南斗屋のブログ

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和解事例、1628から1632

2020年03月17日 | 原子力損害

2020年2月28日、原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)から和解事例が公表されました(和解事例1619から和解事例1632まで)。今回は、1628から1632までの和解事例を紹介いたします。

1628=帰還困難区域(浪江町)の日常生活阻害慰謝料の増額等に関するもの
1629=地方公共団体が住民に一時避難を要請した区域(南相馬市鹿島区)の精神的損害の増額・一時立ち入り費用に関するもの
1630=自主的避難等対象区域(福島市)の放射線線量計の購入費用・精神的損害(増額分)に関するもの
1631=自主的避難等対象区域(郡山市)の避難費用、生活費増加費用及び避難雑費に関するもの
1632=旧緊急時避難準備区域(川内村)の日常生活阻害慰謝料の増額等に関するもの

和解事例(1628)
帰還困難区域(浪江町)から避難した申立人ら夫婦の平成23年3月分から平成29年5月分までの日常生活阻害慰謝料(増額分)について、申立人妻は身体障害等級3級であり、複数回入院をしたこと、申立人夫も申立人妻の介護をしつつ、自らも手術、入院を余儀なくされたこと等を考慮して、申立人妻については月額3万円が、申立人夫については月額1万円又は月額1万5000円が、それぞれ賠償された事例。

和解事例(1629)
地方公共団体が住民に一時避難を要請した区域(南相馬市鹿島区)から平成23年3月に避難し、同年5月に帰還した申立人ら(父母及び子)について、申立人父と申立人母子とで家族別離を余儀なくされたことを考慮して、申立人父に6万円、申立人母子に併せて6万円が、申立人子が精神的に落ち込み、申立人母も体調を崩した中、そのような申立人子の面倒を見たこと等を考慮し、申立人母子に併せて更に2万円が、避難中に6回にわたって一時立入りをした申立人父の一時立入費用が、それぞれ賠償された事例

和解事例(1630)
自主的避難等対象区域(福島市)から避難した申立人ら(大人3名)について、放射線線量計の購入費用のほか、申立人母の精神的損害(増額分)として、避難先で申立外の祖母の認知症が悪化し、同人を介護しながらの避難生活を余儀なくされたことを考慮して一時金6万円が賠償された事例

和解事例(1631)
自主的避難等対象区域(郡山市)から避難した申立人ら(父母及び子ども3名(うち1名は原発事故後に避難先で出生。))について、平成27年3月までに支出した避難費用、生活費増加費用及び避難雑費が賠償された事例。
和解事例(1632)
旧緊急時避難準備区域(川内村)から身体障害等級1級(移動機能障害)の子を連れて避難した申立人について、避難前に利用していた障害者施設が原発事故の影響により利用することができなくなったこと等を考慮し、避難を継続せざるを得ない特段の事情があると認め、平成27年12月分までの月額10万円の日常生活阻害慰謝料及び避難先において生活介護施設へ通所するための交通費等が賠償された事例。


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和解事例、1624から1627

2020年03月16日 | 原子力損害

2020年2月28日、原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)から和解事例が公表されました(和解事例1619から和解事例1632まで)。今回は、1624から1627までの和解事例を紹介いたします。

1624=帰還困難区域(浪江町)の日常生活阻害慰謝料の増額等に関するもの
1625=避難指示解除準備区域(南相馬市小高区)の医療法人の営業損害に関するもの
1626=自主的避難等対象区域(郡山市)の避難費用、生活費増加費用、就労不能損害、自主除染費用に関するもの
1627=自主的避難等対象区域(いわき市)の生活費増加費用に関するもの

和解事例(1624)
 帰還困難区域(浪江町)から避難した申立人ら母子の日常生活阻害慰謝料(増額分)について、原発事故に伴う避難により家族の別離を余儀なくされたこと等を考慮し、家族別離が生じた後の平成23年6月分から申立人らが新たに購入した一戸建て住宅のリフォーム工事が完了した平成26年3月分まで、月額3万円が賠償された事例。

和解事例(1625)
避難指示解除準備区域(南相馬市小高区)において病院等を経営する医療法人である申立人について、1.平成27年3月分以降の営業損害(逸失利益)として、直接請求手続において同損害について既に支払がなされていたものの、費用の固定費及び変動費への振り分け方法を見直し、また、逸失利益の算定に当たって差し引く減価償却費について、税法上の耐用年数ではなく実質的耐用年数を用いて算定したことによって、追加賠償が認められたほか、2.平成27年3月分から平成29年2月分までの営業損害(追加的費用)として、医療活動の再開を図るために雇用していた職員に係る人件費の賠償が認められた事例。

