高次脳機能障害で後遺障害等級5級を認定しながら、労働能力喪失率は50%とした裁判例を見かけました(長野地裁松本支部平成18年2月27日判決自動車保険ジャーナル1657号16ページ)。
後遺障害等級と労働能力喪失率の関係は、なかなか難しいものがありますが、自賠責保険では、
1級~3級 労働能力喪失率100%
5級 79%
と定められており、民事訴訟になれば、裁判官がこの基準をも参考にしながら判断するという仕組みになっています。
上記の長野地裁松本支部のケースは、高校卒業後、大学受験に失敗し、予備校生であったときに事故にあって受傷。
その後、事故の関係でもう1年予備校生をして、大学に合格しましたが、大学に入って4ヶ月後に大学への通学ができなくなり、1年間で大学を中退したというものです。
後遺障害等級としては高次脳機能障害の5級が認定されています。
後遺障害等級が5級と言うことになれば、自賠責保険では労働能力喪失率は79%となりますが、この判決は、それよりも低い50%という労働能力喪失率を認めています。
被害者は大学を中退した後、アルバイトで結婚式や宴会の準備、配膳・サービス片づけ等の仕事はこなせていたようであり、日常生活上の記憶障害や社会的行動障害は軽度であることから、低い労働能力喪失率を認定したようです。
しかし、判決を見る限り、被害者は対人接触の少ない単純労働的な仕事しかできておらず、一般人の50%も仕事ができるかどうかは疑問に感じました。
今後高次脳機能障害者の支援体制が整備され、働くことができるようになると、加害者サイドからは「現実に働けているのであるから、自賠責保険よりも低い労働能力喪失を認めるべきである」との主張がますます増える可能性がありますが、本件はそのような中でひとつの判断をしたものということができるでしょう。
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後遺障害等級と労働能力喪失率の関係は、なかなか難しいものがありますが、自賠責保険では、
1級~3級 労働能力喪失率100%
5級 79%
と定められており、民事訴訟になれば、裁判官がこの基準をも参考にしながら判断するという仕組みになっています。
上記の長野地裁松本支部のケースは、高校卒業後、大学受験に失敗し、予備校生であったときに事故にあって受傷。
その後、事故の関係でもう1年予備校生をして、大学に合格しましたが、大学に入って4ヶ月後に大学への通学ができなくなり、1年間で大学を中退したというものです。
後遺障害等級としては高次脳機能障害の5級が認定されています。
後遺障害等級が5級と言うことになれば、自賠責保険では労働能力喪失率は79%となりますが、この判決は、それよりも低い50%という労働能力喪失率を認めています。
被害者は大学を中退した後、アルバイトで結婚式や宴会の準備、配膳・サービス片づけ等の仕事はこなせていたようであり、日常生活上の記憶障害や社会的行動障害は軽度であることから、低い労働能力喪失率を認定したようです。
しかし、判決を見る限り、被害者は対人接触の少ない単純労働的な仕事しかできておらず、一般人の50%も仕事ができるかどうかは疑問に感じました。
今後高次脳機能障害者の支援体制が整備され、働くことができるようになると、加害者サイドからは「現実に働けているのであるから、自賠責保険よりも低い労働能力喪失を認めるべきである」との主張がますます増える可能性がありますが、本件はそのような中でひとつの判断をしたものということができるでしょう。
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