南斗屋のブログ

基本、月曜と木曜に更新します

てんかん発作(カルテより)

2008年09月30日 | 未分類
カルテを読んでいたら、
 epi attack なし
というような記載がありました。

epi attack
とそのまま検索エンジンにかけてもすぐには答えが出てきません。

 こういうときが頭の使い時です。

 まず、
 attack
の方がわかりやすい単語ですから、この単語を辞書で調べてみます。

 プログレッシブ英和中辞典によると
1 (…への)攻撃, 襲撃;非難((on, upon, against ...))
2 ((しばしばan ~))発病, (…の)発作((of ...))
3 (仕事などへの)取り組み, 着手, 開始;《楽》アタック(音楽の出のきっかけ).
4 (サッカーなどの)攻撃;攻撃陣.

というような訳語がでてきます。
 医学用語としては、「発作」が一番適しているようです。

 では、なんの発作なのでしょう・・・

 読んでいたカルテは、頭部外傷の関係でした。

 頭部外傷関係で、発作というと・・・
 ”てんかん”
ではないか!?

 てんかんを英語で調べてみると
 epilepsy
でした。
 
 これで
 epi
がepilepsy
を略したものであることがわかりました。

 カルテを訳しているとこんな風な思考過程を経て、訳語を探っていくことがよくあります。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

RSDを認めた判決

2008年09月27日 | 未分類
 RSDの有無が争点となり、RSDが認められた判決が自動車保険ジャーナルに載っていました。

・東京地裁平成20年5月21日判決(自保ジャーナル1747号8頁)
→9級を認定
・東京地裁平成20年3月18日判決(自保ジャーナル1747号14頁)

RSDに関心のある方には参考になると思います。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

生活費控除

2008年09月24日 | 交通事故民事
 交通事故のうち、死亡事件についてだけ表れる特殊なものがあります。そのうちの一つがこの「生活費控除」というものです。

 「生活費控除」という考えは、逸失利益の計算に関わってきます。

 後遺症が残る場合、逸失利益は
  逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×ライプニッツ係数
という式で計算されるのですが
死亡事故については、逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率(100%)×ライプニッツ係数×(1-生活費控除率)
というような計算になります。

 なぜこのようなことになるのかというと「後遺障害を負い、今後生活を続けていく場合は、生活費がかかっていくのだから、その部分を引く(控除)必要はないが、死亡の場合は生活費がその分かからなくなるのだから、その分は差し引きます」という考えを裁判所がとっているからです。

 このような考えがいいかどうかは、慎重な考慮が必要だと思いますが、裁判所の実務は上記のような考え方で厳然と動いています。

 生活費控除率については、赤い本にその基準が示されています。
(1)一家の支柱
�被扶養者1人の場合 40%
�被扶養者2人以上の場合 30%
(2)女性(主婦、独身、幼児等を含む) 30%
(3)男性(独身、幼児等を含む) 50%
但し、兄弟姉妹が相続人のときは別途考慮する

 具体例で考えてみます。

 前年の年収が600万円の50歳になったばかりの男性(家族は妻と子ども一人)が、交通事故に遭ったとします

1級(労働能力喪失率100%)の後遺障害を負った場合は
逸失利益=600万×100%×11.2741
    =6764万4600円
となりますが、
死亡した場合は
逸失利益=600万×100%×11.2741×(1-0.3)
    =4735万1220円
となり、死亡の場合の方が、2000万円以上逸失利益は低くなります。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

midline shift(正中偏位)

2008年09月21日 | 未分類
 交通事故で頭部を強く打ったというケースのカルテを読んでいますと、
 midline shift
という言葉がでてくることがあります。

 これは、
 脳に病変が生じることにより、正中線にずれが生じること
をいい、
 正中偏位
と訳されます。

 わかりやすい説明として、
  交通事故110番のHP
があります。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

弁護士会への懲戒と紛議調停

2008年09月19日 | このブログについて
前回、 
 契約書を作成せず弁護士に懲戒
という記事を書きましたので、引き続き、弁護士の懲戒などについて考えてみたいと思います。

弁護士との間で交通事故の損害賠償請求を依頼しているのに、トラブルになるということがあります。

 例えば、その弁護士が仕事を全くしないとか、時効で損害賠償請求権をなくしてしまったというような場合です。

 この場合、被害者としては、弁護士会に対しては、大きく分けると次の手段をとることができます。
1 弁護士会に懲戒の申立をする
2 弁護士会に紛議調停の申立をする

 懲戒の申立というのはトラブルを起こした弁護士の処分を求めるものです。
 処分の種類としては、軽い順から
 ア 戒告
 イ 業務停止
 ウ 退会命令
 エ 除名
があります。

 懲戒処分がなされたときは、弁護士会の会報に、氏名、事務所住所と共に、懲戒の処分をした理由が掲載されます(申立をした方は仮名で載ります)。
 記事「委任契約書を作成せず弁護士に懲戒」は、その公告をもとに書かれたものです

 この懲戒申立をしただけでは、弁護士との間での金銭の問題は解決しません。
 例えば、弁護士に対し、交通事故の紛争の処理として300万円を支払ったが、弁護士との契約を途中で解約したのに、弁護士が精算を全くしてくれなかったとします。
 懲戒申立をした場合、弁護士会は、その行為が弁護士法などに違反するのか否か調査して、違反していれば、懲戒の処分をするのですが、それ以上のことはしてくれません。

