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南斗屋のブログ

基本、月曜と木曜に更新します

法律事務所(弁護士事務所)は2022年10月から社会保険の強制適用事業所となりました

2022年11月17日 | 法律事務所(弁護士)の経営
(はじめに)
 従業員の社会保険適用(健康保険・厚生年金)について、法律事務所(弁護士事務所)を例にして考えてみます。

(今回の法改正)
 法律事務所は、法人の場合(弁護士法人が設立されている場合)と個人経営の場合があります。
 法人の場合は、従業員が社会保険に加入することは義務となります(強制適用事業所)。
 個人経営の場合は、法律事務所は加入することが義務ではない事業所(任意適用事業所)でした。
 しかし、法律が改正され2022年10月から社会保険の強制適用事業所となりました(厚生年金保険法6条1項1号レ)。この法改正により、法律事務所で常時5人以上の従業員を使用するものは、社会保険に加入することが義務となります。

(2022年10月以降の個人経営の法律事務所の社会保険加入)
 2022年10月以降の個人経営の法律事務所の社会保険加入は次のようになります。
①常時5人以上の従業員を使用⇒強制適用事業所(社会保険に加入する法的義務あり)
②それ以外⇒任意適用事業所(社会保険に加入する法的な義務はない)

(法律事務所の経営者の視点から)
 法律事務所の経営者の視点から考えてみます。
 経営者としては、社会保険に加入すると経済的には負担が増えます。社会保険の保険料は労使折半ですから使用者負担分が負担増になるのです。
 社会保険に加入すれば従業員の福利厚生ためになりますが、経済的な負担を抑えるために社会保険に加入していない法律事務所も少なくないようですい。
 従業員を社会保険に加入しないとするためには、〈5人以上の従業員を使用しない〉で経営するほかありません。
 ここで「従業員」というのは、次のような方です。
①正社員
②パート、アルバイト等のうち、1週間の所定労働時間及び1ヶ月の所定労働日数が正社員の4分の3以上である方
 常時5人以上の従業員を使用せずにこじんまりとした経営を行っていく場合は、2022年10月以降も任意適用事業所扱いとなりますので、社会保険の適用を受けるか否かは任意ということになります。

(委託という手法)
 今後、小規模な法律事務所では従業員をできるだけ雇用しないという手法をとる経営者がでてきてもおかしくはありません。
 その場合、「委託」という手法を採用して仕事を行なっていくことが考えられます。
 現時点でも、電話受付代行を利用している法律事務所はあるのかもしれませんが、それ以外のタスクでも活用の余地はありそうです。


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個人情報保護法-本人への周知義務と体制の整備

2022年11月10日 | 法律事務所(弁護士)の経営
〈本人への周知義務〉
個人情報取扱業者は、保有個人データに関する事項について本人に周知する義務があります。
具体的には次の情報を本人の知りうる状態(ホームページへの掲載も可)に置かなければならないものとされています(個人情報保護法32条1項)。
①個人情報取扱事業者の氏名(名称)、住所
②すべての保有個人データの利用目的
③保有個人データの利用目的の通知の求め又は開示などの請求に応じる手続きや手数料の額
④保有個人データの安全管理のために講じた措置
⑤保有個人データの取扱いに関する苦情の申出先

〈ガイドラインの記載〉
次のような記載例がガイドラインに掲載されています。
(基本方針の策定)
 個人データの適正な取り扱いの確保のため、「関係法令・ガイドライン等の遵守」「質問及び苦情処理の窓口等」についての基本方針を策定
(個人データの取り扱いに係る規律の整備)
 個人データの取得、利用、保存等を行う場合の基本的な取扱方法を整備
(組織的安全管理措置)
 整備した取り扱い方法に従って個人データが取り扱われていることを責任者が確認
(人的安全管理措置)
・個人データの取扱いに関する留意事項について、従業員に定期的な研修を実施
・個人データについての秘密保持に関する時効を就業規則に記載
(物理的安全管理措置)
・個人データを取り扱うことのできる従業者及び本人以外が容易に個人データを閲覧できないような措置を実施
・個人データを取り扱う聞き、電子媒体及び書類等の盗難又は紛失等を防止するための措置を講じるとともに、事業所内の移動を含め、当該機器、電子媒体等を持ち運ぶ場合、容易に個人データが判明しないよう措置を実施
(技術的安全管理措置)
・個人データを取り扱うことのできる機器及び当該機器を取り扱う従業者を明確化し、個人データへの不要なアクセスを防止
・個人データを取り扱う機器を外部からの不正アクセス又は不正ソフトウエアから保護する仕組みを導入
(外的環境の把握)
 個人データを保管しているA国における個人情報の保護に関する制度を把握した上で安全管理措置を実施

