南斗屋のブログ

基本、月曜と木曜に更新します

2008年版交通安全白書の報道

2008年05月30日 | 未分類
 交通事故死者が6000人を割ったことが報道されました。

 時事通信では、
2008/05/27-08:55 交通事故死者、6000人割る=54年ぶり-交通安全白書
という見出しでした(→本文)。
 他社も同様で事故死者が減少したことがメインだったようです。

 今まで、こういう交通事故死者減少のネタもとを気にしたことがなかったんですが、時事通信の見出しを見ればわかるように「交通安全白書」がネタ元となっています。

 この交通安全白書どういうものかというと、記事の中で「政府は27日の閣議で、2008年版の「交通安全白書」を決定した。」と書いたあったので、閣議決定が必要ということなんでしょう。

 ですから、当然これは政府の公式見解です。

 内閣府の所管らしく、ホームページにも載っていました(→http://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/index-t.html

 そのホームページの中には、政府目標は、「平成24年までに交通事故死者数を5,000人以下とし、世界一安全な道路交通の実現を目指す」ということが書いてあり、交通事故死者数についてのみどうも目標があるようです。
 
 ここでの交通事故死者数というのは、事故が起きてから24時間以内ですから、それを減らすのが、「政府目標」です。

 報道で、交通事故死者数が大きく取り上げられるのは、おそらく政府の発表にひきづられてしまっているからでしょう。

 私は、”世界一安全な道路交通”が目標なら、交通事故件数や負傷者数も重要な指標だと思いますが、報道では軽い扱いですね。

 時事通信の記事では、「負傷者数は同5.8%減の103万4445人となった。」と軽く触れられていましたが、減少しているとはいえ、死者数に比べて、この人数の多さはもっと知られてよいのではないかと思います。




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弁護士会の無料相談

2008年05月27日 | 未分類
(交通事故の法律相談シリーズ2)

前回は、市役所の無料相談についてとりあげましたが、今回は弁護士会の無料相談です。

弁護士会というと、なじみのない方が多いのではないかと思いますが、弁護士が会員の公的な団体です。
弁護士は、弁護士会に入っていないと、「弁護士」として仕事ができないことになっています。
千葉ですと、千葉県弁護士会が唯一の弁護士会で、私は本日現在、同会の会員です。

弁護士会にもよると思いますが、地域の住民の方の為に、無料相談を行っているところが、ほとんどではないかと思います。

千葉県弁護士会でも、無料相談を行っております。(→同会のHPでの案内

市役所の無料相談と比べると、弁護士会の無料相談は知名度が低いといえましょう。

「無料」と名打っているだけあって、相談者には経済的な負担はかかりません(相談を担当する弁護士には、弁護士会が支払います)。

千葉県弁護士会を例にとると、無料相談を行っているのは
千葉市にある弁護士会館
だけですから、市役所の無料相談と比べると、遠くの方には利用しにくいですね。
時間は
午後1時~4時の3時間で
合計7人
ですから、市役所相談と同じで、相談者1人に割りあてられている時間は
約20分
ということになり、市役所相談と同じく、この点が短所でしょう

千葉県弁護士会での無料相談は、弁護士が毎回交替でやってきますので、無料相談を継続して受けようと思うと、別の弁護士となってしまいます。
無料相談で会った弁護士に、継続して相談を受けたければ、その弁護士の名刺をもらっておき、弁護士の事務所に赴いて相談を受けることになります(この場合、有料相談となります)。

まとめますと
市役所での無料相談とほぼ同じで、時間が短いので、簡単なところをちょっと聞くには向いているが、そもそもあまり知られていないし、弁護士会に行くのが不便な人には不向き
といえるでしょう。

 
 ***************************************
千葉市中央区中央4-8-8日進ビル5F
法律事務所大地
電話でのご相談受付は
  平日午前9:15~午後5:00は、043-225-0570まで。
  上記の時間以外は、050-5539-5092までお電話下さい。(土日祝も対応、午後7時半まで)


交通事故(被害者)・離婚・相続・債務整理関係の相談は無料です(初回)。
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市役所の無料相談