 そこで、金銭的な問題を解決してほしい、ということを進めるためには、弁護士会には、紛議調停(ふんぎちょうてい)という制度があります。

 これは文字通り、弁護士との間でトラブルになっていること(紛議)に対して、調停しますよということです。
 
 弁護士会で仲介をしてくれ、金銭的な問題を話し合う場を提供してくれます。

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

委任契約書を作成せず弁護士に懲戒

2008年09月16日 | 未分類
日本弁護士会連合会が発行している「自由と正義」という月刊誌には、弁護士の懲戒処分が公告されます。

 2008年8月号では、交通事故関係の事件で懲戒処分(戒告)を弁護士が受けていたケースがありました。

 処分の理由によると、弁護士は家族4人が交通事故の被害にあった事件を受任し、
1 着手金として200万円を受領しましたが、委任契約書の作成をしなかった
2 また、自賠責保険の被害者請求をし、5300万円余りの支払いを受けたのですが、依頼者の了解なく、530万を自賠責保険請求手続として受領した。
というものです。

 1については、委任契約書を弁護士が作成しなかったということが、問題となっています。
弁護士会の規定には、委任契約書を作成しなければならないことになっています(弁護士の報酬に関する規程)。
弁護士の1の行為は、この規程に違反するとされています。

 委任契約もしていないのですから、弁護士報酬も決まっていないのに、530万円の報酬をとったことも問題で、処分理由では「自賠責保険請求手続の報酬としてはきわめて高額であること。」とも指摘されています。

 自賠責保険請求手続の弁護士報酬は、自賠責の支払金額の2%程度が目安とされていますから、自賠責の支払金額が5300万円であれば、106万円程度が目安になるはずです。それを400万円以上も上回る弁護士報酬を受領したことが問題となっているわけです。

 委任契約書は、弁護士が作成しなければならないにもかかわらず、契約書が作成されていない例は、ときどき見受けられます。弁護士に依頼している方で委任契約書が作成されていないという方は、是非きちっとした委任契約書を作成するよう要請して下さい。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

警察白書

2008年09月11日 | 未分類
 平成20年度の警察白書が公表されました。

 報道では、捜査活動に市民の協力を得ることが難しくなっているということがクローズアップされていました。

 例えば、47newsでは
刑事警察の変革求める 08年版警察白書という見出しで、

 ”個人情報への意識が高まり捜査上必要な情報の提供を拒まれるケースが増え、聞き込み捜査を端緒とした刑法犯摘発件数は1993年に1万464件だったが、07年は4820件と大幅に減少した。”

としています。
 
 これは、おそらく交通事故事件にもいえることでしょう。
 つまり、交通事故があっても、その目撃者を得ることが難しいということになります。

 現に、街を車で走ったりしていますと、「何月何日の事故の目撃者を求む」といような看板がそこここに立てられております。

 交通事故の被害者も警察からすると「目撃者」の一人なのですが、被害者によっては、事故の記憶がないという人もいますし(例えば、頭部外傷の場合)、目撃者の有無はかなり重要です。

 捜査活動への協力が得られない原因までは、警察白書で分析しているかどうか、少なくとも報道ではわかりませんでしたが、是非究明してほしいものです。

 また、目撃者を得られないことも多いでしょうから、交通事故事件も科学的な根拠にたって事件処理をしてほしいというのが、被害者側からよく聞く話です。

 なお、警察白書は、警察庁のホームページから読むこともできます。 
 
 本文をネットから読む気はあまり起きませんが、統計を見るには便利です。
 交通関係は、第3章関連というところに載っています。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本脳低温療法研究会のウェブサイト

2008年09月08日 | 未分類
日本脳低温療法研究会のウェブサイトというのがあるんですね。

 頭部外傷を負われた方に対して、脳低温療法という治療法が行われることがあるのですが、同治療法について、有益な情報が提供されています。
 
 低体温療法は、カルテには、
  hypothermia
と書いてあります。
  mild hypothermia
と書いてある場合は、軽度低体温療法と訳すようです。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ホームページ更新情報(ブログ記事の索引)

2008年09月05日 | 未分類
 ホームページに、このブログで書いている記事への索引を作りました。

 既にこのブログも3年を迎えましたが、自分でも書いていて、何を書いてあったのか、まだ何を書いていないのかがわからなくなってきましたので、索引としての機能もはたせるかなと思い、作ってみました。
 
 内容は、まだ完成されたものではありませんが、暇を見て、少しずつ整理していこうと思っています。
 
 

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

在宅事件と身柄事件

2008年09月02日 | 交通事故刑事事件の基礎知識
前回、警察官の調書偽造事件で「在宅事件」という言葉を使いましたが、この反対の言葉が「身柄(みがら)事件」です。

「在宅事件」も「身柄事件」も、いずれも刑事事件の処理方法で、被疑者(犯罪を行ったと嫌疑をかけられている人)を逮捕勾留するのが「身柄事件」で、しないのが「在宅事件」です。

圧倒的多数の交通事故関係の刑事事件は、在宅事件として、つまり被疑者(加害者)が逮捕も勾留もされません。

逮捕も勾留もされないうちに、事件が警察から検察に送られ、検察で処分が決められてしまっているので、交通事故の加害者の刑事の処分がどうなっているんだろうと、被害者が思ったころには、処理が終わってしまっているということも頻繁におこります。

在宅事件にするか、身柄事件にするかは、警察官が判断します。

交通事故事件(自動車運転過失致死傷)でいえば、結果が重大であれば逮捕する方向に行きますし、そうでなければまず在宅です。
事故後逃走した場合(救護義務違反)は、多くの場合逮捕されますが、被害者の怪我がきわめて軽い場合は、まれに逮捕されないケースもあります。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする