Leikon's Photo Diary

写真とカメラなどに係わる独り言

ウイスキーの定義

2010年12月20日 22時04分13秒 | 飲食遊興

私の営業所のお客さまで酒税法と醸造方法に詳しい方がいらっしゃいます。
年末のご挨拶に伺った際に、「日本酒に純米酒と書くこと自体がおかしい。『アル添(醸造用アルコール添加の酒をこう仰っていました)』は、戦後の物が無かったころの遺物であり、日本酒と呼べるのは米と米麹で作ったものだけだ。」と。なるほど。
更にウイスキーについて、「君(私のこと)はウィスキーを好きと聞いたが、日本の酒税法でいう『ウイスキー』の定義を知っているか」と問われ、「3年以上貯蔵されたモルトとグレンに水を加えたもの、では・・・」と答えたら、「間違っとる! 日本のウィスキーは10%の原料さえ有れば、添加物は入れ放題、樽に貯蔵せんでもエエんじゃ」と叱られました。

で、今、調べたのですが、本邦の「酒税法」では以下となっておりました。
第三条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
十五  ウイスキー 次に掲げる酒類(イ又はロに掲げるものについては、第九号ロからニまでに掲げるものに該当するものを除く。)をいう。
イ 発芽させた穀類及び水を原料として糖化させて、発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの(当該アルコール含有物の蒸留の際の留出時のアルコール分が九十五度未満のものに限る。)
ロ 発芽させた穀類及び水によつて穀類を糖化させて、発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの(当該アルコール含有物の蒸留の際の留出時のアルコール分が九十五度未満のものに限る。)
ハ イ又はロに掲げる酒類にアルコール、スピリッツ、香味料、色素又は水を加えたもの(イ又はロに掲げる酒類のアルコール分の総量がアルコール、スピリッツ又は香味料を加えた後の酒類のアルコール分の総量の百分の十以上のものに限る。)

つまり、樽で貯蔵してなくてもいいし、要すればモルトとグレンがアルコール濃度の1/10あれば、醸造用アルコールを足そうが、香料を加えようが、色も変えようが、何でもあり、です。

一方で、Wikipediaの記載を端折りますと、スコッチ・ウイスキー法(The Scotch Whisky Order 1990)に拠る「スコッチ」の定義は以下のようなものらしいです。
1.スコットランドの蒸留所で造られ、大麦麦芽と水のみ(全粒ならば他の穀物を加えてもよい)を原料としたもののうち、以下の条件を満たすもの。 1.その蒸留所内にてマッシュ(糖化)されたもの。
2.細胞の同化系の酵素だけを用いて、発酵可能な基質に変換(糖化)されたもの。
3.酵母(イースト)の添加のみによって発酵させたもの。 2.原料の大麦麦芽や生産の手法から得られる風味を損なわないよう、エタノ-ル濃度(アルコール度数)94.8%未満で蒸留されていること。また第4条は下限を40%と定めている。 3.スコットランドの保税貯蔵庫に3年以上寝かせること。樽は700リットル以下のオーク材でなければならない。
4.原料や、生産・発酵の手法から得られる、色・香り・味を保っていること。
5.添加が許されるのは、水および色づけのためのキャラメルのみである。

これですと、貯蔵は最低3年ですね。私はこれを覚えていて、そのお客さまに答えたのでした。なお、キャラメル以外は添加禁止です。

同じようにウィスキーと呼ばれても、スコッチとジャパニーズ・ウイスキーでは定義がむちゃくちゃ違います。勉強になりました。勿論、日本でもシングル・モルト・ウイスキーが作られているのですから、「まがいもの」ばかりとは言えないのでしょう(もっとも「ウイスキーの表示に関する公正競争規約及び施行規則」でもシングル・モルトの定義は探せませんでした。が、定義があると云う方も多いです。私の手にはちょっと負えなくなってきたので、今日はここまでとします)。