2008年05月23日 | 未分類
(交通事故の法律相談シリーズ1)

交通事故で法律相談をしたいときに、どこに行ったらいいのかと、迷う方は多いのではないでしょうか。
交通事故の法律相談を取り扱っている場所はいくつかありますので、思いつくままに書いてみたいと思います。

今回は、市役所の無料法律相談です。
もちろん、主催者は町役場だたり、村役場だったり、区役所であったりするわけですが、代表的な「市役所」ということで話を進めます。

市役所の無料法律相談は、市が住民のサービスの為に行っているもので、市が弁護士に料金を払っています。相談者との関係では「無料」になります。

市役所は身近な機関なので、申込するのも抵抗感なくできるというメリットもあります。
市内ですから、そんなに遠出しなくてもすみます。

市によっても違うかもしれませんが、私が千葉県内で行った市役所の無料相談は
午後1時~4時の3時間で
合計7人
の相談をするというものでした。

これですと、相談者1人にあてられる時間は
約20分
ということになります。

20分という時間で事情をうかがい、回答するのは弁護士にとって、かなり厳しいです。
私の感覚からしますと、1時間程度時間をとらないと、十分な事案の把握ができませんし、回答するにも舌足らずになってしまいます。
相談した方も、なんだか時間が足りなかったと思われる方もいます。

市役所相談は、毎回同じ弁護士がいるとは限りません。
千葉県では
・ある特定の弁護士に相談を依頼している市
・千葉県弁護士会に依頼している市
があり、後者だと弁護士が交替で決まりますから、再度市役所相談をしても、また、一から説明をしなければならないとうこともありえます。

市役所相談で会った弁護士に、その後依頼できるかどうかは、場所によって扱いが異なると思います。
千葉県内では、その後の依頼も可能という扱いになっています。

まとめますと
市役所は身近で、無料相談なので費用はかからないが、じっくり話をするには、時間枠が短すぎる。
簡単なところをちょっと聞きたい分には向いている。
ということになるでしょうか。

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弁護士数の増加と質

2008年05月19日 | 未分類
 現在、大幅に弁護士になる人数が増加しています。これは、司法試験合格者が増えているからです。
 私が合格した時(1992年)は、約600名が合格しました。現在は、約2500名が合格者です。
 なぜ、合格者が増えているのは、政府が合格者を増やすという政策をとったからです。

 弁護士の間では、修習生(弁護士になる前の身分)の質の低下を嘆く声が、あふれています。最近は、ロースクール出身の弁護士が多くなっていますが、「法科大学院で鍛えられているせいか、話すことはうまいが、文章が下手である。主語と述語が対応していないものも多い。」との酷評もみられます。

 もっとも、今までの弁護士の質が保たれていたかというと、そうはいえません。
 たとえば、期限を守れないという弁護士も少なくありません。裁判官が期限を守れないことがあるのも(→過去記事)、弁護士が期限を守らないという事にも、原因があります。
 この業界自体が「納期を守る」という意識が希薄です。

 では、弁護士の人数が増えることで、競争が働いて質が向上するでしょうか。
 それはちょっと疑問です。なぜなら、この業界は競争が働きにくいからです。
 競争というのは、売っているものやサービスを、消費者が簡単に見分けられるから、はたらくものだと思いますが、この業界のサービスは簡単には見分けにくいからです。

 また、弁護士という商売は、信用が命ですので、弁護士の年齢が高いほうが社会的信用度が上で、必然的に有利になります。

 弁護士を使うユーザーとしては、どうすべきでしょうか。
 弁護士のサービスは、大きく分けると
① 対人折衝能力
② 書面作成能力
に分かれます。

 ①の対人折衝能力は、弁護士と相談をすることで、見極めるしかありません。
 弁護士と相談するには、1万円くらいかかりますが、見極めとして使うとすれば、高くないと考えるしかありません。

