誤認衆の H 口さんのご厚意で、歌舞伎座新開場十周年 七月大歌舞伎 夜の部を見物。
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お目当ては新之助くんの元気な姿。海老蔵もとい團十郎ねぇ、藝が進化していれば良いですけど。成田屋のご贔屓筋には申し訳ないですが、当代の良い芝居にこれまで出会ったことがないので、多くを期待しておりません。朧な記憶とはいえ、比較するのが菊五郎丈ですしねぇ。
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で、先ずは「矢口渡」。児太郎の出だしは上々。雅な人に一目惚れした田舎娘の可愛らしさがよく出ています。太鼓の場面から素になって芝居の肚が無いように見えました。数年前に観た梅枝の記憶が蘇ってきて、比較すると乙るかなぁ、と。脇は相応。なかでは、九團次さん、(初めての拝見と思いますが)すっきりした良い立ち役だと「発見」できたのは収穫。
問題の「め組の喧嘩」。最初の場面転換で、我々の左後ろのオバサマが「ちっとも面白くないじゃない」と大きな独り言。これに尽きます。
團十郎、やはり役に性根が入ってない、台詞と振りは形だけ、と残念な印象です。喜三郎への暇乞いの場、何しに来たのか伝わりません(一割くらいは又五郎の所為でもあるでしょう)。三下り半の場面、雀右衛門が指を震わせ改心を迫るなど熱演をしていたのに、團十郎が全く腑抜け。唯一、喧嘩に行く決心を伝えるときの見得だけは流石は成田屋と思わせる目力がありました。喧嘩相手の右團次さん、関取の雰囲気を出すためなのでしょうが、台詞が聞き取り難い。こちらも木偶の坊に見えて、芝居が盛り上がらない。脇では魁春はあれだけで勿体ない使われ方。権十郎はまぁまぁの貫禄でしたが、意外に軽くて残念だったのが又五郎。喧嘩の仲裁に、本人の人格的迫力があっての半纏だと思うのですが、半纏効果しかないじゃん。
切りの所作事。学芸会と言ってしまえばそれまでですが、團十郎にはこういう台詞の少ない、早変わり等のケレンのある舞踊劇が向いていますね(ってか、今はこれしか出来ないでしょ)。ぼたんは流石に踊りが上手。一方で、新之助は誰にこれから習っていくかが重要でしょう。ここでも九團次、児太郎は確り脇を固めていたと思いました。
それにしても、この演目順は何とかならなかったのですかねェ。普通は所作事が二演目にきて、切り幕が『め組の喧嘩』でしょう。見物した 2015 年の團菊祭もそうでしたし(このときの所作事は当時の海老蔵が主演)。夕食が 19 時 25 分~ って何考えてんだ松竹。人生幸朗師匠なら、責任者、出てこいっ!って叫ぶ場面です(笑)
でも、ひょっとすると「め組の喧嘩」がイマイチなんで食後だと場内爆睡になるが、かんかん・ぼたんなら寝落ちしないだろうから食後に廻したとか(笑)
渡辺保さんが團十郎を誉めていたらゴメンナサイ。まだ劇評が出てないんで(自爆)
今月から公開された伊藤園寄贈の『富貴花競苑図』(中島千波画伯作)の緞帳。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/12/e7/a7691348420bb21eab78c6ba0ed3e34e_s.jpg)
お弁当はまたまた「豆狸」で、右端の月替りはミョウガでした。
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【 本日の演目 】
福内鬼外(平賀源内) 作
一、神霊矢口渡(しんれいやぐちのわたし)
娘お舟 児太郎(梅枝)
新田義峯 九團次(坂東亀蔵)
傾城うてな 廣松(児太郎)
下男六蔵 新十郎(萬太郎)
渡し守頓兵衛 男女蔵(松緑)
( )内は 2019 年 12 月公演の配役です。
竹柴其水 作
二、神明恵和合取組(かみのめぐみわごうのとりくみ)
め組の喧嘩
め組辰五郎 團十郎(菊五郎)
女房お仲 雀右衛門(時蔵)
江戸座喜太郎 権十郎(彦三郎)
四ツ車大八 右團次(左團次)
九竜山浪右衛門 男女蔵(又五郎)
背高の竹 歌昇(亀三郎)
おもちゃの文次 種之助(巳之助)
山門の仙太 新之助(鷹之資)
島崎楼抱おさき/三ツ星半次 廣松(亀寿)
伊皿子の安三 竹松(萬太郎)
芝浦の銀蔵 男寅(歌昇)
御成門の鶴吉 玉太郎の代役なし(竹松)
左利の芳松 橘太郎(同左)
田毎川浪蔵 市村光(-)
柴井町藤松 九團次(菊之助)
露月町亀右衛門 市蔵(團蔵)
三池八右衛門 齊入(松之助)
葉山九郎次 家橘(橘三郎)
喜三郎女房おいの萬次郎(-)
焚出し喜三郎 又五郎(梅玉)
尾花屋女房おくら魁春(萬次郎)
( )内は 2015 年 5 月公演の配役。
九世市川團十郎歿後百二十年
松岡 亮 作
三、新歌舞伎十八番の内
鎌倉八幡宮静の法楽舞(かまくらはちまんぐうしずかのほうらくまい)
静御前/源義経/老女/白蔵主/油坊主/三途川の船頭/化生 團十郎
三ツ目/町娘/五郎姉二宮姫 ぼたん
提灯/若船頭/竹抜五郎 新之助
僧普聞坊 廣松
僧寿量坊 男寅
僧隋喜坊 玉太郎の代役で中村いてう
