南斗屋のブログ

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2019年7月19日付け日弁連意見書

2019年08月17日 | 原子力損害

日弁連が、2019年7月19日付けで中間指針等の改定を求める意見書を提出しています。日弁連は会長声明という形で意見表明するときもありますが、今回は、意見書としての提出のようです。

本意見書の趣旨は次のとおりです。

1 原子力損害賠償紛争審査会は、中間指針及び追補を見直し、賠償額の上乗せを図ること。

2 原子力損害賠償紛争審査会は、前項の中間指針等の見直しの前提として、これまでの原子力損害賠償紛争解決センターにおいて提示された和解案や集団訴訟の裁判例の分析、自主的避難等対象区域を含めた現地視察、専門家調査などの方法により、現在までの原子力損害の実態について、調査及び評価を行い、公表すること。

3 原子力損害賠償紛争解決センター総括委員会は、東京電力ホールディングス株式会社が同センターから提示された和解案を拒否し、和解仲介手続が打ち切られた事例については、和解案及び和解案提示理由書にとどまらず、事案の概要、和解仲介手続の経緯及び同社が主張する和解案受諾拒否理由等について公表することを可能とすること。



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和解事例1518から1522

2019年08月17日 | 原子力損害
2019年7月5日、原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)から和解事例が公表されました(和解事例1513から和解事例1530まで)。今回は、1518から1522までの5和解事例を紹介いたします。
 1518が旧避難指示解除準備区域の慰謝料の増額・延長に関するもの、1519が帰還困難区域の方の就労不能損害、生命・身体損害に関するもの、1520は大学生に関するもの、1521は自主的避難等対象区域の避難費用及び避難雑費の増額に関するもの、1522は自主的避難等対象区域(川俣町)の会社の営業損害(農業収入)に関するものです。

和解事例(1518)
旧避難指示解除準備区域(楢葉町)に居住していた申立人父母及び子ども3名のうち、子どもの就学上の理由のため週末を除き自主的避難等対象区域(いわき市)の仮住居で生活していた母及び子ども3名の日常生活阻害慰謝料について、母及び子ども3名の自宅での生活状況等の事情を考慮し、それぞれ月額1万3000円が、母及び長女につき平成27年9月分まで、二女及び三女についてはそれぞれの進学による転居時期までの期間につき賠償されたほか、申立人父母の日常生活阻害慰謝料(増額分)について、父は右半身まひの後遺症(要介護度1)を抱えながら避難生活を送ったこと、母も父の介護をしながらの避難生活を余儀なくされたこと等を考慮し、父につき平成30年3月分まで月額1万円、母につき一時金50万円が賠償された事例。

和解事例(1519)
帰還困難区域(大熊町)から避難した申立人の就労不能損害、通院交通費及び通院慰謝料について、原発事故後にPTSDにり患したこと等の事情を考慮し、平成29年12月分までの期間につき、原発事故の影響割合を7割として賠償されたほか、同月分までの避難費用等が賠償された事例

和解事例(1520)
帰還困難区域(浪江町)に所在する実家に住民票上の住所を有し、原発事故当日も同実家において生活していたが、年間を通じてみると他県に所在する大学への通学のために、同大学の近傍においても生活をしていた申立人の日常生活阻害慰謝料について、平成23年3月分及び同年4月分は月額10万円が、平成23年5月分から平成26年3月分までは月額2万5000円の割合による金額が賠償された事例

和解事例(1521)
自主的避難等対象区域(福島市)から平成23年3月に避難した申立人ら(成人2名及び子ども2名)について、避難以前は、自家栽培の野菜や養鶏による鶏卵を食べて生活していたところ、避難先では養鶏が行えなくなったこと、野菜についても平成24年3月以降は避難先での栽培を再開したものの収穫量は避難以前よりも減少したこと等の事情を考慮し、平成25年3月分までの生活費増加費用(自家消費野菜・米・鶏卵)が賠償されたほか、平成27年3月分までの避難費用及び避難雑費が賠償された事例。

和解事例(1522)
自主的避難等対象区域(川俣町)において、米の集荷、検査及び販売事業等を行う申立会社について、上記事業以外の事業を合わせた申立会社全体の売上高及び売上総利益は原発事故前よりも増収増益となっているものの、原発事故の影響によって原発事故前よりも申立会社が米を集荷する地域の水稲の作付面積及び収穫量が減少し、これによって、申立会社の上記の米に係る事業については、減収が継続しているとして、原発事故の影響割合を3割として、上記米に係る事業の平成29年3月分から平成30年2月分までの営業損害(逸失利益)が賠償された事例


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和解事例、1541から1544

2019年08月13日 | 原子力損害

2019年8月2日、原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)から和解事例が公表されました(和解事例1531から和解事例1544まで)。今回は、1541から1544までの和解事例を紹介いたします。
 1541は帰還困難区域(大熊町)での墓の移転費用に関するもの、1542は生命身体的損害(通院慰謝料及び通院交通費)と生活費用増加に関するもの、154、1544は居住制限区域(浪江町)の日常生活阻害慰謝料の増額等に関するものです。

