南斗屋のブログ

基本、月曜と木曜に更新します

高次脳機能障害2級の付添費(参考裁判例)

2010年09月29日 | 高次脳機能障害
高次脳機能障害2級の付添費(介護料)を、次のように認めた裁判例を見かけましたので、紹介します。
(水戸地裁下妻支部平成21年12月17日判決自保ジャーナル1820号35頁)

・入院付添費 日額8000円
・症状固定後の付添費 年額441万6864円
→日額にして約1万2000円

2級としては、かなり高額な付添費を認めていますが、これは高次脳機能障害の2級ではあるが
①便・尿漏れがあり、おむつ交換を介護者がしなければならない
②妄想、幻覚がある
③デイサービスを利用しており、公費負担分も含めて年額約194万3580円かかっている(月額16万1965円)
という理由があります。

高次脳機能障害2級であっても、症状固定後の状態によって、介護の負担というのは異なるので、その点を明らかにしていくことが必要になるかと思います。





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治療が終了していない場合に再び事故にあった場合

2010年09月21日 | 未分類
第1の交通事故で怪我を負って、治療をしていたところ、再び事故にあって(第2事故)、症状が悪化したというような場合、それぞれの加害者に対してどのように請求できるでしょうか。

この点について、参考になる裁判例として
横浜地裁平成21年12月17日判決(自保ジャーナル1820号)があります。

同判決のケースは
第1事故 平成16年6月5日
第2事故 平成16年8月30日
第3事故 平成16年9月10日
という事故にそれぞれあったもので、被害者は加害者が共同不法行為だと主張しました。
しかし、裁判所は共同不法行為の成立は認めず、それぞれの加害者に対して請求できるだけだとしました。

そして、全体の損害を算出して、それぞれの事故の寄与度が
第1事故 50%
第2事故 30%
第3事故 20%
としました。

例えば、全体の損害が100万円であれば
第1事故の加害者に対し 50万円
第2事故の加害者に対し 30万円
第3事故の加害者に対し 20万円
を請求できるという解決方法を示しました。


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交通事故相談センターへの示談斡旋申立てと時効

2010年09月14日 | 未分類
時効になると損害賠償を請求できなくなるので、注意が必要です。

後遺障害が残る場合は、症状固定時点から、時効を計算すると考えられており、3年が経過すると時効が成立します。
つまり、症状固定から3年以内に、訴訟をするなどの手を打っておかなければなりません。

日弁連の交通事故相談センターに示談の斡旋申したてをしたことで、時効が中断するのか否かが争われたケースがありました。

横浜地裁判決は、時効中断を否定しました。
つまり、時効が完成し、被害者は損害賠償請求ができないというのです。

その理由としては
①交通事故相談センターへの示談斡旋申立ては、裁判上の請求又は裁判上の請求に準じるものとはいえない。
②交通事故相談センターへの示談斡旋申立ては、同センターへの調整を求めるもので、加害者に対しての権利行使の意思が明確でなく、催告としての効力も認められないというものです。
(横浜地裁平成21年12月27日判決自保ジャーナル1820号)

このように、交通事故相談センターに斡旋申立をしても時効は進行してしまいますから、時効にならないように注意が必要です。


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高次脳機能障害は否定されたがPTSDを認めた裁判例

2010年09月08日 | 未分類
PTSDが認められた裁判例をみかけましたので、紹介します。
大阪地裁堺支部平成22年2月19日判決です(自保ジャーナル1820号16頁)。

このケース、平成17年に訴訟が始まっていますが、判決がでたのは平成22年で、一審判決がでるのに5年近くかかっています。
判決の内容をみても、医師の意見書が多数提出され、最終的には鑑定にもなっています。

PTSDが認められたのは、鑑定人がPTSDを認めたということが一番大きいと思います。

等級としては9級を認め
労働能力喪失率が35%
労働能力喪失期間は「PTSDが非器質的後遺障害であること」から10年に制限しています。
 以前ご紹介した「非器質性精神障害9級を認めた裁判例」と同じ論理です。

この裁判例でも、素因減額がされており
40%減額(60%請求できる)
されています。

理由としては「被害者のPTSDの発症は、事故前の被害者の長男の自殺。これを原因として被害者が反応性うつ病にかかっており、それらが相当程度寄与していたから」としています。

このように、非器質性精神障害では
① 労働能力喪失期間の制限
② 素因減額
という手法が裁判例では使用されることがほとんどです。



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