蛇骨婆 九團次
姑獲鳥 児太郎
僧方便坊 種之助
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お目当ては新之助くんの元気な姿。海老蔵もとい團十郎ねぇ、藝が進化していれば良いですけど。成田屋のご贔屓筋には申し訳ないですが、当代の良い芝居にこれまで出会ったことがないので、多くを期待しておりません。朧な記憶とはいえ、比較するのが菊五郎丈ですしねぇ。
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で、先ずは「矢口渡」。児太郎の出だしは上々。雅な人に一目惚れした田舎娘の可愛らしさがよく出ています。太鼓の場面から素になって芝居の肚が無いように見えました。数年前に観た梅枝の記憶が蘇ってきて、比較すると乙るかなぁ、と。脇は相応。なかでは、九團次さん、(初めての拝見と思いますが)すっきりした良い立ち役だと「発見」できたのは収穫。
問題の「め組の喧嘩」。最初の場面転換で、我々の左後ろのオバサマが「ちっとも面白くないじゃない」と大きな独り言。これに尽きます。
團十郎、やはり役に性根が入ってない、台詞と振りは形だけ、と残念な印象です。喜三郎への暇乞いの場、何しに来たのか伝わりません(一割くらいは又五郎の所為でもあるでしょう)。三下り半の場面、雀右衛門が指を震わせ改心を迫るなど熱演をしていたのに、團十郎が全く腑抜け。唯一、喧嘩に行く決心を伝えるときの見得だけは流石は成田屋と思わせる目力がありました。喧嘩相手の右團次さん、関取の雰囲気を出すためなのでしょうが、台詞が聞き取り難い。こちらも木偶の坊に見えて、芝居が盛り上がらない。脇では魁春はあれだけで勿体ない使われ方。権十郎はまぁまぁの貫禄でしたが、意外に軽くて残念だったのが又五郎。喧嘩の仲裁に、本人の人格的迫力があっての半纏だと思うのですが、半纏効果しかないじゃん。
切りの所作事。学芸会と言ってしまえばそれまでですが、團十郎にはこういう台詞の少ない、早変わり等のケレンのある舞踊劇が向いていますね(ってか、今はこれしか出来ないでしょ)。ぼたんは流石に踊りが上手。一方で、新之助は誰にこれから習っていくかが重要でしょう。ここでも九團次、児太郎は確り脇を固めていたと思いました。
それにしても、この演目順は何とかならなかったのですかねェ。普通は所作事が二演目にきて、切り幕が『め組の喧嘩』でしょう。見物した 2015 年の團菊祭もそうでしたし(このときの所作事は当時の海老蔵が主演)。夕食が 19 時 25 分~ って何考えてんだ松竹。人生幸朗師匠なら、責任者、出てこいっ!って叫ぶ場面です(笑)
でも、ひょっとすると「め組の喧嘩」がイマイチなんで食後だと場内爆睡になるが、かんかん・ぼたんなら寝落ちしないだろうから食後に廻したとか(笑)
渡辺保さんが團十郎を誉めていたらゴメンナサイ。まだ劇評が出てないんで(自爆)
今月から公開された伊藤園寄贈の『富貴花競苑図』(中島千波画伯作)の緞帳。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/12/e7/a7691348420bb21eab78c6ba0ed3e34e_s.jpg)
お弁当はまたまた「豆狸」で、右端の月替りはミョウガでした。
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【 本日の演目 】
福内鬼外(平賀源内) 作
一、神霊矢口渡(しんれいやぐちのわたし)
娘お舟 児太郎(梅枝)
新田義峯 九團次(坂東亀蔵)
傾城うてな 廣松(児太郎)
下男六蔵 新十郎(萬太郎)
渡し守頓兵衛 男女蔵(松緑)
( )内は 2019 年 12 月公演の配役です。
竹柴其水 作
二、神明恵和合取組(かみのめぐみわごうのとりくみ)
め組の喧嘩
め組辰五郎 團十郎(菊五郎)
女房お仲 雀右衛門(時蔵)
江戸座喜太郎 権十郎(彦三郎)
四ツ車大八 右團次(左團次)
九竜山浪右衛門 男女蔵(又五郎)
背高の竹 歌昇(亀三郎)
おもちゃの文次 種之助(巳之助)
山門の仙太 新之助(鷹之資)
島崎楼抱おさき/三ツ星半次 廣松(亀寿)
伊皿子の安三 竹松(萬太郎)
芝浦の銀蔵 男寅(歌昇)
御成門の鶴吉 玉太郎の代役なし(竹松)
左利の芳松 橘太郎(同左)
田毎川浪蔵 市村光(-)
柴井町藤松 九團次(菊之助)
露月町亀右衛門 市蔵(團蔵)
三池八右衛門 齊入(松之助)
葉山九郎次 家橘(橘三郎)
喜三郎女房おいの萬次郎(-)
焚出し喜三郎 又五郎(梅玉)
尾花屋女房おくら魁春(萬次郎)
( )内は 2015 年 5 月公演の配役。
九世市川團十郎歿後百二十年
松岡 亮 作
三、新歌舞伎十八番の内
鎌倉八幡宮静の法楽舞(かまくらはちまんぐうしずかのほうらくまい)
静御前/源義経/老女/白蔵主/油坊主/三途川の船頭/化生 團十郎
三ツ目/町娘/五郎姉二宮姫 ぼたん
提灯/若船頭/竹抜五郎 新之助
僧普聞坊 廣松
僧寿量坊 男寅
僧隋喜坊 玉太郎の代役で中村いてう
蛇骨婆 九團次
姑獲鳥 児太郎
僧方便坊 種之助