南斗屋のブログ

基本、月曜と木曜に更新します

歯牙欠損とインプラント治療

2012年05月29日 | 未分類
交通事故で歯牙欠損となった場合には、インプラント治療費が認められるかどうかが争いとなることがあります。

先般、自保ジャーナルに掲載されていた判決ではインプラント治療費を認めていましたので、その判決をご紹介します(仙台地裁平成24年2月28日判決自保ジャーナル1870号)。

1 インプラント治療費(100万円強)は認められるか
 裁判所の判断→認められる
 加害者側は「義歯で足りる」「ブリッジで足りる」と主張していましたが、裁判所は、義歯は異物感等が強く、咀嚼力に劣るという欠点がある。ブリッジは欠損歯の両側の歯を大きく削る必要があるという欠点があるから、被害者の歯牙欠損の被害回復としては不十分であり、インプラント治療が相当であると判断しました。

2 矯正治療は認められるか
 裁判所の判断→認められる(100万円弱)
 インプラント治療をする前提として、矯正治療が必要であるからという理由です。

3 将来のインプラント更新費
 裁判所の判断→認められる(認容した額 60万円強)
 インプラント本体の耐用年数は20年は持つと考えられるから、更新費用が認められる

4 将来のインプラントメンテナンス費用
 裁判所の判断→認められる(認容した額 40万円強)
 インプラントを持たせるには定期的なメンテナンスが必要であるから。


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高額対人賠償判決例の最高額更新

2012年05月28日 | 未分類
自保ジャーナルという、交通事故の裁判例雑誌では、高額対人賠償判決例を公表しています。

これまで最高は3億9725万円だったのですが、自保ジャーナル1870号で5億2853万円というケースがでました(横浜地裁平成23年11月1日判決)。

他のケースはほとんどが後遺障害のケースなのですが、このケースでは、死亡事故でした。

死亡事故で損害賠償額が高いのは、逸失利益が高額となるケースです。
お亡くなりになった当時の年収が高ければ、逸失利益が高くなります。
つまり、収入が高い方はそれが反映されて、逸失利益も高額になるというのが、判決のルールです。

このケースでは、被害者は、開業医で、基礎収入は5548万円と認定されています。

これにより、逸失利益のみで4億7800万円余りとなり、損害合計額が5億2853万円となったわけです。

もっとも、高額対人賠償判決例では、過失相殺前の数字で把握されるために、過失相殺が大きい場合はその分だけ引かれることとなります。
(本ケースでは被害者に40%の過失が認定されています)。


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全国交通事故遺族の会が今年で閉会

2012年05月21日 | 書式
全国交通事故遺族の会が閉会へ…新規入会減で

1991年設立の会
活動期間は20年に及んだが、残念ながら閉会となる

記事には、「交通事故死者の減少に伴い、新規入会者や相談が激減したため」とある。

交通事故死者が減少しているのは事実
ただ、死亡事故は厳然として存在し、問題が解決しているわけではない。


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無保険車傷害保険の最高裁新判例

2012年05月04日 | 未分類
無保険車傷害保険について最高裁の新判例がでました

平成24年4月27日判決

1 損害の元本に対する遅延損害金を支払う旨の定めがない自動車保険契約の無保険車傷害条項に基づき支払われるべき保険金の額は,損害の元本の額から,自動車損害賠償責任保険等からの支払額の全額を差し引くことにより算定すべきである
2 自動車保険契約の無保険車傷害条項に基づく保険金の支払債務に係る遅延損害金の利率は,商事法定利率である年6分と解すべきである



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後見監督人について

2012年05月03日 | 成年後見
前回、成年後見監督人について書きました→過去記事

成年後見監督人が弁護士であっても、交通事故に強いわけではないので、交通事故事件では常識に属することであっても、いちいち書面にせよというリクエストがあることがあります。

先日も、とある成年後見監督人(弁護士)から、「被害者(遷延性意識障害)は現在入院中なわけですが、今後在宅介護を必要とする理由について書面で説明してほしい」というリクエストがありました。
遷延性意識障害の被害者をもつご家族の方には、「あ~、この弁護士さんは遷延性意識障害のことをちっとも理解していなのだなあ」とわかっていただけると思いますが、質問を発した当の弁護士は、自分が質問したことがいかに的外れで実情を理解していないかということ自体を理解していません。
 
 こういう弁護士を説得するのは実に大変です。
 
 この弁護士は、「遷延性意識障害なのだから、病院とか施設のほうがよい」という発想が前提となっているのでしょう。

 しかし、遷延性意識障害を受け入れてくれる施設は相当に限られており、療護センターでも在宅介護を前提とした指導をご家族に行なっているところです。

 ご家族からすれば、「そんなこと当たり前じゃないか」ということ自体がわかってもらえない。
 これは相当に苦しいことです。
 
 なぜこんな苦しみを味合わなければならないのかと思われることでしょう。
 
 しかし、なんとかこのところを飛び越えなければなりません。
 社会の理解と被害者、被害者家族が置かれているところにギャップがあるので、そのギャップを埋めていく作業が必要です。

 ご自分では手に余るとお考えの場合は、被害者側家族の味方としての弁護士がそのギャップを埋めていきます。


 

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