南斗屋のブログ

基本、月曜と木曜に更新します

陳述書

2017年08月29日 | 交通事故民事
民事の裁判では「陳述書」というものを証拠として提出することがあります。この陳述書というのはどういうものかというと、供述を書面にしたものです。交通事故の裁判ですと、こんな感じの書き出しになります。

  陳述書
千葉地方裁判所御中
 私は平成29年×月×日午前5時30分に千葉市中央区中央4-8-7先路上で交通事故にあったものです。この事故で大変ひどい目にあいましたので、以下この事故で私が体験したことを陳述致します。
(以下、略)

これを書くのは、たいてい弁護士です。弁護士が書く文章ですから、不自然極まりない文章になったりします。
 上に例としてあげた陳述書の書き出しスタイルは多くの弁護士が採っているものですが、「私は」で始まり、一人称で自らの体験を滔々と語るというものですが、それ自体が普通ありえません。
 事故の日付までならともかく時刻まで正確に話したり(「平成29年×月×日午前5時30分に」・・・)、事故の住所まで記憶していたり(「千葉市中央区中央4-8-7先路上」)と尋常ではない細かさで一人称で話している体裁になっています。

私にはどうもこのスタイルが馴染めないため、弁護士と当事者との会話というスタイルにしています。

(弁護士)○○さんは平成29年×月×日に交通事故にあっていますね。
→ はい。
(弁護士)今から、そのことについてお伺いします。事故証明書によると、事故は千葉市中央区中央4-8-7先路上で起こったということになっていますが間違いないですか。
→間違いありません。
(以下、略)

このようなスタイルも不自然といえば不自然ですが、わかりやすさ、読みやすさという点からすれば「私は・・・」で始まる一人称スタイルよりもはるかに良いのではないかと思っています。



  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

昭和初期にもあった弁護士の困窮と非行

2017年08月22日 | 歴史を振り返る
ある本を読んでいましたら、「弁護士の困窮」という題があり、現在のことかと思って読んでみたところ、大正の終わりから昭和の初期のころのことで、昔にも同じことがあったのだ。歴史は繰り返すものだと思いました(内田博文「刑法と戦争」)。

当時の弁護士の困窮の原因は、経済的不況と弁護士数の急増にあるといいます。今と同じではありませんか!

経済的不況というのは、大正の終わりから昭和の初期にかけて日本を襲った経済的不況です。この恐慌は「戦後恐慌」(第一次大戦後の不況)、「震災恐慌」(関東大震災後の不況)、「金融恐慌」「昭和恐慌」です。

このような恐慌の中で、大正12年に、弁護士の試験基準を甘く運用し、多くの者を合格させました。

内田教授は「このようにかなり人為的な原因による弁護士数の急増;すなわち、弁護士資格の実質的引下げによる増員と経済的不況の時期が合致したため、弁護士の生活は非常に低下することになった」と書いています。

当時、日本弁護士協会が、全国の弁護士に生活調査のアンケートを送って実態を調査したところ、なんと、6割の弁護士が弁護士業による収入によっては生活を賄えなくなっているという驚きの結果となりました。

このような経済的基盤の破綻が何をもたらしたか。

同書では「弁護士の非行が増加し、社会の非難を浴びるような事件が起こった」と記されています。

現在とのあまりの類似性というか、ほとんど変わらないことが起きていたとは全く知りませんでした。歴史をふり返りつつ、対策を立てないとまだまだ弁護士の非行は起こっていくことでしょう。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ダメ弁護士の見抜き方

2017年08月06日 | 法律事務所(弁護士)の経営
弁護士は大半が個人営業で、また今の若い弁護士は会社勤めの経験がなかったりするので、チームプレイに慣れていません。ということは、個人の力量がもろに事件処理にでることになります。法律のことはある程度わかっていても、事務処理が遅いと仕事が回せません。事務処理が遅いと、依頼者に報告することもできないので、依頼者と連絡を取ることが億劫になります。こうして連絡が取れない弁護士ができあがります。

事務処理が遅いかどうかというのは、1,2回会ったくらいではわからないのですね(分かるようなら、それはかなりのダメ弁護士ですが)。上辺だけ取り繕い、耳あたりのよいことをいえる弁護士は山ほどいるので、ちょっと会ったくらいでは見分けられないことがほとんどです。

ダメ弁護士はメールを送ってもリアクションが遅いことがほとんどです。というよりも、メールを読んでないと言ったほうが正確でしょうか。私はメールがきた場合は、24時間以内にリアクションするようにしてます(土日は除く)。メールに返答ができないのは、案件にアップアップしている弁護士の可能性が高いですね。

連絡が取りにくい。問い合わせをしてもそのリアクションが全然回答になっていないというのはダメ弁護士の可能性が高いですから、そう思ったらすぐに行動を起こした方がよいです。そうでないと、ちっとも実質的な弁護はしてくれないのに、案件だけが進んでいってしまいます。
形式的な弁護(例えば期日に弁護士が出頭)だけでも、弁護士は費用請求可能ですから、弁護費用は請求されるけれども、実質的な成果がないという状態は十分ありうるのです。

ダメ弁護士は自らの行いを反省しません。というよりも、反省する能力がないといったほうがよいかもしれません。例えば、依頼者から連絡が取れにくいとクレームをいってみてください。これまでの態度を変えてくれる弁護士ならまだ見込みはありそうです。しかし、それもできないならダメ弁護士の烙印を押さざるをえないでしょう。自分の態度を反省できないし、柔軟な対応ができない。そんな弁護士は確実にいます。

ダメ弁護士はアウトプットの効率が悪いのです。書面作成が遅いから、書面を依頼者に交付するということがほとんどありません。弁護士が作成し、裁判所に提出した書類はコピーを要求してみましょう。提出書類を見せてもらうのは依頼者の権利です。申立書や準備書面であれば枚数はそう多いわけではありません。そのようなものさえ交付してもらえないのはちょっとおかしいです。



  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする