先日書きました通り、MS(MS Optical R&D/宮崎光学)製とENZO製の2種類のCマウント・レンズ用のMicro4/3アダプタを使っております。写真の右側がMS製、左側がENZO製です。2週間強(週末3回)併用した使用感として、両者の比較をします(使用カメラはLUMIX G1)。
MS製の特徴は、先ずアダプタの内周部分を分離して2部構成になっていることでしょう。内環を止める極小螺子を緩めて、絞り目盛をレンズ上部に持って来るようにして、閉めて固定します。また、螺子山が潰れても、この部分だけを替えれば大丈夫です。加えて、スリムですっきりしたデザインです。カメラのマウント部分を全て覆わないのは、ライカのアダプタを意識したのでしょうか。お洒落です。また、薄いにも拘わらずボディのレンズ留めのピンが正面から見えないのも良いでしょう。
一方、極小螺子の締め付けが甘いと内環が外れてしまう危険がありますし、また、小さな螺子なので(私の技術では)どうしてもガタツキが残ります(レンズの距離環ヘリコイドが少し重い様な調整不十分のレンズには厳しいですね)。実は、MSではアダプタの購入に際しては、レンズを送ってアダプタを調整して送り返すことを推奨しています。その背景にはこういうこともあるのでしょう。更に、ボディに装着する際も、天頂の位置にきちんと廻すにはアダプタの外周が薄いので、結構辛いです。 しかも、絞り位置を合わせても別のレンズに交換すると、ズレることも有り得ます(少なくとも、私の2本のレンズでは位置が正反対です)。チョット策を弄しすぎた感もありますね。
ENZO製は、アルミ削り出しの一体構造でガッシリしていて、ガタツキがありません(内側のレンズを嵌める螺子部分もMSよりも溝が多く、しっかり装着できると思います)。アダプタ本体の外周部が相応に厚いうえ、ローレットの様な溝も作ってあるので着脱が楽に確実に行えます。
一方で、デザイン的には稍々無骨な印象は否めません。加えて、レンズ留めのピンが前から見える様な穴だけになっているのは安っぽいイメージです(写真中段、左の天頂部分の穴。なお、9時の位置にある銀色の○はボディ装着時の指針)。また、絞り目盛はレンズ次第で横や下を向くのを直せません。但し、私は、ニッケルエルマーの爪や回転ヘリコイドのレンズを使っているので、絞りの目盛が変な方向にある位は受容できます。
結論から言いますと、
・ しっかりと整備したレンズに調整したアダプタを1対1で使えばMS
・ 無骨乍も、雑多なレンズをアダプタ1個で済ませる実質本位ならENZO
と云う感じです。
一長一短ですが、使用法や不器用さから私にはENZOが適していると思います。
末筆乍ら、両者共にシネマレンズを現代に蘇らせた功績の一翼を担っている点で、敬意を表します。加えて、どちらも応対が親切・丁寧・迅速な点も立派です。
なお、添付写真の背景の色が上下で微妙に異なるのは…ご愛嬌と許してください。