和解事例(1626)
自主的避難等対象区域(郡山市)から避難した申立人ら(大人4名)について、避難費用、生活費増加費用、避難により退職した申立人母の就労不能損害等が賠償されたほか、業者が実施した除染(コンクリート、ブロックの敷設等を含む。)につき、必要性、相当性を認めた上で、資産価値が増加したことを考慮して、業者に対する支払額の7割相当額が賠償された事例

和解事例(1627)
自主的避難等対象区域(いわき市)から避難した申立人らについて、子らの避難による転校先における順応状況や原発事故に対する恐怖心が強かったこと等を考慮し、平成24年1月分から同年3月分までの生活費増加費用(保育料及び家賃の各増額分)及び避難雑費が賠償された事例。


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原子力損害賠償の損害、原賠審の中間指針

2020年03月13日 | 原子力損害

【損害賠償の「損害」はどのように決められるのか】

損害賠償という言葉はよく聞かれるかと思います。法律には、どのような場合にその者が賠償しなければならないかについては書かれていますが、何が「損害」になるのかということは書かれていないことが多いのです。
東京電力に請求する根拠は、原子力損害賠償法(原賠法)にあります。
同法には、「原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。」という条文があり、これが東京電力への請求の根拠規定になります。ここで「損害」という言葉がでてきますが、この「損害」が何なのかは法律には規定されていません。
何が「損害」にあたるのかは、最終的には裁判所によって決まることになります。例えば、交通事故の損害賠償については、これまでの裁判例の積み重ねを整理されたものがあり、損害賠償の理論が構築されていましたが、原子力損害賠償についてはそのようなものがほとんどありませんでした。
東京電力の原子力事故が起こる前に起こった事故として、平成11年9月30日に発生した(株)ジェー・シー・オー東海事業所における臨界事故があります。このときに原子力損害調査研究会が「中間的な確認事項」(同年12月15日付)、最終報告書(平成12年3月29日付)が作成されており、これら及び同臨界事故における裁判例が参照できるという状態でした。

【中間指針とは】
もっとも、東京電力の原発事故は、その事故の内容、深刻さ、周辺に及ぼした被害の規模、範囲、期間等において上記の臨界事故を遥かに上回るものであり、その被害者及び損害の類型も多岐にわたることとなることから、これらの事情を十分に考慮しなければなりませんでした。
このような考慮のもとに原子力損害賠償紛争審査会(原賠審)により策定されたのが、「中間指針」です。中間指針は、原賠法の規定に基づいて策定されたものです。同法には、「原子力損害の賠償に関する紛争について原子力損害の範囲の判定の指針その他の当該紛争の当事者による自主的な解決に資する一般的な指針を定めること」を原賠審の事務として挙げており(18条2項2号)、この規定を根拠に原賠審は中間指針を策定しています。
 この規定を見ますと、「紛争の当事者による自主的な解決」とか、「賠償に関する紛争」という言葉がでてきます。法律が予定しているのは、①損害賠償は当事者(加害者と被害者)の交渉という自主的な解決が重視されるべきである、②当事者の交渉でまとまらない場合、第三者による判断が必要になってくるが、その判定の指針を提供する必要があるということです。
 ここで第三者というのが、原子力損害賠償紛争解決センター(以下、「センター」)というADRです。中間指針は当事者の自主的な解決の指針となるとともに、センターでの紛争解決の指針ともなるものとして定められています。
 中間指針においても、「はじめに」という項で以下のような記載をしているのは、このような中間指針の性格を反映してのものです。
「中間指針で示した損害の範囲に関する考え方が今後、被害者と東京電力株式会社との間における円滑な話し合いと合意形成に寄与することが望まれる」
「中間指針に明記されない個別の損害が賠償されるないということのないよう留意されることが必要である」



【原賠審とセンターの位置づけ】
 以上の話を整理します。
①損害賠償の交渉は当事者が自主的に行い、自主的な解決をすることが望ましい。
②原賠審はそのための指針を策定でき、これが中間指針である。
③当事者間で紛争が起こった場合、原賠審のもとにある原子力損害賠償紛争解決センターがADRとして仲介を行う。




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和解事例、1619から1623

2020年03月12日 | 原子力損害

2020年2月28日、原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)から和解事例が公表されました(和解事例1619から1632まで)。今回は、1619から1623までの和解事例を紹介いたします。