〈体制の整備〉
 個人情報取扱事業者は、個人情報の取扱いに関する苦情の適切かつ迅速な処理に努めなければならず、苦情の処理にあたっては、苦情処理窓口の設置や苦情処理の手順を定める等必要な体制の整備に努めなければなりません(個人情報保護法40条)。 この規定に関し、ガイドラインではプライバシーポリシーについて次のようなコメントをしています。
「本人との信頼関係を構築し事業活動に対する社会の信頼を確保するためには、プライバシーポリシーやプライバシーステートメント等といわれる個人情報保護を推進する上での考え方や方針を策定し、それをホームページへの掲載等によって子表紙、あらかじめ対外的にわかりやすく説明することが重要である。また、委託の有無、委託する事務の内容を明らかにするなど委託処理の透明化を図ることも重要である。」

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個人情報保護法の本人への周知義務と体制の整備

2022年11月01日 | 法律事務所(弁護士)の経営
〈本人への周知義務〉
個人情報取扱業者は、保有個人データに関する事項について本人に周知する義務があります。
具体的には次の情報を本人の知りうる状態(ホームページへの掲載も可)に置かなければならないものとされています(個人情報保護法32条1項)。
①個人情報取扱事業者の氏名(名称)、住所
②すべての保有個人データの利用目的
③保有個人データの利用目的の通知の求め又は開示などの請求に応じる手続きや手数料の額
④保有個人データの安全管理のために講じた措置
⑤保有個人データの取扱いに関する苦情の申出先


次のような記載例がガイドラインに掲載されています。
(基本方針の策定)
 個人データの適正な取り扱いの確保のため、「関係法令・ガイドライン等の遵守」「質問及び苦情処理の窓口等」についての基本方針を策定
(個人データの取り扱いに係る規律の整備)
 個人データの取得、利用、保存等を行う場合の基本的な取扱方法を整備
(組織的安全管理措置)
 整備した取り扱い方法に従って個人データが取り扱われていることを責任者が確認
(人的安全管理措置)
・個人データの取扱いに関する留意事項について、従業員に定期的な研修を実施
・個人データについての秘密保持に関する時効を就業規則に記載
(物理的安全管理措置)
・個人データを取り扱うことのできる従業者及び本人以外が容易に個人データを閲覧できないような措置を実施
・個人データを取り扱う聞き、電子媒体及び書類等の盗難又は紛失等を防止するための措置を講じるとともに、事業所内の移動を含め、当該機器、電子媒体等を持ち運ぶ場合、容易に個人データが判明しないよう措置を実施
(技術的安全管理措置)
・個人データを取り扱うことのできる機器及び当該機器を取り扱う従業者を明確化し、個人データへの不要なアクセスを防止
・個人データを取り扱う機器を外部からの不正アクセス又は不正ソフトウエアから保護する仕組みを導入
(外的環境の把握)
 個人データを保管しているA国における個人情報の保護に関する制度を把握した上で安全管理措置を実施