 ②の書面作成能力ですが、それはその弁護士の書いたものや、獲得した裁判例で評価するという方法が、考えられます。

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高次脳機能障害と生命保険

2008年05月14日 | 高次脳機能障害
 高次脳機能障害も以前に比べて、知識が広まってきており、弁護士のホームページなどでも高次脳機能障害については触れられてきております。
 そのほとんどは、交通事故の加害者に対する損害賠償の関係ですが、実際にご相談をうけていると、いろいろな問題がでてきます。

 高次脳機能障害と生命保険というのは、これまたひとつの大きな問題です。
 たとえば、家族のひとりに、生命保険をかけていた。交通事故にあってその家族が高次脳機能障害で重度後遺障害を負ったので、生命保険会社に請求をしてみたが、保険会社は、「寝たきりになるような場合でないと、重度後遺障害とはいいませんよ」といって、全然扱ってくれない。
 この保険会社の言い分は正しいのか?
という問題です。

 この点が問題となった裁判例として、東京地裁平成18年1月31日判決(公刊されている裁判例集には載っていないようです)というのがあります。

 被害者側は、生命保険に対して高度障害状態を残したとして保険金3000万円の請求をしたのですが、裁判所は請求を認めませんでした。

 問題は、「高度障害状態」とは何なのかという点です。
 このケースでは「高度障害状態」というものが、次のように約款に定められていました。
 「高度障害状態」
   =中枢神経系又は精神に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
 そして「終身介護を要するもの」には、次のような規定がありました。
 「終身介護を要するもの」
  =食物の摂取、排便、排尿その後の始末及び衣服着脱、起居、歩行、入浴のいずれもが自分ではできず、常に人の介護を要する状態。

 結論として裁判所は、この被害者は「高度障害状態」ではないとしました。
 なぜならば、このケースでは被害者は、自賠責等級2級が認定されているが
・食事は不完全な場合もあるものの、自分で行うことができる
・排便、排尿は、排便の拭き直しはあるものの、便意を感じてトイレに行き、用を足して終えることは可能
・起居や歩行動作は自力で行える(但し、転倒のおそれあり)
・衣服の着脱や入浴については監視、必要に応じて介助が必要にすぎない
だから、先ほどの「終身介護を要するもの」の定義にあてはまらないからです。

 この考えからは「高度障害状態」というのは、遷延性意識障害のようなケースでしか認められないのではないかと思ってしまいます。

 そして、まさにそのような限定的な考えをしている裁判例もあります。

 東京地裁平成18年6月30日判決(これも公刊されている裁判例集には載っていないようです)は
「自力で身体を動かすことができたり、食事を一部でも自力で摂取できる場合は、高度障害状態には該当しないと解すべきである」
と言いきっています。

 高次脳機能障害は、1級の場合でも自力で食事を食べられない、などという例はまれですから、今紹介した東京地裁の解釈からすれば、高次脳機能障害は「重度障害状態」とはいえないことになってしまいます。
つまり、重度後遺障害を理由として、生命保険金請求はできないということになってしまいます。

 このような解釈でよいのかは、私は非常に疑問に思っています。

 というのは、生命保険の約款では
  両眼の失明
ということだけでも「高度障害状態」となると、規定していることが多いからです。
 両眼の失明の障害者と、重度の高次脳機能障害者のどちらの障害が困難かは、なんともいえない問題ですが、少なくとも高次脳機能障害者の方が軽いと断定はできないはずです。

 そうすると、約款の解釈をもっと緩やかにするか、約款自体を改正して高次脳機能障害者を救済する方向で、変えなければならないと思います。


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和解案提示日が守られなかったこと(裁判官の非常識な対応)

2008年05月11日 | 交通事故民事
 先日、判決期日が裁判所の都合で勝手に変えられることがあるという記事を書きました(→過去記事「判決期日の変更」)。

 判決の期日は、裁判所が「この日に判決します」ということで、裁判所自身が決めるのですが、決められた日に判決できないと、「都合により変更します」という一言で、判決が延期とされてしまうという話でした。

 今回お話したいのは、和解案掲示日が守られないケースです。
交通事故の損害賠償の和解案というのは、ある程度審理をして原告、被告双方とも書面は大体提出したというところで、裁判官から出されるものです。