1619=避難指示解除準備区域(浪江町)の生活費増加に関するもの
1620=居住制限区域(浪江町)の日常生活阻害慰謝料の増額等に関するもの
1621=居住制限区域(浪江町)の日常生活阻害慰謝料の増額に関するもの
1622=帰還困難区域(浪江町)の面会交通費に関するもの
1623=居住制限区域(浪江町)の日常生活阻害慰謝料の増額に関するもの

和解事例(1619)
避難指示解除準備区域(浪江町)から避難した申立人について原発事故前は自家消費用の野菜を栽培していたことを考慮し、直接請求手続で自家用野菜に係る賠償として支払われた8万8750円とは別に、平成23年3月分から平成28年11月分までの生活費増加分として野菜購入費用25万6250円が賠償された事例。

和解事例(1620)
居住制限区域(浪江町)から避難した申立人らについて、1.家族別離を余儀なくされたことによる日常生活阻害慰謝料(増額分)として、別離を余儀なくされた期間(平成23年5月分及び同年9月分から平成27年7月分まで)につき月額3万円が、2.原発事故前は自家消費用の米及び野菜を栽培していたことを考慮し、直接請求手続で自家用野菜に係る賠償として支払われた26万5000円とは別に、平成23年3月分から平成27年7月分までの食費増加費用として26万5000円が、3.原発事故前は井戸水を利用していたが、これを用いることができなくなり、また、世帯分離が生じたこと等を考慮し、平成23年9月分から平成27年7月分までの水道光熱費増加分として23万5000円が、4.農機具に係る財物
損害につき取得価額、耐用年数及び原発事故時点における経過年数等を考慮し、最終残価率を2割、耐用年数を30年(トラクターは40年)として算定した金額から直接請求手続で支払われた金額を控除した234万8757円が、それぞれ賠償された事例。

和解事例(1621)
居住制限区域(浪江町)から避難した申立人らの平成23年3月分から平成27年12月分までの日常生活阻害慰謝料(増額分)として、家族別離を余儀なくされたことを考慮して月額3万円が、また、要介護者を介護していた申立人についてさらに月額3万円(ただし、直接請求における既払い分合計18万円を除く。)が賠償された事例。

和解事例(1622)
帰還困難区域(浪江町)から避難した申立人妹について、同区域(大熊町)所在の病院に入院中であった申立人姉が、原発事故に伴い転院した(当初は県外の病院。後には県内の別の病院)ために増加した面会交通費の増加分につき、申立人妹の陳述等により認定した面会回数(県外の病院については年3回、県内の病院については月3.5回)に基づいて算定した交通費増加分から東京電力による既払金を控除した残額が賠償された事例。

和解事例(1623)
居住制限区域(浪江町)から避難した申立人ら(父母及び子3名)の日常生活阻害慰謝料(増額分)について、父母が避難先で乳幼児である子の育児をしたことによる負担等を考慮し、平成23年3月分から末子が小学校に入学する前月である平成29年3月分まで、避難先の居住環境や育児の状況等に応じて、月額7万2000円から月額1万円までの範囲により算定した金額が賠償された事例。


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和解事例、1614から1618

2020年03月12日 | 原子力損害

2020年2月10日、原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)から和解事例が公表されました(和解事例1599から和解事例1618まで)。今回は、1614から1618までの和解事例を紹介いたします。

1614=旧緊急時避難準備区域(川内村)の生命・身体損害に関するもの
1615=避難指示解除準備区域(浪江町)の日常生活阻害慰謝料の増額に関するもの
1616=避難指示解除準備区域(浪江町)の営業損害(逸失利益)に関するもの
1617=居住制限区域(浪江町)の日常生活阻害慰謝料・就労不能損害に関するもの
1618=避難指示解除準備区域(浪江町)の日常生活阻害慰謝料の増額に関するもの

和解事例(1614)
旧緊急時避難準備区域(川内村)から避難したが、避難生活によるストレスにより不眠、抑うつ症状態となるなど心因性精神障害となり、また、パーキンソン病に罹患した申立人について、申立人の病状やかかる病状を前提とした医療環境を含め、事故前居住地の環境全般その他の事情を総合考慮し、平成27年11月分まで、日常生活阻害慰謝料及び避難先賃料が賠償されたほか、生命身体的損害(通院の際の付添看護費用)が賠償された事例。