〈体制の整備〉
 個人情報取扱事業者は、個人情報の取扱いに関する苦情の適切かつ迅速な処理に努めなければならず、苦情の処理にあたっては、苦情処理窓口の設置や苦情処理の手順を定める等必要な体制の整備に努めなければなりません(個人情報保護法40条)。 この規定に関し、ガイドラインではプライバシーポリシーについて次のようなコメントをしています。
「本人との信頼関係を構築し事業活動に対する社会の信頼を確保するためには、プライバシーポリシーやプライバシーステートメント等といわれる個人情報保護を推進する上での考え方や方針を策定し、それをホームページへの掲載等によって子表紙、あらかじめ対外的にわかりやすく説明することが重要である。また、委託の有無、委託する事務の内容を明らかにするなど委託処理の透明化を図ることも重要である。」

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複数の弁護士が在籍する法律事務所と個人情報保護法の共同利用

2022年10月23日 | 法律事務所(弁護士)の経営
<弁護士が職務を行えない場合>
 弁護士は職務を行ってはならない案件が定められています(弁護士職務基本規程27、28条)。
 弁護士職務基本規程は、日本弁護士連合会が、弁護士の職務に関する倫理と行為規範を明らかにするため、会規として制定したもので、弁護士の信頼確保のために職務を行ってはならない事件を規定しているのです。
(ケース1)
 甲弁護士は、Aの離婚事件を担当しており、相手方をB(Aの配偶者)として離婚調停事件を行っていました。
 Bは個人で事業を経営していましたが、その事業で法律上の問題がもちあがりました。
 Bは、甲弁護士を敵ながらあっぱれと思っていたため、甲弁護士に連絡を取りました。
 B「甲さん。私が経営している個人事業のことで相談にのってもらいたい。できれば代理人になってほしい。離婚事件であなたといろいろ話したが、よくできた弁護士だと思ってみていました。今回お願いしたいのは離婚事件とは別だから、問題ないでしょう。お願いしますよ。」 
 甲弁護士は、Bの依頼を受けることができるでしょうか。
(回答)
 甲弁護士は原則としてBの依頼を受けることができません(Aの同意が必要)。
 弁護士職務基本規程では「受任している事件の相手方からの依頼による他の事件」は職務を行いえないと規定しているからです(27条3号)。
 このようなケースで甲弁護士がBの事件を受けたら、Aの信頼を損なうことは明白でしょう。

<同じ事務所の弁護士の場合>
 では、次のような場合はどうでしょうか。
(ケース2)
 ケース1の事案で、甲弁護士と同じ事務所に在籍している乙弁護士が、Bの事業関係の法律問題の依頼を受けることはできるでしょうか。
(回答)
 乙弁護士は原則としてBの事業関係の法律問題の依頼を受けることはできません。
 弁護士職務基本規程では、共同事務所の他の所属弁護士が基本規程の規定により受任できない事件は、原則として受任してはいけないと規定しているからです(57条)。
 つまり、事務所が同じであれば、ある弁護士が受任できない事件は、別の弁護士であっても受任できないということになります。

<職務を行えない事件の受任を防止するための規定>
(ケース3)
 ケース2の事案で、Bは自分の事業の法律問題の依頼について友人に相談したところ、友人は、「それなら良い弁護士を知っているから紹介する。メールアドレスを知っているから、自分で連絡してみて。」といわれ、乙弁護士のメールアドレスを教えられました。Bは、甲弁護士と乙弁護士が同じ事務所であるとは知らず、乙弁護士のメールアドレスに依頼の連絡をしました。

 この場合、乙弁護士が、甲弁護士がBを相手方として調停を行っていることを知らなかったら、Bからの依頼を受任してしまうかもしれません。そのようなことを避けるために、弁護士職務基本規程は次のような規定を置いています。
「共同事務所の弁護士は、事務所内の弁護士と協力して取り扱い事件の依頼者、相手方及び事件名の記録その他の措置を取るように努める」(大意;59条)
 具体的には、それぞれの取り扱い事件の一覧表を作成し、依頼者、相手方及び事件名を記録して、職務を行いえない事件かどうか確認できるようにすることになります。