 裁判官は、それまでの証拠をみて、自分が判決を書くとしたらどのような認定をするかを前提として、和解案を決めていきます。

 とあるケースでは、3月の末ころの期日で、裁判官が「双方和解を検討するということであれば、次回までに裁判所から和解案を提出しましょう。そうですねぇ、和解案の提出までに1ヶ月いただけますか。」という提案をしましたので、当然4月一杯には和解案が提出されるだろうと期待していました。

しかし、4月が過ぎても全く何の連絡も裁判所からありません。

 遅れるなら遅れるで電話の一つでもしていただければよいはずですが、全く連絡がないというのはどういうことでしょう。

 裁判所に電話をしたところ、担当の書記官は「休み」
 電話対応をした書記官さんからは「裁判官に確認してわかるようにしておきます。」とのことでした。

 それを信頼して待っていましても、その日一日連絡はありませんでしたので、翌日電話をすると、担当書記官が対応に出ましたが、担当裁判官が「休み」ということであり、担当書記官氏曰く、「少なくとも本日は和解は出せません。連休明けとなりますが・・・」
と何とも歯切れの悪いものでした。

以前、T裁判所の裁判官からは、和解案提出が2日遅れるということで、裁判官自ら電話をかけてくれましたが、これが常識的な対応だと思います(→過去記事「裁判官の常識的な対応」)。

 裁判官が精力的に解決に取りくんでくれているであろうこと自体は、私としては信頼をしているのですが、本件のケースのような非常識な対応をされると、その信頼もゆるぎます。

 裁判官が一言電話をし「申し訳ありませんが、和解案の掲示は○月○日ころになります」と言ってくれれば、こんなにもやきもきした気持ちをもたなくてもよいのですが・・・。

 なお、判決の延期について訴訟の当事者となった方のホームページをみつけましたのでご参考までに(→こちら

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リハビリ病棟への成果報酬制度

2008年05月08日 | 未分類
2008年4月から,リハビリ病棟への成果報酬制度が実施されています。
健康保険などを使用した場合は,病院は定められた診療報酬しか,健康保険組合に請求できない仕組みとなっています。
そのため,診療報酬制度の改変は,病院の行動に大きな影響を与えます。

今回の改正は
回復期リハビリテーション病棟で,退院する患者のうち,リハビリの成果があがって,自宅などに帰ることができた人の割合が60%以上だと,報酬を上げ,未満ならば下げるというものです。

具体的にどのくらい違うのかといいますと,1日あたりの入院料が
報酬が上がる場合 1万6900円
そうでない場合 1万5950円
と,約1000円の差が生じます。(参考;2008年4月28日日経新聞夕刊 社会保険ミステリー「医療への成果主義導入」)。

患者1人,1日あたり1000円ですから,塵も積もれば山となるで,患者1人あたり月に3万円の差がでてきますし,ベッド数が100とすれば,月額300万円の差がでる計算になります。

この制度は,リハビリ病棟に成果を上げさせるような,インセンティブを与えたものとして,一見良いように見えますが,実はとんでもないことが起こる可能性があります。

改正前であれば,リハビリ病棟としては,患者さんが家に帰るか又は他の病院に転院するかは,気にとめなくていいことでした。
そのどちらになっても,リハビリ病棟に入る収入は変わらないからです。

しかし,改正後はリハビリ病棟としては,患者さんに自宅に帰れ,転院するなという指導をしてくる可能性があります。
なぜならば「自宅に帰した」ことで,リハビリ病棟は「成果をあげた」として,診療報酬の加算を受けるからです。

実際,病院側から「患者さんはもうこれ以上リハビリをやってもよくなりません。ほかの病院も紹介できません。国が定めた決まりでそうなっていますから」と言われて,困っている方もいるとのことです。

先の日程の記事では,医療機関が重症患者の受け入れを制限し,リハビリ難民が発生するおそれがあることが指摘されていますが,一旦受け入れた病院が他の病院につながず,患者を強引に自宅に戻してしまう。
という現象も起きる可能性があります。

