書化するわけではなく、整理した形で述べるのです。
つまりは、編集が入る。
編集が入ると、その編集者の主観なり方向性が出てきてしまうのですが、ここでの編集者は、警察官なり検察官だったりしますから、これらの捜査側の編集が入ったものが、供述調書ということになります。
 供述調書は、話者が被疑者のこともあれば、参考人のこともある。事件が簡単であれば、供述調書は比較的短くなりますが、重大凶悪事件ということになると、かなり分厚いものが出来上がってきます。単独犯とは限らないので、共犯事件であれば、共犯の数だけ供述調書の枚数が倍数的に増えてくることになり、これが紙が増えてくる原因となります。

(供述調書のデジタル化?)
 世の中、デジタル化、デジタル化といわれていますが、何をもってデジタル化というのか、その辺の定義がなされないまま、デジタル化されなければならないという話が進行しているような気がします。
 明治時代が始まったときも、ご一新、ご一新と内容もよくわからず走り続けた記憶をもつのが日本人なので、この辺は昔から変わらないのかもしれません。
 例えば、供述調書をデジタル化するというのはどういうことなのか?
 供述調書の作成は、パソコンで作っていますから、データの形としては既にあるわけです。

しかし、刑事訴訟法では、
ア 被疑者の供述は、これを調書に録取することができる。
イ この調書は、これを被疑者に閲覧させ、又は読み聞かせて、誤がないかどうかを問い、被疑者が増減変更の申立をしたときは、その供述を調書に記載しなければならない。
ウ 被疑者が、調書に誤のないことを申し立てたときは、これに署名押印することを求めることができる。但し、これを拒絶した場合は、この限りでない。
と規定されています。ア、イまではデジタル化したデーターで済みそうなのですが、ウで要求されている「署名押印」をどうするのか。デジタル化するには、ここの規定(刑訴法198条)を変えなければなりません。ハードルは高そうです。

(調書をやめて録音してしまえばよい?)
 録音機器が発展していなかった昔ならばともかく、今ならば話を全て録音してしまえばいいんじゃないの?と思われる方もおられるでしょう。これも一種のデジタル化です。
 しかし、これは検察官が嫌がりそうです。
 先ほど説明しましたように、供述調書は、警察官なり検察官なりの編集が入る。ここがミソです。
 すべて録音してしまいますと、編集ができません。
 いや、編集はできることはできますが、ある部分を切ったりはったりしなければならなくなるので、却って面倒ですし、そんなことやると悪意をもって改変したといわれるのが落ちです。
 供述調書なら、そんなことを言われないことが、デジタル化したらいわれるようになるという事態だけは、捜査機関としては避けたいところでしょう。
 ということで、供述調書をデジタル化しようにも、デジタル化は完全にはできない。
 変えられないことはないけれども、法律を変えなければならないから、結構揉めそうです。 

(裁判所の調書はどうなっている?)
 これまでは警察官、検察官の作成する供述調書について説明してきましたが、裁判所ではどうなのでしょうか。 
 裁判所での法定で証人を尋問をすると、裁判所が「尋問調書」というものを作成することとなっています。
 尋問はあくまで口頭で答える手続ですが、その記録が「尋問調書」です。

尋問調書の作成の責任者は、裁判所書記官。比較的軽微な事件においては、書記官がテープで録音を取りながら、メモを取り、それを期日後に書記官室で起こしながら完成させています。多少複雑な事件になると、書記官が録音したテープをテープ起こしの業者に外注して、業者が反訳したものを書記官が確認して、尋問調書に仕上げるという方法をとります。
 これまた紙ベースですね。 
 このような作業を経るため、正式な調書ができあがるのは、結構時間がかかります。

(台湾では)
 日本にいるとこれが当たり前なのですが、世界は広い、台湾では事情が違います。
 2005年ころでしょうか、台湾の法定を傍聴したのですが、なんと台湾では尋問調書は、公判が行われているときに同時に作成され、公判が終了したときには、できあがっていました。
 さすがデジタル化先進国!
 台湾の法廷では、書記官はもちろん、裁判官、検察官、弁護人さらには、被告人、証人にいたるまでコンピューターのモニター画面があり、その場で書記官が打ち込む文字を見る事ができるのです。書記官がものすごいスピードでキーボードをたたいても、口頭の尋問の方が速いですから、質問ー答えの後に若干のポーズを置いてはいますが、比較的スムースに尋問が流れます(中国語がわかるわけではないのですが、そのように聞こえてました)。裁判官は、尋問の途中で、尋問をとめながら字句の訂正なんかもしていました。このような方法でやれば尋問の終わりには、調書ができているわけで、尋問終了時にはプリントアウトする音が聞こえていました.
 台湾でもできるのであれば、日本の裁判所でもできそうなものですが、そのような動きがあるようには全く聞こえません。
 デジタル化では、大きく水をあけられたままです。

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専門家に相談したほうがよい場合

2017年11月24日 | 刑事関係の話題
 平穏に暮らしていても、いきなり身に覚えがない請求とか不当な請求が書面やメールで送られてくるような世の中です。
 こんな世の中では自分で自分の身を守るほかありません。

 明らかに詐欺的なものは取合わなければよいですが、そうでないようなものについては、書面やメールが届いても自分だけで判断するのではなく、専門家のアドバイスを受けながら行動したほうが良いと思います。

 特に、内容証明郵便が届いたら、自分の判断だけで対処するのはリスクがあります。内容証明郵便自体に法的な効力がある場合もありますし、そうでない場合もあります。また、それ自体何らかの問題が生じているシグナルなので、それを機に対処する必要があるかもしれません。放っておいても大丈夫なものもありますが、その判断は専門家に任せた方がよいので、専門家のアドバイスを受けることをお薦めします。

 また、弁護士から何らかの請求をされる郵便が来たときも同様です。弁護士は法的な判断をある程度して通知を送っているので、それだけ緊急度があるともいえます。
 
 裁判所から連絡が来たときは絶対に放っておいてはいけません。
 裁判所の手続きは期限のあることが多く、期限を過ぎてしまうと、言いたいこともいえなくなってしまう仕組みとなっているからです。
 例えば、昔債務があったが、長年支払いをしておらず、忘れた頃に債権者が支払督促を行い、裁判所から連絡が来ることがあります。長年支払いをしていなかった場合、消滅時効が完成していることがあるのですが、時効の意思表示をしないと時効が使えなくなってしまいます。
 ほんのちょっとした知識なのですが、それを知らないことで、支払督促で請求された金額の支払いを免れることができるかどうかが分かれることもあります。


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