南斗屋のブログ

基本、月曜と木曜に更新します

東京地裁

2008年03月31日 | 未分類

 
 東京地裁です。
 写真左が東京地裁で、右側は法務省の庁舎。
 法務省の庁舎は、レンガ造りの明治時代の雰囲気を残しています。

 東京地裁は、霞が関といういわずとしれた、国政の役所が集まっている地域の一角にあります。

 不思議なのは、地名では、「霞が関」と「が」は平仮名なのすが、駅の名前は、「霞ヶ関」と「ケ」とカタカナになることです。

 もちろん、東京地裁向けに誤って「霞ヶ関」と住所を書いてしまっても、郵便屋さんは間違うことはありませんが、このように微妙に違うと、なぜだろう・・・と思ってしまいます。

 ま、以上はどうでもよいことですが、東京地裁では交通事故事件は交通部(民事27部)で取り扱っています。

  交通専門部があるのは、東京・大阪・名古屋の3つの地方裁判所しかありません(他の裁判所では一般の事件を扱う部署が交通事故事件も扱っています)。






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ブログ休載のお知らせ

2008年03月22日 | 未分類
 本ブログを都合により3月一杯休載します。
 4月から再開の予定です。

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胎児死亡の場合の慰謝料

2008年03月21日 | 未分類
 交通事故により、人が死亡した場合というのは、逸失利益や慰謝料などを請求できるのですが、死亡したのが「胎児」だった場合、つまり、交通事故で死産になってしまったというような場合は、「人」が死亡した場合とは考え方が異なります。

 胎児死亡の場合は、逸失利益を請求することができません。
 慰謝料だけを請求することができます。

 人の死亡の場合は、慰謝料が赤い本などによって、「基準化」されており、だいたいの目安が示されています。

 しかし、胎児の場合は、基準化がされていません。

 赤い本でも、死亡慰謝料の末尾のところに
 「(参考)胎児の死亡など」
という項があるのですが、裁判例があげられているだけであり、基準化がされておりません。

 これまでに胎児死亡の場合で、もっとも高い金額を認めているのは、
  東京地裁平成11年6月1日判決(交通民集32・3・856)
のようです。

 この判決は、妊婦(母)が受傷したことにより妊娠36週の胎児が死亡したケースで、胎児死亡による慰謝料として
 母親 700万円
 父親 300万円
が認められています(総額1000万円)。
 
 この判決とほぼ同じ程度の慰謝料を認めているものとしては、
  高松高裁平成4年9月17日判決(自保ジャーナル994号)
があり、 出産予定日の4日前の事故により死産したことについて、
  母親 800万円
を認めています(父親については、示談していたので、裁判での請求は認められないとしています)。

 この2判決が、飛び抜けて高額であり、他は
 妊娠27週のケース 250万円(横浜地裁平成10年9月3日判決)
 妊娠2ヶ月のケース 150万円(大阪地裁平成8年5月31日判決)
などがありますが、東京地裁や高松高裁判決とはだいぶ差があります。
 


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4月は裁判所の期日が入りにくくなります

2008年03月19日 | 高次脳機能障害
 組織には、人事の異動がつきものです。
 
 裁判所にも異動があります。
 裁判所の異動の中で、
  裁判官の異動と
  書記官の異動
は基本的には4月に行われます。

 ですから、3月末から4月上旬というのは、法廷が入りにくくなります。

 まず、裁判官についてですが、
 異動の予定のある裁判官は、3月末から4月上旬にかけて引っ越しの手続きをしなければなりませんし、事件の引継の準備もしなければなりません。

 異動先では、係属している事件を引き継がなければなりません。
 異動してきた裁判官は、その事件の記録を一から読んで、頭にいれなければなりませんから、赴任してきてからすぐに法廷というのをいれることができません。