和解事例(1541)
帰還困難区域(大熊町)に居住し、同町内に墓を有していた申立人らの墓の移転費用について、墓建立当時の金額を参考に算定した原発事故当時の墓の価値相当額及び移転に係る祭祀に関する費用相当額が賠償された事例(ただし、既払い金151万円は除く。)。

和解事例(1542)
居住制限区域(浪江町)から避難した申立人らについて、原発事故直後の生活費増加分等のほか、原発事故後に発症したじんましんと原発事故との間の因果関係を認め、平成28年12月分から平成30年4月分までの生命身体的損害(通院慰謝料及び通院交通費)が賠償された事例。

和解事例(1543)
居住制限区域(浪江町)から避難をした申立人ら(祖父、父、母、長男、長女及び二男)のうち、長女及び二男の日常生活阻害慰謝料(増額分)につき、父母及び長男との家族の別離を余儀なくされたことを考慮し、平成23年4月分から平成25年2月分までの期間につき月額3万円が賠償されたほか、平成25年4月に避難先が手狭となり新たな避難先に転居した際に負担した仲介手数料及び損害保険料並びに平成25年4月分から平成28年5月分まで月額15万円の家賃が賠償された事例。

和解事例(1544)
居住制限区域(浪江町)から避難した申立人の日常生活阻害慰謝料(増額分)について、妻及び子どもとの別離を余儀なくされた点を考慮して、平成23年3月分から同年8月分までの期間につき月額3万円が賠償された事例。


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和解事例1536から和解事例1540

2019年08月12日 | 原子力損害
2019年8月2日、原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)から和解事例が公表されました(和解事例1531から和解事例1544まで)。今回は、1536から1540までの和解事例を紹介いたします。
 1536は避難指示解除準備区域(浪江町)での生命身体的損害や日常生活阻害慰謝料に関するもの、1537は、避難指示解除準備区域(富岡町)所在の会社の営業損害(逸失利益)に関するもの、1538は居住制限区域(浪江町)の居住者(住民票が同所ではない)の住居確保損害に関するもの、1539は自主的避難等対象区域(福島市)所在の会社の営業損害(逸失利益)に関するもの、1540は旧緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)内において運営する店舗の営業損害(逸失利益)に関するものです。

和解事例(1536)
避難指示解除準備区域(浪江町)において関節リウマチの持病を抱えつつ生活していたが、原発事故による避難生活によって新たに肺疾患等を患い、健康状態が悪化して平成26年7月に亡くなった亡父を相続した申立人ら(母及び子)について、1.亡父の死亡慰謝料及び逸失利益につき、亡父の避難後の病状の変化等を考慮し、原発事故の影響割合を2割として賠償され、2.亡父の平成23年3月分から平成26年7月分までの日常生活阻害慰謝料(増額分)につき、症状の悪化の程度に応じて、月額4万円、6万円又は10万円が賠償されたほか、3.亡父の生命身体的損害(治療費、入通院慰謝料)等が賠償された事例。

和解事例(1537)
避難指示解除準備区域(富岡町)において木材の加工販売等を行う申立会社の営業損害(逸失利益)について、申立会社の事務所等の所在地が土地区画整理事業の対象となったことにより休業を余儀なくされたなどの事情がある期間を除いた平成17年度、18年度、19年度及び22年度(年度は当年4月から翌年3月まで)の平均値を基準期間の売上げとして算定した事例。

和解事例(1538)
 居住制限区域(浪江町)に居住していた申立人らにつき、住民票上の住所は異なっていたものの、近隣住民の陳述書や公共料金の契約状況等から同所に居住していたものと認め、住居確保損害が賠償された事例。

和解事例(1539)
 自主的避難等対象区域(福島市)において青果物の卸売業を営む申立会社の営業損害(逸失利益)について、申立会社の平成25年4月以降の売上高は原発事故前の売上高を上回っているものの、申立会社は平成25年4月に県外に新たに事業所を設置したことによって売上高が増加したこと、平成25年4月から平成26年3月までの事業年度は営業損失を計上していること等を考慮し、平成25年4月分から平成26年3月分まで、上記新たな事業所の売上げに係る分を控除した上、原発事故の影響割合を2割として、賠償された事例

和解事例(1540)
福島県内を中心に贈答品の小売店を運営する申立会社が旧緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)内において運営する店舗の営業損害(逸失利益)について、原発事故後の商圏内の住民の避難による人口減少の状況等の事情を考慮し、平成28年9月分から平成29年8月分まで賠償された事例(原発事故の影響割合を当初は6割、後には5割とする。)。



