しかし、平成6年最高裁判決が出た後、逆に地裁、高裁レベルで平均余命を短く認定する裁判例がなくなり、平均余命表どおりの認定をする裁判例が増えたのです。
最高裁が判決を出したといっても、余命認定は、いつまで生きることができる蓋然性があるのかという事実認定の問題です。
事実認定については、地裁及び高裁の専権であって、最高裁は高裁での事実認定を前提にして、法律違反、判例違反がないかをチェックする機関なわけです。
そうすると、平成6年最高裁判決もあくまで原審の東京高裁判決に「違法がない」としただけであって、事実認定を積極的に認めたわけではないと考えることができるのです。
では、平均余命を認める裁判例は、平成6年東京高裁判決がベースにした自動車事故対策センターの統計をどのように考えているのでしょうか。
1 同統計はサンプル数が極めて少ない
2 植物状態患者をめぐる介助及び医療の水準は日進月歩であるが、同統計は古い時点のものしか示していない
3 被害者が手厚い介護を受けており、以上があれば、直ちに医療機関の処置などを受ける体制が整っている
というような理由があげられています(東京地判平成10年3月19日判例タイムズ969号226ページ)。
(続)
最高裁が判決を出したといっても、余命認定は、いつまで生きることができる蓋然性があるのかという事実認定の問題です。
事実認定については、地裁及び高裁の専権であって、最高裁は高裁での事実認定を前提にして、法律違反、判例違反がないかをチェックする機関なわけです。
そうすると、平成6年最高裁判決もあくまで原審の東京高裁判決に「違法がない」としただけであって、事実認定を積極的に認めたわけではないと考えることができるのです。
では、平均余命を認める裁判例は、平成6年東京高裁判決がベースにした自動車事故対策センターの統計をどのように考えているのでしょうか。
1 同統計はサンプル数が極めて少ない
2 植物状態患者をめぐる介助及び医療の水準は日進月歩であるが、同統計は古い時点のものしか示していない
3 被害者が手厚い介護を受けており、以上があれば、直ちに医療機関の処置などを受ける体制が整っている
というような理由があげられています(東京地判平成10年3月19日判例タイムズ969号226ページ)。
(続)