<取り扱い事件の一覧表を作成することと個人情報保護法>
 問題はここからです。
 弁護士は個人情報取扱事業者なので、同じ事務所の弁護士とはいえ、依頼者の個人情報を教えるのは個人情報の第三者提供に、あたるのではないでしょうか。
 甲弁護士は、Aさんから依頼を受け、AさんやBさんの個人情報を取得しています。
 これらの個人情報を取り扱い事件一覧表として作成し、乙弁護士に提供することは、個人情報の第三者提供にあたるのかどうか、許される提供にあたるのかという問題です。
 
<個人情報保護法における第三者提供の制限>
 ここで個人情報保護法における第三者提供について見ておきましょう。
 第三者提供ができるのは、次のような場合です。
・あらかじめ本人の同意を得ている場合
・法令に基づく場合等の法の定める例外要件(個人情報保護法27条1項)に該当する場合
・オプトアウトによる第三者提供の場合(個人情報保護法27条2項)
 これだけみると、第三者提供について予め同意を取っておけばよいということにはなります。
 しかし、そもそも「第三者提供」に該当しないという考え方はできないのでしょうか。
 一見すると第三者のように見えても、個人情報保護法上は「第三者」にはあたらないという規定があります。
 ここで紹介しておきたいのは、「委託」と「共同利用」です(個人情報保護法27条5項)。
「委託」は、百貨店が注文を受けた商品の配送のために宅配業者に個人データを提供する場合が例としてあげられています。委託先は「第三者」にあたらないので、本人の同意がなくても個人情報を提供できます。本人の同意がない分、委託元には委託先の監督義務が課されております(個人情報保護法25条)。
 また、「共同利用」の場合も「第三者」にあたらないとされています。
 「共同利用」というのは、ある者が取得した個人情報を一定の要件のもと共同で利用する場合です。
 「共同利用」の場合も本人の同意がなくても個人情報を提供できるのですが、次のような事項をあらかじめプライバシーポリーなどで本人が容易に知りうる状態に置く必要があります。
 ①共同利用する旨
 ②共同して利用される個人データの項目
 ③共同して利用する者の範囲
 ④共同して利用する者の利用目的
 ⑤共同して利用する個人情報の管理について責任を有する者の氏名又は名称
 
<弁護士の取り扱い事件一覧表と共同利用>
 話しを元に戻します。
 弁護士の取り扱い事件一覧表は個人情報保護法上どのように処理されるべきかが問題でした。
 ここで前項で述べた「共同利用」を活用すればよいのではないかということがわかります。
 そのためにはプライバシーポリシーで定められた事項を記載する必要があります。
 実際には次のような記載となるのではないでしょうか。
1 個人情報の共同利用
 当事務所の所属弁護士は、各所属弁護士が取得した個人情報を以下のとおり共同利用致します。
2 共同利用される個人データの項目 依頼者の氏名、相手方の氏名及び事件名
3 共同して利用する者の範囲    当事務所の所属弁護士
4 共同して利用する者の利用目的  弁護士職務基本規程に規定されている職務を行いえない事件の確認
 あとは、共同して利用する個人情報の管理について責任を有する者の氏名又は名称を記載することになります。
 もっとも、法律事務所の多数は、「法律関連業務(案件の遂行及び案件の遂行に伴う連絡)」等のように広い範囲で利用目的を規定しており、上記のような限定した書き方はしていないようです。

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個人情報取得の利用目的-プライバシーポリシー作成の理由

2022年10月16日 | 法律事務所(弁護士)の経営
(個人情報取得の利用目的)
プライバシーポリシーを作成する理由には様々なものがありますが、理由の一つとして、個人情報取得の利用目的を公表することがあります。
 個人情報保護法では「個人情報取扱事業者は、個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかに、その利用目的を、本人に通知し、又は公表しなければならない。」(個人情報保護法21条1項)と規定しています。
 この規定からすると、事業者は個人情報の利用目的をあらかじめ公表するか、取得した際に通知・公表するしなければならないことになります。

(「公表」とは)
 個人情報保護法ガイドライン(通則編)では、公表に該当する事例として次のようなものがあげられていますので、ここにあるような態様で公表する必要があります。
①自社のホームページのトップページから1回程度の操作で到達できる場所への掲載
②自社の店舗や事務所など、顧客が訪れることが想定される場所におけるポスター等の掲示、パンフレット等の備置き、配布
③通信販売の場合は通信販売用のパンフレット・カタログ等への掲載