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2019年3月11日付、日弁連の会長声明

2019年08月06日 | 原子力損害
昨年原子力損害賠償紛争解決センター(ADR)で集団申立て事案について、和解案が打ち切りとなったことを受けて、2019年3月11日に、日弁連の会長声明が出ています。

「原発事故被害者の集団申立案件にかかる東京電力による原子力損害賠償紛争解決センターの和解案拒否に関する会長声明」

内容を要約すると以下のとおりです。
1 近時、東京電力が受諾を拒否したため、和解仲介手続が打切りとなる事例が相次いでいる。昨年のセンターの和解成立は67.8%まで低下している。

2 東京電力は、中間指針等を理由に和解案の拒否をしているが、それらを理由に拒否することは中間指針等の趣旨に反する不合理なものである。
東京電力の対応は、「和解案の尊重」という自らの誓いに違背するもので、機構による資金援助の前提を覆すものである。

3 日弁連は、かかる東京電力の対応に抗議し、自らが誓約した「和解案の尊重」の本旨に立ち戻り、不合理な和解案拒否を行わないよう求める。

4 さらに、国に対して、東京電力による和解案拒否を再発させないため、東京電力に適切な指導をするよう求めるとともに、センターの和解仲介案に、その内容が著しく不合理なものでない限り東京電力の応諾を義務付ける片面的裁定機能を付する立法を行うことを改めて求める。


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原発ADR1531から1535までの和解事例

2019年08月06日 | 原子力損害

2019年8月2日、原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)から和解事例が公表されました(和解事例1531から和解事例1544まで)。今回は、1531から1535までの和解事例を紹介いたします。

 1531は避難指示解除準備区域(南相馬市小高区)の慰謝料に関するもの、1532は旧緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)の慰謝料に関するもの、1533は避難指示解除準備区域(浪江町)の慰謝料に関するもの、1534は自主的避難等対象区域(須賀川市)の慰謝料に関するもの、1535は避難難指示解除準備区域(南相馬市小高区)の慰謝料及び就労不能損害に関するものです。

和解事例(1531)
避難指示解除準備区域(南相馬市小高区)の同一敷地に所在する2棟の建物に居住していた申立人ら(夫婦及びその子3名並びに夫の両親及び妻の母)について、申立人夫の母が左半身軽度麻痺の状態にあり、同人を申立人夫の父が介護したこと等を考慮して、申立人夫の父母の日常生活阻害慰謝料(増額分)として、それぞれ、平成23年3月分から新たに住居を購入した月の前月である平成27年9月分まで、月額6万円(申立人夫の父母とその他の申立人らとの別離が生じていた41か月間)又は月額3万円(その他の14か月間)が賠償されたほか、財物損害(家財)について、直接請求手続においては、1世帯であることを前提に算定した金額が支払われていたが、2世帯であることを前提に算定した金額が賠償された事例(申
立人夫の母の日常生活阻害慰謝料(増額分)及び財物損害については、いずれも既払い金を除く。)。

和解事例(1532)
旧緊急時避難準備区域(南相馬市原町区)に居住し、かつ、同所において勤務していた申立人の日常生活阻害慰謝料について、勤務先が原発事故後に他県に移転したことや申立人が勤務先を退職したこと等を考慮し、平成24年9月分から平成25年6月分まで賠償された事例。

和解事例(1533)
避難指示解除準備区域(浪江町)に居住し、平成23年4月に結婚式及び披露宴を開催する予定であった申立人夫婦について、原発事故により結婚式等を開催することができなくなったことに係る慰謝料が一時金として賠償された事例。

和解事例(1534)
自主的避難等対象区域(須賀川市)から避難した申立人ら(夫婦及び子ども2名)について、避難費用(引越費用)、生活費増加費用(家財購入費)等のほか、子ども1名につき月額2万円の避難雑費が平成27年3月分まで賠償された事例。

和解事例(1535)
避難難指示解除準備区域(南相馬市小高区)に居住していた申立人ら(父、母、子及び祖母)について、1.平成27年3月分以降の日常生活阻害慰謝料(増額分)として、申立人子は精神疾患(精神障害等級2級)を抱え、申立人祖母は要支援2の認定を受けていたなど、一定の援助を要する状態にあり、また、申立人父母は避難先で申立人子や申立人祖母の介護等に従事したこと等を考慮し、一戸建て住宅への転居時期である平成27年10月分まで、申立人らそれぞれについて月額3万円が賠償された(申立人子は平成27年11月分から平成30年3月分まで月額1万5000円の増額分がさらに賠償された。)ほか、2.平成27年3月分以降の就労不能損害として、申立人父につき平成29年2月分まで、申立人子につき平成
30年2月分まで、それぞれの事故前収入を基準として、原発事故の影響割合を平成28年2月分まで10割、平成29年2月分まで5割、(申立人子については)平成30年2月分まで3割として賠償された事例。




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