交通事故でPTSDの後遺障害が残ったと認めたケースがありましたので紹介します。
京都地裁平成24年4月18日判決(自保ジャーナル1878号16頁)
(判決の骨子)
① PTSDによる後遺障害を認め,等級は12級を認めた。
② 労働能力喪失率,喪失期間は,いずれも赤い本における基準どおり認めた。
③ PTSDの特性等から10%の素因減額をした。
1 PTSDを正面から認めています。
東京地裁ではPTSD認定を嫌う傾向にあるように思い,関西方面の地裁ではPTSDを正面から認める判決が出ています(神戸地裁平成17年1月18日判決交民集38巻1号90頁,京都地裁平成23年4月15日判決自保ジャーナル1854号)。
この判決もその流れにあるものです。
2 PTSD認定されても喪失期間を基準どおりにしない裁判例もあるのですが,この判決では基準どおり67歳まで認定。
その理由としては,
「PTSDは,一般には予後が良好で,将来症状が大幅に改善する可能性があるとされるが,原告の場合,発症から症状固定までに3年半以上経過しており,大幅改善の蓋然性が高いとはいえない」
と判示しています。
3 素因減額をするのはPTSDでは通常の手法です。
判決では、
「PTSDは心的外傷というストレス因子と個体の脆弱性の内因が相まって発症するが,6~7割は2~3ヶ月以内に自然治癒し,慢性化する者の割合は少ない。あるいは3年以内に消失するなどとされていることが認められる。これによると原告のPTSDが慢性化したことについては,原告
の内因が参与したものと考えざるをえず,慢性化する者が少数であることからすると,公平の観点から素因減額するのを相当と判断する」
と理由を述べています。
京都地裁平成24年4月18日判決(自保ジャーナル1878号16頁)
(判決の骨子)
① PTSDによる後遺障害を認め,等級は12級を認めた。
② 労働能力喪失率,喪失期間は,いずれも赤い本における基準どおり認めた。
③ PTSDの特性等から10%の素因減額をした。
1 PTSDを正面から認めています。
東京地裁ではPTSD認定を嫌う傾向にあるように思い,関西方面の地裁ではPTSDを正面から認める判決が出ています(神戸地裁平成17年1月18日判決交民集38巻1号90頁,京都地裁平成23年4月15日判決自保ジャーナル1854号)。
この判決もその流れにあるものです。
2 PTSD認定されても喪失期間を基準どおりにしない裁判例もあるのですが,この判決では基準どおり67歳まで認定。
その理由としては,
「PTSDは,一般には予後が良好で,将来症状が大幅に改善する可能性があるとされるが,原告の場合,発症から症状固定までに3年半以上経過しており,大幅改善の蓋然性が高いとはいえない」
と判示しています。
3 素因減額をするのはPTSDでは通常の手法です。
判決では、
「PTSDは心的外傷というストレス因子と個体の脆弱性の内因が相まって発症するが,6~7割は2~3ヶ月以内に自然治癒し,慢性化する者の割合は少ない。あるいは3年以内に消失するなどとされていることが認められる。これによると原告のPTSDが慢性化したことについては,原告
の内因が参与したものと考えざるをえず,慢性化する者が少数であることからすると,公平の観点から素因減額するのを相当と判断する」
と理由を述べています。