 また、書記官についてですが、
裁判官が異動しなくても担当の書記官が異動するということはあります。
書記官は1~2年で担当部署を異動することが多いようです。

 書記官も全ての事件記録に目を通す必要がありますから、異動時期前後は非常に忙しくなります。

 ですので、4月上旬は法廷が入らないという現象が生じてしまうのです。

 そうすると、4月は中旬から下旬に期日が限られてしまいますが、4月の終わりにはゴールデンウィークがあるので、期日をいれることができません。
 
 そのため、現在訴えを提起すると5月の期日になってしまうことがあり、実際 最近も一件、訴状を提出したのですが、期日は5月の中旬になってしまいました。

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東京地裁八王子支部

2008年03月17日 | 交通事故民事


写真は東京地裁八王子支部です。

東京地裁には、支部は八王子支部しかありません。

支部が一つしかない地裁というのは、そう多くないと思います。

例えば、千葉地裁ですと、支部は
 松戸
 木更津
 八日市場
 佐倉
 佐原
 一宮
 館山
と全部で7カ所あります(そのほかに、本庁があります)。
 
 東京地裁の本庁(本庁の意味については→こちら)は、東京23区の事件
 東京地裁八王子支部は、東京23区以外の事件
を担当することになっています。

 東京地裁の本庁は、東京高裁も入っている巨大な建物ですが、八王子支部はご覧のようにそんなに高くありません。

 この写真ではわかりにくいですが、かなり増築が繰り返されたようであり、建物内部は迷路のようにわかりにくく、段差が多くてバリアフリーにはなっておりません。




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司法修習生の実務修習

2008年03月14日 | 未分類
 私の事務所に3月中旬から6月中旬にかけて、司法修習生が修習に来ます。

 司法修習生というのは、司法試験に合格して、まだ裁判官・検察官・弁護士となる前の研修中の身分です。
 身分としては、最高裁に所属する準公務員といったことになっているはずです。

 司法試験に合格し、司法研修所という最高裁の運営する機関に入りますと、司法修習生という身分になります。現在進行中の司法改革で、この司法修習の期間なども私のときとはかなり異なってきていますが、私のときは修習期間は2年でした(現在はそれよりも短くなっています)。

 司法修習生は、最初と最後を司法研修所で座学といえば格好いいですが、教室で勉強するわけです。

 間の1年半(現在は1年)を実務修習といって、各地で裁判所、検察庁、弁護士事務所を回って実地に勉強するのです。
 つまり、司法研修所での間は机の上の勉強、実務修習中は生きた事件を目の辺りにして勉強ということになります。

 それで、今回、私の事務所に実務修習つまり、実際の事件を学びにくるのです。

 具体的には、打ち合わせの席に同席し、打ち合わせの実際をみたり、裁判所での期日に同席したりということをします。

 医学でも医学生が勉学のために治療の状況を見たりしていますが、修習生はこの医学生の感覚に近いものだと思います。
 


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準高次脳機能障害

2008年03月12日 | 高次脳機能障害
前回、脳外傷による高次脳機能障害と認定される為には、画像所見が必要であるとする東京高裁判決(平成20年1月24日判決自保ジャーナル1724号)を紹介しました。

この東京高裁判決、結論としては被害者が高次脳機能障害であることを否定しているのですが、今後高次脳機能障害を認定する上で重要なヒントを残してくれています。

それは「準高次脳機能障害」と呼ぶべきものです。

東京高裁判決は、この内容を明確に言い切っているわけではありませんが、私なりにこの判決から読み取れる準高次脳機能障害の内容は次のとおりです。

①事故の当初から、典型的な脳外傷による高次脳機能障害で生じるような認知障害等の症状がある
②認知障害等について、裏付けられるような所見が存在する(東京高裁の判決では、拡散テンソル画像の異常や脳の血流低下、機能低下といった所見が存在していました)。
③症状が改善する傾向にあるのが高次脳機能障害なので、神経心理学検査が増悪傾向にある場合は、準高次脳機能障害は否定する方向に考える

このような考えのもとに東京高裁判決は「脳外傷による高次脳機能障害に準ずるものとしての後遺障害」を考えているようです。
このような「準高次脳機能障害」という考え方自体が妥当なのか、妥当であるとしてその内容が東京高裁判決の内容でよいのかは、これから議論すべきところではないかと思います。
被害者の方にとって、最も気をつけなければならないポイントは①のところでも書いた「事故の当初から」というところです。
東京高裁判決のケースでは
・被害者がもの覚えが悪くなったと言っているのは、事故から2年8ヶ月後である。
・脳血流低下等の検査は、事故から7年以上も経過して後のことである
として、事故と症状との因果関係を否定しています。

疑わしい症状が存在したならば、それをしっかり証拠に残すということ、具体的には病院を受診してカルテに症状を記載してもらい、検査を受けるということが必要になります。



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高次脳機能障害の認定~東京高裁判決から

2008年03月10日 | 高次脳機能障害
高次脳機能障害の知識が広がりを見せてきており、裁判例でも高次脳機能障害の裁判例が増えてきました。

高次脳機能障害の症状というものは多彩です。
例えば、記憶・記銘力障害、集中力障害、遂行機能障害、判断力低下、病識欠落などという認知障害といわれるものが、高次脳機能障害では生じると、どの本でも書かれていますが、ほかの病気でもこのような症状が生じることがあります。

