南斗屋のブログ

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非器質性精神障害9級を認めた裁判例

2010年08月30日 | 未分類
 自保ジャーナルで、非器質性精神障害9級を認めた裁判例をみかけましたので、紹介します。(横浜地裁平成22年5月27日判決 自保ジャーナル1828号)

1 このケースの主な争点は、低髄液圧症候群が認められるかでしたが、裁判所は、交通事故で低髄液圧症候群となったのではないと判断しています。

2 一方、被害者の後遺障害として
脳の器質的損傷を伴わない精神障害(非器質性精神障害)があることは認めました。
その等級は9級としています。(労働能力喪失率35%)
非器質性精神障害は、9級、12級、14級の3つの等級があり、9級は最も重いものです。
 労働能力喪失期間は、「原告の精神障害が器質性のものとは認められないことからすれば、今後の改善の可能性もあると考えられるから」という理由で10年に制限されています。

3 非器質性精神障害の場合
 ”素因減額”
といって、過失がなくても、過失相殺のように、一定額が減額されることがあるのですが、このケースでも素因減額の適用がされ、40%が減額されました。(つまり、被害者が請求できるのは60%ということ)。

素因減額をする理由としては
①事故直後の被害者の症状は軽度
②9級に相当するような後遺障害は、本件事故だけで通常発生する程度、範囲を超えている
③事故前から原告にはうつ病の精神状態があった
というものです

4 低髄液圧症候群が認定されることは、現在の裁判例の状況からは、かなり厳しいものがありますが、このケースのように非器質性精神障害という認定をえられる場合も、一定程度あるのではないかと思います。


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