(利用目的の特定)
 利用目的はできる限り特定しなければなりません(個人情報保護法17条1項)。
 利用目的の特定が必要なのは、個人情報がどのような事業に使われ、どのような目的で利用されるかについて認識を持ってもらうためです。できるだけ具体的に明確になれば、個人情報が取り扱われる範囲を確定できます。自らの個人情報がどのように取り扱われることになるか、利用目的から合理的に予測・想定できないような場合は、「できる限り特定」したことにはなりません(ガイドライン)。
 ガイドラインでは特定されているか否かについて次のような例示がされています。
【利用目的の特定がされていない事例】
・「事業活動に用いるため」
・「マーケティング活動に用いるため」
【利用目的の特定がされている事例】
・事業者が商品の販売に伴い、個人から氏名・住所・メールアドレス等を取得するに当たり、「○○事業における商品の発送、関連するアフターサービス、新商品、サービスに関する情報のお知らせのために利用いたします。」等の利用目的を明示している場合

(同意がない限り、利用目的を超えた取り扱いはできない)
 利用目的というのは、個人情報保護法では大切な言葉です。利用目的の範囲内か、範囲外かで扱いが違うからです。本人の同意がない限り、利用目的を超えて個人情報を取り扱いうことはできたません(個人情報保護法18条1項)。
 事業者は、①個人情報を利用目的内で取扱うか、②本人の同意を得て利用目的外で取扱うかを迫られているといえます。本人の同意がなくても取り扱いができる例外的な場合はありますが(個人情報保護法18条3項)、例外だけにハードルが高いのです。よって、利用目的をどのようにプライバシーポリシーで定めるのかということが重要になります。

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2022年・弁護士自らが犯罪の嫌疑をかけられた事件、逮捕、起訴などされた事件

2022年04月23日 | 法律事務所(弁護士)の経営
弁護士が被疑者・被告人となった報道、犯罪の嫌疑をかけられた事件についてのメモです(2022年)。気が付いたときに記載しているので、網羅的なものではありません(日付は報道のあった日)。

・2022年5月12日(NHK)
 2015年、遺産相続の手続きを依頼され、預かっていた現金のうちおよそ2300万円を着服。業務上横領の疑いで逮捕。

・2022年4月23日(tbc東北放送)
4月22日、自宅で70代の女性に対し牛乳瓶を投げつけ、右まぶたを切るけがをさせた傷害の疑いで弁護士を逮捕。

・2022年3月30日(テレビ熊本)
熊本県弁護士会所属の弁護士が8800万円を着服したという業務上横領罪の被疑事実で、同弁護士会が熊本地検に告発状を提出。

・2022年3月17 日(産経新聞)
無免許運転疑いの弁護士逮捕 兵庫

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2021年・弁護士自らが刑事事件の被疑者・被告人となったケース

2021年11月25日 | 法律事務所(弁護士)の経営
 弁護士が被疑者・被告人となった報道についてのメモです(2021年)。気が付いたときに記載しているので、網羅的なものではありません(日付は報道のあった日)。

・2021年11月30日
神奈川県弁護士会:11月30日、道交法違反(酒気帯び運転)の罪で罰金50万円の略式命令を受けた会員の弁護士を業務停止(6カ月)の懲戒処分(神奈川県新聞)。

・2021年11月10日 30代の弁護士(大阪弁護士会) 業務上横領で逮捕(153万円)
・(被疑事実)過払い返還金請求を受任しており、消費者金融から自らの預かり口座に振り込まれた153万円を横領した。
 
2021年9月17日 40代の弁護士(大阪弁護士会) 業務上横領で逮捕(830万円)
・(被疑事実)未成年後見人を務めていたが、口座から無断で引き出し、また定額貯金を無断で解約して横領した。 