和解事例(1615)
避難指示解除準備区域(浪江町)から避難した申立人について、広汎性発達障害を有する中での避難であったこと等を考慮して、平成23年3月分から移住を前提とする転居をした半年後である平成26年9月分までの日常生活阻害慰謝料(増額分)として月額6万円(合計218万円)が賠償されたほか、生命身体的損害として、慰謝料等が賠償された事例。

和解事例(1616)
避難指示解除準備区域(浪江町)において飲食店を営んでいたが、原発事故による避難中、他県にて同様に飲食店を営み、避難指示解除に伴い、帰還して原発事故前の店舗で営業再開した申立人の営業損害(追加的費用)について、一部設備を避難の際に持ち出して、移転先において加工の上、用いていたところ、当該設備の移転先からの撤去費用、帰還後の店舗に用いるために当該設備を再運搬、再加工に要した費用及び帰還後の店舗に設置するために要した費用から当該設備の財物賠償として賠償を受けた額を差し引いた額等が賠償された事例

和解事例(1617)
居住制限区域(浪江町)から避難した申立人らについて、原発事故による避難の結果、別離を余儀なくされたことを考慮して、別離が生じていた平成23年8月から平成25年10月まで(ただし、別離状態が解消していた期間を除く。)の日常生活阻害慰謝料(増額分)として月額3万円が、申立人母が乳児を連れて避難を余儀なくされたこと及び避難中に妊娠、出産したこと等を考慮して、平成23年3月分から平成27年2月分までの日常生活阻害慰謝料(増額分)として上記別離による増額分とは別に月額3万円が、申立人父の就労不能損害について、平成27年3月分から同年12月分まで、避難中の就労状況等を考慮して、原発事故前の収入額の8割相当額と上記期間の実収入額との差額が、それぞれ賠償された事例。

和解事例(1618)
避難指示解除準備区域(浪江町)から避難した申立人の平成23年3月分から平成30年3月分までの日常生活阻害慰謝料(増額分)について、乳幼児である孫の世話をしながらの避難であったことのほか、失禁を繰り返す夫の介護をしながらの避難であったことを考慮し、平成23年3月分は7万2000円、同年4月分から平成30年3月分までは月額6万円が賠償された事例(ただし、既払い金122万円を除く。)。


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地方公務員の懲戒処分の手続き

2020年03月12日 | 地方自治体と法律

1 地方自治体は職員懲戒審査委員会を設置し(地方自治法施行規程16条)、懲戒処分を行うにあたってはこの委員会を通す必要があります。
 例えば、千葉市では、市長は、職員にして懲戒に当たるような行為があると認めるときは、証拠を添えて、書面をもって委員会に審査を要求しなければならず(千葉市職員懲戒審査委員会規則3条)、委員会は、この要求を審査議決し、その結果を直ちに市長に報告しなければならないものとされています(同規則4条)。
 委員会は、必要と認めたときは、当事者及び関係者の出席を求めることができるものとされています(同規則14条)。この聴取は任意的なものであり、必要的なものとは規定されていません。

2 「懲戒処分は不利益処分。不利益処分には聴聞か少なくとも弁明の機会の付与が必要なはず。なぜならば、行政手続法13条に、不利益処分をしようとする場合の手続としてそのように規定されているから・・・」と考えてしまうのは、地方公務員の懲戒処分の場合は間違いです。
 なぜならば、地方公務員の懲戒処分には行政手続法が適用されないからです。地方公務員の懲戒処分は、行政手続法3条1項9号により同法の適用除外とされています。
 告知や聴聞の手続きが取られなくて良いのか、という疑問はあって当然ですが、判例は、告知・聴聞等事前手続がなくても懲戒処分の効力に影響を及ぼすような手続上の違法があつたと認めることはできないという立場をとっています(例えば、東京高等裁判所判決昭和60年4月30日判決・行政事件裁判例集36巻4号629頁)。

3 地方公務員法49条には、「任命権者は、職員に対し、懲戒その他その意に反すると認める不利益な処分を行う場合においては、その際、その職員に対し処分の事由を記載した説明書を交付しなければならない。」と規定されており、「処分の事由」を記載した書面の交付が義務付けられています。
 千葉市でも、職員の懲戒の手続及び効果に関する条例で、「戒告,減給,停職又は懲戒処分としての免職の処分は,その旨を記載した書面を当該職員に交付して行わなければならない。」と地方公務員法と同趣旨の規定があります(同条例2条)。この書面は、原則として、職員に直接交付されるべきものとされています(同条例4条)。