関連記事
 診療報酬改定によるリハビリ制限



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債務不存在確認訴訟への被害者の対応

2008年05月05日 | お知らせ
 前回、債務不存在確認訴訟について書きました。
 債務不存在確認訴訟というのがどのようなものなのか、簡単に言いますと、
加害者側から被害者を相手にして民事事件で訴訟をすることで、加害者から出される訴えは、
「加害者が金**万円以上の債務がないことを確認する」
というようなものです(詳細は、前回記事をごらんください)。

 さて、このような訴訟は、なぜ加害者から訴えられなければならないのか!ということで被害者の感情を著しく害しますが、加害者が訴訟を起こすこと自体は、法律上は問題がないため、被害者としては対応をせまられます。

 では、どのような対応をしたらよいのでしょう。

 被害者の方だけではおそらく手に余ると思いますので、弁護士へのご相談をお奨めしますが、おそらく多くの場合、被害者から加害者相手に損害賠償請求をするというのが正しい対応になるはずです。

 この損害賠償請求は、債務不存在確認訴訟がかかっている裁判所に起こすことになります。
 つまり、その裁判所には、
  加害者からの債務不存在確認訴訟
  被害者からの損害賠償請求訴訟
が同時にかかることとなります。

 このように損害賠償請求をしてしまえば、あとは、通常の交通事故の損害賠償訴訟と同じです。
 
 加害者からの債務不存在確認訴訟は、法律上は許されているものとはいえ、被害者を損害賠償請求をするように、事実上強制するものですから、被害者に対する影響は甚大だと思います。

 被害者が著しく不誠実な対応をとっており(例えば、被害者が暴力団で法外な要求をしているケース)、加害者としても法律上の解決を目指すためにやむなく債務不存在確認訴訟をするのであればわかりますが、そうでない被害者に全く何の予告もなく債務不存在確認訴訟を起こすのは、道義的にはどうかと思います。
 加害者側を代理する弁護士には、この点をよく踏まえた上での対応を望みます。


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加害者が被害者に訴訟をすること

2008年05月02日 | 交通事故民事
 本日の記事の題、「加害者が被害者に対して訴訟をすること」は、「被害者が加害者に対して訴訟をすること」の間違いではないのか?と思われた方もいるかもしれませんが、間違いではありません。
 頻繁にではありませんが、加害者側が被害者を民事事件で訴訟をするということはありうることなのです。

 このような場合、加害者から出される訴えは、
「加害者が金**万円以上の債務がないことを確認する」
というようなものです。

 これだとわかりにくいと思うので、例をあげますと、ある交通事故が起きて、加害者は被害者に支払わなければならないことは間違いないのですが、賠償額で全然決着がつかないという場合です。
 被害者は500万円を請求しているのに、加害者は100万円しか支払えないと考えている、というような場合に、通常は、被害者が加害者に対して民事訴訟を起こすのですが、被害者から請求があるだけで何も法律上の手段をとってっこないというようなときに、加害者から
「加害者が金100万円以上の債務がないことを確認する」
という訴訟を起こすことがあるのです。
 つまり、加害者は、100万円が支払いの上限であって、それ以上ではないよということを裁判所に求めるのです。

 このような訴訟を、「債務不存在確認請求訴訟」といいます。
 加害者から見ると、債務がある一定額以上は不存在だということを確認する請求だからです。
 
 被害者からすると、いきなり加害者が原告となる訴状が裁判所から送られてくるので、いったい何事がおきたのかととまどいますし、なぜ加害者から訴えられなければならないのかとお怒りになるかたもいます。
 しかし、このような債務不存在確認請求は、法律上は認められており、これが違法だとはいえません。

というように、被害者側からしてみれば、非常にやっかいな訴訟なのです。

 *被害者がどのように対応すればよいのかについては、次回記事(→こちら)へ。

 *債務不存在確認訴訟で、原告と被告の関係がどうなるのかについて興味のある方は過去記事「原告・被告」もご覧ください。




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