2021年7月27日 60代の弁護士(名古屋弁護士会) 商標法違反で逮捕 
・(被疑事実)依頼を受けて、偽の高級ブランド品のバックを弁護士事務所で保管した。

2021年4月10日 30代の弁護士(千葉県弁護士会) 強制性交致傷で送検
・(被疑事実)女性を自宅に連れ込み顔を殴ってわいせつ行為をしようとした。
・5月17日 別の強制性交致傷で追起訴。

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700万円の横領で業務停止 弁護士の懲戒-2021年10月号から

2021年10月28日 | 法律事務所(弁護士)の経営
(はじめに)
日弁連の会誌「自由と正義」には、懲戒処分の公告が掲載されます。
弁護士の懲戒処分には、戒告、業務停止、退会命令、除名の4つがあります(弁護士法57条1項)。
2021年10月号掲載分の懲戒処分の公告では、業務停止処分が2件、戒告が6件ありましたが、この中から、気になったものを紹介します。

(業務停止1年6月とされたケースー示談金の流用)
 業務停止期間は1か月~2年の間とされているので、1年6ヶ月というのは長期間の業務停止となります。
このケースでは、4つの事実が認定されています。①委任契約を作成せず、②依頼者に報告すべきことを報告しなかった、③弁護士報酬についての適切な説明をせず、かつ、委任契約を作成せず、④依頼者からの預かり金700万円の流用および弁護士会への虚偽説明です。このうち、業務停止の理由の最大の要因は④であると思われます。被害者への弁償がされている場合は、被害弁償をしたことが処分理由に記載してあることが多いのですが、本件では記載されていないところをみると、処分時点では被害弁償がなされていなかったのかもしれません。
 それにしても、依頼者からの横領事案は後をたちません。
 この700万円は、依頼者の交通事故の示談金であり、保険会社から弁護士の預かり金口座に振り込まれたようです。弁護士にとっては、預かり金口座から弁護士報酬を差し引いて支払うという点がメリットとされ、預り金口座への振り込みが当然視されていましたが、ここまで不祥事があると預り金口座への振り込みということ自体辞めた方がよいのかもしれません。
 弁護士の会計を監査する者がいないので、弁護士としても流用の誘惑を断ち切れないものが一定数いるのでしょう。また、被害にあってもすぐに発覚しないことも問題です。
 ①預り金口座の利用には、「特別の理由」が必要であり、②弁護士会からの監査を義務付けるくらいやらないと不祥事は減らないのではないかと思います。

(業務外の非行)
 10月号の8件の事案のうち、業務外の非行が1件ありました。
 事案としては、配偶者との離婚をめぐるやり取りで、配偶者の両親の一人に対し、「その肩付近を手で押し、その足をつかんで引きずる暴行を加え」、もう一人に対し、「その肩付近を手で押し、襟口付近と袖口付近をつかんで押す暴行を加えた」というものです。

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弁護士の懲戒事例-2021年9月号から

2021年09月27日 | 法律事務所(弁護士)の経営
(はじめに)
日弁連の会誌「自由と正義」には、懲戒処分の公告が掲載されます。
弁護士の懲戒処分には、戒告、業務停止、退会命令、除名の4つがあります(弁護士法57条1項)。
2021年9月号掲載分の懲戒処分の公告では、業務停止処分が3件、戒告が3件ありましたが、この中から、気になったものを紹介します。

(業務停止5ヶ月とされたケース)
 業務停止5ヶ月とされたのは、弁護士会費の滞納の事案です。 17ヶ月滞納し、合計は57万円弱でした。 以前18ヶ月の会費滞納で、退会命令とされたものがありました(2021年6月17日の本ブログ記事)。これは、業務停止よりも重い処分です。
 17ヶ月の滞納で業務停止5ヶ月とし、18ヶ月の滞納で退会命令というのは処分としてはバランスが取れていないと思います。会費滞納についての懲戒処分の重さは、まだまだ固まっていないのかもしれません。