4 職員は、懲戒処分を受けたときは、人事委員会又は公平委員会に対して審査請求をすることができます(地方公務員法49条の2)。千葉市では、人事委員会が設置されているので、千葉市の場合は、不服があれば、人事委員会に対して審査請求を行うこととなります。



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和解事例、1609から1613

2020年03月06日 | 原子力損害

2020年2月10日、原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)から和解事例が公表されました(和解事例1599から和解事例1618まで)。今回は、1609から1613までの和解事例を紹介いたします。
1609=自主的避難等対象区域(いわき市)内の会社の営業損害に関するもの
1610=避難指示解除準備区域(浪江町)の日常生活阻害慰謝料の増額に関するもの
1611=旧緊急時避難準備区域(田村市)の営業損害(逸失利益)に関するもの
1612=自主的避難等対象区域(郡山市)内の会社の営業損害に関するもの
1613=避難指示解除準備区域(浪江町)の日常生活阻害慰謝料の増額に関するもの

和解事例(1609)
自主的避難等対象区域(いわき市)において木材の製材、加工、販売を営む申立会社の平成27年4月分から平成28年3月分までの営業損害について、同期間の福島県製材出荷量やいわき市の木造建築確認申請件数が原発事故前3か年の平均値よりも上回っていることが統計上うかがわれたものの、申立会社が顧客に対して行ったアンケート調査の結果等を踏まえ、検査費用及び追加的費用については全額が、逸失利益については原発事故の影響割合を商品によって2割又は7割として算定した額が、それぞれ賠償された事例。

和解事例(1610)
避難指示解除準備区域(浪江町)から避難した申立人の日常生活阻害慰謝料(増額分)について、聴覚障害及び視覚障害を有しながらの避難生活を余儀なくされた事情を考慮し、平成23年3月分から平成30年3月分まで月額6万円(避難所での生活期間中である平成23年3月分及び同年4月分についてはさらに月額1万2000円の増額。)が賠償された事例。

和解事例(1611)
旧緊急時避難準備区域(田村市)において山野草の植生・販売等の事業を営んでいた申立人の営業損害(逸失利益)について、その業態や事業場所のほか、顧客の多くが相双地域の居住者であって、避難の継続を余儀なくされていた者が多かったこと等を考慮して、平成29年1月分から平成30年12月分まで(原発事故の影響割合は、平成29年分については4割、平成30年分については2割)賠償された事例。。

和解事例(1612)
自主的避難等対象区域(郡山市)においてきのこの加工販売業等を営む申立会社の風評被害による営業損害(逸失利益)について、取扱品目や原発事故後の事業所ごとの売上げ推移の状況、販売の形態及び事業所の位置等を考慮して、平成27年8月分から平成29年7月分まで(原発事故の影響割合は、本店分につき6割ないし5割、福島県内の加工所分につき6割ないし3割、福島県外の支店分につき1割。)賠償された事例。。

和解事例(1613)
避難指示解除準備区域(浪江町)から避難した申立人ら(子夫婦及び夫の父母)の日常生活阻害慰謝料(増額分)について、要介護状態にあった父母につき要介護の状態や生活状況等に応じて1名当たり月額3万円ないし5万円が賠償された他、避難先で父母の介護を余儀なくされた子夫婦につき介護負担の状況や生活状況等に応じ両名合計月額3万円又は5万円が賠償された事例。



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教員間のいじめ事件での懲戒処分

2020年03月05日 | 地方自治体と法律
神戸市の教員間のいじめ事件は、弁護士による第三者委員会での事実認定を経て、教員に対して懲戒処分が行われました。

NHKのニュースが詳しく参考になります。

これによれば加害行為をした教員の処分は以下のとおりです。
・93のハラスメント行為をした教員 懲戒免職
・39のハラスメント行為をした教員 懲戒免職
・13のハラスメント行為をした教員 停職3か月
・7のハラスメント行為をした教員 減給10分の1、3か月

また、管理者として、現校長が減給10分の1、3か月の処分、前校長が停職3か月の処分を受けました。

ここからわかることは、加害行為を行っている教員は懲戒処分に値する行為を行っているのであること、校長は管理者として適正な指導を行い、ハラスメントを防止すべきであることです。

 加害行為をすべきでないことは当然なのですが、この事件だけでなく、他にも教員間のハラスメントが行われているという報道もあり、組織の問題といえます。
 ハラスメントのない組織を構築していくのは組織の長の責務ですから、校長が主体的になって組織的な対応を行う必要が生じてきます。
 それを行わなければ、管理責任が問われることを本件は教えているといえるでしょう。






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