南斗屋のブログ

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和解事例1633から1637

2020年04月22日 | 原子力損害

2020年4月17日、原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)から和解事例が公表されました(和解事例1633から和解事例1642まで)。今回は、1633から1637までの和解事例を紹介いたします。

1633=居住制限区域(南相馬市小高区)内の財物賠償に関するもの
1634=自主的避難等対象区域(伊達市)の生活増加費用等に関するもの
1635=居住制限区域(浪江町)の日常生活阻害慰謝料に関するもの
1636=自主的避難等対象区域(福島市)の精神的損害に関するもの
1637=原発事故当時は青森県内に所在する社員寮に居住していた申立人(実家は浪江町)に関するもの

和解事例(1633)
居住制限区域(南相馬市小高区)内に所有する自宅建物に居住していた申立人らの財物損害(自宅建物)について、原発事故前にリフォーム工事を実施していたこと等を考慮して、新築後48年経過時の価値(残価)を新築時点相当の価値の3割として算定した額が賠償された事例。

和解事例(1634)
自主的避難等対象区域(伊達市)から、当初4か月間は申立人母子のみが避難した後、一時帰還をしたが、その後、全員で避難した申立人らについて、母子のみの避難期間中における面会交通費及び二重生活により増加した生活費増加費用(月額3万円)のほか、一時帰宅費用、避難に伴い失職した父母それぞれにつき原発事故前の平均月収の6か月分相当額の就労不能損害、子1名につき平成24年1月から平成27年3月まで月額2万円又は1万4000円の避難雑費、申立人母の妊娠期間中につき月額2万円の避難雑費等が賠償された事例。

和解事例(1635)
居住制限区域(浪江町)から避難した申立人ら(夫婦及び子)の日常生活阻害慰謝料(増額分)について、避難により別離を余儀なくされたこと、申立人妻が原発事故時妊婦であり避難生活中に出産したこと及び乳幼児を連れての避難であったことを考慮して、平成23年3月分につき月額5万円、同年4月分から平成24年5月分まで月額4万円が、別離の解消後も引き続き乳幼児の世話を恒常的に行っていたことを考慮して、同年6月分から平成26年10月分まで月額3万円が賠償された事例。

和解事例(1636)
自主的避難等対象区域(福島市)に居住しており、原発事故直後に避難しようとしたものの、統合失調症の申立人子の療養体制の確保等のため平成23年6月に避難を開始した申立人らについて、申立人子の精神的損害(増額分)として、一時金10万円が賠償されたほか、平成23年8月分までの避難費用等が賠償された事例。

和解事例(1637)
居住制限区域(浪江町)に実家があり、原発事故当時は青森県内に所在する社員寮に居住していた申立人子が、体調を崩して退職したことから、福島県外に避難中の申立人父母のもとで療養するために申立人父母の借上げ住宅の近くにアパートを借りたことによって生じた平成24年7月分から平成25年6月分までの家賃、駐車場料金及び光熱費の基本料金等並びに借家人賠償保険料及び仲介料について、申立人父母が避難していなければ実家で療養することができた蓋然性が高いこと等を考慮して全額の約41万円が賠償された事例。


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