(ブログや Twitter で他者を攻撃)
 弁護士がインターネット上で情報を発信することに伴い、 SNS で他者を攻撃することが懲戒に問われるケースが増えてきています。 2021年9月号でも 、Twitter で侮辱的な人身攻撃をしたこと、担当している案件の相手方の社会的信用を低下させる記事をブログに掲載した行為が懲戒とされています。
  ブログや Twitter で他者を攻撃した回数が1回であれば、戒告処分にとどまるようです。

(担当している案件の裁判官と調査官を弁護士が口撃)
 担当している案件の相手方弁護士、裁判官及び家裁調査官を侮辱したとして懲戒に問われたケースもあります。
・主張書面で相手方弁護士を侮辱。
・裁判官に対して根拠もないのに「熱意がないことで有名」と書面で記載し、裁判官の名誉を侵害した。
・家庭裁判所調査官に対し、「レベルの低い調査官」と書面で記載した。

(所感)
 言わなくてもいい攻撃を相手に加える懲戒処分が最近見られます。その弁護士に心理的な余裕がないということのあらわれなのでしょう。弁護士の暴言は、昔から多かれ少なかれあったのかもしれませんが、このような行為が懲戒にかけられるようになったのは、他者に対するハラスメントに厳しくなった世相を反映しているといえます。


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経営コンサルと非弁提携をして除名 弁護士の懲戒事例2021年8月号から

2021年09月24日 | 法律事務所(弁護士)の経営
(はじめに)
日弁連の会誌「自由と正義」には、懲戒処分の公告が掲載されます。
弁護士の懲戒処分には、戒告、業務停止、退会命令、除名の4つがあります(弁護士法57条1項)。
2021年8月号掲載分の懲戒処分の公告の中から、気になったものを紹介します。

(除名となったケース)
 8月号では、弁護士の懲戒処分の中で最も重い除名となったケースがありました。
 経営コンサルタント会社と協力して、弁護士資格のない事務員らに債務整理業務を行わせたことが理由とされています。
 これは、いわゆる非弁提携という類型にあたるものです。
 弁護士は、非弁護士から事件の周旋を受けたり、自分の名義を利用させてはならないと弁護士法で規定されています。
 弁護士という資格のない者が、法律事務を取り扱ってはならないことを規定しているのです。
 非弁と提携して、弁護士業務を行わせることは、弁護士資格という制度自体の自殺行為のようなものです。
 非弁提携は、刑事の罰則もありますので、懲戒処分でも一番重くとなるのもうなづけます。

(長期の業務停止となったケース)
 弁護士が成年後見人や保佐人として、他人の財産を管理していたのに、そこから合計4100万円を業務上横領したという事案です。
 横領した金額は全額返済されていることが考慮されて、業務停止1年10ヶ月の処分となっています。
 業務停止期間は、2年が上限ですので、この上限に近い処分です。
 
(弁護士の質の低下は昭和初期にも)
このほか8月号では、多数の懲戒の公告が掲載されておりました。
 現代の弁護士の質の低下は、度し難いものがあります。
 このような弁護士の質の低下は現代だけの現象ではありません。
 大正の終わりから昭和の初期にかけての経済不況に伴い、弁護士の経済的基盤にも大きな影響がでました。
 このときにも非弁の問題や弁護士の質の低下が問題とされていました(大野正男「職業史としての弁護士および弁護士会の歴史」)。
 この問題はいかに解決されたかを論じたものはみたことがありません。
 弁護士の職務範囲が訴訟を中心とした裁判業務に限られており、経済的不況と戦時統制経済の影響により一層弁護士の窮乏化をもたらした。弁護士会は、個々の弁護士の窮乏化に対して無力であり、弁護士団体として有効な方法をとることができなかった(大野前掲論文)という総括にとどまっています。
 戦後の弁護士法の改正により、弁護士が自治を勝ち取った指摘されているのですが、弁護士の経済的基盤がどのように回復されたのかについては検討されていません。現在の問題を解決するためにも、歴史に学ぶ必要があるかなと思っています。

追記 弁護士の困窮が非行に繋がった昭和初期については、2017年の過去記事でも書いていますので、ご興味のある方はご参照ください。

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