ですから、これらの症状にあたるからといって、高次脳機能障害とはすぐには言えないわけです。

では、どうやって高次脳機能障害か否かを裁判所が認定するかといいますと、重要なポイントとしては
①事故後からおこったものであるか、事故後継続しているものであるか
②意識障害が一定期間継続していたか
③CT、MRI等の画像所見が認められるか
といったところがあげられています。

③の「CT、MRI等の画像所見」については、CTかMRIで「脳室拡大、脳萎縮又は器質的な脳損傷について画像資料が認められることが必要」という裁判例が出ました。
(東京高裁平成20年1月24日判決自保ジャーナル1724号)。
ここに「器質的な脳損傷」とあるのは、脳挫傷や、頭蓋内血腫などのことをいうようです。

つまり、東京高裁判決では、画像所見として
・脳室拡大がある
・脳萎縮がある
・脳挫傷痕や頭蓋内血腫があったこと
のどれかが必要といっているのです。

画像の検査としては、脳血流検査(SPECT)などもありますが、東京高裁判決は
"SPECTで血流低下が認められれば、脳に機能的な低下があることになる。
しかし、脳の一局部で血流が低下したからといっても、それは脳の気質的変化とは限らない。
なぜなら、うつ状態であっても機能低下というのは生じるからだ。"
という内容の判断をしています。(内容を私なりに要約しました)

その他T2スター画像や、拡散テンソルMRIについても、東京高裁判決は触れていますが、この点については割愛します。

このようなCTやMRIの画像の重要性については、平成19年2月の自賠報告書でも指摘されていましたが、東京高裁レベルでもこの報告の結論が認められたことに意義があると思います。



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裁判官の「常識的な」対応

2008年03月07日 | 交通事故民事
 この間、裁判官が決めた判決の期日を変更するのに、裁判官自身が電話をかけてこないということを書きました(→過去記事)。

 これはS裁判所での話で、このS裁判所の裁判官からは、いまだに電話はいただいておりませんが、別のT裁判所からは、和解案の提示日に「まだ和解案ができておりませんので、2日ほど延ばして下さい」という連絡がありました。

 "和解案の提示"というのは、原告、被告双方が主張立証をそれぞれしますと、裁判官が証拠関係もみて、裁判所の和解案というものを出すことです。

 この和解案は、単なる調停案と違います。
 調停案だと、当事者のどちらかが不満で、その案を呑まないということでも、当事者に強制する手段がありません。ですから、当事者としては、そういうことは気にせずに、案を受諾するのか受諾しないのか考えればよいのです。

 しかし、和解案(正確にいいますと「訴訟上の和解案」)は、これを当事者の一方が呑まなければ、裁判官が判決を書く、つまり、強制することができるというところが、調停案とは違うわけです。
「もし、この和解案に従わないのなら、私が判決を書いてこの審理を終わらせますよ」というメッセージが、暗にこめられているわけです。

 裁判官がこのように考えているのだということも含めて、和解をするか否か考えなければならないのです。

 それだけ、和解案というのは、重みのあるものです。
 その点もふまえた上で、T裁判所の裁判官は、"延期のおわび電話"をしてきたものと思います。

 これが「常識」です。

 常識的な対応を、ここまでブログに書くのもどうかなとは思ったのですが、以前、裁判所は非常識だというような記事も書きましたので、あえて、常識的な対応をする裁判官もいることを書いてみました。

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横浜地裁と専門部制

2008年03月05日 | 未分類


横浜地裁です。

 以前、横浜地裁川崎支部の記事を書きましたが(→こちら)、上記の写真は横浜市にあるものです。
 「支部」に対応するものだと、「本部」というような気がしますが、裁判所では
 「本庁」
と呼んでいます。

 横浜地裁は、交通事故事件については、集中部制をとっています。

 集中部制というのは、少々わかりにくいかもしれませんが、こういうことです。

 東京、名古屋、大阪では、交通事故事件は専門部制をとっています。
 専門部制というのは、交通事故専門の部があるということで、東京地裁ですと、民事27部というところに必ず交通事故事件はかかります。
 民事27部は、交通事故”専門”なので、そればかりやります。
 これが専門部ということの意味です。

 集中部制というのは、交通事故事件が来たら、一定の部に配点されます。
 横浜地裁ですと、民事6部になります。
 しかし、民事6部は交通事故事件だけをやっているわけではありません。
 ほかの事件も扱っています。
 このように、”専門”ではないけれども、集中的に交通事故を扱うので、「専門部制」といわれるわけです。

 多くの地裁では、交通事故事件は、専門部制や集中部制をとっていませんので、どの部にかかるかは、ランダムに決まります。




 

 




 

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