5月7日(金曜日)。☁☂☁☀☁。雨の予報だったので遮光パネルを入れないで寝て、ちょっと目が覚めたら、あら、ブラインドを通して朝日がまぶしい。でも、すぐに眠りに戻って目が覚めたら、あら、どんよりした曇り空。そのうちに何となく湿っぽい感じになって来て、ルーフデッキに大きな水玉模様ができ、あっという間にびしょ濡れ。何とも落ち着きのない天気だこと。
そんな中をワルデマーが立ち寄ってくれて、キッチンのキャビネットとトラックライトを外した後に天井に残っていたむき出しのコンクリートにパテを塗る作業。仕上げのペンキ塗りは乾くのを待って明日。バスルーム2のスパ風インテリアを見せたら、「ドリンクがいいなあ」。お盆のレモンと瓶2本を見て「ははあ、テキーラだな」。テーブルの上のラジオと椅子の上のヘッドフォンを見て「おっ、ブルートゥースのヘッドフォンかあ」。上にちょこんと止まっているかもめを見て爆笑。そして自分のスマホを出して、「ネームデイ祝いに娘が作ってくれたんだよ」と見せてくれたのが見事としか言いようのない精巧な帆船のケーキ。ワルデマーが商船学校の卒業訓練で6ヵ月航海した練習船だそうで、日本の海王丸とそっくりの船の写真を見せてくれて、メインマストの一番上のヤードの端っこを指差して「ここがぼくの持ち場だったんだよ」。すごっ。考えただけで目が眩んでしまうね。
カレシが「船乗りでも船酔いするの?」と聞いたら、「するんだよ。大しけで船が揺れるときなんかみんなゲロゲロさ」。うはぁ。時化の中で帆船の船首での作業では、さすがに酔って盛大にゲロッとやったとたんに押し寄せて来た大波をかぶって、船酔いどころじゃなくなるという災難もあったとか。コペンハーゲンからポーランドのシュチェチンに向かう途中で大嵐に追いつかれたときは、猛烈な揺れで乗組員が次々と船酔いで倒れ、調理場も食堂も誰もいなくなったために缶詰と水でしのぎながら、船長とほやほやの航海士だったワルデマーとベテラン船員の3人だけで船を動かしたそうな。クルーズ船で香港からフィリピンへ向かうときに海が時化てひと晩前後に揺れたときに、船首に近いキャビンの人たちが船酔いで寝込んだらしいと言ったら、「クルーズ船のスタビライザーは横揺れを防ぐものだからね」。そうか。だから、まったく同じキャビンでも船の中央部は船首よりも料金が高いんだな。
ワルデマーがしっちゃかめっちゃかな船酔い船乗りのエピソードでさんざん笑わせて、じゃあ明日ねと次の「現場」に向かった後で、明るくなる空を見ながらランチ。午後には青空が広がって、山の方では黒い雲と白い雲が刻々と姿を変えての競演で、カメラを持ってデッキに出たり、バルコニーに出たり。空にもいろんな物語があるね。