南斗屋のブログ

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成年後見人と監督責任

2016年03月22日 | 成年後見
本年3月1日に、認知症徘徊の列車事故訴訟の最高裁判決があり、家族の監督責任が否定されて幕となりましたが、この判決、成年後見人の監督責任にも触れております。
本件事件では、成年後見がついていなかったにも関わらず、最高裁が判決で言及しているので、本件を機会に成年後見人の監督責任について裁判官が世間に発信したかったのでしょう。

最高裁の結論はこうです。
①成年後見人であるというだけでは、法律上にいう「監督義務者」にはあたらない。
②しかし、例外的に「監督義務者」に準ずべき者として成年後見人に責任が認められる場合がある。
このように、成年後見人が監督義務を負う範囲を狭く考える立場を鮮明に打ち出しました。

では、どんな場合に例外にあたるのか?
最高裁の判決では、「第三者に対する加害行為の防止に向けてその者が当該責任無能力者の監督を現に行いその態様が単なる事実上の監督を超えているなどその監督義務を引き受けたとみるべき場合」となっています。
もう少し噛み砕いていいますと、
a 本人が他の人に加害行為を起こしそう又は起こしているので、それを防止する行為を成年後見人が行っていた
b その程度は、「事実上の監督」という程度ではダメで、それを超えて監督責任を引き受けたというレベルまで必要
ということになりましょうか。
本件では、認知症者の配偶者及び長男いずれも、この例外的な場合にあたらないということで両者の責任を否定しています。


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